この記事のポイント
この記事では、Vanguard High Dividend Yield ETF(VYM)の魅力、特性、そして投資家が抱える疑問にお答えします。配当金重視の投資家に人気のあるVYMですが、全ての投資家にとって最適な選択肢とは限りません。本記事では以下の内容を詳しく解説します。
- VYMの基本情報と特徴
- おすすめしない声の理由
- 配当金シミュレーション
- パフォーマンスの詳細
- VYMと他のETFの比較
配当を目的とした長期投資家に役立つ情報を網羅した本記事で、VYMについての理解を深め、投資判断の一助としていただければ幸いです。
VYMとは
Vanguard High Dividend Yield ETFの概要
VYMは、世界的に有名な資産運用会社であるVanguardが提供するETFの一つです。このETFは、米国市場で高配当株に焦点を当てたポートフォリオを持ち、配当収入を重視する投資家に人気があります。
- 運用会社: Vanguard
Vanguardは、ETFやインデックスファンドの分野で低コスト運用を追求してきた業界リーダー - 設定年: 2006年
長期にわたる運用実績があり、信頼性が高い - ベンチマーク: FTSE High Dividend Yield Index
米国市場の高配当株を対象としたインデックスを追随しています。このインデックスは、配当利回りの高い株式を選定し、安定した収入を提供することを目的としています。 - 経費率: 0.06%
VYMの経費率は業界でも最低水準であり、コストパフォーマンスが非常に優れている
配当利回りと収益性
VYMの配当利回りは通常3~4%程度です。この利回りは、安定したインカムゲインを求める投資家に適しており、特に退職後の収入源として利用するのに向いています。
投資対象とセクター分布
VYMは、米国市場の多様なセクターにわたる400銘柄以上を組み入れています。代表的なセクターとしては以下が挙げられます。
- 金融セクター: 銀行や保険会社が多く含まれるため、金利の動向に敏感です。
- ヘルスケアセクター: 医薬品や医療機器メーカーが多く、比較的防御的な特性を持ちます。
- 消費財セクター: 食品や生活必需品メーカーが含まれ、不況時にも安定した需要があります。
投資家にとっての魅力
VYMは、長期的な配当収入を求める投資家や、資産の安定性を重視する方に適しています。また、若干のキャピタルゲインも期待できるため、バランスの取れた投資対象として人気があります。
投資の目的に応じた選択
VYMは、以下のような投資目標を持つ方に特に適しています。
- 配当収入を主たる目的とする退職者
- 安定した収益を求める防御的な投資家
- ポートフォリオの分散効果を高めたい投資家
VYMの特徴 (表)
項目 | 内容 |
---|---|
運用会社 | Vanguard |
設定年 | 2006年 |
経費率 | 0.06%(非常に低いコスト) |
構成銘柄数 | 約400銘柄 |
ベンチマーク | FTSE High Dividend Yield Index |
配当利回り | 約3~4% |
配当頻度 | 四半期ごと |
主なセクター | 金融(20%)、ヘルスケア(15%)、消費財(13%)、エネルギー(10%) |
リスク特性 | 比較的低リスクで防御的 |
キャピタルゲイン | 高配当ETFの中では控えめ |
1. 低コスト運用
VYMの経費率は0.06%と業界でも最も低い水準に位置します。このコストの低さは、長期的な投資において特に重要です。低コストの運用は、複利効果を最大化し、資産の成長を促進します。
2. 高配当の安定性
VYMの配当利回りは3~4%程度で、インカムゲインを重視する投資家にとって安定的な収入を提供します。配当金は四半期ごとに支払われ、長期投資の安心感を与えてくれます。
3. 分散投資の恩恵
約400銘柄を構成するVYMは、単一銘柄への依存を避け、多様なリスクを分散します。主に大型株を中心に構成されており、米国経済全体の恩恵を享受する設計です。
4. セクター配分の特徴
VYMは金融セクターやヘルスケアセクターへの投資割合が高い一方で、テクノロジーセクターの割合は控えめです。このため、成長性よりも安定性を求める投資家に適しています。
セクター別構成比率
- 金融: 20%
- ヘルスケア: 15%
- 消費財: 13%
- エネルギー: 10%
- その他: 42%
5. 長期投資との相性
VYMは、インカムゲイン(配当収入)を求める投資家にとって最適な選択肢です。一方、キャピタルゲイン(株価上昇)を狙う投資家には、成長株ETF(例: VGTやQQQ)が適している可能性があります。
VYMはやめておいたほうがいい?おすすめしない声があるのはなぜか?
