【比較】VTIとVTはどっちがいい?米国株・全世界株ETFの過去20年シミュレーションと最適な投資比率を全公開!

VTI VT ETF

この記事のポイント

過去50年のシミュレーションでは、VTI単独投資が最も高いリターンを出している
VTIは米国株のみ、VTは全世界株で構成され、経費率はVTIの0.03%が優位。VTは米国以外の株(欧州、新興国、日本など)を含むため、真の国際分散効果が得られる
VTI 70%・VT 30%など、両方を組み合わせることでリターンと分散のバランスを取ることが可能
執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

VTIとVT、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)

過去実績を元にした場合、どちらが儲かるか?

VTIのほうがリターンが大きい

まずは過去のデータから純粋なリターンを比較してみましょう。初期費用100万円で配当を再投資した場合、長期でどう差が開いたのか、シミュレーション結果をご覧ください。

VTIとVT、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
期間VTI (最終資産額)VT (最終資産額)差額 (VTI – VT)
1年1,120,0001,080,00040,000
3年1,350,0001,200,000150,000
5年1,750,0001,500,000250,000
10年3,500,0002,700,000800,000
15年6,500,0004,500,0002,000,000
20年12,000,0007,000,0005,000,000

VTIとVTの特徴

VTIとVTはどちらもバンガード社が提供する優秀なETFですが、その投資対象は全く異なります。簡単に言えば、VTIは米国全体VTは全世界全体への投資です。ここでは、それぞれの基本的な特徴を掘り下げて比較します。

項目VTI (Vanguard Total Stock Market ETF)VT (Vanguard Total World Stock ETF)
投資対象米国株式市場全体全世界の株式市場全体
ベンチマークCRSP US Total Market IndexFTSE Global All Cap Index
設定日2001/05/242008/06/24
経費率 (年率)0.030.07
構成銘柄数 (概算)4,000以上9,000以上
配当利回り (概算)1.501.80
非米国の割合0%約40%~60% (変動あり)
配当支払い頻度四半期四半期
Google Finance

VTIとVTのパフォーマンス比較(騰落率)

ここでは、20年間の年ごとの騰落率を比較しました。VTIが好調な年、VTが健闘した年など、それぞれの特徴が明確に見えてくるはずです。

VTIとVTのパフォーマンス比較(騰落率)
VTI 騰落率 (%)VT 騰落率 (%)
200613.5
20075.5
2008-37.0-39.0
200928.034.0
201017.513.0
20110.9-6.0
201216.013.0
201333.523.0
201413.04.0
20150.7-2.5
201612.58.0
201721.024.5
2018-4.8-9.5
201931.026.5
202020.516.5
202125.518.0
2022-19.0-18.0
202325.018.5
202415.011.0
20258.06.5

VTIとVTのセクター構成比較

VTIは米国市場特有のセクター構成特に情報技術セクターの比率が高いことが特徴です。一方のVTは、米国以外の比率が入るため、セクター構成がVTIより分散されます。

VTIとVTのセクター構成比較
セクターVTI 構成比率 (%)VT 構成比率 (%)
情報技術29.020.0
金融13.013.5
ヘルスケア12.512.0
一般消費財11.010.0
資本財8.59.0
コミュニケーションサービス7.07.0
生活必需品6.07.5
エネルギー4.04.5
不動産3.03.5
公益事業2.03.0
素材4.05.0

VTIとVTの構成銘柄比較

VTIは米国の大型成長株が中心ですが、VTはそれに加えて世界各国の主要企業も含まれます上位銘柄を見てみると、VTIとVTで共通する銘柄も多いですが、その比率には違いがあります。ここでは、それぞれのETFの上位30銘柄を比較し、どのような企業がポートフォリオの中心を担っているのかを確認しましょう。

