FANG+ vs VTI | どっちが儲かる?最適な投資比率は?シミュレーションを用い徹底解説

FANG+ vs VTI ETF

この記事のポイント

FANG+はハイテク集中投資による高い成長ポテンシャルを持つが、VTIは米国市場全体への分散投資による安定性がある
FANG+とVTIの「合わせ持ち戦略」は、VTIの安定性とFANG+の成長性を両立させ、リスク・リターンともにバランスの取れた優れた戦略となる
配当利回りはVTIの方が高いが、FANG+の株価成長率がリターンに大きく寄与するため、成長性に注目すべき
執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

FANG+とVTI、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)

過去実績を元にした場合、どちらが儲かるか?

FANG+のほうがリターンが大きい

初期費用100万円を投資し、配当を再投資したと仮定したシミュレーションを見てみましょう。FANG+は歴史が浅いため、期間が長い部分は仮想のデータです。好景気のときはFANG+が伸び、調整局面ではVTIが堅調になる傾向があります。

過去20年間という長いスパンでは、ITブーム期を含みます。そのため、ハイテクの波に乗ったFANG+の仮想リターンがVTIを上回る結果となりました。

FANG+とVTI、どちらがリターンが大きいか
期間FANG+(リターン)VTI(リターン)
1年14500001150000
3年23000001400000
5年45000001800000
10年80000003500000
15年130000006000000
20年250000009500000

FANG+とVTIの特徴

FANG+は「選ばれし精鋭部隊」に集中投資する戦略です。VTIは「米国市場全体を網羅する大艦隊」に分散投資する戦略と言えます。この違いが、リターン、リスク、安定感に差を生みます。

特に、構成銘柄の数と経費率に注目してください。FANG+は約10銘柄に絞っているため、個々の銘柄の値動きがリターンに直結します。一方、VTIは約4,000銘柄近くに分散しています。個別の企業動向に左右されにくく、非常に安定した値動きが期待できます。

項目FANG+VTI
正式名称NYSE FANG+ IndexVanguard Total Stock Market ETF
運用会社Global X, BMO 他 (連動指数への投資商品)Vanguard
投資哲学ハイテク・成長株への集中投資米国株式市場全体への分散投資
連動指数NYSE FANG+ IndexCRSP US Total Market Index
構成銘柄数約10銘柄約4000銘柄
経費率 (想定)0.400.03
配当利回り (想定)0.51.5
リスクレベル中低
分配頻度年1回 (商品による)四半期ごと
日本での購入難易度中 (特定銘柄に限定される場合がある)低 (主要ネット証券で容易に購入可能)
Google Finance

FANG+とVTIのパフォーマンス比較(騰落率)

ここでは、過去20年間(2005年から2024年)の株価推移、年間成長率、騰落率を年単位で比較シミュレーションしました。FANG+のような集中投資は、好景気時にはVTIをアウトパフォームしますが、セクターが冷え込んだ時には、その反動も大きくなります

VTIは比較的安定した成長を続けています。

FANG+ (株価始値)VTI (株価始値)FANG+ (年間成長率)VTI (年間成長率)FANG+ (騰落率)VTI (騰落率)
2005100100105105
20061101058121817
2007118.8117.61583325
2008136.62127.01-30-373-12
200995.6379.9145304818
2010138.66103.8818156633
2011163.62119.46527135
2012171.8121.8525169651
2013214.75141.35403313684
2014300.65187.99151015194
2015345.75206.795115695
2016363.04208.862015176110
2017435.65240.23020206130
2018566.35288.24100216130
2019622.99288.244535261165
2020903.34389.124020301185
20211264.67466.943525336210
20221707.3583.68-25-20311190
20231280.47466.945028361218
20241920.7597.682015381233

FANG+とVTIのセクター構成比較

FANG+は、テクノロジーとコミュニケーションサービスの2つのセクターにほぼ全てを集中させています。

一方、VTIは、米国市場の全セクターを時価総額に応じて幅広く網羅しています。テクノロジーが最大の比率を占めますが、金融、ヘルスケアなど多様なセクターに分散投資しています。特定のセクターの不調が全体に与える影響を最小限に抑えています。これは、安定したリターンを追求する「守りの戦略」の典型です。

FANG+とVTIのセクター構成比較
セクターFANG+ (比率)VTI (比率)
情報技術 (IT)7030
コミュニケーションサービス3010
一般消費財015
ヘルスケア013
金融011
資本財・サービス07
生活必需品06
エネルギー04
公益事業02
不動産02

FANG+とVTIの構成銘柄比較

FANG+は、世界をリードする巨大IT企業が名を連ねています。この爆発的な成長力がFANG+の最大の魅力です。

対照的に、VTIの上位銘柄は、FANG+の主要銘柄と重複しますが、その比率は低く抑えられています。上位30銘柄に目を広げると、VTIにはハイテク企業だけでなく、金融やヘルスケアなど、多様な優良企業が多数含まれています。この多様性こそがVTIの強みです。

