TLT:米国長期国債ETF|満期20年以上の米国長期国債に投資するETF。金利感応度が高く、債券市場の動きに敏感

ETF
  1. TLTのETF Score (ETFのおすすめ度)
  2. TLTの特徴
  3. TLTの株価・推移・成長率(パフォーマンス)
  4. TLTの年別・過去平均リターン
  5. TLTの年別の騰落率は?
  6. TLTのセクター構成
  7. TLTの構成銘柄とその特徴
  8. TLTに投資した場合のシミュレーション
  9. TLTの配当タイミングと直近の配当
  10. TLTの配当金シミュレーション
  11. TLTに投資する際の注意点
  12. TLTとよく比較されるETFは?
  13. TLTと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETFは?
  14. まとめ
  15. 他の人気ETFの記事はこちら

TLTのETF Score (ETFのおすすめ度)

  • 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出
  • 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出
  • 運用コスト:経費率をもとに算出
  • リスク分散度:投資対象銘柄数・セクター分散度をもとに算出
  • 安定性:過去5年の平均騰落率をもとに算出

※各指標は当サイトにおける基準で設定

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。

TLTの特徴

iShares 20+ Year Treasury Bond ETF、通称TLTは、長期の米国債に投資したい人にとって注目すべき選択肢です。このETFは、ブラックロック社が運用しており、2002年7月に運用が開始されました。具体的には、残存期間が20年以上の米国財務省債を対象にしたインデックスである「ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Index」のパフォーマンスを追跡することを目指しています。

TLTの最大の特徴は、長期債券に特化している点です。これにより、金利変動に敏感で、安定性を求める投資家やポートフォリオのリスク分散を考える人に向いています。また、毎月配当が支払われる点も見逃せません。では、基本的な特徴を表にまとめてみましょう。

項目詳細
ティッカーTLT
運用会社ブラックロック(BlackRock)
設定日2002年7月22日
対象インデックスICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Index
投資対象残存期間20年以上の米国財務省債
経費率0.15%(低コストで運用可能)
配当頻度毎月
取引市場NASDAQ
資産総額(2025年3月時点)約500億ドル超(市場動向により変動)

この表を見ると、TLTが低コストで運用でき、毎月配当を受け取れる点が魅力だとわかります。特に経費率0.15%は、長期投資を考える上でコストを抑えたい投資家にとって嬉しいポイントです。米国債は信用リスクが非常に低いとされるため、安定性を重視する人にはぴったりですね。

さらに、TLTは金利変動に敏感な性質を持っています。たとえば、金利が下がると債券価格が上昇する傾向があるため、利下げ局面では値上がり益を狙える可能性があります。一方で、金利が上昇すると価格が下落するリスクもあるので、その点は後で詳しく触れます。

運用方法としては、インデックスを構成する債券の一部をサンプリングして投資する「代表サンプリング方式」を採用しています。これにより、すべての債券を保有することなく、効率的にインデックスに連動するパフォーマンスを再現しているんです。こうした仕組みが、TLTをシンプルかつ実践的な投資ツールにしています。

また、TLTはETF(上場投資信託)なので、株式と同じように市場でリアルタイムに売買可能です。これが投資信託と異なり、柔軟性が高い理由です。たとえば、急に資金が必要になった場合でも、すぐに売却して現金化できるのは便利ですよね。

TLTの特徴を一言で表すなら、「長期米国債への手軽なアクセス手段」。リスクを取らずに安定した収益を求める人や、金利環境の変化を利用して利益を狙いたい人にとって、検討する価値があるETFと言えるでしょう。

TLTの株価・推移・成長率(パフォーマンス)

 

※S&P500指数と比較

TLTの株価やその推移を知ることは、投資判断の第一歩です。2025年3月時点での最新情報を基に、過去数年間の動きを見てみましょう。株価は日々変動しますが、TLTのパフォーマンスは金利環境や経済状況に大きく左右されます。

たとえば、2020年のコロナショック時には、米連邦準備制度(FRB)が大幅な利下げを実施しました。この時期、TLTの株価は急上昇し、ピーク時には約170ドルを超えました。金利低下が債券価格を押し上げた典型的な例です。しかし、2022年以降、FRBがインフレ対策で利上げを進めると、株価は下落傾向に転じ、2023年末には一時90ドルを割り込む場面もありました。

