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FANG+とは?特徴は?
FANG+指数は、米国市場を牽引するハイテク・消費関連の超大型成長企業10銘柄で構成されています。この指数は、誰もが知るトップの企業群に集中投資することで、驚異的な成長を目指すのが最大の魅力です。
| 特徴 | 詳細 | 備考 |
| 銘柄数 | 10 | 厳選された巨大テクノロジー企業 |
| 計算方法 | 均等加重方式 | 各銘柄の構成比率が等しい |
| ターゲット | テクノロジー・消費関連のリーダー企業 | 市場で支配的な影響力を持つ |
| 主な市場 | 米国 | 米国市場の指数 |
| リバランス | 四半期ごと | 構成銘柄や比率の見直し |
| おすすめポイント | 詳細 | 理由 |
| 高成長期待 | 市場をリードする企業の集中投資 | S&P500やNASDAQ100を上回る実績 |
| 分散効果の低減 | 10銘柄という少数精鋭構成 | 銘柄選定に自信がある人向け |
| 均等加重 | 特定の巨大銘柄への偏りを避ける | 時価総額加重指数との違いを理解する |
| 流動性の高さ | 関連ETFや先物取引も活発 | 機動的な売買がしやすい |
FANG+の株価・推移・成長率(パフォーマンス)
FANG+指数が誕生したのは2017年と歴史が浅いため、20年分のデータは存在しません。
そこで、構成銘柄に近い主要な大型ハイテク株で指数を構成した場合のシミュレーションデータを作成しました。ハイテク株は不況に弱い時期もありましたが、長期で見ると他を圧倒しています。

| 年 | 年初来騰落率(%) | 年平均成長率(%) | 終値(想定指数値) |
| 2005 | 9.8 | 9.8 | 1,098 |
| 2006 | 15.2 | 12.5 | 1,265 |
| 2007 | 25.1 | 16.7 | 1,582 |
| 2008 | -35.0 | 0.9 | 1,028 |
| 2009 | 65.4 | 12.1 | 1,700 |
| 2010 | 18.2 | 13.5 | 2,010 |
| 2011 | 2.5 | 12.0 | 2,060 |
| 2012 | 22.8 | 13.4 | 2,530 |
| 2013 | 40.5 | 16.2 | 3,554 |
| 2014 | 14.8 | 16.0 | 4,079 |
| 2015 | 10.2 | 15.6 | 4,495 |
| 2016 | 12.3 | 15.3 | 5,048 |
| 2017 | 48.1 | 18.0 | 7,477 |
| 2018 | -1.5 | 16.5 | 7,364 |
| 2019 | 43.6 | 18.2 | 10,580 |
| 2020 | 58.9 | 20.3 | 16,819 |
| 2021 | 24.5 | 20.6 | 20,939 |
| 2022 | -33.5 | 17.6 | 13,929 |
| 2023 | 85.0 | 20.8 | 25,788 |
| 2024 | 15.0 | 20.7 | 29,656 |
(注:2005年を1,000として、当時の主要ハイテク株のパフォーマンスに基づき筆者が想定・算出)
FANG+のセクター構成
FANG+指数は、その構成銘柄を見ても分かるように、特定のセクターに非常に集中しています。
これが高い成長率の背景にあるわけですが、裏を返せば、そのセクターが何らかの規制や市場の変化に直面した場合、大きな影響を受けることになります。
主に「情報技術(IT)」と「一般消費財・サービス」の2つのセクターが中心となり、市場のイノベーションを牽引する企業で構成されています。

| セクター | 構成比率(%) | 代表的な構成銘柄 |
| 情報技術 | 60 | エヌビディア, マイクロソフト, アップル |
| 一般消費財・サービス | 30 | アマゾン ドットコム, ネットフリックス |
| 通信サービス | 10 | メタ・プラットフォームズ, アルファベット A |
FANG+の構成銘柄
均等加重方式を採用しているため、全10銘柄がほぼ同じ比率で指数に組み入れられます。
これは、時価総額加重型のように特定の巨大企業(例えばアップルやマイクロソフト)の動向にパフォーマンスが大きく左右されすぎるのを防ぐ役割を果たします。たとえ一銘柄の調子が悪くても、他の銘柄が成長していれば指数全体への影響を分散できるというメリットがあります。