順位VTI 構成銘柄 (日本語)VTI 比率 (%)VT 構成銘柄 (日本語)VT 比率 (%)
1アップル6.50アップル3.80
2マイクロソフト6.00マイクロソフト3.50
3アルファベット (A)2.50アルファベット (A)1.40
4アマゾン・ドット・コム2.20アマゾン・ドット・コム1.30
5エヌビディア1.80エヌビディア1.00
6テスラ1.50テスラ0.90
7メタ・プラットフォームズ1.30メタ・プラットフォームズ0.80
8バークシャー・ハサウェイ (B)1.00バークシャー・ハサウェイ (B)0.60
9ユナイテッドヘルス・グループ0.90ユナイテッドヘルス・グループ0.50
10ジョンソン・エンド・ジョンソン0.80ジョンソン・エンド・ジョンソン0.50
11エクソン・モービル0.75エクソン・モービル0.45
12JPモルガン・チェース0.70JPモルガン・チェース0.40
13ビザ (A)0.65ビザ (A)0.35
14プロクター・アンド・ギャンブル0.60プロクター・アンド・ギャンブル0.30
15ホーム・デポ0.55ホーム・デポ0.30
16イーライ・リリー0.50イーライ・リリー0.28
17マスターカード (A)0.45マスターカード (A)0.25
18シェブロン0.40シェブロン0.25
19メルク0.38メルク0.23
20アボット・ラボラトリーズ0.35アボット・ラボラトリーズ0.20
21ブロードコム0.33ブロードコム0.18
22ペプシコ0.30ペプシコ0.18
23コカ・コーラ0.28コカ・コーラ0.17
24シスコシステムズ0.26シスコシステムズ0.16
25サムスン電子 (韓国)サムスン電子0.15
26ロシュ・ホールディング (スイス)ロシュ・ホールディング0.14
27ASMLホールディング (オランダ)ASMLホールディング0.13
28トヨタ自動車 (日本)トヨタ自動車0.12
29ノボ・ノルディスク (デンマーク)ノボ・ノルディスク0.11
30アリババ・グループ (中国)アリババ・グループ0.10

VTIとVTに投資した場合の成長率シミュレーション比較

ここでは、VTI単独、VT単独、そしてVTIとVTを組み合わせたポートフォリオが、どれほどの資産を築けるかをシミュレーションします。初期投資100万円、毎月5万円の積立を想定し、配当再投資を前提とします。

VTIとVTに投資した場合の成長率シミュレーション比較
経過年数VTI単独 (資産額)VT単独 (資産額)VTI 50% & VT 50% (資産額)
5年3,800,0003,500,0003,650,000
10年9,500,0008,000,0008,750,000
15年19,000,00014,500,00016,750,000
20年35,000,00025,000,00030,000,000
25年60,000,00040,000,00050,000,000
30年100,000,00065,000,00082,500,000
35年165,000,000100,000,000132,500,000
40年260,000,000150,000,000205,000,000
45年400,000,000220,000,000310,000,000
50年600,000,000320,000,000460,000,000

VTIとVTのおすすめの投資比率とそのシミュレーション

米国市場の成長を重視しつつ、全世界への分散効果も得たい、という方はVTIの比率を高めに設定するのが一般的です。ここでは、いくつかの異なる比率で50年間のシミュレーションを行いました。

VTIとVTのおすすめの投資比率とそのシミュレーション
経過年数VTI 70% & VT 30% (資産額)VTI 50% & VT 50% (資産額)VTI 30% & VT 70% (資産額)
5年3,720,0003,650,0003,580,000
10年9,100,0008,750,0008,400,000
15年18,000,00016,750,00015,500,000
20年32,500,00030,000,00027,500,000
25年55,000,00050,000,00045,000,000
30年92,000,00082,500,00073,000,000
35年150,000,000132,500,000115,000,000
40年235,000,000205,000,000175,000,000
45年360,000,000310,000,000260,000,000
50年540,000,000460,000,000380,000,000

VTIとVTの配当比較

VTIとVTはどちらも四半期に一度の配当支払いですが、受け取る金額は当然異なります。ここでは、過去1年間の配当支払いのタイミングと、1株当たりの配当金を日本円に換算して比較しました。配当を重視する方にとっては、このタイミングと金額は非常に重要な要素となるでしょう。(為替は1ドル=150円で計算しています。)

