JEPIとは?配当利回りは?配当金生活をするにはいくら必要か

JEPI ETF

この記事のポイント

JEPIは高いインカムゲインと安定したキャピタルゲインを狙うことができるETFで約7.5%の配当リターンと毎月配当金を得れる点が人気となっている
ただし安定性は高くなく、リスク許容度が高い投資ベテラン向けのETFで初心者にはおすすめしないJEPIのみのポートフォリオにするのはリスクがあるため、他のETFと合わせて保有するのがよい
配当生活をするとしたら運用資金として7800万円が必要となる
執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。いろんな国や商品に投資。投資歴はまあまあ長め。基軸はインデックス投資での運用。短期売買はあまりせず、長期目線での投資をコツコツと。

人気の高配当ETF JEPIとは?

JEPIは毎月配当金を受け取れる人気ETF

JEIQとは?

JEPIとは、JPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカム ETF」の略称です。毎月分配型の米国株式ETFであり、安定的な収入とキャピタルゲインの両立を目指している人におすすめです。しかし、アクティブ運用であることや、オプションリスクがあることなど、注意すべき点もいくつかあります。本記事ではそれら点を解説していきます。

JEPIの概要を表にまとめてみた

設立日2020年5月21日
運用方針米国の大型株とオプションの売却を組み合わせたポートフォリオからインカムを獲得し、株式の配当金とオプションプレミアムを原資として毎月分配を目指す
1株あたり59ドル
経費率0.35%
配当利回り7.50%
リターン(1年)20.60%
リターン(3年)8.60%

設定日が非常に若く、運用実績が5年ほどとなっています。過去のデータから今後の見立てを立てるのは困難でやめておいたほうがいいでしょう。将来性をはかるのは難しいです。

ETFのタイプとしては、指数連動型のインデックスファンドではなく、アクティブファンドとなっています。その分リスクは高くなっていると考えるとよいでしょう。一株あたりは安く60ドルと比較的買いやすい金額になっています。

経費率0.35%は高いもののそれを上回る配当利回りとなっている点で相殺していると思われます。目安としては、バンガード社が出しているETFの経費率は0.03%や高くても0.1%程度となっています。そこと比較をすると割高ですね。

配当利回りは約7.5%となっています。

JEPIの配当タイミングと直近の配当

配当タイミングは年12回で毎月配当です。(必ずしも毎月でるとは限らない)

仮に毎月0.3ドルの配当金だとすると、100万円を投資した場合において、為替レートや株価の値動きなどを加味しない場合においては、月々約6000円程度もらえる計算になります。(厳密にはそこから税金が引かれるので4500円程度をもらうことになります。)

なぜJEPIは人気なのか?

1. 安定した収入源としての魅力

JEPIは、毎月分配型であることが大きな特徴です。米国の大型株への投資とオプション売却を組み合わせることで、安定的な収益の獲得を目指しています。この毎月分配される仕組みは、老後資金の積み立てや、安定した収入源を求める投資家にとって非常に魅力的です。特に、低金利環境下において、預金だけでは物足りないという投資家にとっては、JEPIは魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

2. 相対的に低いボラティリティ

JEPIは、S&P500指数と比較して、価格変動が比較的少ない傾向にあります。これは、オプション売却による効果が大きいと考えられています。オプション売却によって、株価の急上昇による損失をある程度防ぐことができるため、リスクを抑えながら投資したいという投資家からも支持されています。特に、市場が不安定な時期には、その安定性が評価され、人気を集める傾向にあります。

3. プロの運用による高い期待

JEPIは、JPモルガン・アセット・マネジメントという世界的にも有名な資産運用会社が運用しています。プロの運用者が、独自のアルゴリズムに基づいて銘柄を選定し、ポートフォリオを組み立てることで、より高いパフォーマンスを目指しています。そのため、投資初心者の方でも、プロの運用に任せることで、比較的安心して投資を始められるというメリットがあります。また、アクティブ運用であるため、市場環境の変化に応じて柔軟にポートフォリオを調整できる点も魅力の一つです。