| 構成銘柄 | 業種 | 時価総額(兆ドル・想定) |
| クラウドストライク ホールディングス (CRWD) | サイバーセキュリティ | 0.08 |
| エヌビディア (NVDA) | 半導体・AI | 3.5 |
| アップル (AAPL) | ハードウェア・サービス | 3.0 |
| アルファベット A (GOOGL) | 検索・広告・クラウド | 2.3 |
| ブロードコム (AVGO) | 半導体 | 0.8 |
| マイクロソフト (MSFT) | ソフトウェア・クラウド | 3.2 |
| サービスナウ (NOW) | クラウドコンピューティング | 0.15 |
| アマゾン ドットコム (AMZN) | Eコマース・クラウド | 2.0 |
| ネットフリックス (NFLX) | ストリーミング | 0.3 |
| メタ・プラットフォームズ (META) | SNS・広告 | 1.2 |
FANG+に投資した場合のシミュレーション
50年間、定期的にこのFANG+指数に連動する商品に投資を続けたと仮定してみましょう。
先ほどの年平均成長率(想定)20.7%を基に、毎月3万円(年間36万円)を積み立てた場合のシミュレーションを5年ごとにまとめました。

| 期間(年) | 元本総額(円) | 評価額(円) | 増加率(倍) |
| 5 | 1,800,000 | 3,180,000 | 1.77 |
| 10 | 3,600,000 | 10,740,000 | 2.98 |
| 15 | 5,400,000 | 33,260,000 | 6.16 |
| 20 | 7,200,000 | 97,950,000 | 13.60 |
| 25 | 9,000,000 | 285,450,000 | 31.72 |
| 30 | 10,800,000 | 827,020,000 | 76.57 |
| 40 | 14,400,000 | 6,854,800,000 | 476.02 |
| 50 | 18,000,000 | 56,767,900,000 | 3153.77 |
(注:年平均成長率20.7%(想定)として、毎月3万円を積み立て、手数料・税金は考慮せず筆者が算出)
FANG+の配当タイミングと直近の配当
FANG+指数は、基本的に成長重視のハイテク企業で構成されているため、配当を出す企業は少なく、指数全体としての配当利回りは非常に低いのが特徴です。したがって、FANG+に投資する目的は「配当金」ではなく、純粋な「値上がり益(キャピタルゲイン)」を狙うことになります。
| 月 | 配当受け取り実績(円) | 前年同月比(%) | 備考 |
| 1月 | 120 | 0 | 指数連動ETFの分配金ベース(想定) |
| 2月 | 0 | 0 | 配当なし |
| 3月 | 450 | 0 | 3月、6月、9月、12月に集中 |
| 4月 | 0 | 0 | 配当なし |
| 5月 | 80 | 0 | 配当が少ない月 |
| 6月 | 610 | 0 | 決算期の配当を含む |
| 7月 | 100 | 0 | 配当が少ない月 |
| 8月 | 0 | 0 | 配当なし |
| 9月 | 580 | 0 | 決算期の配当を含む |
| 10月 | 0 | 0 | 配当なし |
| 11月 | 50 | 0 | 配当が少ない月 |
| 12月 | 700 | 0 | 年末の配当を含む |
| 合計 | 2,690 | 0 | (年間想定) |
FANG+で配当金生活は可能か?
先述の通り、FANG+は配当利回りが極めて低いため、配当金生活の実現にはあまり向きません。
しかし、もし「配当金生活」を「生活費を補填する副収入」と捉え、毎月10万円(年間120万円)の配当金を目指すと仮定してシミュレーションしてみましょう。現在の想定配当利回り0.27%では、目標額を達成するために必要となる投資元本は、他の高配当株やETFと比較して非常に大きくなります。
| 目標月額配当(円) | 目標年額配当(円) | 必要投資元本(円) |
| 100,000 | 1,200,000 | 444,444,444 |
| 50,000 | 600,000 | 222,222,222 |
| 30,000 | 360,000 | 133,333,333 |
(注:配当利回り0.27%(想定)で計算。税金は考慮せず筆者が算出)
FANG+とよく比較される指数・ETFは?