では、2025年3月時点での株価はどうでしょうか。仮に最新の終値が約92ドルだとすると、ここ数年の推移を表にまとめてみます。

年初株価(ドル)年末株価(ドル)年間成長率(%)
2020135.00157.50+16.7%
2021157.50148.20-5.9%
2022148.2099.50-32.9%
202399.5098.80-0.7%
202498.8092.00(仮定)-6.9%

この表からわかるように、TLTの株価は金利動向に強く影響を受けています。特に2022年の大幅下落は、急激な利上げによる債券価格の下落が原因です。一方で、2023年以降はある程度安定しつつも、依然として低迷気味。この背景には、インフレが収まらず、金利が下がりにくい状況があると考えられます。

成長率で見ると、TLTは株式のような高いリターンを期待するものではなく、むしろ安定性や配当収入を重視する商品です。過去5年間の平均年間成長率を計算すると、約-5.9%(単純平均)とマイナスになります。これは値上がり益が得られにくい時期が続いた結果ですが、配当を含めたトータルリターンで見ると話が変わります。

たとえば、配当を再投資した場合のパフォーマンスはどうなるか。2020年から2024年までの5年間で、株価成長率はマイナスでも、配当込みの年平均リターンは約-2%程度に抑えられるケースもあります。これは、毎月の配当が下落局面での損失を一部カバーする効果があるからです。

株価推移をグラフ化すると、金利と逆相関する動きがより明確になります。2020年の高値から2022年の安値への下落は、金利上昇がどれだけ長期債に影響を与えるかを示しています。2025年以降も、FRBの金融政策やインフレ動向が鍵を握るでしょう。

TLTの年別・過去平均リターン

TLTの過去のリターンを知ることで、どれくらいの収益が見込めるのか、あるいはリスクがあるのかがわかります。ここでは、年別のトータルリターン(株価変動+配当収入)を確認し、長期的な傾向を把握してみましょう。

以下の表は、過去10年間のTLTの年別リターン(配当込み)をまとめたものです。データは概算値ですが、一般的な市場動向を反映しています。

トータルリターン(%)主な経済イベント
2015-1.8%金利上昇懸念
2016+1.0%低金利継続
2017+9.2%緩やかな金利上昇
2018-1.6%FRBの利上げ加速
2019+14.1%金利低下、債券ラリー
2020+17.9%コロナ禍での利下げ
2021-4.6%インフレ懸念浮上
2022-31.2%急激な利上げ
2023+2.5%金利高止まり
2024-5.0%(仮定)インフレ落ち着くも金利低下限定的

この表を見ると、TLTのリターンは年によって大きく変動しているのがわかります。2019年や2020年は金利低下で大幅プラスだった一方、2022年は歴史的なマイナスを記録しています。過去10年間の平均リターンを計算すると、約+0.05%(単純平均)とほぼゼロに近い水準です。

しかし、もっと長い期間で見るとどうでしょう。TLTの設定以来(2002年~2024年)の平均年リターンは、配当込みで約3~4%程度とされています。これは、2000年代の低金利環境や債券価格の上昇が寄与した結果です。ただし、最近の金利上昇局面では、この長期平均が下押しされているのが現状です。

リターンのバラつきを示す標準偏差を考えると、TLTの年間リターンの変動率は約10~12%程度。これは株式ほどではないものの、債券ETFとしては高いボラティリティです。たとえば、S&P 500の年間標準偏差が15~20%程度であるのに比べると、TLTは安定性とリスクのバランスが取れた商品と言えます。

過去のリターンからわかるのは、金利が下がる局面では高いリターンを期待できる一方、金利上昇期には大きな損失リスクがある点です。2022年のような年は例外的に厳しい状況でしたが、長期で見れば配当を含めた収益でプラスを維持できる可能性があります。

TLTの年別の騰落率は?

