VGTとは?長期投資に向いているのか?リターンや配当金生活をするにはいくら必要か徹底解説

VGT ETF

この記事のポイント

  1. VGTは情報技術セクターに絞って投資をすることができるETF
  2. ボラティリティが高いが、高いリターンを狙える投資ベテラン向けのETF
  3. 月々10万円を投資する場合のシミュレーションにおいて、5年で約95万、10年で約280万、20年で約1700万となる
  4. VGTのみのポートフォリオにするのはリスクがあるため、他のETFと合わせて保有するのがよい

米国人気ETFのVGTとは?

VGTとは?

VGTとは、バンガード米国情報技術セクターETFの略称で、米国の大手資産運用会社バンガード社が提供しているETFです。情報技術セクターのみへ集中投資をできる点が特徴です。 マイクロソフト、アップル、エヌビディアなど、米国を代表するIT企業を中心に、情報技術セクターに特化して投資を行えるETFとなります。

概要を表にまとめてみた

設立日2004年1月30日
投資対象テクノロジー・ソフトウェアおよびサービス、テクノロジー・ハードウェアおよび機器、半導体および半導体製造機器分野の企業を含む、米国の情報技術セクター株式銘柄で構成
連動指標 MSCI USインベスタブル・マーケット 情報技術セクター
1株あたり532ドル
経費率0.10%
配当利回り0.57%
年リターン(1年)26.66%
年リターン(3年)9.69%
年リターン(5年)21.45%

1株あたりが結構高いですね。為替レートによりますが1株を買うのに7~8万円が必要なため購入に対する敷居が高いのかもしれません。100円から投資できる投資信託と比較するとなおさらです。

また、経費率が少し高く設定されていますね。VTIやVOOは0.03%とかなので、それらと比較をすると高く思えます。

比較的若いETFのため過去の実績がどこまで参考になるかは難しいところですが、リターンは高いです。情報セクターに絞っているだけあって、ボラティリティは一定あるものの近年においては大きな伸びを見せています。

配当タイミングと直近の配当

配当タイミングは年4回で、「3月、6月、9月、12月」です。

直近は減配気味かつ高い配当率ではないものの、安定して配当金を出しています。

米国の成長している情報セクター(配当ではなく、会社の成長のための投資に資金を回す企業が多い)に投資しているため、配当金がそこまで高くないのは仕方がないことでしょう。

なぜVGTは人気なのか?

情報技術セクターの成長性が高いため

人工知能、IoT、クラウドコンピューティングなど、テクノロジーは日々進化しており、情報技術セクターは今後も成長が期待されているセクターになります。近年では生成AIブームがこのセクターの株価向上につながっています。

②巨額な時価総額を誇る企業の集積であるため

マイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベットなど、時価総額が世界トップクラスの企業が多数含まれており、安定的に業績を向上させていくことが今後も期待されています。暴落リスクを防ぐという観点からも人気だと言えるでしょう。もちろん暴落をすることもありますが、中小企業とは異なり大手であるため暴落時に盛り返す底力も期待されています。

③分散投資によるリスク分散効果があることに加え、運用が低コストであるため

VGTは、単一の銘柄ではなく、複数の情報技術企業に分散投資することで、リスクを分散できます。S&P500と比較をするとリスクは高くなりますが、個別銘柄の投資に比べたらずっとリスクが低いといえるでしょう。また、バンガード社は、経費率が低いことで知られており、VGTも0.1%と比較的低い数値で設定されています。これだけの人気企業に絞って投資をできるのにも関わらず、0.1%というのは相当お得です。

