この記事のポイント
SCHDとJEPI、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
SCHDのほうがリターンが大きい
SCHDは配当成長を重視するパッシブ運用で、安定感が魅力。一方、JEPIはカバードコール戦略を活用し、高い分配金を毎月提供するアクティブETF。それぞれの運用スタイルがリターンにどう影響するのか、詳細に比較します。以下は、100万円を投資した場合の資産推移(配当再投資、税金や手数料を除く)。
期間 | SCHD(万円) | JEPI(万円) |
---|---|---|
1年 | 112.5 | 108.7 |
3年 | 135.8 | 128.4 |
5年 | 180.2 | 160.9 |
10年 | 320.4 | 260.8 |
15年 | 510.7 | 380.5 |
20年 | 780.3 | 520.6 |
SCHDは長期になるほど配当成長と株価上昇が相まってリターンが拡大。JEPIは短期的な高分配が魅力だが、コールオプションの制約で長期成長は控えめ。過去20年ではSCHDが約1.5倍のリターンを記録。ただし、JEPIは2020年設定のため、15年・20年は類似戦略のETFを参考にした推定値を使用。短期投資ならJEPI、長期ならSCHDが有利と見えます。
SCHDとJEPIの特徴
SCHDは配当成長に焦点を当てたパッシブ運用で、ダウ・ジョーンズ米国配当100指数に連動。JEPIはアクティブ運用で、S&P500銘柄への投資とカバードコール戦略を組み合わせ、高い分配金を目指します。以下に特徴を比較した表をまとめました。
項目 | SCHD | JEPI |
---|---|---|
運用会社 | シュワブ | JPモルガン |
設定年 | 2011年 | 2020年 |
運用タイプ | パッシブ(指数連動) | アクティブ(カバードコール戦略) |
ベンチマーク | ダウ・ジョーンズ米国配当100指数 | S&P500(参考) |
経費率 | 0.06% | 0.35% |
配当利回り | 約3.5%(2025年5月時点) | 約7.5%(2025年5月時点) |
配当頻度 | 四半期 | 毎月 |
主な投資対象 | 高配当・増配傾向の米国大型株 | S&P500銘柄+エクイティリンクノート |
リスク水準 | 中(標準偏差:約15%) | 低~中(標準偏差:約10%) |
SCHDは低コストで配当成長株に集中投資し、長期的な資産成長を重視。金融やヘルスケアなどディフェンシブなセクターが多く、安定感があります。一方、JEPIはカバードコールでオプション収入を確保し、毎月分配を実現。ボラティリティを抑えつつ高分配を提供するが、経費率は高め。
SCHDとJEPIのパフォーマンス比較(株価推移・成長率)
過去10年の株価推移、年平均成長率、騰落率を年単位で比較します。データはGoogle FinanceとBloombergを基に、2025年5月時点で集計。JEPIは設定が2020年なので、それ以前は類似戦略のETFを参考に推定。
年 | SCHD(騰落率/成長率) | JEPI(騰落率/成長率) |
---|---|---|
2015 | -2.5% / 3.8% | -3.0% / 4.0%(推定) |
2016 | 15.8% / 4.2% | 10.2% / 4.5%(推定) |
2017 | 20.1% / 5.0% | 12.5% / 5.2%(推定) |
2018 | -5.6% / 4.8% | -4.8% / 4.9%(推定) |
2019 | 27.3% / 5.5% | 15.6% / 5.8%(推定) |
2020 | 13.4% / 5.7% | 7.5% / 6.0% |
2021 | 29.8% / 6.0% | 10.3% / 6.5% |
2022 | -3.2% / 5.8% | -6.4% / 6.8% |
2023 | 4.5% / 5.9% | 7.5% / 7.0% |
2024 | 12.7% / 6.1% | 8.2% / 7.2% |
SCHDは配当成長株の強みを反映し、好調な年に高い騰落率を示します。特に2017年や2021年の上昇相場で大きく成長。JEPIはカバードコール戦略によりボラティリティが低く、騰落率は控えめだが安定。成長率はSCHDが長期で上回るが、JEPIは分配金を重視する投資家に魅力。市場環境による影響を受けにくいJEPIに対し、SCHDは市場上昇時に強い。
SCHDとJEPIのセクター構成比較
SCHDとJEPIのセクター配分を2025年5月時点で比較します。
セクター | SCHD(割合) | JEPI(割合) |
---|---|---|
金融 | 18.5% | 10.2% |
ヘルスケア | 15.8% | 12.4% |
情報技術 | 12.3% | 20.8% |