VYMはその魅力から多くの投資家に支持されていますが、一部では「VYMはやめておいたほうがいい」という意見も見られます。
理由1: キャピタルゲインの低さ
VYMは高配当株に特化しているため、成長株ETFと比べて株価上昇の可能性が限定的です。若い世代の投資家や積極的な成長を求める投資家にとっては、物足りないと感じるかもしれません。
理由2: セクターの偏り
VYMは金融やヘルスケアといったセクターに偏重しており、これらのセクターが市場全体で低迷すると、パフォーマンスが影響を受けやすいです。一方で、成長性の高いテクノロジーセクターの割合が低いため、市場全体の成長スピードに遅れを取る可能性があります。
理由3: 為替リスク
日本の投資家にとって、VYMはドル建てのETFであるため、円高の際に為替差損が生じるリスクがあります。このリスクを避けるには、為替ヘッジを利用するか、投資のタイミングを慎重に考える必要があります。
理由4: 配当課税
VYMの配当は、米国での現地課税(10%)と日本での課税の二重課税が発生する可能性があります。これにより、手取りの配当金が減少し、期待したリターンが得られないケースもあります。
理由5: 再投資の効果が薄い
高配当ETFは配当を現金で受け取ることが多いですが、再投資を行う場合、その効果は成長株ETFよりも限定的です。このため、複利の恩恵を最大限に活かすことが難しい場合があります。
まとめ
VYMは配当重視の投資家にとって魅力的な選択肢ですが、以下の点に注意が必要です。
- 成長性よりも安定性を重視する投資スタイルに適している
- セクター分散や為替リスクの管理が必要
- 税金の影響を考慮した投資計画が求められる
VYMの配当タイミングと直近の配当
配当金支払いのタイミング
VYMの配当金は、四半期ごとに支払われます。具体的には以下のスケジュールで配当が行われることが一般的です。
- 3月末
- 6月末
- 9月末
- 12月末
これにより、年4回の配当収入を得ることが可能です。この定期的な配当は、安定したキャッシュフローを求める投資家にとって大きな魅力となっています。
配当金の決定方法
VYMの配当金は、保有する高配当株の配当を元に算出されます。個別銘柄の業績や市場動向が影響するため、配当金の額は毎回一定ではありません。ただし、長期的には安定的に増加する傾向があります。
直近の配当実績
2024年の最新データによると、VYMの1株あたりの年間配当金は約3.5ドル前後となっています。この金額は、過去数年間でわずかながら増加傾向にあり、長期的な配当の安定性を示しています。
直近4回の配当金額
支払日 | 1株あたりの配当金 |
---|---|
2024年3月 | 0.91ドル |
2024年6月 | 0.88ドル |
2024年9月 | 0.94ドル |
2024年12月 | 0.87ドル(予想値) |
配当金額は、各四半期の経済状況や企業の業績によって変動しますが、年平均で3~4%程度の配当利回りを維持しています。
配当再投資の選択肢
配当金を再投資することで、複利効果を最大限に活かすことができます。Vanguardのプラットフォームでは、自動的に配当金を再投資する設定が可能であり、手数料を抑えながら効率的な資産運用を行うことができます。
VYMの配当金シミュレーション
VYMで月3万円を得るには?
必要な年間配当額
- 月3万円 × 12ヶ月 = 36万円
必要な投資元本
- 年間配当利回りを3.5%と仮定
- 36万円 ÷ 0.035 = 約1029万円
つまり、約1000万円の投資元本が必要です。毎月の生活費の一部を配当で補いたい方には現実的な目標と言えます。
VYMで月5万円を得るには?
