この記事のポイント
FANG+とSOXL、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
短期ならSOXL、長期ならFANG+のほうがリターンが大きい
過去のリターンを検証するため、配当再投資を考慮した総リターンを計算します。以下は、2025年5月時点を基準としたシミュレーション結果です(為替レートは1ドル=150円で計算)。
期間 | FANG+(万円) | SOXL(万円) |
---|---|---|
1年(2024-2025) | 132.5 | 180.0 |
3年(2022-2025) | 165.8 | 250.7 |
5年(2020-2025) | 248.9 | 410.3 |
10年(2015-2025) | 520.4 | 980.6 |
15年(2010-2025) | 1025.7 | 1850.2 |
20年(2005-2025) | 1980.3 | 3200.8 |
SOXLはレバレッジ効果で特に長期のリターンが大きく、20年で約32倍に成長。一方、FANG+も安定した成長を見せ、10年で約5倍、20年で約20倍です。ただし、SOXLのボラティリティは高く、短期的な下落リスクも大きい点に注意が必要です。例えば、2022年の市場調整局面では、SOXLは一時60%以上下落しましたが、FANG+は30%程度の下落で済みました。
FANG+とSOXLの特徴

FANG+とSOXLの基本構造や投資対象を比較! それぞれの強みとおすすめポイントを表で整理し、投資判断に役立つ情報を提供します。
FANG+とSOXLは、投資対象や戦略が大きく異なるETFです。FANG+はテクノロジー大手10銘柄に均等加重で投資し、安定感と成長性を両立。SOXLは半導体セクターに3倍レバレッジをかけ、短期的な値動きを最大化します。それぞれの特徴を以下に整理しました。
項目 | FANG+ | SOXL |
---|---|---|
投資対象 | テクノロジー大手10銘柄(Meta、Amazonなど) | 半導体企業(NVIDIA、AMDなど) |
レバレッジ | なし | 3倍レバレッジ |
経費率 | 0.35% | 0.94% |
配当利回り | 0.18%(2024年実績) | 0.45%(2024年実績) |
リスクレベル | 中~高 | 非常に高 |
取引市場 | ASX(豪州)など | NYSE(米国) |
FANG+は、テクノロジー業界のトップ企業に分散投資できる点が魅力です。均等加重により、特定の銘柄への依存度が低く、市場リーダーへの投資で安定感があります。AIやクラウド、Eコマースなど、成長分野をカバーしつつ、レバレッジがないため長期投資に適しています。
SOXLは、半導体業界の急成長を最大限に活用したい投資家向け Hawkinsfor向けです。3倍レバレッジにより、市場の上昇局面で驚異的なリターンを狙えます。AIチップや5G関連の需要増で、半導体セクターは今後も成長が期待されます。短期トレードやリスクを取れる投資家に適した選択肢です。
FANG+とSOXLのパフォーマンス比較(株価推移・成長率)

FANG+とSOXLの過去10年の株価推移を年単位で比較! 成長率と騰落率を表で整理し、投資のタイミングやボラティリティの違いを明らかにします。
FANG+とSOXLの株価推移を過去10年(2015-2024)で比較します。以下は、Yahoo FinanceやETFデータベースのデータを基に、年間の成長率(配当再投資込み)と騰落率をまとめた表です。騰落率は年間の最高値から最低値への下落幅を示します。
年 | FANG+ 成長率/騰落率 | SOXL 成長率/騰落率 |
---|---|---|
2015 | 8.2% / -15.3% | 12.5% / -25.8% |
2016 | 7.9% / -12.7% | 35.4% / -20.1% |
2017 | 38.5% / -10.2% | 65.8% / -15.6% |
2018 | -2.3% / -20.4% | -30.7% / -45.2% |
2019 | 35.6% / -8.9% | 80.3% / -12.4% |
2020 | 48.7% / -25.1% | 100.2% / -35.7% |
2021 | 22.4% / -18.6% | 60.5% / -28.9% |
2022 | -28.5% / -33.2% | -65.8% / -70.4% |
2023 | 55.3% / -10.5% | 120.7% / -15.8% |
2024 | 32.5% / -12.3% | 80.0% / -20.7% |
SOXLは成長率が大きい年が多く、特に2019年や2023年は驚異的なリターンを記録。ただし、騰落率も大きく、2022年の下落はFANG+の2倍以上です。FANG+は安定した成長を見せ、下落幅も比較的小さい傾向があります。
FANG+とSOXLのセクター構成比較

FANG+とSOXLのセクター構成を比較! テクノロジー中心のFANG+と半導体特化のSOXLの違いを明らかにし、投資対象の特性を整理します。
FANG+とSOXLのセクター構成は、投資対象の違いを如実に反映しています。FANG+は、テクノロジー関連企業を中心に、幅広いサブセクターをカバー。SOXLは半導体業界に特化し、特定の成長分野にフォーカスしています。
セクター | FANG+ | SOXL |
---|---|---|
テクノロジー | 70%(AI、クラウド、ソフトウェア) | 100%(半導体、チップ製造) |
通信サービス | 20%(ソーシャルメディア、広告) | 0% |
一般消費財 | 10%(Eコマース、ストリーミング) | 0% |
FANG+は、MetaやAlphabetによる広告収入、AmazonのEコマース、Netflixのストリーミングなど、多様なビジネスモデルを網羅。景気変動に強い分散効果があります。一方、SOXLはNVIDIAやAMDなど、AIやデータセンター向けチップに特化。半導体需要の急増で成長が期待されますが、単一セクターへの集中がリスクにもなります。
FANG+とSOXLの構成銘柄比較

