VCIT:米国中期社債ETF|株式との分散効果を狙う債券ポートフォリオに

ETF
  1. VCITのETF Score (ETFのおすすめ度)
  2. VCITの特徴
  3. VCITの株価・推移・成長率(パフォーマンス)
  4. VCITの年別・過去平均リターン
  5. VCITの年別の騰落率は?
  6. VCITのセクター構成
  7. VCITの構成銘柄とその特徴
  8. VCITに投資した場合のシミュレーション
  9. VCITの配当タイミングと直近の配当
  10. VCITの配当金シミュレーション
  11. VCITに投資する際の注意点
  12. VCITとよく比較されるETFは?
  13. VCITと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETFは?
  14. まとめ
  15. 他の人気ETFの記事はこちら

VCITのETF Score (ETFのおすすめ度)

  • 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出
  • 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出
  • 運用コスト:経費率をもとに算出
  • リスク分散度:投資対象銘柄数・セクター分散度をもとに算出
  • 安定性:過去5年の平均騰落率をもとに算出

※各指標は当サイトにおける基準で設定

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。

VCITの特徴

Vanguard Intermediate-Term Corporate Bond ETF(以下、VCIT)は、投資の世界で注目されるETFの一つです。名前から想像できる通り、中期的な社債に焦点を当てた商品で、特に安定性と収益性を求める投資家に人気があります。

まず、VCITはBloomberg U.S. 5-10 Year Corporate Bond Indexをベンチマークとしており、5~10年で満期を迎える投資適格級の社債を対象にしています。つまり、リスクとリターンのバランスが取れた「中庸」を目指しているわけです。短期債ほど値動きが小さすぎず、長期債ほど金利変動に敏感すぎないのが魅力ですね。この中間的なポジションが、多くの投資家にとって使いやすい理由の一つでしょう。

次に、運用コストの低さが挙げられます。VCITの経費率はわずか0.04%と、業界でもトップクラスに安い水準です。例えば、100万円投資した場合、年間の手数料はたったの400円。これだけ低コストだと、長期間保有しても利益を圧迫しにくいのが嬉しいポイントです。Vanguardならではの「投資家目線」の設計が感じられます。

また、分散投資がしっかり効いているのも特徴です。約2,000銘柄以上の社債で構成されており、1社がデフォルトしても全体への影響は限定的。リスクを抑えつつ、安定したリターンを狙いたい人にはぴったりですね。さらに、投資適格級(BBB以上)に限定しているため、ジャンク債のようなハイリスク商品とは一線を画しています。

項目詳細
ベンチマークBloomberg U.S. 5-10 Year Corporate Bond Index
対象満期5~10年の投資適格級社債
経費率0.04%(超低コスト)
構成銘柄数約2,000銘柄以上
平均満期約7.3年(2024年8月時点)
利回り約4.5%(市場状況により変動)
ESG評価MSCI ESG Fund Rating:A(環境・社会・ガバナンスに配慮)

この表を見ると、VCITが「手堅さ」と「効率性」を両立させているのがわかります。利回りも4.5%前後と、現在の金利環境を考えると悪くない水準です。さらに、ESG評価が「A」ランクというのは、社会的責任を重視する投資家にも響くポイントでしょう。

運用スタイルはパッシブ型で、インデックスに連動するよう設計されています。アクティブファンドのようにファンドマネージャーの腕次第で成績がブレる心配が少ないのも安心材料です。市場全体の動きに沿って淡々と成長していくイメージですね。

とはいえ、VCITは金利リスクに無縁ではありません。満期が5~10年とやや長めなので、金利が上昇すると価格が下落する可能性があります。この点は後で詳しく触れますが、特徴を理解する上では重要な要素です。

まとめると、VCITは低コストで分散が効いた、中期社債への投資を手軽に実現できるETFです。安定感を重視しつつ、適度な収益を期待する投資家にとって、ポートフォリオの軸になり得る存在と言えるでしょう。

VCITの株価・推移・成長率(パフォーマンス)

 

S&P500指数と比較

2025年3月時点でのVCITの株価は、仮に1株82ドル前後とします(実際の価格は市場で確認してくださいね)。この水準は、2023年後半から2024年にかけての金利環境や経済状況を反映したもの。具体的には、米国の利上げサイクルが落ち着き、利下げ期待が浮上する中で、債券価格が持ち直してきた時期と重なります。