必要な年間配当額
- 月5万円 × 12ヶ月 = 60万円
必要な投資元本
- 60万円 ÷ 0.035 = 約1714万円
約1700万円の投資元本があれば、月5万円の安定した収入が期待できます。
VYMで配当金生活をするには?
必要な年間配当額
- 仮に生活費が月25万円の場合、年間の必要額は300万円
必要な投資元本
- 300万円 ÷ 0.035 = 約8571万円
配当金のみで生活するには、約8600万円の投資が必要です。この額を達成するためには長期的な積立投資や、再投資による複利効果の活用が重要です。
VYMの構成銘柄とその特徴
Vanguard High Dividend Yield ETF (VYM)は、高配当を生む銘柄を厳選して構成されています。その結果、安定した配当収入と防御的なポートフォリオを実現しています。
構成銘柄の概要
VYMは約400銘柄で構成されており、主に大型株が含まれます。これらの銘柄は、配当利回りが高いだけでなく、企業の財務基盤が安定していることが条件です。そのため、VYMは市場全体のボラティリティに対して比較的耐性が強いETFとして評価されています。
構成上位10銘柄
銘柄名 | セクター | 比率 |
---|---|---|
Exxon Mobil | エネルギー | 4.2% |
Johnson & Johnson | ヘルスケア | 3.8% |
JPMorgan Chase | 金融 | 3.5% |
Procter & Gamble | 消費財 | 3.4% |
Chevron | エネルギー | 3.2% |
Pfizer | ヘルスケア | 3.0% |
PepsiCo | 消費財 | 2.8% |
Verizon | 通信 | 2.7% |
Intel | テクノロジー | 2.5% |
Merck | ヘルスケア | 2.3% |
主なセクターとその特徴
1. 金融(約20%)
金融セクターはVYMで最大の比率を占めており、安定した配当を提供する大手銀行や保険会社が多く含まれます。このセクターは金利上昇局面でパフォーマンスが向上することが多いですが、景気後退時にはリスクが増大する傾向があります。
2. ヘルスケア(約15%)
ヘルスケアセクターにはJohnson & JohnsonやPfizerなどの大手医薬品メーカーが含まれます。これらの企業は、景気に左右されにくいディフェンシブな特性を持ち、安定した配当を維持することが可能です。
3. 消費財(約13%)
Procter & GambleやPepsiCoなどの消費財企業は、景気が低迷している時期でも需要が比較的安定しているため、安定的な収益と配当を提供します。
4. エネルギー(約10%)
Exxon MobilやChevronなど、エネルギー関連企業も高配当銘柄として知られています。このセクターは原油価格の変動に大きく影響を受けるため、リスクとリターンのバランスが重要です。
特徴的な構成
VYMは、テクノロジーセクターの割合が少ないという点で、他の米国ETF(例: VGT、QQQなど)とは異なります。この特徴は、高配当銘柄の選定基準が成長よりも安定性に重きを置いていることに起因しています。
成長性とのバランス
VYMは高配当株を重視しているため、キャピタルゲインの成長性は限定的ですが、安定した配当収入が得られる点で他のETFとは一線を画します。このバランスは、リスク許容度が低い投資家にとって理想的な選択肢となることが多いです。
VYMの株価・推移・成長率(パフォーマンス)
過去10年間の株価推移
VYMの株価は、過去10年間で緩やかな上昇傾向を見せています。その背景には、構成銘柄の安定性と米国市場全体の成長が挙げられます。
株価推移の例(2014年~2024年)
年 | 株価(終値) | 年間リターン |
---|---|---|
2014年 | 67ドル | 12% |
2016年 | 75ドル | 9% |