年初株価(ドル)年末株価(ドル)騰落率(%)
2019121.50135.50+11.5%
2020135.50157.50+16.2%
2021157.50148.20-5.9%
2022148.2099.50-32.9%
202399.5098.80-0.7%
202498.8092.00(仮定)-6.9%

この表を見ると、2020年の+16.2%が際立っています。コロナ禍での金利急低下が背景にあり、長期債券の価格が大きく上昇しました。逆に、2022年の-32.9%は、FRBの利上げペースが予想を超えた結果です。この年は、債券市場全体が厳しい状況に直面した時期でもあります。

騰落率の推移を振り返ると、金利との逆相関が顕著です。金利が下がればプラス、金利が上がればマイナスというシンプルな関係性が成り立ちます。ただし、変動幅は金利の変化速度や市場の期待感によって異なります。たとえば、2023年は金利がほぼ高止まりしたため、騰落率は小幅なマイナスにとどまりました。

過去のデータをさらに遡ると、2008年の金融危機時にはTLTが+33.9%(株価ベース)を記録した年もあります。危機時に安全資産として米国債が買われた結果です。このように、経済が不安定になるとTLTの価値が上がる傾向があるのも特徴的ですね。

騰落率の平均値を取ると、過去5年間(2020~2024年)では約-3.6%となります。ただし、これはあくまで株価単体の話。配当を加味したトータルリターンでは、もう少しマシな数字になります。たとえば、2022年の騰落率は-32.9%でも、配当込みだと-31.2%程度に緩和されます。

この変動性をどう捉えるかは投資家のスタンス次第です。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で配当収入や金利環境を見極めるのが、TLTとの付き合い方のコツかもしれません。

TLTのセクター構成

TLTのセクター構成はシンプルです。なぜなら、このETFは米国財務省債のみに投資しているからです。つまり、100%が「政府債券セクター」に分類されます。他のETFのように、テクノロジーやヘルスケアといった多様なセクターが混在することはありません。

とはいえ、「政府債券」という大きな括りの中でも、TLTは特に「長期債」に特化している点を強調しておきます。具体的には、残存期間20年以上の米国債が対象です。これにより、短期債や中期債を扱うETFとは明確に異なる性格を持っています。

セクター構成を表にすると、こうなります。

セクター割合(%)備考
政府債券(米国債)100%残存期間20年以上の財務省債のみ

この単一性は、TLTの強みでもあり弱みでもあります。強みは、分散が不要で純粋に長期米国債のパフォーマンスを享受できる点。弱みは、他のセクターへのエクスポージャーがゼロのため、金利以外の要因でリターンを補うことができない点です。

たとえば、企業債券を含むETF(例: LQD)だと、信用リスクが加わる分、金利が上がっても利回りでカバーできる可能性があります。しかし、TLTは米国政府の信用力に依存しているため、金利動向がすべてと言っても過言ではありません。

また、米国債は「安全資産」の代表格とされます。経済危機や市場の混乱時には、投資家がリスク資産から米国債に資金を移す「フライト・トゥ・クオリティ」が起こりやすいです。この特性が、TLTのセクター構成のシンプルさにも表れているわけです。

セクターが一つしかないため、ポートフォリオ内での役割は明確です。たとえば、株式市場が下落したときに逆に上昇する可能性があるため、リスクヘッジとしての活用が考えられます。後ほど、他のETFとの比較や組み合わせについても触れますが、TLTのこの単純明快な構成は、投資戦略を立てる上で扱いやすい一面と言えるでしょう。

TLTの構成銘柄とその特徴

TLTの構成銘柄は、残存期間20年以上の米国財務省債で構成されています。具体的には、「ICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Index」に含まれる債券を代表サンプリング方式で保有しています。2025年3月時点での最新データに基づき、代表的な銘柄を見てみましょう。

銘柄(例)クーポン利回り(%)満期年構成比率(%)
米国債 2.875% 2049年5月2.875%2049年約5.2%
米国債 3.000% 2050年2月3.000%2050年約4.8%
米国債 1.875% 2051年11月1.875%2051年約4.5%
米国債 2.375% 2052年5月2.375%2052年約4.3%

※構成比率は概算値で、市場動向により変動します。

TLTのポートフォリオには、約40~50銘柄の米国債が含まれています。上位10銘柄で全体の約50%を占めることが多く、残りは比較的小さな割合で分散されています。これらの債券はすべて米国政府が発行するもので、信用リスクはほぼゼロ。デフォルトの心配がないのが最大の特徴です。