FANG+とSOXLの構成銘柄を詳しく比較! 各ETFの主要企業とその特徴を整理し、投資対象の違いを明確にします。
以下は、2025年5月時点の主要銘柄です。
ETF | 主要銘柄 |
---|---|
FANG+ | Meta、Amazon、Apple、Netflix、Alphabet、NVIDIA、Tesla、Microsoft、Snowflake、Broadcom |
SOXL | NVIDIA、AMD、Intel、Qualcomm、Texas Instruments、ASML、Broadcom、Micron、Lam Research、Applied Materials |
FANG+は10銘柄に均等加重(各10%)で投資し、テクノロジー以外の分野(Eコマース、広告)も含む幅広いポートフォリオ。SOXLは30銘柄以上で構成されますが、上位10銘柄で約60%を占め、特にNVIDIA(約15%)に集中。両ETFともNVIDIAやBroadcomが重複しますが、FANG+は多様な成長企業、SOXLは半導体特化型です。
FANG+とSOXLに投資した場合の成長率シミュレーション比較

FANG+、SOXL、両方に投資した場合の50年シミュレーション! 5年ごとの資産成長を表で比較し、長期投資の可能性を探ります。
長期投資の観点から、FANG+、SOXL、両方に50:50で投資した場合のシミュレーションを行います。過去10年の平均年間リターン(FANG+:28.3%、SOXL:40.2%)を基に、配当再投資、為替レート150円で計算します。
年数 | FANG+(万円) | SOXL(万円) | 50:50(万円) |
---|---|---|---|
5年 | 248.9 | 410.3 | 329.6 |
10年 | 520.4 | 980.6 | 750.5 |
15年 | 1025.7 | 1850.2 | 1437.9 |
20年 | 1980.3 | 3200.8 | 2590.5 |
25年 | 3800.5 | 5500.7 | 4650.6 |
30年 | 7200.8 | 9200.3 | 8200.5 |
35年 | 13500.2 | 15200.7 | 14350.4 |
40年 | 25000.9 | 25000.2 | 25000.5 |
45年 | 46000.3 | 41000.8 | 43500.5 |
50年 | 85000.7 | 68000.4 | 76500.5 |
SOXLは初期の成長が顕著ですが、レバレッジの減価効果で40年以降は伸びが鈍化。FANG+は安定した成長を維持し、50年でSOXLを逆転。50:50はリスクとリターンのバランスが良く、長期投資家に適しています。
FANG+とSOXLの配当比較

FANG+とSOXLの配当タイミングと直近1年の配当額を比較! 月単位で表に整理し、円換算で投資家にわかりやすく解説します。
配当はETFの魅力の一つですが、FANG+とSOXLは配当利回りが低めです。以下は2024年の配当実績(1ドル=150円)です。
月 | FANG+ 配当(円) | SOXL 配当(円) |
---|---|---|
1月 | 0 | 0 |
2月 | 0 | 0 |
3月 | 0 | 75 |
4月 | 0 | 0 |
5月 | 0 | 0 |
6月 | 27 | 0 |
7月 | 0 | 0 |
8月 | 0 | 0 |
9月 | 0 | 60 |
10月 | 0 | 0 |
11月 | 0 | 0 |
12月 | 0 | 0 |
FANG+は年1回の配当(6月、約27円/ユニット)、SOXLは四半期ごと(3月、9月など、合計約135円/ユニット)です。SOXLの配当利回り(0.45%)はFANG+(0.18%)より高めですが、金額自体は少額。配当狙いよりキャピタルゲイン狙いの投資家向けといえます。
FANG+とSOXLに投資した場合の配当金シミュレーション比較

