この記事のポイント
- TQQQとは何か? → ナスダック100指数の3倍の値動きを目指すレバレッジETF
- TQQQの特徴 → 高いリターンの可能性があるが、暴落時のリスクも大きい
- TQQQはおすすめできるか? → 短期投資向けで長期保有にはリスクが伴う
- TQQQの配当 → 少額の配当があるが、基本的にはキャピタルゲイン狙いのETF
- TQQQの運用シミュレーション → 月3万円・5万円・配当金生活をするにはどのくらい必要?
- TQQQの過去のリターン → 驚異的なリターンを記録する一方で、大暴落も経験
- TQQQの投資戦略 → どんなETFと組み合わせるべきか?よく比較されるETFは?
- TQQQのよくある疑問 → 将来性や買い時、メリット・デメリットを解説
TQQQとは
TQQQ(ProShares UltraPro QQQ)は、ナスダック100指数(QQQ)の3倍の値動きを目指すレバレッジETFです。ナスダック100指数は、テクノロジー企業を中心に構成された指数であり、米国市場の成長株を代表する企業が含まれています。TQQQは、その指数の3倍の値動きをするため、上昇相場では大きな利益を狙えますが、下落相場では損失も3倍になるという特徴があります。
TQQQの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
運用会社 | ProShares |
設定日 | 2010年2月11日 |
連動指数 | ナスダック100(QQQ) |
レバレッジ倍率 | 3倍 |
経費率 | 0.95% |
配当 | あり(少額) |
TQQQは短期間で資産を増やすことを目的としたETFであり、長期投資には向いていないとされています。日々の値動きに対して3倍のレバレッジをかけるため、リバランスの影響で長期的な運用では指数の3倍のリターンを得られない可能性があります。しかし、強気相場では圧倒的なリターンを記録するため、短期トレードや相場の上昇局面を狙った投資に活用されます。
TQQQの特徴 (表)
TQQQの特徴を表にまとめると以下のようになります。
特徴 | 内容 |
---|---|
レバレッジ3倍 | ナスダック100の3倍の値動きを目指す |
ハイリスク・ハイリターン | 大きな利益を狙えるが、暴落時の損失も大きい |
短期向けのETF | 長期保有には適さず、主に短期トレード向け |
高い経費率 | 0.95%と一般的なETFよりもコストが高い |
時間の経過とともに乖離が発生 | 長期的には指数の3倍のリターンを得られない可能性がある |
少額の配当あり | ただし、キャピタルゲインが主目的 |
TQQQは、ボラティリティが高いため、大きく利益を狙える反面、急落時のリスクも大きいのが特徴です。特に長期で保有すると、リバランスの影響でパフォーマンスが指数の3倍を下回る可能性が高くなります。
TQQQはやめておいたほうがいい?おすすめしない声があるのはなぜか?
TQQQに対して「おすすめしない」という声があるのは、以下のようなリスクがあるためです。
- 暴落時のリスクが大きい
- 2020年のコロナショック時には1ヶ月で60%以上下落
- 2022年の利上げ局面では年間を通じて70%以上下落
- 長期保有に向かない
- デイリーベースで3倍の値動きをするため、長期間持つと乖離が発生
- ナスダック100が横ばいでもTQQQはジリジリと下がる可能性がある
- 経費率が高い
- 0.95%と他のインデックスETFに比べてコストが高め
- 適切なエントリータイミングが難しい
- 相場の天井で買うと、数年間含み損を抱えるリスクがある
TQQQは、強気相場では驚異的なリターンを生み出しますが、相場が崩れると一気に資産を失う可能性があるため、慎重な投資判断が求められます。
TQQQの配当タイミングと直近の配当
TQQQは基本的にキャピタルゲインを狙うETFですが、少額ながら配当も支払われています。
- 配当タイミング: 年4回(3月・6月・9月・12月)
- 直近の配当:
- 2023年12月:0.08ドル
- 2023年9月:0.07ドル
- 2023年6月:0.06ドル
- 2023年3月:0.05ドル
配当金は非常に少額のため、TQQQに投資する目的はあくまでキャピタルゲインにあります。
TQQQの配当金シミュレーション
TQQQで月3万円を得るには?
- 年間配当利回りが0.3%の場合
- 3万円×12ヶ月 = 36万円/年
- 必要投資額 = 36万円 ÷ 0.3% = 1億2000万円
TQQQで月5万円を得るには?
- 5万円×12ヶ月 = 60万円/年
- 必要投資額 = 60万円 ÷ 0.3% = 2億円
TQQQで配当金生活をするには?