VGTの構成銘柄

ティッカーシンボル銘柄名構成割合
1MSFTマイクロソフト16.66%
2AAPLアップル16.07%
3NVDAエヌビディア14.63%
4AVGOブロードコム4.67%
5MAマスターカード2.91%
6AMDアドバンスド・マイクロ...1.72%
7ADBEアドビ・システムズ1.65%
8CRMセールスフォース・ドッ...1.64%
9ORCLオラクル1.54%
10QCOMクアルコム1.47%
11AMATアプライド・マテリアルズ1.31%
12CSCOシスコ・システムズ1.27%
13ACNアクセンチュア1.25%
14INTUイントゥイット1.22%
15TXNテキサス・インスツルメ...1.17%
16NOWサービスナウ1.07%
17IBMIBM1.04%
18MUマイクロン・テクノロジー0.98%
19LRCXラムリサーチ0.95%
20INTCインテル0.87%
21ADPオートマティック・デー...0.81%
22ADIアナログ・デバイセズ0.77%
23KLACKLAテンコール0.76%
24PYPLペイパル・ホールディン...0.75%
25PANWパロアルト・ネットワー...0.68%
26ANETアリスタ・ネットワークス0.64%
27SNPSシノプシス0.62%
28CRWDクラウドストライク・ホ...0.61%
29CDNSケイデンス・デザイン・...0.57%
30APHアンフェノール0.56%
31NXPINXPセミコンダクターズ0.49%
32MSIモトローラ・ソリューシ...0.45%
33ROPローパー・テクノロジーズ0.42%
34MRVLマーベル・テクノロジー...0.42%
35ADSKオートデスク0.38%
36PLTRパランティアテクノロジ...0.35%
37MCHPマイクロチップ・テクノ...0.35%
38TELTEコネクティビティ0.33%
39WDAYワークデイ クラスA0.33%
40PAYXペイチェックス0.32%
41SMCIスーパー・マイクロ・コ...0.32%
42FISフィデリティ・ナショナ...0.32%
43MPWRモノリシック・パワー・...0.30%
44FTNTフォーティネット0.29%
45SQスクエア クラスA0.29%
46GPNグローバル・ペイメンツ0.28%
47DELLDellTechnologiesInc0.28%
48FICOフェア・アイザック0.28%
49DDOGDatadogInc0.27%
50ITガートナー0.26%
51HPQヒューレット・パッカード0.26%
52GLWコーニング0.25%
53CTSHコグニザント・テクノロ...0.25%
54ONオン・セミコンダクター...0.23%
55CDWCDWコープ0.23%
56HPEヒューレット・パッカー...0.22%
57NTAPネットアップ0.22%
58ANSSアンシス0.22%
59HUBSハブスポット0.22%
60TEAMアトラシアン0.21%
61NETCloudflareInc0.20%
62WDCウェスタン・デジタル0.20%
63TERテラダイン0.20%
64FSLRファースト・ソーラー0.19%
65KEYSキーサイト・テクノロジ...0.19%
66MSTRマイクロストラテジー ...0.19%
67PTCピー・ティー・シー0.18%
68TYLタイラー・テクノロジーズ0.18%
69ENTGエンテグリス0.17%
70STXシーゲイト・テクノロジー0.17%
71PSTGピュア・ストレージ ク...0.17%
72GDDYゴーダディ クラスA0.16%
73ZSジースケイラー0.15%
74TDYテレダイン・テクノロジーズ0.15%
75APPAppLovinCorp0.15%
76SWKSスカイワークス・ソリュ...0.15%
77BRブロードリッジ・ファイ...0.15%
78MANHマンハッタン・アソシエ...0.14%
79VRSNベリサイン0.14%
80MDBモンゴDB0.14%
81ZBRAゼブラ・テクノロジーズ...0.14%
82PAYCペイコム・ソフトウェア0.13%
83OKTAオクタ0.13%
84ZMZoomVideoCommunicationsIn0.13%
85NTNXニュータニックス クラスA0.13%
86JNPRジュニパーネットワークス0.12%
87JBLジェイビル・サーキット0.12%
88COHRコヒレント0.12%
89AKAMアカマイ・テクノロジーズ0.12%
90TRMBトリンブル0.12%
91FLEXフレックス0.12%
92ENPHエンフェーズ・エナジー0.12%
93SSNCエスエス・アンド・シー...0.12%
94QRVOコルボ0.12%
95FNファブリネット0.11%
96GWREガイドワイア・ソフトウ...0.11%
97EPAMイーピーエーエム・シス...0.11%
98DTDynatraceInc0.11%
99JKHYジャック・ヘンリー・ア...0.11%
100OLEDユニバーサル・ディスプ...0.11%