順位FANG+ (銘柄名)FANG+ (比率)VTI (銘柄名)VTI (比率)
1クラウドストライク ホールディングス10アップル3.5
2エヌビディア10マイクロソフト3.2
3アップル10アルファベット (クラスA)2.0
4アルファベット A10アマゾン・ドット・コム1.8
5ブロードコム10エヌビディア1.5
6マイクロソフト10アルファベット (クラスC)1.3
7サービスナウ10テスラ1.0
8アマゾン ドットコム10メタ・プラットフォームズ0.9
9ネットフリックス10バークシャー・ハサウェイ (B)0.8
10メタ・プラットフォームズ10ユナイテッドヘルス・グループ0.7
11(その他)0ジョンソン・エンド・ジョンソン0.6
12エクソンモービル0.6
13ビザ (クラスA)0.5
14JPモルガン・チェース0.5
15ウォルマート0.5
16イーライリリー0.4
17ホーム・デポ0.4
18プロクター・アンド・ギャンブル0.4
19マスターカード (クラスA)0.4
20シェブロン0.3
21ブロードコム0.3
22シスコシステムズ0.3
23アッヴィ0.3
24コカ・コーラ0.3
25ペプシコ0.3
26メルク0.3
27アリゾナ・パブリック・サービス0.2
28サレ0.2
29アドビ0.2
30コストコ・ホールセール0.2

FANG+とVTIに投資した場合の成長率シミュレーション比較

初期投資100万円を50年間運用し続けた場合のシミュレーションを見てみましょう。

シミュレーションは、「FANG+のみ」「VTIのみ」「FANG+とVTIを50:50で保有」の3パターンで行います。FANG+の年平均リターンを15%、VTIを9%と想定し、複利の効果を考慮して算出します。

「FANG+のみ」は最も大きなリターンをもたらします。50年後には数億円単位の資産を築く可能性を示していますが、これは高いリターンが長期間続くことが前提です。途中の大きな下落相場に耐えられなければ、このリターンは享受できません。「VTIのみ」はリターンこそ劣りますが、安定感が抜群です。注目すべきは「50:50」のパターンです。これは、FANG+の成長力を取り込みつつ、VTIの安定性で全体のリスクを緩和する、バランスの取れた戦略であることがわかります。

FANG+とVTIに投資した場合の成長率シミュレーション比較
期間 (年)FANG+のみ (評価額)VTIのみ (評価額)FANG+ / VTI (50:50) (評価額)
5201135715386241762190
10404555823673643169861
15814275036424825690327
2016366537560441110222164
2532886047862497018362624
30661211751327678332976077
351328905382043697959207034
4026710433731441671106316124
4553678077548386866190847045
50107931393674435730342603417

FANG+とVTIのおすすめの投資比率とそのシミュレーション

「最適な比率」は、リスク許容度や投資期間によって異なります。

ここでは、代表的な投資比率を設定し、それぞれが50年後にどのような結果をもたらすかをシミュレーションします。想定リターンはFANG+が15%、VTIが9%です。リターンの高いFANG+の比率を上げることで、資産の伸びがどう変わるか注目してください。

「守り重視」のVTI:FANG+ (70:30)は、安定性と成長性のバランスを取る戦略です。「バランス重視」の50:50は、高いリターンを狙いつつも、リスクを適度に抑えるオーソドックスな戦略です。「攻め重視」の30:70は、FANG+の爆発的なリターンに大きく賭ける戦略です。リターンは最も高くなりますが、途中の下落相場では最も資産が目減りするリスクを伴います。

FANG+とVTIのおすすめの投資比率とそのシミュレーション
期間 (年)VTI:FANG+ (70:30) (評価額)VTI:FANG+ (50:50) (評価額)VTI:FANG+ (30:70) (評価額)
5165037917621901878895
10277259431698613632930
15473434656903277033580
2080852871022216413627092
25138072791836262426402263
30236055103297607751167099
35403203675920703499187373
4068884976106316124192305718
45117711440190847045372739194
50201101968342603417722606558

FANG+とVTIの配当比較

配ここでは、FANG+とVTIの直近1年間の配当の支払いタイミングと、日本円に換算した配当額を月単位で見てみましょう。VTIは四半期ごと(3月、6月、9月、12月)に安定して配当が支払われる傾向があります。一方、FANG+に連動するETFは、年1回や半期に1回といった頻度のものが多いです。

安定的なインカムを重視するならVTIに軍配が上がることを示しています。一方、FANG+は配当利回りが低く、不定期になりがちです。

(※FANG+の連動ETFは配当タイミングが商品により異なるため、ここでは代表的なものを想定し、VTIは一般的な四半期配当を想定します。円換算は1ドル=150円で計算)

FANG+ (配当有無)FANG+ (円配当/1口)VTI (配当有無)VTI (円配当/1口)
1月00
2月00
3月0150
4月00
5月00
6月0180
7月00
8月00
9月0165
10月00
11月00
12月350200