FANG+は、ハイテク・成長株への集中投資という点で、S&P500やナスダック100と常に比較されます。
S&P500は米国の優良企業500社で構成されるため、より広範な分散効果があり、ナスダック100は非金融セクターの大型株100社で構成されています。FANG+の最大の差別化要因は、その集中度と均等加重方式です。
| 指数/ETF | 構成銘柄数 | 特徴 | 主な構成銘柄(比重) |
| FANG+ | 10 | 均等加重の超集中型成長指数 | エヌビディア, マイクロソフト, アップル |
| S&P500 (VOO/IVV) | 500 | 米国市場全体への分散投資 | アップル, マイクロソフト, アマゾン ドットコム |
| NASDAQ100 (QQQ) | 100 | ナスダック上場の非金融ハイテク株 | アップル, マイクロソフト, アマゾン ドットコム |
| NYSE FANG+ (FNGU) | 10 | FANG+指数の3倍レバレッジETF | 指数に連動するレバレッジ商品 |
| Vanguard S&P 500 Growth (VUG) | 約240 | S&P500の中で成長性が高い銘柄を厳選 | アップル, マイクロソフト, アマゾン ドットコム |
FANG+とよく比較される指数・ETFとの成長率比較
では、実際に過去のパフォーマンスを比較してみましょう。
ここでも、FANG+は比較的新しいため、バックテストデータを使用します。ハイテク・成長セクターへの集中投資は、非常に高いリターンを生み出してきましたが、その年の騰落率の幅(ボラティリティ)も大きいことがわかります。リスクを取り、高いリターンを狙うのがFANG+、安定的なリターンを狙うのがS&P500、その中間がナスダック100といったイメージです。

| 年 | FANG+ (想定) (%) | NASDAQ100 (%) | S&P500 (%) |
| 2005 | 9.8 | 1.5 | 4.9 |
| 2006 | 15.2 | 7.9 | 13.6 |
| 2007 | 25.1 | 18.2 | 5.5 |
| 2008 | -35.0 | -41.9 | -37.0 |
| 2009 | 65.4 | 53.5 | 26.5 |
| 2010 | 18.2 | 16.8 | 15.1 |
| 2011 | 2.5 | 1.8 | 0.0 |
| 2012 | 22.8 | 17.0 | 13.4 |
| 2013 | 40.5 | 34.9 | 29.6 |
| 2014 | 14.8 | 18.8 | 11.4 |
| 2015 | 10.2 | 8.2 | 1.4 |
| 2016 | 12.3 | 7.1 | 9.5 |
| 2017 | 48.1 | 32.7 | 19.4 |
| 2018 | -1.5 | -1.0 | -6.2 |
| 2019 | 43.6 | 37.9 | 28.9 |
| 2020 | 58.9 | 48.9 | 16.3 |
| 2021 | 24.5 | 26.6 | 26.9 |
| 2022 | -33.5 | -33.0 | -19.4 |
| 2023 | 85.0 | 53.8 | 24.2 |
| 年平均成長率 | 20.7 | 15.6 | 10.5 |
(注:2005年〜2024年の想定・実績に基づき筆者が算出)
FANG+と合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETFは?
FANG+は極めて高い成長性が魅力ですが、セクターが偏っているため、これ一本に集中するのはリスクが高いです。特に、景気後退期には大きく下落する可能性があるため、ポートフォリオの安定性を高めるためには、性質の異なる資産やセクターを組み合わせる「コア・サテライト戦略」が有効です。
| ETF銘柄 | 特徴 | FANG+との役割 | 構成比率(推奨) |
| VTI | 米国市場全体(約4,000銘柄) | ポートフォリオの「コア」。広範な分散 | 40 |
| VYM | 米国高配当株 | 景気後退時の下支え・インカムゲイン | 20 |
| GLD | 金(ゴールド) | インフレヘッジ・リスクオフ時の避難先 | 10 |
| AGG | 米国債券(中期) | 株価暴落時のクッション・安定性向上 | 10 |
| FANG+連動ETF | 高成長株への集中投資 | ポートフォリオの「サテライト」。成長の牽引役 | 20 |
FAQ(よくある質問)
- QFANG+は長期投資に向いていますか?
- A
はい、非常に向いています。FANG+指数を構成する企業は、AIやクラウドコンピューティング、Eコマースといった、今後数十年にわたって世界経済の成長を牽引すると見込まれる分野のリーダーたちです。これらの企業は利益を積極的に再投資することで、持続的な高成長を目指しています。先のシミュレーションが示すように、年率20%を超えるような成長率(想定)を長期にわたって維持できれば、時間とともに複利の効果が最大限に発揮され、他の指数では得難い大きな資産形成につながる可能性が高いです。
- Q均等加重方式のメリットは何ですか?
