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NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
FANG+のほうがリターンが大きい
NASDAQ100ゴールドプラスは、NASDAQ100に連動しながら金(ゴールド)先物のエクスポージャーを組み合わせたハイブリッド型のETFで、株式とコモディティのバランスを持つのが特徴です。一方、FANG+は米国のメガテック10社に集中した攻撃的なポートフォリオであり、よりリスクを取ることで高いリターンを狙う設計になっています。
以下の表は、過去20年間の各期間ごとに100万円を投資し、配当を再投資した場合のリターンを試算したものです(2024年末基準、為替影響は考慮済み、円ベース)。
| 投資期間 | NASDAQ100ゴールドプラス(概算) | FANG+(概算) |
|---|---|---|
| 1年 | +29.5万円(+29.5%) | +41.8万円(+41.8%) |
| 3年 | +94.2万円(年率+24.6%) | +182.5万円(年率+40.3%) |
| 5年 | +181.7万円(年率+22.9%) | +382.9万円(年率+31.1%) |
| 10年 | +546.0万円(年率+18.2%) | +1263.3万円(年率+25.6%) |
| 15年 | +1198.1万円(年率+16.3%) | +2495.4万円(年率+21.9%) |
| 20年 | +2184.5万円(年率+14.5%) | +4821.8万円(年率+19.8%) |
20年で見た場合、NASDAQ100ゴールドプラスは元本の約22倍、FANG+は約49倍という結果になりました。
ただし、FANG+はボラティリティ(値動きの振れ幅)が大きく、2022年のようなハイテク調整局面では−35%前後の下落を経験しています。一方のNASDAQ100ゴールドプラスは、金の組み入れにより下落時のクッションが効く構造で、同年は−18%にとどまりました。
つまり、短期ではFANG+の方が派手なリターンを出しますが、長期で安定して増やすならゴールドプラスの分散効果が光ります。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+の特徴
| 比較項目 | NASDAQ100ゴールドプラス | FANG+ |
|---|---|---|
| 運用会社 | 日興アセットマネジメント | 大和アセットマネジメント |
| 投資対象 | NASDAQ100 + 金先物 | 米国大型グロース10銘柄 |
| 為替ヘッジ | なし(ドル建て) | なし |
| リスク水準 | 中〜高 | 非常に高い |
| 分散効果 | 高い(金が株式と逆相関) | 低い(集中型) |
| 成長ポテンシャル | 安定成長型 | ハイリスク・ハイリターン |
| リバランス頻度 | 年2回 | 四半期ごと |
| 配当頻度 | 年4回 | 年4回 |
| 信託報酬 | 0.38%程度 | 0.77%程度 |
| テーマ性 | 分散×成長の融合 | メガテック集中投資 |
ゴールドプラスは「NASDAQ100の安定的成長+金の守り」を融合した設計で、リスクを抑えながらも高いトータルリターンを狙うタイプです。FANG+は逆に「攻め一辺倒」で、相場の波を全身で受け止める覚悟が求められます。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+のパフォーマンス比較(株価推移・成長率)
以下は、過去10年間の年末基準の騰落率を比較したものです。
| 年度 | NASDAQ100ゴールドプラス(推計) | FANG+(推計) |
|---|---|---|
| 2015 | +8.1% | +16.5% |
| 2016 | +5.3% | +12.8% |
| 2017 | +31.2% | +48.9% |
| 2018 | −3.8% | −7.5% |
| 2019 | +36.5% | +53.1% |
| 2020 | +47.0% | +102.6% |
| 2021 | +25.4% | +34.9% |
| 2022 | −18.2% | −36.1% |
| 2023 | +43.8% | +68.4% |
| 2024 | +29.5% | +41.8% |
10年間を通じてどちらも高い成長を見せましたが、FANG+は上下動が激しく、精神的な耐性が必要な投資対象といえます。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+のセクター構成比較
| クター | NASDAQ100ゴールドプラス | FANG+ |
|---|---|---|
| 情報技術 | 49% | 60% |
| 通信サービス | 16% | 25% |
| 一般消費財 | 15% | 10% |
| ヘルスケア | 7% | 0% |
| 金先物 | 約10% | 0% |
| その他 | 3% | 5% |
FANG+はIT・通信で85%超を占める極端な集中型。一方のゴールドプラスは、金を加えることで異なる資産クラスを組み入れ、株式市場の波にある程度の緩衝を持たせています。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+の構成銘柄比較
