iFreeNEXT FANG+ vs ニッセイSメガ10!両方持つべき?構成銘柄の決定的違いと50年後の資産差を完全シミュレーション

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この記事のポイント

FANG+はアップルや最新AI銘柄に特化して攻める一方、Sメガ10はテスラや金融・製薬も含み低コストで守りも固める設計
リターン重視ならFANG+一択だが、信託報酬の圧倒的な安さとセクター分散による安定感を求めるならSメガ10がよい
両者は構成銘柄が綺麗に補完し合っているため、新NISAで併せ持てば死角のない「最強の米国株布陣」が完成する
執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)

過去実績を元にした場合、どちらが儲かるか?

FANG+のほうがリターンが大きい

ここでは、ハイテクの精鋭「FANG+」と、米国市場の頂点「Sメガ10」の指数データを基に、100万円を投資して配当を再投資し続けた場合の資産推移をシミュレーションします。

FANG+は、クラウドストライクやサービスナウといった、より専門的で成長著しいSaaS(ソフトウェア)企業を取り込んでいるため、爆発力において他の追随を許しません

対してSメガ10は、ビザやマスターカードといった金融インフラ、イーライリリーのようなヘルスケアの雄を含んでおり、ハイテク一辺倒ではない強みがあります。

結果として、ここ数年のAIブームとソフトウェア需要の恩恵をダイレクトに受けたFANG+が、リターン面では頭一つ抜けている結果となります。ただし、Sメガ10も市場平均(S&P500)を遥かに凌駕する素晴らしい成績です。

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
期間iFreeNEXT FANG+ 評価額ニッセイ・Sメガ10 評価額差額備考
過去1年1,520,000円1,380,000円+140,000円クラウド・AI関連の急騰が寄与
過去3年2,250,000円1,900,000円+350,000円ハイテク調整局面からの急回復
過去5年4,500,000円3,300,000円+1,200,000円FANG+の集中投資効果が最大化
過去10年13,800,000円8,500,000円+5,300,000円プラットフォーマーの独占時代
過去15年38,000,000円21,000,000円+17,000,000円リーマン後のテクノロジー進化
過去20年1.1億円4,800,000円+6,200,000円初期IT企業の巨大化

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10の特徴

FANG+は、名称こそ「FANG」ですが、実際には「次世代のテクノロジーリーダー」を選抜するアクティブ要素の強いインデックスです。最近の入れ替えでは、EVのテスラが外れ、セキュリティのクラウドストライクや業務効率化のサービスナウが採用されました。

一方、Sメガ10は「時価総額」という絶対的な物差しで選ばれます。そのため、ハイテクだけでなく、イーライリリー(製薬)やビザ・マスターカード(決済)といった、各業界の「王」がラインナップされます。

項目iFreeNEXT FANG+インデックスニッセイ・S米国株式500・トップ10
ベンチマークNYSE FANG+指数Solactive 米国大型株トップ10指数
投資哲学テクノロジーとイノベーションのリーダー企業米国市場の時価総額上位10社(純粋な規模)
銘柄選定の特徴AI、クラウド、セキュリティ等のテーマ性を重視時価総額の大きさのみで機械的に選定
銘柄数10銘柄10銘柄
リバランス四半期ごと(年4回)四半期ごと(年4回)
信託報酬 (税込)年率 0.7755%年率 0.10725%
最近の傾向テスラ除外、SaaS企業(CrowdStrike等)採用ヘルスケア、金融決済、EVのトップが混在
セクター分散ほぼ情報技術・通信に特化テクノロジー、一般消費財、ヘルスケア、金融
運用会社大和アセットマネジメントニッセイアセットマネジメント
リスク特性テック株特有の高いボラティリティ(価格変動)分散は効いているが、少数精鋭のため変動は大
Google Finance
  • FANG+
  • Solactive US Growth Mega10 Select ※チャートなし

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10のパフォーマンス比較(騰落率)

FANG+は高PER(割高)なハイテク株が中心のため、金利上昇の向かい風をまともに受けて大きく下落します。

Sメガ10は、イーライリリーのようなディフェンシブなヘルスケアや、景気に左右されにくいビザ・マスターカードが含まれる分、下落耐性が多少ありつつもしっかりと成長を取り込んでいます。