マイクロソフト、アップル、エヌビディアの上位3社が約50%を占めていますね。

VGTのパフォーマンス

最新のパフォーマンス

設立当初からのパフォーマンス

設立当初の2004年からの約20年間で12倍になっています。驚異的な成長率ですね。

VGTのリターン

VGTの年別リターン

特定の年を除き大きく伸ばし続けてきています。

VGTの過去平均リターン

過去5年、10年、15年のどれでみても大きく伸ばしてます。

15年平均で17%というのは驚異的な数値ですね。S&P500の15年平均が9%前後なので約2倍ということになります。

月別でのVGTの騰落率(過去20年~5年)

9月に大きく凹み、そのぶん11月で盛り返すような動きになっています。

VGTに投資した場合のシミュレーション

経過年数資産配当金(年間)
5年940,4015,360
10年2,853,49816,265
15年7,207,97441,085
20年17,119,36997,580
25年39,679,084226,171
30年91,028,141518,860
35年207,905,7501,185,063
40年473,935,4802,701,432
45年1,079,456,2236,152,900
50年2,457,705,83114,008,923

シミュレーションの条件

  • 年利は、17.21%で過去15年間の平均リターンを使用
  • 配当利回りは0.57%/年
  • 初期投資金額は10万円
  • 積立は毎年10万ずつ
  • 運用経費は0.1%
  • 配当金は再投資する計算
  • ドル円や、買付手数料は加味していない

仮に50年運用したとすると24億円まで膨れ上がっています。20年でも1700万円にまでいくので、相当ですね。

配当金にいたっては、50年時点で年間1400万もらえる計算になります。

VGTの配当金のみで生活する場合、どれくらいの運用額が必要か

日本の平均世帯年収が約550万円なので、VGT配当金のみで生活する場合、約10億円必要な計算になります。

上記のシミュレーションにおいては45年目にその金額に到達します。

VGTで配当金生活をするのは困難だと言えるでしょう。運用資産を取り崩しての生活のほうが現実的です。

VGTに投資する際のメリットとデメリット(注意点)

VGTに投資するメリット

成長性の高いセクターへの投資できること

情報技術セクターは、今後もテクノロジーの進化に伴い成長が期待されるため、高いリターンが期待できる

分散投資になること

VGTは、単一の銘柄ではなく、複数の情報技術企業に分散投資することで、リスクを分散できる

低コストであること

バンガード社が提供するETFは、一般的に経費率が低く設定されているため、長期投資に適している

時価総額の大きい企業への投資になるため安定性が高い

マイクロソフトやアップルなど、時価総額の大きい安定した企業に投資することで、安定した収益を得ることが期待できる

VGTに投資するデメリット(注意点)

集中リスクがある

VGTは、情報技術セクターに特化して投資するため、同セクターの業績が悪化すると、大きな損失が出る可能性がある。マイクロソフトやアップルなど、特定の巨大IT企業への投資比率が高いため。これらの企業の業績が振るわなくなると、VGT全体の価値が大きく下がることに繋がる

ボラティリティが高い

情報技術セクターは、他のセクターに比べて株価の変動が大きい(ボラティリティが高い)傾向にある。そのため短期的な売買には不向きで、仮に行った場合は大きな損失を出す可能性がある