JEPIの構成銘柄

100社以上への分散投資を行っている
ティッカーシンボル銘柄名構成割合
1TTトレイン・テクノロジーズ1.63%
2PGRプログレッシブ1.60%
3AMZNアマゾン・ドット・コム1.60%
4ABBVアッヴィ1.59%
5NVDAエヌビディア1.59%
6MAマスターカード1.56%
7METAメタ・プラットフォームズ1.55%
8SOサザン1.54%
9NOWサービスナウ1.54%
10MSFTマイクロソフト1.41%
11Vビザ1.40%
12CMCSAコムキャスト1.37%
13LOWロウズ1.37%
14GOOGLアルファベット1.36%
15NXPINXPセミコンダクターズ1.32%
16TMOサーモ・フィッシャー・...1.31%
17HONハネウェル・インターナ...1.31%
18UNHユナイテッドヘルス・グ...1.28%
19ADIアナログ・デバイセズ1.26%
20PEPペプシコ1.26%
21SYKストライカー1.25%
22MDLZモンデレズ・インターナ...1.24%
23VRTXバーテックス・ファーマ...1.19%
24YUMヤム・ブランズ1.17%
25CMECMEグループ1.17%
26TXNテキサス・インスツルメ...1.16%
27PGプロクター・アンド・ギ...1.15%
28NEEネクステラ・エナジー1.14%
29TRVトラベラーズ1.12%
30ETNイートン1.10%
31KOコカ・コーラ1.10%
32COSTコストコ・ホールセール1.09%
33LINリンデ1.04%
34REGNリジェネロン・ファーマ...1.04%
35BMYブリストル・マイヤーズ...0.99%
36OTISOtisWorldwideCorp0.93%
37ROSTロス・ストアーズ0.93%
38XOMエクソン・モービル0.92%
39PEGパブリック・サービス・...0.92%
40MNSTモンスター・ビバレッジ0.91%
41LLYイーライ・リリー0.90%
42EQIXエクィニクス0.90%
43CMGチポトレ・メキシカン・...0.89%
44ACNアクセンチュア0.87%
45UPSユナイテッド・パーセル...0.87%
46COPコノコフィリップス0.86%
47CRMセールスフォース・ドッ...0.86%
48INTUイントゥイット0.84%
49CTSHコグニザント・テクノロ...0.82%
50AZOオートゾーン0.82%
51EOGEOGリソーシズ0.80%
52CSXCSX0.78%
53BKNGプライスライン・グループ0.77%
54SBACSBAコミュニケーションズ0.74%
55CPAYCorpay Inc0.71%
56EMRエマソン・エレクトリック0.68%
57BRK-BBerkshire Hathaway Inc0.68%
58CHDチャーチ・アンド・ドワ...0.66%
59AAPLアップル0.66%
60WMTウォルマート・ストアズ0.64%
61ABTアボット・ラボラトリーズ0.64%
62DEディーア0.62%
63AXPアメリカン・エキスプレス0.62%
64CMSCMSエナジー0.58%
65RTXレイセオン・テクノロジ...0.58%
66MDTメドトロニック0.56%
67AMPアメリプライズ・ファイ...0.55%
68PLDプロロジス0.52%
69MRKメルク0.47%
70MRVLマーベル・テクノロジー...0.44%
71BSXボストン・サイエンティ...0.43%
72CDNSケイデンス・デザイン・...0.43%
73JKHYジャック・ヘンリー・ア...0.42%
74TXTテクストロン0.41%
75ASMLASMLホールディング0.40%
76PCGPG&E0.39%
77MCDマクドナルド0.39%
78DHRダナハー0.38%
79ELVアンセム0.37%
80TDGトランスダイムグループ0.37%
81STXシーゲイト・テクノロジー0.37%
82DOWダウ0.36%
83CBチャブ0.36%
84CARRCarrierGlobalCorp0.35%
85FDXフェデックス0.35%
86IRインガーソル・ランド0.35%
87PMフィリップ・モリス・イ...0.34%
88LDOSレイドス・ホールディン...0.32%
89BURLブライトン・ストアーズ0.32%
90URIユナイテッド・レンタルズ0.31%
91USBU.S.バンコープ0.31%
92MUマイクロン・テクノロジー0.31%
93MSIモトローラ・ソリューシ...0.30%
94METメットライフ0.30%
95AMTアメリカン・タワー0.27%
96JNJジョンソン&ジョンソン0.25%
97PPGPPGインダストリーズ0.25%
98LYBライオンデルバセル・イ...0.23%
99AJGアーサー・J・ギャラガー0.21%
100UNPユニオン・パシフィック0.21%

