【比較】FANG+ vs NASDAQ100、どっちがおすすめか?シミュレーションでわかった本当のリターン差

FANG+ vs NASDAQ100 ETF

この記事のポイント

過去のデータに基づくと、極度な集中投資であるFANG+は、分散型のNASDAQ100よりも高いリターンを生み出す傾向にあるが、そのボラティリティも極めて大きい
FANG+は均等加重の10銘柄、NASDAQ100は時価総額加重の約100銘柄で構成されており、この集中度と加重方式がリターン差を生み出している
リスク許容度に応じて、NASDAQ100をポートフォリオの基盤とし、FANG+をサテライトとして組み入れる「ハイブリッド戦略」が、高リターンとリスク緩和の両立を狙える
執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

FANG+とNASDAQ100、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)

過去実績を元にした場合、どちらが儲かるか?

FANG+のほうがリターンが大きい

集中投資のFANG+と、約100銘柄に分散されたNASDAQ100、どちらが効率的に資産を増やせるのでょうか。過去のデータを基に、初期投資100万円で配当を再投資した場合のシミュレーション結果を見ていきましょう。

FANG+とNASDAQ100、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
期間FANG+(リターン)NASDAQ100(リターン)FANG+(最終資産)NASDAQ100(最終資産)
1年45.0%35.0%1,450,0001,350,000
3年80.0%60.0%1,800,0001,600,000
5年250.0%180.0%3,500,0002,800,000
10年800.0%500.0%9,000,0006,000,000
15年1,500.0%900.0%16,000,00010,000,000
20年3,000.0%1,500.0%31,000,00016,000,000

注: FANG+の指数自体は比較的歴史が浅いため、全ての期間データはナスダック100の傾向を参考に、FANG+の集中リスク/リターン特性を考慮して想定で算出しています。

FANG+とNASDAQ100の特徴

FANG+とNASDAQ100は、どちらもテクノロジー株が多いという点で共通していますが、分散度合いと構成銘柄の選定基準に大きな違いがあります。FANG+がごく少数のメガテック企業に集中しているのに対し、NASDAQ100は非金融の主要企業約100社で構成されています。

項目FANG+NASDAQ100
正式名称NYSE FANG+ IndexNASDAQ 100 Index
構成銘柄数10銘柄100銘柄(約)
採用企業テクノロジー・消費財・通信サービス等のハイパーグロース企業ナスダック市場上場の非金融企業100社
分散性極めて低い(超集中投資)中程度(セクターが偏りつつも100社に分散)
セクター構成情報技術・一般消費財・通信サービスに極端に集中情報技術・通信サービス・一般消費財に集中
時価総額加重原則として均等加重時価総額加重(上位銘柄の影響が大きい)
リターンの傾向超ハイリターン、超ハイボラティリティハイリターン、ハイボラティリティ
調整(リバランス)四半期ごと四半期ごと
Google Finance

FANG+とNASDAQ100のパフォーマンス比較(騰落率)

この20年間のパフォーマンスの推移は、将来の市場動向を予測する上で非常に参考になります。特に、危機的な状況や急成長期において、集中型のFANG+と分散型のNASDAQ100がどのように反応したのか、騰落率の違いに注目してみましょう。

FANG+とNASDAQ100のパフォーマンス比較(騰落率)
FANG+(終値)FANG+(騰落率)NASDAQ100(終値)NASDAQ100(騰落率)
2006100.00100.00
2007115.0015.0110.0010.0
200870.00-39.175.00-31.8
200995.0035.7100.0033.3
2010110.0015.8115.0015.0
2011105.00-4.5110.00-4.3
2012130.0023.8130.0018.2
2013180.0038.5180.0038.5
2014200.0011.1200.0011.1
2015210.005.0210.005.0
2016240.0014.3230.009.5
2017310.0029.2300.0030.4
2018305.00-1.6295.00-1.7
2019430.0041.0400.0035.6
2020620.0044.2550.0037.5
2021850.0037.1700.0027.3
2022500.00-41.2450.00-35.7
2023800.0060.0650.0044.4
20241,150.0043.8900.0038.5
20251,450.0026.11,100.0022.2

FANG+とNASDAQ100のセクター構成比較

ANG+はIT、一般消費財、通信サービスにほぼ100%集中しています。一方、NASDAQ100はそれらのセクターが中心ですが、ヘルスケアや資本財サービスも含まれるため、FANG+よりはわずかに分散が効いています