- 月20万円(年間240万円)を得る場合
- 必要投資額 = 240万円 ÷ 0.3% = 8億円
TQQQの構成銘柄とその特徴
TQQQはナスダック100指数(QQQ)の3倍の値動きを目指すETFであるため、その構成銘柄はQQQと同じです。つまり、TQQQの値動きは、主にナスダック100に採用されているハイテク企業のパフォーマンスに大きく影響を受けます。
TQQQの上位構成銘柄(2024年1月時点)
銘柄名 | ティッカー | 業種 | 構成比率 |
---|---|---|---|
マイクロソフト | MSFT | ソフトウェア | 9.5% |
アップル | AAPL | ハードウェア | 8.7% |
NVIDIA | NVDA | 半導体 | 7.8% |
アマゾン | AMZN | Eコマース | 6.4% |
テスラ | TSLA | 自動車 | 4.2% |
メタ(旧Facebook) | META | ソーシャルメディア | 3.9% |
アルファベットA(Google) | GOOGL | インターネットサービス | 3.8% |
アルファベットC(Google) | GOOG | インターネットサービス | 3.7% |
ブロードコム | AVGO | 半導体 | 3.5% |
コストコ | COST | 小売業 | 3.1% |
ナスダック100はハイテク銘柄が中心であり、特にAI、クラウド、Eコマース分野の成長がTQQQのパフォーマンスに大きく影響を与えます。特に、NVIDIAやマイクロソフトなどのAI関連株が急成長した場合、TQQQの株価も急騰する可能性があります。
TQQQの株価・推移・成長率(パフォーマンス)
TQQQの株価はナスダック100の値動きを3倍に増幅させるため、強気相場では驚異的なリターンを記録することがあります。その一方で、弱気相場では急激な下落を経験することもあります。
TQQQの過去の株価推移
年 | 株価(始値) | 株価(終値) | 年間成長率 |
2020年 | $58 | $174 | +200% |
2021年 | $174 | $182 | +4.6% |
2022年 | $182 | $50 | -72.5% |
2023年 | $50 | $84 | +68% |
2020年のコロナショック後の金融緩和により、TQQQは驚異的な上昇を見せました。しかし、2022年の利上げ局面では大幅な下落を経験し、3分の1以下にまで下落しました。このように、TQQQは相場の状況によって大きく変動するため、慎重な投資判断が必要です。
TQQQの年別・過去平均リターン
TQQQの年別リターンは、ナスダック100の動向に依存しつつ、3倍のボラティリティを持っています。
期間 | 平均リターン |
直近1年 | +68% |
直近3年 | +22.3%(年平均) |
直近5年 | +35.7%(年平均) |
直近10年 | +45.2%(年平均) |
過去10年で見ると、長期的には高いリターンを記録していますが、短期的な暴落リスクも無視できません。
TQQQの月別の暴落率は?
TQQQの最大のリスクは「暴落」です。特に市場全体が不安定な時期には、TQQQの下落幅は非常に大きくなります。
TQQQの月別最大下落率(過去5年間)
年月 | 最大下落率 |
2020年3月(コロナショック) | -67% |
2022年6月(利上げ局面) | -45% |
2022年9月(市場不安) | -38% |
2023年8月(調整局面) | -22% |
TQQQはボラティリティが極めて高いため、短期間での急落に耐えられる投資家でなければ運用が難しいETFです。
TQQQに投資した場合のシミュレーション
100万円投資した場合
期間 | 資産額(理論値) |
1年後(+68%) | 168万円 |
3年後(+22.3%年平均) | 184万円 |
5年後(+35.7%年平均) | 356万円 |
10年後(+45.2%年平均) | 1624万円 |
短期間で見ると大きな変動がありますが、長期的にはリターンが大きくなる可能性があります。ただし、リスクも伴うため注意が必要です。
TQQQとよく比較されるETFは?
TQQQとよく比較されるETFには、以下のようなものがあります。
ETF名 | ティッカー | 特徴 |
QQQ | QQQ | ナスダック100指数に連動するインデックスETF |
SQQQ | SQQQ | TQQQの逆で、ナスダック100の3倍の下落を狙うベアETF |
SOXL | SOXL | 半導体セクターの3倍レバレッジETF |
TECL | TECL | テクノロジーセクターの3倍レバレッジETF |
QQQは長期投資向けですが、TQQQは短期のトレード向けのETFとして位置づけられています。
まとめ
TQQQは、ナスダック100の3倍の値動きをするレバレッジETFであり、強気相場では高いリターンを狙えます。しかし、弱気相場では大きく下落するリスクがあるため、長期投資には向いていません。短期のトレードやリスク管理を徹底した運用が求められます。
TQQQのポイント
- ナスダック100指数の3倍の値動きをするETF
- 強気相場では驚異的なリターンを記録
- 弱気相場では急落のリスクが大きい
- 長期保有には向かない
- 短期トレード向けのETF
TQQQを活用する際は、相場の状況を見極め、適切なタイミングでのエントリーとリスク管理が重要です。
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資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。