各債券のクーポン利回りは発行時の金利環境を反映しています。たとえば、2049年や2050年満期の債券は、2019~2020年頃の低金利期に発行されたものが多く、利回りが2~3%程度。一方、最近発行されたものは金利上昇を反映し、やや高めのクーポンを持つ場合もあります。

満期までの期間が20年以上と長いため、TLTの平均デュレーション(金利感応度)は約17~18年。これは、金利が1%変動すると、価格が17~18%上下することを意味します。この高い金利感応度が、TLTの値動きを大きくする要因です。

構成銘柄の特徴をまとめると、以下のようになります。

  • 安全性: 米国政府保証でデフォルトリスクなし。
  • 長期性: 満期が20年以上で、金利変動に敏感。
  • 利回り: クーポン利回りは発行時の金利に依存。

このシンプルな構成は、投資家にとってわかりやすい反面、金利以外の要因でリターンを増やす余地が少ないのも事実です。

TLTに投資した場合のシミュレーション

シナリオ1: 1万ドルを投資(約108万円)

  • 投資額: 1万ドル
  • 購入株数: 1万ドル ÷ 92ドル = 約108株
  • 年間配当: 92ドル × 4.3% × 108株 = 約427ドル
  • 5年間の配当合計: 427ドル × 5 = 2,135ドル

株価が変動しない場合、5年後の資産は以下の通り。

  • 元本: 1万ドル
  • 配当合計: 2,135ドル
  • 総資産: 12,135ドル(利回り約4.3%で安定)

シナリオ2: 金利低下で株価上昇(+20%)

金利が下がり、株価が92ドルから110ドルに上昇した場合。

  • 5年後の株価価値: 110ドル × 108株 = 11,880ドル
  • 配当合計: 2,135ドル
  • 総資産: 14,015ドル
  • 年平均リターン: (14,015 ÷ 10,000)^(1/5) – 1 = 約7.0%

シナリオ3: 金利上昇で株価下落(-20%)

金利が上がり、株価が92ドルから73ドルに下落した場合。

  • 5年後の株価価値: 73ドル × 108株 = 7,884ドル
  • 配当合計: 2,135ドル
  • 総資産: 10,019ドル
  • 年平均リターン: (10,019 ÷ 10,000)^(1/5) – 1 = 約0.04%

このシミュレーションからわかるのは、TLTのリターンは株価変動に大きく左右される点です。配当利回り4.3%は安定していますが、金利動向次第で資産価値が大きく変わります。金利低下局面では高いリターンを期待でき、上昇局面では元本割れのリスクがあります。

実際の投資では、配当を再投資する戦略も有効です。たとえば、年間427ドルの配当で追加購入を続けると、複利効果で資産が増加します。5年間で再投資した場合、総資産はシナリオ1でも12,500ドル程度まで成長する可能性があります。

シミュレーションを活用する際は、金利の見通しや投資期間を考慮するのが重要です。TLTは短期的な値動きに振り回されやすいので、長期保有を前提に計画を立てるのがおすすめです。

TLTの配当タイミングと直近の配当

TLTの魅力の一つは、毎月配当が支払われる点です。これにより、定期的なキャッシュフローを得たい投資家にとって使いやすいETFになっています。配当のタイミングは毎月月初(通常1日~5日頃)に発表され、数日後に支払われます。

具体的なスケジュールは以下の通り。

  • 発表日: 毎月最終営業日付近
  • 権利確定日: 翌月1日頃
  • 支払日: 権利確定日から数日後(通常7日頃)

直近の配当実績を見てみましょう。2025年3月時点での仮定値として、以下を参考にします。

  • 2024年12月分: 1株あたり0.33ドル(年間換算4.3%)
  • 2025年1月分: 1株あたり0.34ドル
  • 2025年2月分: 1株あたり0.33ドル(仮定)

年間配当利回りは約4.3%で、1株92ドルとすると年間約3.96ドル(0.33ドル×12ヶ月)。月平均0.33ドル程度が安定して支払われている計算です。

過去の配当推移を見ると、金利環境に応じて多少変動します。たとえば、2022年の金利上昇期には利回りが3%台から4%台に上昇。逆に、低金利だった2020年頃は3%を下回る時期もありました。以下の表で確認してみます。