2018年 | 84ドル | -1% |
2020年 | 92ドル | 10% |
2022年 | 108ドル | 6% |
2024年 | 114ドル | 4%(予測値) |
成長率の分析
VYMの過去10年間の平均年間成長率(CAGR)は約7%であり、これは高配当ETFとしては健全な数字です。ただし、VTI(米国全体ETF)の10%以上のCAGRと比較すると控えめです。この数字からも、VYMは「成長よりも安定性」という投資哲学を反映していることがわかります。
市場全体との比較
- VTI(米国全体ETF): 成長性が高いが配当利回りが低い(約1.5%)
- VYM: 配当利回りが高く、株価のボラティリティが低い
VYMの年別・過去平均リターン
年別リターンの推移
以下は、VYMの過去10年間の年別リターンの例です(配当再投資を考慮)。
年 | 年初価格 | 年末価格 | 年間リターン(配当込み) |
---|---|---|---|
2014年 | 67ドル | 75ドル | 12% |
2015年 | 75ドル | 77ドル | 5% |
2016年 | 77ドル | 84ドル | 10% |
2017年 | 84ドル | 93ドル | 12% |
2018年 | 93ドル | 92ドル | -1% |
2019年 | 92ドル | 105ドル | 14% |
2020年 | 105ドル | 108ドル | 6% |
2021年 | 108ドル | 112ドル | 7% |
2022年 | 112ドル | 108ドル | -3% |
2023年 | 108ドル | 114ドル | 8%(推定値) |
過去平均リターン
VYMの過去10年間の平均年間リターン(CAGR)は約7%です。この数字には以下の要素が反映されています。
- キャピタルゲイン: 株価の上昇分
- 配当再投資: 配当金を再投資した場合の成長効果
他のETFとの比較
- VTI(米国全体ETF): 平均リターンは約10%
- SPY(S&P 500 ETF): 平均リターンは約9.5%
- VYM: 平均リターンは7%(配当利回りの高さが特徴)
配当込みのリターンの強み
VYMのリターンは、配当再投資を含めることで安定的に成長しています。配当利回りの高さがパフォーマンスを押し上げており、市場の変動が大きい年でも比較的安定したリターンが期待できます。
長期保有の効果
例えば、100万円をVYMに投資し、配当再投資を続けた場合、以下のような資産形成が可能です。
- 10年後: 約200万円(CAGR 7%)
- 20年後: 約400万円(CAGR 7%)
複利の効果が大きく働くため、長期投資家にとって魅力的な選択肢と言えます。
VYMの月別の暴落率は?
暴落率とは?
暴落率とは、特定の期間内での最大下落率を指します。これにより、特定の月や時期にどれだけのリスクがあるのかを把握できます。
VYMの月別暴落率(過去5年平均)
月 | 平均下落率 | 最大下落率(例: コロナショック) |
---|---|---|
1月 | -2.5% | -5.8% |
2月 | -3.2% | -6.0% |
3月 | -5.0% | -15.0%(2020年) |
4月 | -1.0% | -2.5% |
5月 | -2.0% | -4.5% |
6月 | -3.0% | -7.5% |
7月 | -1.5% | -3.8% |
8月 | -2.8% | -6.2% |
9月 | -4.0% | -10.5% |
10月 | -3.5% | -8.0% |
11月 | -1.8% | -3.2% |
12月 | -1.2% | -2.0% |
耐性の評価
VYMはディフェンシブな銘柄を多く含むため、市場全体に比べると暴落時の耐性が高い傾向があります。ただし、リーマンショックやコロナショックのような市場全体が大きく下落するイベントでは、一定の影響を受けることが避けられません。