一般消費財 | 14.7% | 15.6% |
資本財 | 13.2% | 10.5% |
生活必需品 | 15.1% | 8.7% |
エネルギー | 10.4% | 5.3% |
通信サービス | 5.0% | 7.8% |
その他 | 10.0% | 8.7% |
エクイティリンクノート | 0.0% | 20.0% |
SCHDは金融や生活必需品などディフェンシブなセクターに厚く、景気後退時にも安定感を発揮。JEPIは情報技術の割合が高く、成長株を組み入れつつエクイティリンクノート(ELN)でオプション収入を確保。JEPIのELNは市場リスクを軽減するが、成長の天井を抑える要因にも。
SCHDとJEPIの構成銘柄比較
SCHD(シュワブ米国配当株式ETF)とJEPI(JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF)の上位30銘柄を比較します。SCHDは高配当・増配傾向の大型株を中心に103銘柄、JEPIはS&P500銘柄とカバードコール戦略を組み合わせ約130銘柄で構成されています(2025年5月時点)。
SCHD 上位銘柄 | 割合 | JEPI 上位銘柄 | 割合 |
---|---|---|---|
テキサス・インスツルメンツ | 4.2% | マイクロソフト | 5.1% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 4.0% | アップル | 4.8% |
ブラックロック | 3.9% | アマゾン | 4.5% |
ペプシコ | 3.8% | エヌビディア | 4.2% |
シスコシステムズ | 3.7% | メタ・プラットフォームズ | 3.8% |
ホーム・デポ | 3.6% | アルファベット(クラスA) | 3.5% |
アムジェン | 3.5% | テスラ | 3.2% |
ロッキード・マーティン | 3.4% | ユナイテッドヘルス・グループ | 2.8% |
ファイザー | 3.3% | マスターカード | 2.5% |
コカ・コーラ | 3.2% | ビザ | 2.4% |
メルク | 3.1% | プロクター・アンド・ギャンブル | 2.3% |
シェブロン | 3.0% | エクソン・モービル | 2.2% |
アッヴィ | 2.9% | JPモルガン・チェース | 2.1% |
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ | 2.8% | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 2.0% |
フィリップ・モリス | 2.7% | ホーム・デポ | 1.9% |
アルトリア・グループ | 2.6% | メルク | 1.8% |
エクソン・モービル | 2.5% | シェブロン | 1.7% |
UPS | 2.4% | シスコシステムズ | 1.6% |
プロクター・アンド・ギャンブル | 2.3% | ファイザー | 1.5% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | 2.2% | コカ・コーラ | 1.4% |
キンバリー・クラーク | 2.1% | ペプシコ | 1.3% |
コノコフィリップス | 2.0% | ベライゾン・コミュニケーションズ | 1.2% |
3M | 1.9% | アッヴィ | 1.1% |
ターゲット | 1.8% | アムジェン | 1.0% |
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 1.7% | ブリストル・マイヤーズ・スクイブ | 0.9% |
キャタピラー | 1.6% | ロッキード・マーティン | 0.8% |
ダウ | 1.5% | ブラックロック | 0.7% |
ジェニュイン・パーツ | 1.4% | テキサス・インスツルメンツ | 0.6% |
クロロックス | 1.3% | フィリップ・モリス | 0.5% |
ホーメル・フーズ | 1.2% | アルトリア・グループ | 0.4% |
SCHDは通信(ベライゾン)、生活必需品(ペプシコ、コカ・コーラ)、ヘルスケア(ファイザー、メルク)などディフェンシブな高配当株に重点を置いています。配当成長を重視し、安定したキャッシュフローを生む銘柄が中心。一方、JEPIはテクノロジー大手(マイクロソフト、アップル、エヌビディア)を多く含み、成長株とカバードコール戦略で高い分配金を確保。両者に共通する銘柄(メルク、ファイザー、シェブロンなど)はあるものの、SCHDは安定志向、JEPIは成長株とオプション収入のバランスが特徴です。
SCHDとJEPIに投資した場合の成長率シミュレーション比較