しっかりと分散投資を行っていますね。

構成割合のトップでも1.6%と分散効果を効かせているのがわかります。

JEPIのパフォーマンス

パフォーマンスは4年で117%増

JEPIの最新のパフォーマンス

JEPIの設立当初からのパフォーマンス

設立当初の2020年からの約4年間で1.17倍になっています。まだ若いため今後もこの伸びが続くとは言い難いですが、現状においては好調な推移をたどっています。

JEPIのリターン

JEPIの年別リターン

運用実績年数が少ないため、この3データのみ。

JEPIとS&P500の比較

JEPIとS&P500の比較です。こうしてみると、米国市場全体の動きと似通った動きをしていることがわかります。むしろこれは安心感がある動きといえるでしょう。

さすがに、S&P500をオーバーパフォームしてはいないですが、配当利益率が7.5%近くでこの連動であれば、比較的良いと言えるのではないでしょうか。

JEPIの過去平均リターン

こちらはなし。過去5年のデータがたまり次第掲載します。

この手のETFで10%、20%成長が続くことは考え難いとは思います。

月別でのJEPIの騰落率

データが少ないのでなんとも言えないのですが、9月に大きく凹み、そのぶん11月で盛り返すような動きとなっており、米国アノマリーに近しい動きも見受けられます。

JEPIに投資した場合のシミュレーション

50年で5.5億まで到達することが可能
経過年数資産配当金(年間)
5年849,49163,712
10年2,290,084171,756
15年5,057,743379,331
20年10,374,960778,122
25年20,590,3751,544,278
30年40,216,1883,016,214
35年77,921,2185,844,091
40年150,359,96811,276,998
45年289,528,99621,714,675
50年556,899,96141,767,497

シミュレーションの条件

  • 年利は、6%で計算(暫定での値)
  • 配当利回りは7.5%/年
  • 初期投資金額は10万円
  • 積立は毎年10万ずつ
  • 運用経費は0.35%
  • 配当金は再投資する計算
  • ドル円や、買付手数料は加味していない

仮に50年運用したとすると5.5億円まで膨れ上がっています。20年でも1000万円にまで到達しています。

配当金にいたっては、50年時点で年間4100万もらえる計算になります。

一応、運用コストが高いとどれだけ引かれるかも載せておきます。0.35%だとこれだけ引かれます。

50年目では運用コストで200万円/年もっていかれています。

JEPQの配当金のみで生活する場合、どれくらいの運用額が必要か

JEPIの配当金のみで生活する場合、約7800万円必要

日本の平均世帯年収が約550万円なので、JEPIの配当金のみで生活する場合、約7800万円必要な計算になります。

上記のシミュレーションにおいては35年目にその金額に到達します。

毎年10万以上の積み立てを行うのであればより早く実現できます。

JEPIに投資する際のデメリット(注意点)

JEPIに投資するデメリット(注意点)

1. アクティブ運用に伴う費用

JEPIは、アクティブ運用であるため、インデックス型のETFと比較して、経費率が高くなる可能性があります。経費率が高いということは、それだけ運用コストがかかることを意味し、長期的に見ると、運用成績に影響を与える可能性があります。

2. オプションリスク

JEPIは、コールオプションを売却することで、プレミアム収入を得ています。しかし、市場が大きく上昇した場合には、このコールオプションが権利行使される可能性があり、大きな損失が出るリスクがあります。特に、市場が急激に変化するような状況では、このリスクは高まります。