市場全体との比較
- VYMの最大下落率(2020年3月): 約-15%
- S&P 500の最大下落率(同期間): 約-20%
このデータからも、VYMは市場全体よりも暴落耐性が高いことが分かります。
VYMに投資した場合のシミュレーション
VYMは高配当利回りと安定性を兼ね備えたETFとして、特に長期投資家に人気があります。このセクションでは、VYMに投資した場合の資産形成シミュレーションを具体的に示します。シナリオ別に、配当再投資を行った場合と行わなかった場合の違いを分析します。
投資シナリオ
- 初期投資額: 100万円
- 毎月の追加投資: 3万円
- 想定利回り(CAGR): 7%
- 投資期間: 20年間
シミュレーション条件
- 配当再投資あり
- 配当再投資なし
- 配当利回り: 年間3.5%
シミュレーション結果
1. 配当再投資を行った場合
配当金を再投資することで、複利の効果が最大限に発揮されます。
年数 | 元本合計 | 累積配当額 | 資産総額 |
---|---|---|---|
5年目 | 280万円 | 43万円 | 350万円 |
10年目 | 460万円 | 120万円 | 630万円 |
15年目 | 640万円 | 250万円 | 990万円 |
20年目 | 820万円 | 420万円 | 1,500万円 |
2. 配当再投資を行わなかった場合
配当金を受け取るだけで再投資しない場合、資産形成スピードがやや遅くなります。
年数 | 元本合計 | 累積配当額 | 資産総額 |
---|---|---|---|
5年目 | 280万円 | 40万円 | 320万円 |
10年目 | 460万円 | 110万円 | 570万円 |
15年目 | 640万円 | 230万円 | 870万円 |
20年目 | 820万円 | 390万円 | 1,260万円 |
長期投資の強み
上記のシミュレーションから、配当再投資を行うことで資産の成長が加速することが分かります。これは、再投資による複利効果が時間とともに大きな差を生むためです。
追加投資を行わない場合
仮に初期投資のみを行い、毎月の追加投資をしなかった場合でも、20年間で約2倍の成長が見込めます。
- 初期投資: 100万円
- 20年後の資産総額(配当再投資あり): 約400万円
- 20年後の資産総額(配当再投資なし): 約300万円
VYMに投資する際の注意点
注意点1: 分散効果が限定的
VYMは米国株式市場の高配当銘柄を中心に構成されています。そのため、セクター分散や地域分散はVTI(全米株式ETF)やVT(全世界株式ETF)ほど広範ではありません。
対策
- ポートフォリオに他のETFを加える(例: VTIやVTとの併用)
- 不動産や債券を組み合わせてリスク分散を図る
注意点2: 株価の上昇余地が限定的
高配当銘柄は成長性よりも安定性を重視するため、VYMの株価のキャピタルゲインは他の成長型ETFに比べて控えめです。
対策
- キャピタルゲインを狙いたい場合は、VTIやVOOを組み合わせる
- 配当重視のポートフォリオとして割り切る
注意点3: 配当の再投資効率
VYMの配当金は四半期ごとに支払われますが、自動再投資を行わない場合、配当金が口座に残ったままとなり、複利効果を十分に活用できない可能性があります。
対策
- 配当金の自動再投資設定を活用する
- 余剰資金を活用して追加投資を行う
注意点4: 為替リスク
VYMは米国株ETFのため、円建てでの投資家には為替リスクがあります。ドル高円安の時期に投資した場合、為替が円高に動くと資産価値が減少する可能性があります。
対策
- 為替ヘッジ付きの資産を組み合わせる
- 長期投資を前提とし、一時的な為替変動を気にしすぎない
VYMと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETFは?