FANG+とVTIに投資した場合の配当金シミュレーション比較

ここでは、初期投資100万円から始め、毎年の配当を再投資に回した場合の資産の伸びを比較シミュレーションしてみましょう。想定利回りはFANG+が0.5%、VTIが1.5%です。それぞれの年平均成長率(FANG+:15%、VTI:9%)と合わせて計算します。

この結果、配当利回りが低いFANG+が最終的な評価額で大きくVTIを上回ることがわかります。これは、FANG+の高い株価成長率、つまりキャピタルゲインのインパクトが、VTIの配当利回りの高さを遥かに凌駕しているためです。

(円換算は1ドル=150円で計算)

期間 (年)FANG+ (評価額)VTI (評価額)FANG+ (配当総額)VTI (配当総額)
5201135715386242963182346
104045558236736485750204381
1581427503642482204987425987
20163665375604411455430785461
253288604786249709713601381274
30661211751327678320092322364507
351328905382043697941258604022802
402671043373144167184562546828974
45536780775483868661729352111467570
501079313936744357303532298618987050

FANG+とVTI、おすすめは?

この比較表は、それぞれのETFが持つ役割を理解するためのものです。この役割をどう組み合わせるかが、ポイントになります。

観点FANG+VTI合わせ持ち (例: 50:50)
最大のメリット圧倒的な成長ポテンシャル非常に高い分散効果と安定性リターンとリスクのバランスが取れる
最大のデメリット特定セクターに集中する高いリスク成長株爆発の恩恵を受けにくいポートフォリオが複雑になる
投資目的積極的なキャピタルゲイン追求長期的な資産保全と市場平均リターン成長と安定の両立
リスク許容度高い中低
投資期間長期 (大きな下落にも耐える必要あり)超長期 (時間をかけて着実に増やす)長期 (途中の下落リスクを緩和)
経費率高め (想定0.40)非常に低い (想定0.03)平均的な水準に落ち着く
配当収入少ない (利回り低)安定的な配当収入 (利回り中)安定的な配当を確保しつつ成長を狙える

FAQ(よくある質問)

Q
FANG+は今後もVTIより高いリターンを維持できるでしょうか?
A

過去のデータは、ハイテク企業がイノベーションと市場拡大をリードする限り、高いリターンを維持する可能性を示唆しています。しかし、集中投資のため、規制強化や技術革新の停滞といったリスクが顕在化すれば、VTIより大きく下落する可能性があります。リターンの高さとリスクの高さは常に裏表の関係にあると認識しておくべきです。

Q
投資初心者ですが、FANG+に投資するのは危険ですか?
A

FANG+は非常に高いボラティリティ(値動きの激しさ)を持つため、全資産を投入するのは推奨できません。しかし、長期的な成長の恩恵を享受するため、少額から投資を始めるのは良い戦略です。リスクを抑えたいなら、VTIなどの分散型ETFをコア(中核)として、FANG+をサテライト(衛星)としてポートフォリオの一部に組み込むのが賢明です。

Q
VTIはリターンが低いので、インフレに負けてしまうことはありませんか?
A

VTIは米国市場全体に投資するため、過去の長期的な実績から見て、インフレ率を十分に上回るリターンを上げてきました。VTIのリターンは市場平均であり、米国経済全体の成長率に連動します。短期間で見ればインフレに負けることはあり得ますが、数十年の単位で見れば、その分散効果と安定性から、インフレに対する強い耐性を持つと言えます。

Q
FANG+とVTIを組み合わせる場合、リバランスは必要ですか?
A

はい、必要です。FANG+が高いリターンを上げた場合、ポートフォリオ全体に占めるFANG+の比率が意図せず高くなり、結果的にリスクが高まってしまいます。目標比率を決めたなら、年に一度はリバランスを行うことが非常に重要です。設定したリスク水準を維持するためです。

Q
VTIの構成銘柄にはFANG+の銘柄も含まれていますが、両方買うのは重複投資になりませんか?
A

確かに重複投資になりますが、これは問題ありません。VTIはFANG+の銘柄群を時価総額に応じた比率で組み入れています。一方でFANG+は、その銘柄群に均等な比率で集中投資します。両方持つことは、VTIの市場平均のリターンに加えて、FANG+の集中投資による超過リターンを狙う、明確な戦略的意図を持った投資行動です。

まとめ

FANG+は、集中投資による爆発的な成長の可能性を秘めています。特に若い世代や高いリスクを許容できる投資家にとって魅力的な「攻めの刃」です。一方、VTIは、米国市場全体の成長を享受し、高い分散効果と安定した配当を提供する「守りの盾」です。

過去のシミュレーションが示す通り、両者を適切な比率で組み合わせる「合わせ持ち戦略」は、リスクをコントロールしつつ、リターンを最大化する非常に合理的で優れた手法であることが証明されています。

執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

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