過去5年間の株価推移を見てみると、興味深いパターンが見えてきます。2020年のコロナショックでは一時的に下落したものの、すぐに回復。2021年は安定した動きを見せましたが、2022年の急激な利上げ局面では価格が下落しました。これは、金利と債券価格が逆相関する典型的な例ですね。しかし、2023年後半からは再び上昇トレンドに転じ、2024年は約5%程度上昇したと仮定します。

では、成長率はどうでしょうか。VCITのパフォーマンスは、価格変動に加えて配当再投資を含めたトータルリターンで測るのが一般的です。過去5年の年平均成長率(CAGR)は、おおよそ3~4%程度とされています。これは株式市場の10%前後に比べると控えめですが、債券ETFとしては堅実な数字です。

具体的なデータを表にしてみます。

年初株価(仮定)年末株価(仮定)年間成長率
2020年90ドル92ドル+2.2%
2021年92ドル93ドル+1.1%
2022年93ドル80ドル-14.0%
2023年80ドル82ドル+2.5%
2024年82ドル86ドル+4.9%

※数値は仮定です。実際のデータはYahoo FinanceやVanguard公式サイトで確認を。

この表を見ると、2022年の大幅下落が目立ちますが、これは米連邦準備制度(FRB)の利上げによる影響が大きいです。逆に、2024年の回復は、利下げ観測や経済安定化が背景にあると考えられます。成長率のブレはありますが、全体としては安定感のある動きと言えるでしょう。

短期的なパフォーマンスでは、例えば2023年10月から2024年3月にかけて、約9%の上昇を記録した時期もあります。これは市場がFRBの利下げを織り込み始めたタイミングと一致します。こうした短期的な跳ね上がりは、債券ETFにしては珍しい動きですが、VCITの利回りの高さが投資家を引きつけた結果とも言えます。

長期で見ると、VCITは価格変動を抑えつつ、配当による収入を積み重ねるタイプのETFです。株式のような爆発的な成長はないものの、ポートフォリオの守りを固める役割を果たしてくれる頼もしい存在ですね。

VCITの年別・過去平均リターン

まず、過去10年間の年別リターンを仮定データで確認してみましょう。実際の数値は市場データで異なるので、あくまで傾向を掴むための参考としてください。

トータルリターン
2015年+1.2%
2016年+5.0%
2017年+4.8%
2018年-1.5%
2019年+10.2%
2020年+9.5%
2021年-1.0%
2022年-13.5%
2023年+8.0%
2024年+5.5%(仮定)

この表を見ると、年によってプラスとマイナスが混在しているのがわかります。特に2019年と2020年は10%近いリターンを記録し、債券ETFとしては優秀な成績。一方で、2022年の-13.5%は、金利急上昇による債券価格の下落が響いた結果です。2023年以降は回復基調で、2024年も安定したプラスを維持していると仮定します。

次に、過去の平均リターンを計算してみます。トータルリターンには価格変動と配当収入の両方が含まれます。仮に上記の10年間で平均を取ると、単純平均で約2.82%になります。ただし、複利効果を考慮した年平均成長率(CAGR)は、もう少し低めの2~3%程度になることが多いです。これは、マイナス年の影響が大きいためですね。

では、期間別に平均リターンをまとめてみましょう。

期間年平均リターン(CAGR)
過去5年(2020-2024)約2.5%
過去10年(2015-2024)約2.8%
設定来(2009-2024)約3.5%

※設定来は2009年11月からの累積を仮定。

過去5年では2022年の大幅下落が影響して低めですが、10年や設定来で見ると3%前後を維持しています。これは、米国10年国債利回り(約4%前後)と比べても遜色ない水準で、社債ならではのプレミアムが効いている証拠です。

リターンの安定性を測る指標として、標準偏差も見ておくと良いでしょう。VCITの年間リターンの標準偏差は約5~6%程度と推定されます。株式ETF(標準偏差15~20%)に比べると、値動きが穏やかであることがわかります。

このデータから、VCITは年によって多少の波はあるものの、長期で見れば安定したリターンを提供してくれるETFだと感じます。特に、金利が下がる局面では価格上昇によるキャピタルゲインも期待できるので、市場環境次第でプラスアルファの収益が見込めるでしょう。

VCITの年別の騰落率は?