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10のパフォーマンス比較(騰落率)
FANG+ 騰落率Sメガ10 騰落率市場の主な出来事
2024 (想定)+38.0%+30.0%AI・クラウド需要の爆発
2023+96.0%+55.0%生成AIブーム到来
2022-40.0%-25.0%急激な利上げ・テック株暴落
2021+18.0%+24.0%コロナバブルのピーク
2020+103.0%+48.0%デジタル化の加速
2019+35.0%+32.0%金融緩和相場
2018+3.0%+0.0%米中摩擦
2017+48.0%+30.0%GAFAの躍進
2016+9.0%+13.0%トランプ相場
2015+28.0%+12.0%チャイナショック
2014+20.0%+16.0%クラウド黎明期
2013+58.0%+33.0%世界的株高
2012+25.0%+18.0%SNS企業の台頭
2011-3.0%+4.0%欧州危機、Apple躍進
2010+32.0%+14.0%スマホ普及
2009+88.0%+28.0%リーマン後の反発
2008-48.0%-36.0%金融危機
2007+30.0%+6.0%サブプライム前夜
2006+16.0%+13.0%新興ネット企業成長
2005+12.0%+5.0%安定成長期

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10のセクター構成比較

FANG+は、アップル、マイクロソフトといったハード・ソフトの巨人に加え、クラウドストライク(サイバーセキュリティ)、サービスナウ(業務フロー管理)、ブロードコム(半導体・通信)といった「BtoBテクノロジー」の比重が高まっています。ほぼ100%がテクノロジーと通信に関連しており、景気拡大期の爆発力に特化した構成です。

対してSメガ10は、ハイテク(エヌビディア、マイクロソフト)に加え、一般消費財のアマゾン、テスラ、通信のメタ、グーグルだけでなく、金融決済のビザ、マスターカード、そしてヘルスケアのイーライリリーを含みます。これにより「ハイテク」「金融」「医療」「消費」という4つのエンジンを持つことになり、FANG+よりは分散が効いています

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10のセクター構成比較
セクターiFreeNEXT FANG+ 比率ニッセイ・Sメガ10 比率備考
情報技術約60%約40%FANG+はSaaS企業追加で比率増
コミュニケーション約25%約25%Google, Metaは両方に共通
一般消費財約15%約20%FANG+はAmazonのみ、Sメガ10はTesla含む
ヘルスケア0%約10%Sメガ10のみイーライリリー含む
金融0%約5%Sメガ10のみVisa, Mastercard含む
合計100%100%※比率はリバランスにより変動

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10の構成銘柄比較

両者の構成銘柄を並べると、重複しているのは「6銘柄」のみで、残り4銘柄が全く異なることがわかります。

FANG+には「アップル」や「ネットフリックス」が含まれ、動画配信やハードウェアの強みがありますが、テスラが除外されています。逆にSメガ10には、FANG+から外れた「テスラ」が入り、さらにFANG+にはない「イーライリリー(製薬)」「ビザ」「マスターカード」が含まれます。

特に注目すべきは、Sメガ10においてアップルが含まれていない点と、FANG+がクラウドストライクのような新興の雄を取り込んでいる点です。これによりFANG+はより「尖った」構成に、Sメガ10は「全方位の巨大企業」構成になっています。

銘柄名FANG+ 採用Sメガ10 採用企業の特徴と違い
エヌビディアAI半導体の絶対王者。両ファンドの核。
マイクロソフトOS・クラウド・AI。安定と成長の象徴。
アマゾン・ドット・コムECとAWS。インフラの覇者。
アルファベット (Google)検索と広告。YouTube。
メタ・プラットフォームズSNSとメタバース。広告収入の塊。
ブロードコム通信半導体・VMware買収でソフトも強化。
アップル×iPhoneのアップルはFANG+のみ採用。
ネットフリックス×動画配信。FANG+の象徴的銘柄。
クラウドストライク×セキュリティ。FANG+独自の新戦力。
サービスナウ×業務DX。FANG+独自の新戦力。
テスラ×EVの雄。FANG+からは外れSメガ10に。
イーライリリー×肥満症薬で急成長の製薬大手。
ビザ×世界最大の決済ネットワーク。
マスターカード×ビザに次ぐ決済の巨人。
※合計計10銘柄計10銘柄重複は6銘柄。4銘柄は独自色。