バブル崩壊のリスクがある

歴史的に、ITセクターにはバブルが発生し、その後崩壊するケースが何度もあった。市場が過熱し、バブルが発生した場合、大きな損失に繋がる可能性がある。

規制強化に対してのリスクがある

米国政府や各国政府は、GAFAなどの巨大IT企業に対して、独占禁止法違反やプライバシー侵害などの問題で規制を強化する動きを見せており、近年はその傾向が強まっている。規制強化は、企業の収益を圧迫し、株価に悪影響を与える可能性がある

VGTと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETF

VGTは、成長性の高い情報技術セクターに特化しており、魅力的なETFですが、単体で投資するよりも、他のETFと組み合わせてポートフォリオを構築することで、リスク分散を図ることができます。

セクター分散をする場合

  • VTI(バンガードS&P500 ETF): 米国全体の株式市場に広く分散投資できるETF。VGTと組み合わせることで、情報技術セクターに集中しすぎず、米国市場全体の動きに連動することができる
  • VXUS(バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF): 米国以外の先進国と新興国の株式に投資するETF。VGTと組み合わせることで、地域分散を図ることができる
  • VGK(バンガードFTSEヨーロッパETF): ヨーロッパの株式に投資するETF。VGTと組み合わせることで、地域分散と同時に、異なる経済圏への投資ができる

資産クラス分散をする場合

  • BND(バンガード総合債券市場ETF): 米国の債券市場に広く分散投資できるETF。VGTと組み合わせることで、株式と債券のバランスを取り、ポートフォリオの安定性を高めることができる
  • VGX(バンガード米国総合債券市場ETF): 米国の投資適格債券に投資するETF。BNDと同様に、株式と債券のバランスを取るために有効

テーマ型ETFと組み合わせる場合

  • VNQ(バンガード米国不動産ETF): 米国の不動産市場に投資するETF。情報技術セクターとは異なる資産クラスである不動産に投資することで、ポートフォリオの多様化を図ることができる
  • XLC(コミュニケーション・サービス・セクター・セレクト・セクター・SPDR・ファンド): 通信サービスセクターに投資するETF。情報技術セクターと関連性の高いセクターであり、VGTとの相関性も高い

具体的なポートフォリオ例

  • バランス型: VGT 40%、VTI 30%、BND 30%
  • 成長重視型: VGT 50%、VXUS 30%、VNQ 20%
  • 安定重視型: VGT 30%、VTI 30%、BND 40%

よくある質問

Q. VGTはおすすめしないとよく言われるが本当?

A. 一概におすすめできないとはいえないETFです。リターンの高さからはおすすめできますが、ボラティリティが激しいため投資になれない人が中長期保有するのには、感情面の観点から向いていないETFといえるでしょう。投資経験がある程度あり、本記事で紹介しているような各種リスクを許容できる人のみ購入をおすすめします。

Q. VGTのリスクは高い?低い?

A. 何と比較してかによってリスクの高い低いは変わります。S&P500指数に連動しているETFであるVOOやSPYと比較をすると、セクター特化型であるためリスクは高いと言えます。一方で個別株投資と比較をすると遥かにリスクが低いといえるでしょう。指数連動型のインデックス投資である点もリスク観点からは良いと言えます。

Q. VGTの将来性は?

A. 規制の影響やバブル崩壊のリスクなどはつきものですが、今後も情報セクターの発展が続くことが市場では予測されています。将来性が高いETFだと言えるでしょう。

まとめ

VGTは情報セクターに絞ったETFであり、高いリターンを狙えます。ボラティリティが高いことや、一定のリスクを許容しなくてはならないため初心者向けのETFとは言い難いです。慣れてきたら購入することをおすすめします。またポートフォリオをVGTのみに絞るのはおすすめできず、他のセクターに投資をするようなETFと組み合わせての保有をおすすめします。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。いろんな国や商品に投資。投資歴はまあまあ長め。基軸はインデックス投資での運用。短期売買はあまりせず、長期目線での投資をコツコツと。