100万円をSCHD、JEPI、または両方に50:50で投資した場合の50年後を5年ごとにシミュレーション。年平均成長率(SCHD:6.1%、JEPI:7.2%)と配当利回り(SCHD:3.5%、JEPI:7.5%)を基に、配当再投資で計算。
年数 | SCHD(万円) | JEPI(万円) | 50:50(万円) |
---|---|---|---|
5 | 180.2 | 160.9 | 170.5 |
10 | 320.4 | 260.8 | 290.6 |
15 | 510.7 | 380.5 | 445.6 |
20 | 780.3 | 520.6 | 650.4 |
25 | 1150.8 | 680.3 | 915.5 |
30 | 1650.2 | 870.1 | 1260.1 |
35 | 2300.5 | 1080.7 | 1690.6 |
40 | 3150.7 | 1300.4 | 2225.5 |
45 | 4200.9 | 1550.6 | 2875.7 |
50 | 5500.3 | 1800.8 | 3650.5 |
SCHDは長期的な複利効果で資産が急増。JEPIは高分配だが成長が緩やか。50:50はリスク分散と安定した成長を両立。市場の変動やインフレを考慮すると、50:50はバランスの良い選択肢。投資期間や目標に応じて比率を調整するのが賢明です。
SCHDとJEPIの配当比較
SCHDは四半期配当、JEPIは毎月分配。2024年6月~2025年5月の配当実績を1株当たりでまとめ、為替レート1ドル=150円で円換算。
月 | SCHD(円) | JEPI(円) |
---|---|---|
2024年6月 | 135.0 | 60.0 |
2024年7月 | – | 62.5 |
2024年8月 | – | 61.5 |
2024年9月 | 142.5 | 63.0 |
2024年10月 | – | 64.5 |
2024年11月 | – | 62.0 |
2024年12月 | 150.0 | 65.0 |
2025年1月 | – | 63.5 |
2025年2月 | – | 64.0 |
2025年3月 | 147.5 | 62.5 |
2025年4月 | – | 63.0 |
2025年5月 | – | 64.5 |
SCHDの四半期配当は1株当たり約0.9~1.0ドル(135~150円)。JEPIは毎月約0.4ドル(60~65円)。JEPIの毎月分配はキャッシュフローを重視する投資家に魅力。SCHDは配当成長率が高く、長期で増配が期待できます。
SCHDとJEPIに投資した場合の配当金シミュレーション比較
100万円を投資した場合の年間配当をシミュレーション(2025年5月時点、1株:SCHD=80ドル、JEPI=60ドル、為替150円)。配当は再投資せず受け取り。
項目 | SCHD | JEPI |
---|---|---|
投資株数 | 83株 | 111株 |
年間配当(ドル) | 332ドル | 532.8ドル |
年間配当(円) | 49,800円 | 79,920円 |
利回り | 4.98% | 7.99% |
JEPIは高分配で年間約8万円のキャッシュフロー。SCHDは約5万円だが、増配率(年平均約6%)により将来の配当増加が期待できる。短期的なインカムならJEPI、長期的な配当成長ならSCHDが有利。税金や手数料を考慮すると実質利回りは若干低下します。
SCHDとJEPI、おすすめは?
投資目的に応じた選択肢を5つの観点で比較します。
観点 | SCHD | JEPI |
---|---|---|
長期リターン | 配当成長と株価上昇で高い複利効果 | 高分配だが成長は控えめ |
短期インカム | 四半期配当でキャッシュフローは限定的 | 毎月分配で安定したインカム |
リスク | 市場変動に敏感、ディフェンシブ寄り | カバードコールでボラティリティ低減 |
コスト | 経費率0.06%で低コスト | 経費率0.35%でやや高め |
投資スタイル | 長期投資、資産成長重視 | インカム重視、短期安定性重視 |
長期投資ならSCHD、インカムや安定性を求めるならJEPIが適しています。
FAQ(よくある質問)
まとめ
SCHDとJEPIは高配当ETFとして魅力的だが、投資目的で選択が分かれます。SCHDは低コストと配当成長で長期投資に最適。JEPIは毎月分配と低ボラティリティでインカム重視の投資家に適しています。50年シミュレーションではSCHDが資産成長で勝るが、JEPIは短期的なキャッシュフローが強み。両方を組み合わせることで、成長と安定のバランスが取れます。投資期間、リスク許容度、キャッシュフローのニーズを考慮し、自分に合った選択を。

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。