騰落率主な要因
2015年+1.2%安定した金利環境
2016年+5.0%金利低下と社債需要増
2017年+4.8%経済成長と安定金利
2018年-1.5%金利上昇による価格下落
2019年+10.2%FRB利下げで債券価格上昇
2020年+9.5%コロナ対策の金融緩和
2021年-1.0%利上げ期待の高まり
2022年-13.5%急激な利上げとインフレ懸念
2023年+8.0%利下げ期待と市場回復
2024年+5.5%(仮定)経済安定と緩和期待

この表を見ると、騰落率が年によって大きく異なるのがわかります。特に2019年と2020年は10%近いプラスで、債券ETFとしては驚くほどのパフォーマンス。背景には、FRBの利下げやコロナ対策での金融緩和があり、債券価格が押し上げられました。一方で、2022年の-13.5%は歴史的な金利上昇が直撃した結果です。満期が5~10年とやや長めな分、金利感応度(デュレーション)が効いてしまった形ですね。

では、騰落率の傾向をもう少し分析してみます。プラスになった年は6回、マイナスは4回。平均騰落率は約2.82%で、中央値は約4.9%(仮定)。マイナス年は金利上昇が絡むケースが多く、逆にプラス年は金利低下や経済安定が追い風になっています。

具体的な動きを振り返ると、2020年のコロナショックでは一時的に下落したものの、中央銀行の介入で急速に回復。2022年は逆に、FRBがインフレ抑制のために利上げを加速させたことで、債券価格が大きく下がりました。2023年以降は、利上げペースが鈍化し、市場が軟着陸を期待したことでプラスに転じています。

騰落率の幅を測るために、最大上昇率(+10.2%)と最大下落率(-13.5%)を比較すると、変動幅は約23.7%。株式ETFに比べれば小さいですが、債券としてはそこそこ大きい動きです。これは、VCITが中期債券に特化しているため、短期債より変動が大きくなりやすい点を反映しています。

このデータを踏まえると、VCITの騰落率は金利動向に大きく左右されることがわかります。投資タイミングを見極めるなら、金利のピークや底を見極めるのがカギになりそうですね。

VCITのセクター構成

VCITはBloomberg U.S. 5-10 Year Corporate Bond Indexを追跡しており、主に産業、金融、公益の3大セクターで構成されています。2024年時点のセクター割合を仮定して表にまとめると、以下のようになります。

セクター割合主な企業例
産業(Industrials)50%T-Mobile、AbbVie、Boeing
金融(Financials)35%Citigroup、Deutsche Telekom
公益(Utilities)10%電力会社、ガス会社
その他5%テクノロジー、ヘルスケアなど

※割合は仮定値。実際はVanguard公式サイトで確認を。

この構成を見ると、産業セクターが半分を占めているのが特徴です。産業には製造業やサービス業が含まれ、T-Mobileのような通信企業やAbbVieのような製薬企業が名を連ねます。景気変動に左右されやすい反面、成長性のある企業が多いのもこのセクターの魅力ですね。

次に大きいのが金融セクターで、全体の35%を占めます。CitigroupやDeutsche Telekomなど、大手銀行や金融機関が中心。金融は経済の血液とも言える存在で、金利環境に敏感に反応します。VCITの利回りが高い一因は、このセクターの社債が比較的高利回りな点にあるでしょう。

公益セクターは10%と控えめですが、電力やガスといった安定産業が含まれます。景気後退時でも需要が落ちにくいディフェンシブな特性があり、ポートフォリオの安定性を支える役割を果たしています。

残りの5%はテクノロジーやヘルスケアなど、少量ながら多様なセクターが混ざっています。これにより、VCITは単一産業に偏らず、幅広い経済活動をカバーしていると言えます。

では、この構成が何を意味するのか考えてみましょう。産業と金融が85%を占めるため、景気拡大局面ではリターンが伸びやすく、金利上昇局面では価格が圧迫されやすい傾向があります。一方、公益が10%あることで、景気後退時の下落リスクを多少和らげてくれる効果が期待できます。

比較のために、他の債券ETFとのセクター分布を表にしてみます。

ETF産業金融公益その他
VCIT50%35%10%5%
LQD(社債全般)45%40%10%5%
BND(総合債券)20%25%5%50%(国債等)

VCITはLQDと似た傾向ですが、国債を含むBNDとは大きく異なります。社債特化型ならではの、高利回りを追求する構成が際立っていますね。

このセクター構成から、VCITは景気循環にそこそこ連動しつつ、安定性も確保したバランス型ETFだとわかります。投資先の企業が多岐にわたるため、特定の業界リスクに過度にさらされる心配が少ないのもポイントです。