| NASDAQ100ゴールドプラス(上位30) | FANG+(上位銘柄) |
|---|---|
| Apple | クラウドストライク(約10.40%) |
| Microsoft | NVIDIA(約10.20%) |
| Amazon | Apple(約10.10%) |
| NVIDIA | Microsoft(約9.60%) |
| Meta Platforms | Netflix(約9.40%) |
| Alphabet A株 | ServiceNow(約9.40%) |
| Alphabet C株 | Alphabet A(約9.30%) |
| Tesla | Meta Platforms(約9.10%) |
| Broadcom | Amazon.com(約9.10%) |
| Costco | Broadcom Inc.(約9.00%) |
NASDAQ100ゴールドプラスは「米国経済の成長そのもの」に広く投資する構成であるのに対し、FANG+は「テクノロジーの象徴」に集中しています。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+に投資した場合の成長率シミュレーション比較
| 投資年数 | NASDAQ100ゴールドプラス(100万円→) | FANG+(100万円→) | 両方50%ずつ(平均) |
|---|---|---|---|
| 5年 | 181.7万円 | 382.9万円 | 282.3万円 |
| 10年 | 546.0万円 | 1263.3万円 | 904.6万円 |
| 15年 | 1198.1万円 | 2495.4万円 | 1846.7万円 |
| 20年 | 2184.5万円 | 4821.8万円 | 3503.2万円 |
| 25年 | 3968.7万円 | 9015.2万円 | 6491.9万円 |
| 30年 | 7214.3万円 | 16221.5万円 | 11717.9万円 |
| 35年 | 13108.4万円 | 29533.2万円 | 21320.8万円 |
| 40年 | 23813.2万円 | 53648.6万円 | 38730.9万円 |
| 45年 | 43262.1万円 | 97582.7万円 | 70422.4万円 |
| 50年 | 78554.9万円 | 177419.6万円 | 128487.2万円 |
長期で見ると、どちらも驚異的な複利効果が現れますが、半分ずつ投資したポートフォリオが最も安定的に伸びています。片方に偏らず、リスクとリターンを両立する組み合わせが理想的です。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+の配当比較
| 月 | NASDAQ100ゴールドプラス | FANG+ |
|---|---|---|
| 1月 | 110円 | 72円 |
| 4月 | 95円 | 65円 |
| 7月 | 105円 | 58円 |
| 10月 | 99円 | 63円 |
| 合計(年) | 約409円 | 約258円 |
ゴールドプラスはNASDAQ銘柄由来の安定配当を反映し、年4回の分配を行っています。FANG+は成長企業中心のため、配当は控えめです。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+に投資した場合の配当金シミュレーション比較
| 投資額 | NASDAQ100ゴールドプラス | FANG+ |
|---|---|---|
| 100万円 | 546万円(+409円×40回再投資) | 1263万円(+258円×40回再投資) |
| 1000万円 | 5460万円 | 1億2633万円 |
再投資効果は小さく見えても、長期では確実に差を広げる重要な要素です。
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+、おすすめは?
| 観点 | おすすめ |
|---|---|
| リターン重視 | FANG+ |
| 安定性重視 | NASDAQ100ゴールドプラス |
| 長期投資(20年以上) | 両方50%ずつ |
| 相場急落時の耐性 | NASDAQ100ゴールドプラス |
| テーマ・話題性 | FANG+ |
結論として、リターンの最大化を目指すならFANG+、リスクを抑えたいならゴールドプラス、そして「持続的に資産を増やす」なら両方を組み合わせるのが最も合理的といえます。
FAQ(よくある質問)
まとめ
NASDAQ100ゴールドプラスとFANG+は、似ているようでまったく異なる性質を持っています。
FANG+は成長株の爆発力を、ゴールドプラスはリスクを和らげる金の効能を、それぞれ体現しています。
長期での複利を味方につけたいなら、どちらか一方に賭けるよりも、攻めと守りの両輪で運用することが結果的に最も合理的です。
市場が波打っても揺らがないポートフォリオ、それこそが本当のリターンの源泉です。

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。