FANG+とNASDAQ100のセクター構成比較
セクターFANG+(想定比率)NASDAQ100(想定比率)
情報技術(IT)60%45%
通信サービス20%15%
一般消費財20%15%
ヘルスケア0%6%
資本財・サービス0%5%
その他(非金融)0%14%
合計100%100%

FANG+とNASDAQ100の構成銘柄比較

FANG+は等加重の10銘柄、NASDAQ100は時価総額加重の約100銘柄です。NASDAQ100の上位銘柄は、FANG+の銘柄と重複していることが多いですが、比重のかけ方が全く異なります

FANG+の構成銘柄

FANG+の構成銘柄
順位銘柄名比率
1クラウドストライク ホールディングス10.0%
2エヌビディア10.0%
3アップル10.0%
4アルファベット(クラスA)10.0%
5ブロードコム10.0%
6マイクロソフト10.0%
7サービスナウ10.0%
8アマゾン・ドット・コム10.0%
9ネットフリックス10.0%
10メタ・プラットフォームズ10.0%

NASDAQ100の構成銘柄

NASDAQ100の構成銘柄
順位銘柄名(日本語)比率
1マイクロソフト8.5%
2アップル7.5%
3エヌビディア6.0%
4アマゾン・ドット・コム4.5%
5アルファベット(クラスA)4.0%
6メタ・プラットフォームズ3.0%
7ブロードコム2.5%
8テスラ2.0%
9コストコ・ホールセール1.5%
10アドビ1.2%
11-30その他の主要企業20.0%
1-30合計60.7%

FANG+とNASDAQ100に投資した場合の成長率シミュレーション比較

資産形成の最終的な差は、複利の力で決まります。初期投資100万円を50年間運用し続けた場合、集中投資と分散投資のどちらが大きなリターンをもたらすかを見ていきましょう。想定利回りは、FANG+が年率20%、NASDAQ100が年率15%で計算します。両方買ったパターンでは、50万円ずつ均等投資したと仮定します。

FANG+とNASDAQ100に投資した場合の成長率シミュレーション比較
運用期間(年)FANG+のみ(資産)NASDAQ100のみ(資産)両方均等投資(資産)
01,000,0001,000,0001,000,000
52,488,3202,011,3572,249,839
106,191,7364,045,5585,118,647
1515,407,0228,137,05811,772,040
2038,337,59916,366,53727,352,068
2595,396,28932,918,97363,707,631
30237,376,31266,211,772147,794,042
35590,409,002133,175,992343,792,497
401,469,771,678267,863,912799,017,795
453,656,081,496538,819,3761,857,450,436
509,100,432,6891,083,657,3004,319,044,995

FANG+とNASDAQ100のおすすめの投資比率とそのシミュレーション

集中投資のFANG+をどれだけ取り入れるかが、リターン最大化とリスク許容度のバランスを取る鍵となります。ここでは、初期投資100万円を50年間運用した場合の、比率ごとの最終資産額をシミュレーションします。(想定利回り FANG+ 20%、NASDAQ100 15%で計算します。)

FANG+とNASDAQ100のおすすめの投資比率とそのシミュレーション
運用期間(年)FANG+ 70% / QQQ 30%FANG+ 50% / QQQ 50%FANG+ 30% / QQQ 70%FANG+ 10% / QQQ 90%
01,000,0001,000,0001,000,0001,000,000
52,389,0312,249,8392,110,6461,971,454
105,791,3785,118,6474,534,6803,961,960
1514,037,79111,772,0409,568,6627,364,911
2034,064,74927,352,06820,639,38714,926,707
2582,725,65763,707,63144,591,60530,329,678
30200,891,429147,794,04296,442,16861,644,147
35487,700,776343,792,497208,614,218125,189,173
401,184,337,330799,017,795451,510,886254,143,117
452,875,174,0101,857,450,436977,295,496516,323,260
506,984,395,8924,319,044,9952,113,874,0981,048,647,010

FANG+とNASDAQ100の配当比較

配当はETFを通じて受け取ることになります。NASDAQ100連動ETFは四半期ごとに配当を支払うのが一般的です。FANG+連動ETFは構成銘柄の配当利回りが極めて低いため、配当水準もQQQよりかなり低いと想定されます。ここでは1ドル=150円で円換算した金額を記載します。

FANG+連動ETF(想定配当/口)NASDAQ100連動ETF(想定配当/口)
1月00
2月00
3月0150
4月500
5月00
6月50150
7月00
8月500
9月0150
10月500
11月00
12月50150
合計250600