VCITの構成銘柄とその特徴

企業名割合満期利回り特徴
T-Mobile USA, Inc.0.40%2030年4月3.875%通信大手、成長性高い
Bristol-Myers Squibb0.38%2027年11月3.45%製薬、安定収益
AbbVie Inc.0.32%2029年11月3.2%バイオ医薬品、堅実
Deutsche Telekom Intl0.30%2030年6月8.75%欧州通信、高利回り
Citigroup Inc.0.28%2031年3月4.412%金融大手、信頼性高い

※データは仮定。実際はETF.comやVanguardで確認を。

上位銘柄を見ると、通信、製薬、金融といった主要セクターがバランス良く含まれています。T-Mobileは米国の通信市場でシェアを拡大中で、成長性が期待される企業。対して、Bristol-Myers SquibbやAbbVieはヘルスケア分野で安定したキャッシュフローを誇り、ディフェンシブな特性が強いです。

特に目を引くのはDeutsche Telekomの高利回り(8.75%)。欧州企業が含まれることで、VCITは米国だけでなく国際的な分散も図っているのがわかります。Citigroupのような金融大手は、経済全体の動向を反映するバロメーター的な存在ですね。

構成銘柄全体の特徴としては、すべて投資適格級(BBB以上)である点が大きいです。ジャンク債のようなリスクは排除されており、デフォルトリスクは比較的低いと言えます。平均格付けはA~BBB+程度で、信用力の高さが保たれています。

また、満期が5~10年に集中しているため、デュレーション(金利感応度)は約6~7年。これは短期債より価格変動が大きめですが、長期債ほどではない中間的なポジションです。金利が1%上がると、価格が6~7%下がる計算になります。

業種別の特徴をもう少し掘り下げると、産業セクターでは製造業やサービス業が多く、景気敏感度がやや高め。金融セクターは銀行や保険会社が中心で、金利環境に左右されやすいです。公益セクターは電力やガス会社が多く、安定性が際立ちます。

構成銘柄の分散度を測るために、上位10銘柄の合計割合を見てみると、約3~4%程度(仮定)。残り96%がその他の約2,000銘柄に分散されているわけです。これだけ分散されていれば、1社が破綻しても全体への影響は0.05%以下に抑えられる計算。リスク管理の観点からも優秀ですね。

VCITに投資した場合のシミュレーション

VCITに投資したら、どれくらいのリターンが期待できるのか気になりますよね。ここでは、具体的なシミュレーションを通じて、投資額ごとの成果をイメージしてみます。前提として、2025年3月時点の株価を82ドル、年間トータルリターンを4%(価格上昇2%+配当2%)と仮定します。

シナリオ1:100万円投資した場合

日本円で100万円をVCITに投資するとします。為替レートを1ドル=150円と仮定すると、約6,667ドル分(約81株)を購入できます。

  • 1年後
    年間リターン4%で計算すると、6,667ドル×1.04=6,933ドル。
    配当分(2%)は約133ドルで、残りは価格上昇分。
    日本円では6,933ドル×150円=約104万円。
    利益:4万円
  • 5年後(複利計算)
    6,667ドル×(1.04)^5=8,112ドル。
    日本円で8,112ドル×150円=約121.7万円。
    利益:21.7万円

シナリオ2:500万円投資した場合

500万円だと、約33,333ドル(約406株)購入可能。

  • 1年後
    33,333ドル×1.04=34,666ドル。
    配当分は約667ドル。
    日本円で34,666ドル×150円=約520万円。
    利益:20万円
  • 5年後
    33,333ドル×(1.04)^5=40,560ドル。
    日本円で40,560ドル×150円=約608.4万円。
    利益:108.4万円

シナリオ3:金利上昇の場合

金利が1%上昇すると、デュレーション6.5で価格が6.5%下落。株価が82ドルから76.67ドルに下がると仮定します。

  • 100万円(81株)の場合
    81株×76.67ドル=6,210ドル。
    配当133ドルを加えて6,343ドル。
    日本円で6,343ドル×150円=約95.1万円。
    損失:4.9万円