年間配当(ドル/株)配当利回り(%)
20202.40約2.8%
20212.60約3.0%
20223.20約3.5%
20233.80約4.0%
20243.96(仮定)約4.3%

配当は米国債のクーポン収入に基づいており、市場金利が上がると新しく組み入れられる債券の利回りが高くなるため、徐々に配当も増加傾向にあります。毎月支払われるので、生活費や再投資の資金として計画的に活用できるのが嬉しいですね。

TLTの配当金シミュレーション

TLTでどのくらいの配当を得られるのか、具体的な目標額でシミュレーションしてみます。株価92ドル、配当利回り4.3%(年間3.96ドル/株)を前提に計算します。

TLTで月3万円を得るには?

  • 月3万円 = 年36万円
  • 為替レート108円/ドルと仮定 → 年36万円 ÷ 108 = 約3,333ドル
  • 必要配当: 3,333ドル ÷ 3.96ドル = 約842株
  • 投資額: 842株 × 92ドル = 77,464ドル(約836万円)

月3万円の配当を得るには、約836万円の投資が必要です。現実的な金額ではありますが、ある程度まとまった資金が求められます。

TLTで月5万円を得るには?

  • 月5万円 = 年60万円
  • 年60万円 ÷ 108 = 約5,556ドル
  • 必要配当: 5,556ドル ÷ 3.96ドル = 約1,403株
  • 投資額: 1,403株 × 92ドル = 129,076ドル(約1,394万円)

月5万円となると、約1,400万円近い資金が必要。配当生活を目指すなら、さらに大きな金額が視野に入ります。

TLTで配当金生活をするには?

仮に月30万円(年360万円)の生活費を想定。

  • 年360万円 ÷ 108 = 33,333ドル
  • 必要配当: 33,333ドル ÷ 3.96ドル = 約8,417株
  • 投資額: 8,417株 × 92ドル = 774,364ドル(約8,363万円)

フルタイムの配当生活には約8,400万円が必要で、かなりの資産が求められます。ただし、金利が上昇して配当利回りが5%になれば、投資額は約7,200万円に下がります。

目標額必要株数投資額(万円)
月3万円842株約836
月5万円1,403株約1,394
月30万円8,417株約8,363

このシミュレーションから、TLTだけで配当生活は可能ですが、大きな初期投資が必要なことがわかります。

TLTに投資する際の注意点

  1. 金利リスク
    TLTは長期債券に特化しているため、金利変動に非常に敏感です。金利が1%上昇すると、価格が17~18%下落する可能性があります。2022年のような急激な利上げ局面では、大幅な損失を被るリスクがあるので、金利の見通しを慎重に考える必要があります。
  2. インフレリスク
    インフレが進行すると、実質リターンが目減りします。TLTの配当利回りが4%でも、インフレ率が5%を超えれば実質マイナスに。長期債は固定利回りなので、物価上昇に追いつけない弱点があります。
  3. 値上がり益の期待薄
    現在の金利水準(2025年3月時点で仮に4%程度)では、過去のような大幅な金利低下が起こりにくい可能性があります。つまり、株価上昇によるキャピタルゲインを狙うのは難しく、配当収入頼みになるケースが多いです。
  4. 為替リスク(日本在住の場合)
    TLTはドル建て資産なので、円安なら利益が増えますが、円高になると損失が拡大します。たとえば、投資額1,000万円が円高で900万円に減るリスクも考慮が必要です。
  5. 流動性リスクは低いものの注意
    TLTは取引量が多く流動性が高いですが、市場が混乱すると一時的に売買が難しくなる場合もあります。緊急時に即座に売却したい場合は、市場状況を確認しておくのが賢明です。

これらのリスクを踏まえ、TLTはポートフォリオの一部として活用するのが現実的です。全資産をTLTに集中させるのではなく、株式や他の債券と組み合わせることで、リスクを分散させるのがおすすめです。

TLTとよく比較されるETFは?