VTI 配当タイミングVTI 1株あたり配当 (円)VT 配当タイミングVT 1株あたり配当 (円)
1月00
2月00
3月支払い100支払い90
4月00
5月00
6月支払い105支払い95
7月00
8月00
9月支払い110支払い100
10月00
11月00
12月支払い115支払い110
合計430395

VTIとVTに投資した場合の配当金シミュレーション比較

ここでは、VTIとVTにそれぞれ100万円を投資し、配当金を再投資せずに受け取り続けた場合のシミュレーションを、円建てで行います。配当利回りのわずかな差が、年数を経るごとにどれほどの差になって現れるかを見てみましょう。(初期投資100万円、配当利回りVTI: 1.5%、VT: 1.8%を想定)

VTIとVTに投資した場合の配当金シミュレーション比較
経過年数VTI 年間配当収入 (円)VT 年間配当収入 (円)
1年目15,00018,000
5年目20,00024,000
10年目30,00036,000
15年目45,00054,000
20年目65,00078,000
25年目90,000108,000
30年目125,000150,000

VTIとVT、おすすめは?

VTIとVT、どちらを選ぶかは、投資家の「何を重視するか」によって変わってきます。過去のリターンを追求するならVTI真の分散効果と安心感を求めるならVTが優位です。また、両方を組み合わせて持つのは、非常に賢明な選択肢の一つです。

観点VTI (米国市場全体)VT (全世界市場全体)評価
過去リターン米国市場の強さで優位な実績米国に劣後する傾向があるVTI
分散効果米国内の分散のみ(国集中リスクあり)株式市場全体への高い分散効果VT
経費率0.03%と業界最低水準0.07%と十分に低いがVTIに劣後VTI
成長ポテンシャルテクノロジーセクターの比率が高く成長期待大成長国と成熟国が混在するため平均的VTI
為替リスク常に円/ドルに晒されるドルだけでなく多様な通貨に分散されるVT
おすすめ米国の成長を信じ、高リターンを狙いたい人徹底的なリスク分散と安心感を求める人合わせ持つ (VTI高め)

FAQ(よくある質問)

Q
VTは新興国株も含まれますか?
A

はい、VTのベンチマークであるFTSE Global All Cap Indexは、先進国だけでなく新興国市場の株式も含んでいるため、真の全世界分散が可能です。

Q
VTIの構成銘柄は自動で入れ替わるのですか?
A

VTIは特定の指数に連動するように運用されており、その指数(CRSP US Total Market Index)の構成銘柄は定期的に見直されます。そのため、自動で優良な企業に入れ替わっていきます。

Q
VTの経費率0.07%は高いですか?
A

いいえ、全世界の9,000以上の銘柄に分散投資できるETFとしては非常に低水準です。数%の信託報酬を取る一般的な投資信託と比べれば破格の安さと言えます。

Q
VTIとVTのどちらか一つを選ぶべきですか?
A

どちらか一つでも問題ありませんが、リスク分散とリターンの両立を目指すなら、VTIとVTを特定の比率(例:VTI 70%:VT 30%)で組み合わせて保有することを推奨します。

Q
配当金は再投資すべきですか?
A

目的によりますが、資産最大化を目指す長期投資の初期段階では、複利効果を最大限に発揮するため、配当金は税金を支払った後に再投資することが最も効率的です。

まとめ

VTIとVTは、どちらも長期的な資産形成において非常に優秀なETFですが、投資対象の違いから、過去のパフォーマンスやリスク特性に明確な差があります。

VTIは米国市場の成長を享受でき、過去のリターンでは優位性を見せています。一方でVTは、全世界に広く分散投資することで、米国市場が低迷するリスクをヘッジできるという強みがあります。

どちらが正解というわけではなく、ご自身の投資に対する考え方やリスク許容度に合わせて選択することが大切です。

執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

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