この表にまとめると

投資額期間通常シナリオ(4%)金利上昇シナリオ
100万円1年104万円(+4万円)95.1万円(-4.9万円)
100万円5年121.7万円(+21.7万円)
500万円1年520万円(+20万円)
500万円5年608.4万円(+108.4万円)

このシミュレーションから、VCITは安定したリターンを提供する一方、金利上昇には弱い面があるのがわかります。5年以上の長期保有なら複利効果で利益が積み上がりやすく、短期的な変動を乗り越えられる可能性が高いですね。ただし、為替リスク(円安・円高)も影響するので、その点も頭に入れておくと良いでしょう。

VCITの配当タイミングと直近の配当

VCITは毎月配当型で、毎月末に分配金が支払われます。実際の入金日は翌月の初旬(通常1~5日頃)になることが多いです。この毎月支払いのおかげで、キャッシュフローを重視する投資家には使い勝手が良いですね。年間では12回の配当機会があるので、計画的に収入を得たい人にも向いています。

直近の配当実績を仮定してみます。2025年2月の分配金を例にすると、1株あたり0.25ドルだったとします(実際はVanguard公式サイトで確認を)。株価82ドルに対する年間配当利回りを計算すると:

  • 月0.25ドル×12ヶ月=年間3ドル
  • 配当利回り=3ドル÷82ドル×100=約3.66%

過去数年の配当推移を表にしてみます。

月平均配当(1株)年間配当利回り
2021年0.18ドル2.3%
2022年0.20ドル3.0%
2023年0.23ドル3.4%
2024年0.25ドル(仮定)3.66%(仮定)

配当額は年々少しずつ増えています。これは、金利環境が上昇傾向にあったことや、VCITが保有する社債のクーポン(利子)が反映された結果です。特に2022年以降、FRBの利上げで社債利回りが上がった影響が大きいでしょう。

配当タイミングの具体的なスケジュールを2025年で予測すると

支払日(予想)
1月2月3日
2月3月4日
3月4月2日
12月翌1月5日

毎月配当なので、ポートフォリオに組み込むと毎月の収益が安定します。例えば、100株保有していれば、月0.25ドル×100=25ドル(約3,750円、1ドル150円換算)が毎月入ってくる計算。少額でも積み重ねると大きな収入源になりますね。

ただし、配当額は市場環境や保有銘柄の入れ替えで変動します。金利が下がれば配当も減る可能性があるので、その点は注意が必要です。それでも、毎月分配される仕組みは、VCITの大きな魅力と言えるでしょう。

VCITの配当金シミュレーション

VCITの配当を活用してどれくらいの収入が得られるのか、具体的な目標額でシミュレーションしてみます。株価82ドル、月配当0.25ドル(年利回り3.66%)を前提に計算します。

VCITで月3万円を得るには?

月3万円を得るには、年間36万円(3万円×12)必要です。為替レート1ドル=150円と仮定。

  • 年間配当3ドル×保有株数=36万円÷150円=2,400ドル
  • 保有株数=2,400ドル÷3ドル=800株
  • 投資額=800株×82ドル=65,600ドル(約984万円)

結論:約984万円投資で月3万円

VCITで月5万円を得るには?

月5万円なら年間60万円。

  • 年間配当3ドル×保有株数=60万円÷150円=4,000ドル
  • 保有株数=4,000ドル÷3ドル=1,333株
  • 投資額=1,333株×82ドル=109,306ドル(約1,639万円)

結論:約1,639万円投資で月5万円

VCITで配当金生活をするには?

仮に月30万円(年間360万円)で生活するとします。

  • 年間配当3ドル×保有株数=360万円÷150円=24,000ドル
  • 保有株数=24,000ドル÷3ドル=8,000株
  • 投資額=8,000株×82ドル=656,000ドル(約9,840万円)

結論:約9,840万円投資で月30万円

これを表にまとめます。

目標額必要株数投資額(円)
月3万円800株約984万円
月5万円1,333株約1,639万円
月30万円8,000株約9,840万円

このシミュレーションを見ると、VCITだけで配当生活するにはかなりの資金が必要だとわかります。利回り3.66%は悪くないですが、生活費を賄うには数千万円規模の投資が求められます。現実的には、他の高利回り資産と組み合わせるのが賢明かもしれませんね。

為替レートや株価変動で結果が変わる点も考慮すると、余裕を持った計画が大事です。例えば、円安が進んで1ドル170円になれば、投資額はもっと抑えられます(月30万円なら約8,700万円)。逆に円高だと増えるので、為替リスクも計算に入れておきましょう。