3. 過去のパフォーマンスが将来の保証ではない

過去の運用実績が良いからといって、将来も必ず同じようなパフォーマンスが期待できるわけではありません。市場環境は常に変化しており、過去のデータに基づいて将来を予測することは困難です。投資は、将来の収益を保証するものではないことを理解しておく必要があります。

JEPIと合わせてポートフォリオに加えたほうがいいETF

JEPIとの組み合わせで相乗効果が期待できるETF

  • 高成長株に特化したETF: JEPIは安定収益を重視する傾向があるため、成長性の高いセクターに特化したETFを組み合わせることで、ポートフォリオ全体のバランスを改善できます。例えば、テクノロジーセクターやヘルスケアセクターに特化したETFなどが挙げられます。
  • 低ボラティリティETF: JEPIは相対的に低いボラティリティを特徴としていますが、さらにリスクを抑えたい場合は、より低ボラティリティなETFを組み合わせることも有効です。例えば、最小変動率ポートフォリオをベンチマークとするETFなどが挙げられます。
  • 新興国市場ETF: 米国市場に集中しているJEPIのポートフォリオに、新興国市場のETFを加えることで、地理的リスク分散を図ることができます。ただし、新興国市場は先進国市場に比べて変動が大きい傾向があるため、注意が必要です。

JEPIとの組み合わせで相乗効果が期待できるETFの具体例

  • 高成長株に特化したETF
    • NASDAQ-100指数連動型ETF: テクノロジーセクターを中心に、成長性の高い企業に投資するETFです。JEPIの安定的な配当収入と組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリターン向上を期待できます。
    • iシェアーズ グローバル・クリーン・エネルギーETF: 再生可能エネルギー関連企業に投資するETFです。環境問題への関心の高まりを背景に、長期的な成長が期待できるセクターです。
  • 低ボラティリティETF
    • 最小変動率ポートフォリオ連動型ETF: ポートフォリオ全体の変動を最小化するように設計されたETFです。市場が不安定な時期でも比較的安定したパフォーマンスが期待できます。
    • 高配当低ボラティリティETF: 高配当かつ低ボラティリティな銘柄に投資するETFです。JEPIと同様に安定的な配当収入を得ながら、リスクを分散できます。
  • 新興国市場ETF
    • MSCI新興国市場指数連動型ETF: 新興国全体の株式市場に投資するETFです。新興国の経済成長による恩恵を受けることができますが、先進国市場に比べて変動が大きい点に注意が必要です。

よくある質問

Q
JEPIはおすすめしないとよく言われるが本当?
A

初心者にはおすすめできないETFです。リターンは一見して高いように見えますが、今後もこのリターンが続くとは言い難く、知識のあるベテラン投資家向けといえる商品でしょう。投資経験がある程度あり、本記事で紹介しているような各種リスクを許容でき、リスク分散観点でのポートフォリオ構築を自身で行うことができる人のみ購入をおすすめします。

Q
JEPIのリスクは高い?低い?
A

こちらは高いといえます。何と比較してかによってリスクの高い低いは変わりますが、S&P500指数に連動しているETFであるVOOやSPYと比較をすると、アクティブファンドであることも含めリスクは高いと言えます。一方で個別株投資と比較をすると遥かにリスクが低いといえるでしょう。

Q
JEPIの将来性は?
A

設立したからの運用年数がまだ少なく判断するのが困難です。この手のETFは株価が下がる傾向にあるため将来性という観点では明るいとは言い難いです。

まとめ

JEPIは高いインカムゲインと安定したキャピタルゲインを狙うETF。投資初心者にはおすすめできないETFではあるものの、自身でリスク分散を考えたポートフォリオ構築ができる方にとっては、毎月の良い収入源を確保することにつながる商品と言えます。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。いろんな国や商品に投資。投資歴はまあまあ長め。基軸はインデックス投資での運用。短期売買はあまりせず、長期目線での投資をコツコツと。