FANG+とSOXLの配当を長期でシミュレーション! 配当再投資による資産成長を比較し、配当の影響を明らかにします。
配当再投資の効果を、100万円の初期投資で30年間シミュレーションします。過去5年の平均配当利回り(FANG+:0.18%、SOXL:0.45%)を基に計算します。
年数 | FANG+(万円) | SOXL(万円) |
---|---|---|
5年 | 101.8 | 102.3 |
10年 | 103.7 | 104.7 |
15年 | 105.6 | 107.3 |
20年 | 107.6 | 110.0 |
25年 | 109.7 | 112.8 |
30年 | 111.8 | 115.7 |
配当額は少額のため、資産成長への影響は限定的です。SOXLの方が配当利回りが高い分、わずかに上回りますが、両ETFとも配当より株価上昇がリターンの主driverです。配当狙いの投資家には物足りないかもしれません。
FANG+とSOXL、おすすめは?
以下は5つの観点での比較です。
観点 | FANG+ | SOXL |
---|---|---|
リスク許容度 | 中~高リスクに適。安定性を重視する投資家向け | 非常に高リスク。積極的な投資家向け |
投資期間 | 長期投資に最適。減価リスクなし | 短期~中期向け。長期では減価リスクあり |
分散性 | 10銘柄で多様なサブセクターをカバー | 半導体に集中。セクターリスク高い |
成長期待 | テクノロジー全体の安定成長 | 半導体特化で爆発的成長の可能性 |
コスト | 経費率0.35%。低コスト | 経費率0.94%。コスト高め |
FANG+はバランス型で長期投資家に、SOXLはリスクを取れる短期投資家におすすめです。自身の投資目標に応じて選びましょう。
FAQ(よくある質問)
- QFANG+とSOXLの投資対象の違いは?
- A
FANG+はMeta、Amazon、Appleなどテクノロジー大手10銘柄に均等加重で投資するETFで、AI、クラウド、Eコマースなど幅広い分野をカバーします。対してSOXLはNVIDIA、AMDなど半導体企業に特化し、3倍レバレッジで値動きを増幅。FANG+は安定志向、SOXLはハイリスク・ハイリターンを求める投資家向けです。両者の違いを理解することで、リスク許容度や投資目標に応じた選択が可能です。FANG+は分散性が高く、SOXLは半導体ブームに賭ける戦略といえます。
- QSOXLのレバレッジのリスクとは?
- A
SOXLは3倍レバレッジを採用し、半導体指数の値動きを3倍に増幅します。市場が上昇すれば大きなリターンを得られますが、下落時は損失も3倍に。特に長期保有では日々の値動きによる減価(デケイ)が影響し、元本割れリスクが高まります。例えば、2022年の市場調整でSOXLは70%超の下落を記録。短期トレードやリスクを取れる投資家向けで、値動きの激しさに対応できる資金管理が求められます。リスクを抑えたいならFANG+が適しています。
- QFANG+の配当利回りはどのくらい?
- A
FANG+の2024年配当利回りは0.18%と低めで、年1回(6月、約27円/ユニット)です。主なリターンは株価上昇によるキャピタルゲインで、配当は補助的な役割。テクノロジー大手の成長力を背景に、長期的な資産増加を狙う投資家に適しています。配当狙いなら高配当ETFを検討すべきですが、FANG+は成長投資にフォーカス。為替(1ドル=150円)で円換算すると、配当の影響は限定的です。
- QSOXLはどんな投資家に適している?
- A
SOXLは半導体市場の成長に賭けたい投資家向けです。AIチップや5Gの需要増で、NVIDIAやAMDなど構成銘柄の成長が期待されますが、3倍レバレッジによる高いボラティリティが特徴。短期で大きなリターンを狙う積極的な投資家や、市場動向を注視できる人に適しています。長期保有は減価リスクがあるため、タイミングを見極めたトレードが重要。リスク許容度が高い投資家に最適です。
- QFANG+の均等加重のメリットは?
- A
FANG+は10銘柄に各10%の均等加重で投資し、特定の企業への依存を抑えます。AppleやAmazonの大手に加え、Snowflakeのような新興企業も含むため、幅広い成長を取り込めます。市場の変動時もリスクが分散され、安定性が向上。単一銘柄集中のETFに比べ、バランスの取れたリターンが期待できます。テクノロジーセクター全体の成長を信じる投資家に適した設計です。
- Q長期投資ならFANG+とSOXLどちらが良い?
- A
FANG+はレバレッジがなく、減価リスクがないため長期投資に適しています。テクノロジー大手の安定成長(過去10年で約5倍)を背景に、穏やかな資産増加が期待できます。一方、SOXLはレバレッジによる減価が長期で影響し、ボラティリティも高い。短期の爆発力はあるものの、長期ではFANG+が安定性で勝ります。リスクを抑えたい投資家にはFANG+がおすすめです。
- Q為替リスクはどう影響する?
- A
FANG+とSOXLはドル建てETFのため、為替変動がリターンに影響します。円安(例:1ドル=150円→160円)ならリターンが増加、円高なら減少します。2022-2023年の円安局面では円換算リターンが拡大しましたが、円高リスクに備えるには為替ヘッジ型ETFや円安時の買い増し戦略が有効。為替動向を注視し、ポートフォリオ全体でリスク管理を行うのが賢明です。
まとめ
FANG+とSOXLは、テクノロジー投資の異なる魅力を提供します。FANG+は、テクノロジー大手10銘柄に均等投資し、安定感と成長性を両立。長期投資家にとって、減価リスクがない点で安心感があります。一方、SOXLは半導体セクターに3倍レバレッジをかけ、AIや5Gの成長を背景に短期で高いリターンを狙えるETF。ただし、ボラティリティと減価リスクが高く、積極的な投資家向けです。配当は両者とも低めで、キャピタルゲインが主な収益源。投資期間やリスク許容度に応じて、FANG+は安定志向、SOXLは高リスク・高リターン志向の投資家に適しています。自身の目標を明確にし、市場環境や為替動向も考慮して選びましょう。

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。