VCITに投資する際の注意点

金利リスクが大きなポイントです。VCITのデュレーションは約6.5年なので、金利が1%上がると価格が6.5%下がります。2022年のように急激な利上げがあると、大きな損失が出る可能性も。例えば、株価82ドルが76ドルまで下がれば、100株で約5,400円(為替150円)の含み損です。金利動向を見極めるのが重要ですね。

次に、信用リスクも無視できません。投資適格級とはいえ、BBB格の社債は景気後退で格下げリスクがあります。構成銘柄の約2,000社がすべて健全とは限らず、デフォルトが起きれば配当や元本に影響が出ることも。分散されているとはいえ、ゼロリスクではない点に注意です。

為替リスクも見逃せません。日本円で投資する場合、ドル円レートの変動がリターンに直結します。1ドル150円で買って130円で売れば、為替だけで13%の損失。逆に円安ならプラスになりますが、予測が難しい要素です。

また、流動性リスクも考慮しましょう。VCITは取引量が多く(日平均約285万株)、通常は問題ありませんが、市場が混乱すると売買が難しくなるケースも想定されます。コロナショックのような局面では、スプレッドが広がる可能性も。

最後に、インフレリスクです。配当利回り3.66%がインフレ率を下回ると、実質的な購買力が減ります。2022年のように物価が急上昇すると、債券の魅力が薄れる恐れがあります。

これを表でまとめます。

リスク内容対策
金利リスク金利上昇で価格下落金利動向を注視
信用リスク企業破綻で損失分散投資を活用
為替リスク円高でリターン減少為替ヘッジを検討
流動性リスク市場混乱で売買困難余裕資金で投資
インフレリスク実質リターン低下高利回り資産を組み合わせ

これらの注意点を踏まえると、VCITは安定性が高いとはいえ、経済環境に左右されやすいETFだとわかります。金利が安定or低下する局面では有利ですが、上昇局面では慎重な判断が必要です。

VCITとよく比較されるETFは?

  1. LQD(iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF)
    • 対象:投資適格級社債全般(満期1年以上)
    • 経費率:0.14%
    • 利回り:約4.8%
    • 特徴:満期が幅広く、デュレーションは約8年。VCITより長期債が多く、金利感応度が高い。
  2. VCSH(Vanguard Short-Term Corporate Bond ETF)
    • 対象:満期1~5年の短期社債
    • 経費率:0.04%
    • 利回り:約3.8%
    • 特徴:VCITより短い満期で、金利リスクが低い。利回りは控えめ。
  3. BND(Vanguard Total Bond Market ETF)
    • 対象:米国債券市場全体(国債+社債)
    • 経費率:0.03%
    • 利回り:約4.0%
    • 特徴:国債が50%以上で、リスクが低め。利回りはVCITより劣る。
ETF満期経費率利回り特徴
VCIT5~10年0.04%4.5%中庸なリスクとリターン
LQD1年~0.14%4.8%長期債多め、高利回り
VCSH1~5年0.04%3.8%短期で安定性高い
BND全体0.03%4.0%国債含む、低リスク

LQDはVCITより利回りが高い分、金利リスクも大きめ。VCSHは逆に安定性重視で、利回りがやや低め。BNDはリスクを抑えたい人向けですが、収益性ではVCITに及びません。VCITは「中間」を狙ったバランス型と言えますね。

VCITと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETFは?

  1. VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)
    • 対象:米国株式市場全体
    • 経費率:0.03%
    • 特徴:株式の成長性を追加。VCITと相関が低く、バランスが取れる。
  2. VXUS(Vanguard Total International Stock ETF)
    • 対象:米国以外の株式
    • 経費率:0.07%
    • 特徴:グローバル分散を強化。為替リスクはあるが、長期的成長を狙える。
  3. TIP(iShares TIPS Bond ETF)
    • 対象:物価連動国債
    • 経費率:0.19%
    • 特徴:インフレ対策に。VCITと異なる債券タイプで安定性を補強。
ETF資産クラス経費率目的
VTI米国株式0.03%成長性追加
VXUS国際株式0.07%グローバル分散
TIP物価連動債0.19%インフレ対策

例えば、ポートフォリオをVCIT40%、VTI40%、TIP20%にすると、債券の安定性と株式の成長性を両立しつつ、インフレにも備えられます。リスク許容度に応じて比率を調整するのが賢明ですね。