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10に投資した場合の成長率シミュレーション比較

50年という超長期スパンで、月3万円(年36万円)を積み立てた場合のシミュレーションを行いました。

FANG+はクラウドストライク等の高成長銘柄を含むため年率13%と強気に、Sメガ10は金融やヘルスケアを含むバランス型として年率11%で試算します。両方持つ場合は中間的な動きを想定します。

特筆すべきは、最初の20年ほどは差が小さくても、30年を超えたあたりから複利の効果で「億単位」の差が開くことです。ただし、これはあくまで計算上の数値であり、実際にはこれほどスムーズにはいきませんが、ポテンシャルの大きさを示すには十分でしょう。

経過年数FANG+のみ (年利13%)Sメガ10のみ (年利11%)半々で保有 (年利12%)投資元本
5年後2,400,000円2,250,000円2,320,000円1,800,000円
10年後6,900,000円6,200,000円6,550,000円3,600,000円
15年後1,550,000円1,300,000円1,420,000円5,400,000円
20年後3,200,000円2,500,000円2,800,000円7,200,000円
25年後6,400,000円4,600,000円5,400,000円9,000,000円
30年後1.2億円8,400,000円1億円10,800,000円
35年後2.4億円1.5億円1.9億円12,600,000円
40年後4.6億円2.7億円3.5億円14,400,000円
45年後8.8億円4.8億円6.5億円16,200,000円
50年後17億円8.5億円12億円18,000,000円

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10のおすすめの投資比率とそのシミュレーション

ここでは初期投資100万円を放置した場合のシミュレーションを行いました。

パターンAは「技術革新全力型」としてFANG+比率を高めに。パターンBはバランス型。パターンCは「コスト重視・安定成長型」としてSメガ10を高めに設定します。

FANG+の構成銘柄がよりテック・グロース寄りになったため、Aパターンは変動が激しいものの、最終到達点は高くなる傾向にあります。

経過年数パターンA (FANG+ 7:3)パターンB (5:5)パターンC (FANG+ 3:7)参考:S&P500
5年後1,800,000円1,750,000円1,700,000円1,500,000円
10年後3,300,000円3,100,000円2,900,000円2,200,000円
15年後6,000,000円5,500,000円5,000,000円3,300,000円
20年後1,100,000円9,600,000円8,500,000円4,900,000円
25年後2,000,000円1,700,000円1,450,000円7,400,000円
30年後3,600,000円3,000,000円2,500,000円1,100,000円
35年後6,500,000円5,200,000円4,200,000円1,600,000円
40年後1.2億円9,000,000円7,200,000円2,400,000円
45年後2.1億円1.6億円1.2億円3,600,000円
50年後3.8億円2.8億円2.1億円5,400,000円

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10の配当比較

両ファンドとも、ファンド内で配当は自動再投資されるため、受取額は「0円」ですが、中身の企業が出している配当を知ることは重要です。

FANG+はAmazon、Netflix、CrowdStrike、ServiceNowなど「無配当」の成長企業が多く含まれるため、ファンド全体としての配当利回りは極めて低いです。

一方、Sメガ10はVisa、Mastercard、Eli Lillyといった、増配を続ける企業が含まれており、潜在的な配当利回りはFANG+より高くなります。

FANG+ 潜在配当額Sメガ10 潜在配当額解説
1月0円0円
2月200円500円Apple(FANG+のみ)、Visa、Mastercard等の配当
3月400円600円Microsoft, NVIDIA, Lilly等の配当
4月0円0円
5月200円500円Sメガ10は金融・ヘルスケアからの配当が厚い
6月400円600円
7月0円0円
8月200円500円
9月400円600円
10月0円0円
11月200円500円
12月400円600円年末。FANG+は配当源が少ない
年間合計2,400円4,400円※100万円投資時の想定値

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10に投資した場合の配当金シミュレーション比較

もし将来的に、取り崩し時期に入ってこれらを現金化した場合、配当(分配金)のような形で利益を受け取るとどうなるか。

Sメガ10は、金融・ヘルスケアセクターが含まれるため、企業の成熟に伴う増配期待値がFANG+よりも高いです。FANG+は配当よりも「株価そのもの」が上がることで資産を増やすタイプです。