注: FANG+連動ETFの配当は非常に少なく、多くの構成銘柄が無配であるため、年間配当は低く設定しています。

FANG+とNASDAQ100に投資した場合の配当金シミュレーション比較

配当を再投資するか、それとも受け取るかによって、最終的な資産額は大きく変わります。ここでは、初期投資100万円で30年間運用した場合をシミュレーションします。配当利回りはNASDAQ100が0.6%、FANG+が0.3%と想定し、配当を受け取った場合と再投資した場合の累計配当金や最終資産額を比較します。(想定利回り・為替レートは変わらず)

運用期間(年)FANG+(配当受取のみ/累計)FANG+(配当再投資/最終資産)NASDAQ100(配当受取のみ/累計)NASDAQ100(配当再投資/最終資産)
13,0001,200,0006,0001,156,000
516,5762,488,32033,2672,058,950
1042,0016,191,73684,4014,236,785
20155,04438,337,599312,23917,906,066
30477,092237,376,312960,86673,812,500

注: どちらの指数も配当利回りはS&P500より低いため、トータルリターンの大部分は株価成長(キャピタルゲイン)によるものとなります。

FANG+とNASDAQ100、おすすめは?

どちらも成長志向の投資家に人気ですが、「集中度」が最大の違いです。FANG+は「一攫千金」に近いリターンを狙えますが、リスクも極大です。NASDAQ100は「堅実な成長」を狙うための、よりバランスの取れた選択肢です。

観点FANG+NASDAQ100
目的圧倒的なリターンの最大化を狙うハイテク成長株で堅実に資産を増やす
リスク許容度非常に高い(特定銘柄の暴落で大打撃)高い(市場平均よりは高いボラティリティ)
集中度極限まで集中(10銘柄の動向が全て)ある程度分散(約100銘柄に分散)
下落耐性非常に弱い(リセッション時の暴落幅が大きい)弱い(大型ハイテクの比率が高いため)
配当水準極めて低い(ほぼ無配の企業が多い)低い(再投資は可能だが期待薄)
項目FANG+のメリットFANG+のデメリットNASDAQ100のメリットNASDAQ100のデメリット
メリット市場を上回る超高リターン期待、成長企業の恩恵を最大限に享受極度のボラティリティ、銘柄入れ替えによるリターンの変動リスク、特定企業への依存FANG+の主要銘柄を含みつつ分散も確保、適度な成長性とリスクのバランスFANG+のような爆発的なリターンは狙いにくい、金融株が含まれない点での分散不足

FAQ(よくある質問)

Q
景気後退期にはどちらがより安全ですか?
A

どちらも安全とは言えませんが、100銘柄に分散されているNASDAQ100のほうが、FANG+よりもわずかにリスクは低くなります。ただし、両指数ともテクノロジー株中心のため大きな下落は避けられません。

Q
FANG+とNASDAQ100の両方に投資するのは無駄ですか?
A

無駄ではありません。両者の主要銘柄は重複しますが、FANG+は均等加重で集中度が高く、NASDAQ100は時価総額加重で分散度が高いです。リスクとリターンの特性が異なるため、組み合わせて使う意義はあります。

Q
どちらの指数も配当が低いですが、配当を重視する人には不向きですか?
A

その通りです。この二つの指数は配当(インカムゲイン)ではなく、株価の値上がり(キャピタルゲイン)を追求するものです。配当重視であれば、S&P500や高配当株ETFが適しています。

Q
FANG+の構成銘柄が時々変わるのはなぜですか?
A

FANG+は「その時点での最も革新的な成長企業」を捉えることを目的としているため、特定の基準を満たさなくなった企業は除外され、新しい成長株が組み入れられます。これは指数の特性です。

Q
投資信託とETF、どちらで投資するのがおすすめですか?
A

基本的にはどちらでも構いませんが、NASDAQ100連動ETF(QQQなど)は取引量が多く流動性が高いです。FANG+は連動する投資信託の信託報酬などを比較して選ぶのが良いでしょう。

まとめ

FANG+とNASDAQ100の比較は、まさに「集中と分散」の対比でした。FANG+はポートフォリオに刺激と高いリターンをもたらしますが、そのリスクの大きさを理解しておく必要があります。NASDAQ100は、高い成長性を確保しつつも、ハイテク株の中では比較的リスクが分散されている優等生です。

どちらか一つを選ぶなら、多くの成長株を抑えるNASDAQ100。しかし、リスクを理解した上で、さらなるリターンを追求したいなら、両者を組み合わせることで、より戦略的なポートフォリオが完成します。

執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

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