まとめ

VCITは、中期社債に特化した低コストで分散性の高いETFです。利回り4.5%前後と安定したリターンを提供しつつ、金利リスクや経済環境に敏感な一面も。配当は毎月支払われ、収入源として魅力的ですが、生活費を賄うには大きな資金が必要です。LQDやVCSHと比べ中庸なポジションで、VTIやTIPとの組み合わせでポートフォリオを強化できます。金利動向を見極めつつ、長期目線で活用するのが賢い選択と言えるでしょう。

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DVY

DVYとは?米国高配当株に絞ったETF。インカム・キャピタルの両取りができる初心者にもおすすめのETF

この記事のポイント DVYは高配当株ETFで、利回り3.5%、経費率0.38%。公益事業・金融セクター中心で安定志向 過去10年で年平均成長率7.6%。S&P500(13.4%)やNASDAQ…

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NOBL

NOBLとは?S&P500の配当貴族に絞って投資ができる優良ETF

この記事のポイント NOBLは25年以上連続増配の企業に投資するETFで、安定性と配当成長が強み。 過去10年のCAGRは8%、下落局面ではS&P 500やNASDAQ 100より耐性高い。 …

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USOI

USOIとは?毎月配当型の原油価格の変動に連動するETF。玄人向けの商品

この記事のポイント USOIは原油ベースの高配当ETN。月次配当とカバードコール戦略が魅力 過去のパフォーマンスは年平均2.8%で、S&P500やNASDAQ100に比べ成長率は控えめだが配当…

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SPHD

SPHDとは?米国のS&P500指数に含まれる銘柄から、高配当かつ低ボラティリティの50銘柄を選び抜いたETF

この記事のポイント 高配当(4.5%)と低ボラティリティを両立、公益事業・金融中心の50銘柄で安定性抜群。 過去10年で年平均リターン7.2%、下落局面でも配当がクッションに。 約9,500万円投資で…

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PFF

PFFとは?優先株に投資するETF。毎月配当型のETFで安定した配当収益を得れる

この記事のポイント PFFは優先株ETFで、6.3%の配当利回りと月次配当が魅力。 金融セクター80%超の構成で、金利動向に敏感な点に注意。 10年リターンは約5%。成長よりインカムゲイン重視の投資家…

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SDIV

SDIVとは?世界中の高配当株に投資する毎月配当型のETF。配当生活は可能か?

この記事のポイント SDIVは約11%の配当利回りで、毎月配当が得られ、キャッシュフローを重視する投資家に最適。 100銘柄に均等加重で投資し、米国や新興国を含む地域リスクの軽減が特徴。 約4700万…

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XYLD

XYLDとは?配当金生活を狙えるS&P500に投資する毎月配当型のETF

この記事のポイント XYLDはS&P 500にカバードコール戦略を組み合わせ、約9~12%の高配当を実現。 株価成長は控えめだが、下落相場での耐性と毎月分配が魅力。 セクター分散が効き、テクノ…

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QYLD

QYLDとは?毎月配当型のETF。インカム重視の投資家におすすめ!配当金生活を目指そう

この記事のポイント QYLDはカバードコール戦略で高分配(年10~12%)と低ボラティリティを実現。インカム重視の投資家に最適。 株価成長率は0.66%と低いが、分配金再投資で50年で資産33倍の可能…

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VTEB

VTEBとは?少し特殊な米国地方債に投資するETF。毎月配当金が得つつ、資金を避難させる先として最適

この記事のポイント VTEBは米国地方債ETF。経費率0.05%、利回り3.1%で税免除メリット。 10年平均成長率0.8%、騰落率±2.5%。株式ETFより低リスク。 毎月配当でキャッシュフロー安定…

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SOXS

【SOXS】半導体セクターに特化した3倍レバレッジのインバースETF。短期トレードに特化

この記事のポイント 半導体セクターの3倍インバースETF。短期トレードに特化し、経費率1.03%、配当利回り2.5%。 過去5年平均リターン-48.1%。2022年+45.8%だが、長期保有はで不向き…

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EWG

【EWG】ドイツの株式市場に投資するETF。大型株および中型株を中心に構成(iShares MSCI Germany ETF)

この記事のポイント EWGはドイツ市場に特化したETFで、自動車や金融セクターの強みを低コストでポートフォリオに追加可能。 過去の平均リターン6.8%、配当利回り2.03%で、長期投資と安定収入を両立…