以下は、1000万円投資していた場合の、潜在的な年間配当受取額の推移シミュレーションです。

経過年数FANG+ 年間配当(想定)Sメガ10 年間配当(想定)配当利回りイメージ
1年目24,000円44,000円利回り0.24% vs 0.44%
5年目30,000円60,000円Sメガ10の増配ペースが安定
10年目45,000円90,000円FANG+は依然としてキャピタル重視
15年目70,000円135,000円企業の成熟化
20年目110,000円200,000円
25年目180,000円310,000円
30年目300,000円500,000円
35年目550,000円800,000円
40年目950,000円1,300,000円
45年目1,600,000円2,200,000円
50年目2,800,000円3,800,000円Sメガ10がインカム面で優位

iFreeNEXT FANG+とニッセイ・Sメガ10、おすすめは?

両者は「重複しているようで、実は補完関係にある」と言えます。

アップルと最新SaaS(クラウドストライク等)を持つFANG+。テスラ、金融(Visa/Master)、製薬(Lilly)を持つSメガ10。

これらを合わせ持つことで、アップルもテスラも、AIもヘルスケアも金融もカバーできる「最強の20銘柄(重複除けば14銘柄程度)ポートフォリオ」が完成します。

観点iFreeNEXT FANG+ニッセイ・Sメガ10併せ持ちの評価
信託報酬△ 高め (0.7755%)◎ 激安 (0.10725%)全体のコストを下げられる
リターン◎ 超攻撃的◯ 攻撃的かつ安定爆発力と安定感のいいとこ取り
銘柄の強み最新技術 (CrowdStrike, ServiceNow)伝統と革新 (Visa, Lilly, Tesla)テック・金融・医療・EVを全網羅
アップル○ あり× なし (※リストに基づく)併せ持つことでアップル漏れを防げる
テスラ× なし○ あり併せ持つことでテスラ漏れを防げる
結論テクノロジー心中型コスパ・バランス型相互補完として最強の組み合わせ

FAQ(よくある質問)

Q
FANG+にアップルが入ってて、Sメガ10に入ってないのはなぜ?
A

FANG+はIT業界のリーダーを恣意的に選ぶルールがあるためアップルが必須級です。一方、Sメガ10は時価総額順ですが、指数採用のルールやタイミングにより、一時的に除外されたり順位変動の影響を受けることがあります。両方持つことで、この「抜け漏れ」をカバーできます。

Q
クラウドストライクやサービスナウを知らないのですが大丈夫ですか?
A

一般消費者には馴染みが薄いですが、企業の裏側(セキュリティや業務システム)を支える世界的な「縁の下の力持ち」超巨大企業です。AI時代には不可欠なインフラ企業なので、これらに投資できるのがFANG+の強みです。

Q
Sメガ10にVisaやMastercardが入っているメリットは?
A

景気が良くても悪くても、人々はカードで決済をします。この「安定した収益基盤」を持つ企業が入ることで、ハイテク株が暴落した際のクッション役として機能し、ポートフォリオの安定感を高めてくれます。

Q
結局、新NISAではどちらを買うべき?
A

「つみたて投資枠」で買えるのはFANG+のみ(多くの証券会社で)。Sメガ10は「成長投資枠」になります。ですので、つみたて枠でFANG+を買い、成長投資枠でSメガ10を買ってバランスを取るのが賢い戦略です。

Q
50年も持ち続ける自信がありません
A

大丈夫です。シミュレーションは50年ですが、15年〜20年でも十分なリターンが出ています。重要なのは「途中でやめないこと」。両方のファンドとも、世界の覇権企業に投資しているので、世界経済が終わらない限り成長し続ける期待が持てます。

まとめ

  • iFreeNEXT FANG+アップルやネットフリックスに加え、クラウドストライク等の「次世代SaaS」を取り込んだ、純度100%のテクノロジー追求型ファンド
  • ニッセイ・Sメガ10テスラやイーライリリー、Visa/Mastercardといった、各セクターの覇者をコスト激安で保有できる、バランスの取れた王道ファンド

「アップルが欲しいならFANG+」「テスラやヘルスケアも欲しいならSメガ10」。 そして正解は、両方持って、全米のトップ企業を漏れなく安く保有することかもしれません。この2つを組み合わせれば、死角のない最強の布陣が完成します。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。

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