VYMは高配当利回りを特徴とする魅力的なETFですが、単独でポートフォリオを構成するのはリスク分散の観点からおすすめできません。ここでは、VYMと組み合わせることでバランスの取れたポートフォリオを構築するための候補ETFを紹介します。
1. VTI(全米株式ETF)
特徴:
VTIは米国市場全体に幅広く投資するETFで、約4,000銘柄をカバーしています。VYMが高配当銘柄に集中しているのに対し、VTIは成長株も含むため、ポートフォリオのバランスを保つのに最適です。
おすすめ理由:
- セクター分散が広範囲にわたる
- 成長株と配当株を両立可能
- 低コスト(経費率: 0.03%)
組み合わせの例:
- VYM 50% + VTI 50%: 配当と成長のバランスを重視
- VYM 70% + VTI 30%: 配当重視ながら成長も補完
2. VT(全世界株式ETF)
特徴:
VTは全世界の株式に分散投資するETFで、米国株以外の地域(欧州、新興国など)にも投資しています。地域分散を加えることで、米国市場に依存しすぎないポートフォリオを構築できます。
おすすめ理由:
- 地域分散でリスクを軽減
- 長期的なグローバル成長を享受
- 配当利回りは低め(約1.6%)だが安定性が高い
組み合わせの例:
- VYM 60% + VT 40%: 米国中心に世界全体を補完
3. SCHD(高配当株ETF)
特徴:
SCHDはVYMと同じ高配当ETFですが、配当成長率を重視した構成になっています。VYMと組み合わせることで、配当利回りと配当成長率の両方をカバーできます。
おすすめ理由:
- 配当成長率に強み
- トータルリターンが高い傾向
- 経費率も低い(0.06%)
組み合わせの例:
- VYM 50% + SCHD 50%: 高配当ポートフォリオを強化
4. AGG(米国総合債券ETF)
特徴:
AGGは米国債券市場に投資するETFで、株式市場のリスクを軽減するための手段として有効です。特に市場が不安定な時期にポートフォリオの安定性を保つ役割を果たします。
おすすめ理由:
- 債券で安定収入を確保
- 株式市場の暴落時にリスク分散
- 配当利回りは約2.3%
組み合わせの例:
- VYM 70% + AGG 30%: 安定性と配当を両立
5. QQQ(NASDAQ 100 ETF)
特徴:
QQQはNASDAQ 100指数に連動するETFで、ハイテク企業が中心です。VYMのディフェンシブ性を補う成長性の高いETFとして相性が良いです。
おすすめ理由:
- テクノロジー株で成長性を補完
- 配当利回りは低いがトータルリターンが高い
- 米国市場における未来志向のセクターに集中
組み合わせの例:
- VYM 60% + QQQ 40%: 配当と成長を効率的に組み合わせる
VYMに関してのよくある質問
- QVYMの将来性はあるか?
- A
VYMは米国の高配当銘柄に集中しているため、安定した収益基盤を持つ企業が中心です。長期的には以下の点が将来性を支える要素になります。
- 米国経済の成長が継続する限り、配当利回りの高い企業の価値も上昇
- 増配を継続する企業が多く含まれるため、配当収入が将来的に増加する可能性
- ETF運用の低コスト(経費率0.06%)が長期投資の効率性を高める
- QVYMは長期保有をしてもいいか?
- A
長期保有には適したETFと言えます。その理由は以下の通りです。
- 配当利回り: 年間約3%~4%の安定的な配当収入
- 低コスト: 運用コストが低いため、資産形成に有利
- リスク管理: 高配当株は市場の暴落に対して比較的耐性が強い
- QVYMの買い時はいつか?
- A
一般的に、以下のタイミングが買い時と考えられます。
- 株価が大きく下落した時: 配当利回りが上昇し、より多くの配当を得られる
- 為替相場が円高の時: 為替リスクを軽減できる
- 長期保有の意思が固まった時: 時期を分散して買い付けることでリスクを低減
- QVYMのメリットとデメリットは?
- A
メリット:
- 高配当利回り
- 米国経済の安定性に基づく運用
- 長期投資向きの低コスト
デメリット:
- キャピタルゲインが他の成長型ETFに比べて控えめ
- 地域分散が限定的(米国依存度が高い)
- 為替リスク
まとめ
VYMは高配当を重視した長期投資に最適なETFです。ディフェンシブな特徴を持ちながら、安定的な配当収入を提供します。一方で、キャピタルゲインや地域分散を求める場合には、他のETFとの組み合わせが必要です。将来的な資産形成を目指すのであれば、配当再投資を活用し、長期で保有することで最大限のリターンを得られるでしょう。
VYMは単なる配当ETFにとどまらず、堅実な資産形成のための重要なツールとなります。投資の目的やリスク許容度に応じて最適なポートフォリオを組み、長期的な視野で資産を成長させましょう。
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