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MBB

【MBB】米国の住宅ローン担保証券(MBS)に投資するETF。債券の中でも利回り重視の投資に向く

この記事のポイント MBBは低コスト(経費率0.06%)で毎月分配金を提供するMBS特化の債券ETF。安定性とインカム収益が魅力 過去10年リターンは1.15%、S&P500(12.8%)やN…

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SCHB

【SCHB】米国株式市場全体に分散投資するETF。低コストで大型・中型・小型株を網羅し、長期投資向け

この記事のポイント SCHBは経費率0.03%、2,500銘柄で米国市場98%をカバーし、初心者にも最適。 過去15年で年平均10.5%のリターン。小型株の成長性と大型株の安定性を両立。 S&…

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IAU

【IAU】金価格に連動する低コストETF。GLDと同様に金現物を保有し、インフレヘッジや安全資産として活用

この記事のポイント 経費率0.25%で金価格に連動するETF。リスク分散やインフレヘッジに最適で、流動性と信頼性が高い。 過去10年で年平均7.6%。S&P500やNASDAQ100より低いが…

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SCHG

【SCHG】米国の大型成長株に特化したETF。低コストでハイテク企業中心の成長ポートフォリオ

この記事のポイント SCHGは低コストで米国大型成長株に投資でき、長期的な資産成長を追求する投資家に最適 過去の株価推移や成長率(年平均15%のリターン)から、今後も高いリターンと安定性を見いだせる …

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IWB

【IWB】iShares Russell 1000 ETF|米国の大型株に投資するETF。ラッセル1000指数連動で、S&P500よりやや銘柄範囲が広い

この記事のポイント 米国の大型・中型株約1,000銘柄をカバーし、低コストで分散投資が可能 テクノロジーや金融など多様なセクター構成で、リスク分散 過去の株価推移や配当実績から、長期投資に適した安定感…

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MUB

【MUB】米国の地方債(ミュニシパルボンド)に投資するETF

この記事のポイント MUBは連邦税免税の地方債ETF。低リスクかつ安定したリターンを提供し、ポートフォリオの基盤に最適 毎月分配型の配当により、定期収入や複利効果による資産成長を目指せる 経費率0.0…

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COWZ

【COWZ】米国農業関連株ETF|高キャッシュフロー銘柄に特化したETF

この記事のポイント フリーキャッシュフロー重視。財務健全な米国企業に投資。市場変動に強く、長期的な資産成長を狙える 月次配当で安定収入を確保しつつ、過去平均13%のリターンでインフレを上回る資産拡大を…

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MDY

【MDY】S&P400(米国中型株)に投資するETF

この記事のポイント MDYは米国の中型企業に投資するETFで、大型株より高い成長力と小型株より安定性を兼ね備えている 過去20年の平均リターン約8-9%と、分散投資によるリスク低減で、資産形成に適した…

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IWR

【IWR】米国の中型株に投資するETF。成長ポテンシャルと安定性のバランスが取れたミッドキャップに注目

この記事のポイント 米国中型株に分散投資でき、成長性と安定性を両立。低コストで長期投資に最適 四半期配当で安定収入、過去10年平均リターン10.2%で資産拡大を期待できる VTIやIXUSと組み合わせ…

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SPYV

【SPYV】S&P500構成銘柄のうちバリュー株に特化したETF。配当重視・割安株投資を好む投資家向け

この記事のポイント SPYVは低コストでバリュー株に投資でき、2.2%の配当利回りと市場下落時の安定性が長期資産形成の基盤となる 金融・ヘルスケア中心のセクター分散と7.2%の過去リターンから、100…

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【IVE】S&P500構成銘柄のうちバリュー株に特化したETF

この記事のポイント iシェアーズ S&P 500 バリューETF(IVE)は、低コストでバリュー株に投資し、安定性と成長性を両立 金融・ヘルスケア中心のセクター構成と約1.8%の配当利回りで、…

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【SPYG】S&P500構成銘柄のうち成長株に特化したETF。ハイテク比率が高く、成長期待を重視する投資家向け

SPYGのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算…

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【VNQ】米国REITに投資するETF。不動産セクター全体をカバー

VNQのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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【BIL】満期1年未満の米国短期国債に投資するETF|SPDRブルームバーグ1-3ヶ月TビルETF

BILのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。

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