ETFティッカー対象経費率配当利回り(%)
TLTTLT20年以上の米国債0.15%約4.3%
TLTWTLTWTLT+カバードコール戦略0.35%約10%
IEFIEF7~10年の中期米国債0.15%約4.0%
GOVTGOVT全期間の米国債0.05%約3.8%
BNDBND米国総合債券0.03%約3.5%
  • TLTW: TLTをベースにカバードコールで高配当を狙うETF。利回りは高いが、値上がり益が制限される。
  • IEF: 中期債に特化し、金利感応度がTLTより低い(デュレーション約7年)。
  • GOVT: 短期から長期まで幅広い米国債をカバー。安定性重視。
  • BND: 米国債に加え企業債も含む総合債券ETF。分散効果が高い。

TLTは長期債に特化しているため、金利低下局面でのリターンが大きい反面、リスクも高め。IEFやGOVTはより安定志向で、BNDはさらに幅広い分散が可能です。投資目的に応じて使い分けると良いでしょう。

TLTと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETFは?

ETFティッカー対象役割
SPYSPYS&P 500成長性とリスク資産
GLDGLDインフレヘッジ
IEFIEF7~10年米国債中期債で安定性追加
VNQVNQ不動産投資信託(REIT)配当収入と分散
  • SPY: 株式市場の成長を取り入れ、TLTの下落リスクを補う。
  • GLD: インフレや経済不安時に強く、TLTと相性が良い。
  • IEF: 長期債のTLTと異なり、中期債で金利リスクを軽減。
  • VNQ: 高配当と不動産セクターで、収入源を多様化。

たとえば、60% SPY、20% TLT、10% GLD、10% IEFといったポートフォリオなら、成長性と安定性のバランスが取れます。TLTの金利感応度を他の資産でカバーする戦略が有効です。

まとめ

TLTは、長期米国債に手軽に投資できるETFとして、安定性と毎月配当が魅力です。金利低下局面では高いリターンを期待でき、安全資産としての役割も果たします。ただし、金利上昇リスクやインフレによる実質リターンの低下には注意が必要。過去のパフォーマンスやシミュレーションを見ると、単独での配当生活はハードルが高いものの、ポートフォリオの一部としては十分機能します。他のETFと組み合わせ、金利動向を見極めながら活用するのが賢い選択と言えるでしょう。投資を始める前に、自分の目標とリスク許容度をしっかり確認してくださいね。

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EFAのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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IVW:米国大型成長株ETF|テクノロジーや消費関連が中心で、成長重視の投資家向け

IVWのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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SPLG:米国S&P500ETF|S&P500に連動する低コストETF。資産形成初心者にも適したシンプルな商品設計

SPLGのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算…

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IJH:米国中型株ETF|大型株より高い成長性を狙いつつ、小型株よりリスクを抑えた中間的存在のETF

IJHのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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IBIT:ブラックロックが運用するビットコイン現物ETF

IBITのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算…

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VT:世界全体株式ETF|米国、先進国、新興国すべてを網羅し、超分散投資を実現するETF

VTのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出 …

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BNDX:米国外国債ETF|米国外の投資適格債に投資するETF

BNDXのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算…

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IWD:米国バリュー株ETF|安定した収益や配当を狙う投資家に適し、長期保有向けのETF

IWDのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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VXUS:米国外国株ETF|先進国・新興国を問わず広く分散し、グローバル分散に適したETF

VXUSのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算…

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VB:米国小型株ETF|米国小型株に分散投資するバンガードETF

VBのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出 …

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ITOT:米国全市場ETF|米国株式市場全体に投資するETF

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IWM:米国小型株ETF|ラッセル2000指数に連動する米国小型株ETF

IWMのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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RSP:米国均等加重型ETF|S&P500構成銘柄を均等加重で投資するユニークなETF

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IWF:米国大型成長株ETF|テクノロジーや消費関連を中心に構成され、キャピタルゲインを重視するETF

IWFのETF Score (ETFのおすすめ度) 成長性:過去5年の平均リターン(キャピタルリターン)をもとに算出 配当リターン:過去5年の平均配当利回りをもとに算出 運用コスト:経費率をもとに算出…

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IEFAとは?特徴から配当、投資シミュレーションまで徹底解説!

この記事のポイント IEFAって聞いたことあるけど、いまいちピンとこない…そんな人も多いんじゃないでしょうか。この記事では、iShares Core MSCI EAFE ETF(ティッカー:IEFA)…

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執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。