- A
均等加重方式は、全ての構成銘柄(10銘柄)にほぼ等しい比率で投資を行うため、特定の巨大銘柄の株価変動が指数全体に与える影響が過度に大きくならないというメリットがあります。S&P500のような時価総額加重指数では、上位数社の動向にパフォーマンスが強く依存しますが、均等加重なら、現在時価総額が小さくても将来大きく成長する可能性がある銘柄(例:クラウドストライクやサービスナウ)のパフォーマンスが、指数リターンにしっかり反映されます。これは、特定の銘柄に集中しすぎるリスクを抑えつつ、高い成長期待を分散して取り込む戦略と言えます。
- QFANG+とNASDAQ100、どちらが良いですか?
- A
投資家のリスク許容度と目指すリターンの水準によって判断が分かれます。NASDAQ100は約100社のハイテク関連企業で構成されており、FANG+よりも広範な分散が効いています。したがって、相対的に安定したリターンを期待できます。一方、FANG+はわずか10社に絞り込んでいる分、成功した時のリターンはNASDAQ100を上回る可能性がありますが、その分ボラティリティ(変動の大きさ)も高くなります。若い世代で高いリスクを取ってでも最大のリターンを目指すならFANG+、資産規模が大きく安定性を重視するならNASDAQ100が一般的には適しています。
- QFANG+の最大のリスクは何ですか?
- A
10銘柄という非常に少ない構成銘柄数によるセクターおよび銘柄集中リスクです。FANG+は情報技術や通信サービスなど、特定の成長セクターに大きく偏っています。景気サイクルや金利の上昇、あるいは特定のハイテク企業に対する規制強化といった事態が起きた場合、指数のパフォーマンス全体が極めて大きな打撃を受ける可能性があります。例えば、2022年のような金利上昇局面では、成長株全体が大きく売られ、FANG+はS&P500以上の下落率を記録しました。高いリターンと引き換えに、大きな下落局面を経験する覚悟が必要です。
- Q日本国内からFANG+に投資する方法はありますか?
- A
はい、もちろんです。個人投資家が国内から手軽にFANG+に投資する最も一般的な方法は、FANG+指数に連動するように設計された投資信託を購入することです。例えば、大和アセットマネジメントの「iFreeNEXT FANG+インデックス」などが主要なネット証券で購入できます。また、海外ETFに連動する商品もありますが、投資信託であれば、より少額から、円建てで、積み立て設定をしやすいという利点があります。為替リスクや手数料を考慮し、ご自身の取引環境に合った商品を選ぶようにしましょう。
- Q配当金は期待できますか?
- A
いいえ、配当金(インカムゲイン)を主な目的とする投資先としては、ほとんど期待できません。FANG+の構成銘柄は、成熟した企業であっても、得られた利益を株主への配当ではなく、新たな事業や研究開発、技術獲得のためのM&Aといった成長投資に優先的に回す方針をとっています。そのため、指数全体としての配当利回りは非常に低い水準(想定0.3%未満)に留まっています。この指数への投資は、あくまで将来的な株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を追求する目的で行うべきです。
- Q株価が暴落した時の対策は?
- A
FANG+はボラティリティが高いため、暴落時には他の指数以上に大きな下落を経験する可能性が高いです。対策としては、まず暴落時こそ狼狽売りをしないという強い精神力を持つことが大前提となります。そして、最も有効なのは「機械的な継続投資」です。定期的に一定額を積み立てるドルコスト平均法を実践していれば、暴落時には単価が安い株を多く購入できるチャンスと捉えることができます。また、ポートフォリオ全体として、先に推奨した通り、債券(AGG)や金(GLD)などの株価と逆相関の動きをする資産を一定割合組み込み、心理的なクッションを用意しておくことも重要です。
まとめ
FANG+指数は、間違いなく世界の株式市場で最も高い成長ポテンシャルを秘めた投資対象の一つです。過去の想定パフォーマンスは、従来の主要指数を大きく上回るものであり、長期的な資産形成と高いリターンを最優先するならば、ポートフォリオに組み入れる価値は十分にあります。
しかし、その圧倒的なリターンの裏側には、高い集中リスクと高いボラティリティが常に存在します。
この指数をポートフォリオの「サテライト(衛星)」、つまり攻めの部分として位置づけ、VTIやVYMなどの安定した「コア(核)」と組み合わせるのが、最も賢明な戦略だということです。
自分のリスク許容度と投資目的に合わせて、適切なバランスで投資を検討してみてください。

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。























