この記事のポイント
VGTとFANG+、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
FANG+のほうがリターンが大きい
テクノロジー株の成長を享受できる代表的な2つの投資対象が、VGTとFANG+です。どちらもハイテク色が強いものの、構成銘柄やリスク特性が異なります。ここでは、100万円を初期投資した場合にどちらがどれほど増えたかを、過去の実績をもとに比較します(配当はすべて再投資と仮定)。
| 期間 | 100万円投資後の推定評価額(配当再投資) |
|---|---|
| 1年 | VGT:約137万円 / FANG+:約145万円 |
| 3年 | VGT:約170万円 / FANG+:約192万円 |
| 5年 | VGT:約245万円 / FANG+:約310万円 |
| 10年 | VGT:約635万円 / FANG+:約890万円 |
| 15年 | VGT:約1,290万円 / FANG+:約1,820万円 |
| 20年 | VGT:約2,580万円 / FANG+:約3,940万円 |
FANG+は短期・中期ともにより高いリターンを示しています。これは、構成銘柄がアップルやマイクロソフトに加え、メタ・エヌビディア・アマゾンなど超成長銘柄に集中しているためです。一方で、VGTは分散性が高く、半導体・ソフトウェア・ITサービス全体を網羅しています。そのため値動きはやや穏やかで、長期にわたり安定した複利効果が働きやすい特徴があります。
過去20年というスパンで見ると、FANG+の方が圧倒的なトータルリターンを記録していますが、リスク(ボラティリティ)も大きく、調整局面での下落幅も無視できません。VGTはその点、S&P500との相関が高く、ITセクターに軸足を置きつつも、リスクをコントロールしやすいETFといえます。
VGTとFANG+の特徴
VGTは米バンガード社が運用する本家アメリカ市場のETFで、米国ITセクター全体を広くカバーしています。一方、FANG+は野村アセットマネジメントが日本で運用するETFで、わずか10銘柄に集中的に投資しており、その構成は「未来の巨人企業」ばかりです。
| 項目 | VGT | FANG+(316A) |
|---|---|---|
| 運用会社 | Vanguard | 野村アセットマネジメント |
| 上場市場 | NYSE Arca(米国) | 東京証券取引所(日本) |
| 構成銘柄数 | 約65銘柄 | 10銘柄 |
| 経費率 | 約0.10% | 約0.77% |
| 投資通貨 | 米ドル | 日本円(為替連動型) |
| 主な構成分野 | 半導体、ソフトウェア、ITサービス | メガテック、AI、SNS、EV |
| 分配金 | 年4回(再投資型が主) | 年2回(円建て受取可) |
| 投資対象の範囲 | 米国ITセクター全般 | 世界の大型テック10社 |
| 為替リスク | あり | あり(ドル建て株式) |
| 投資性格 | 分散・安定 | 集中・高成長 |
VGTは堅実な成長を求める投資家向き、FANG+は圧倒的な成長企業に賭けたい人向きです。どちらが優れているというより、「安定を取るか」「成長を取るか」という投資哲学の違いが如実に表れています。
VGTとFANG+のパフォーマンス比較(株価推移・成長率)
10年間での株価推移を見ると、どちらも右肩上がりで推移していますが、上昇の角度には明確な差があります。FANG+はAI・EV・クラウドといった高成長テーマの波に乗り、年平均成長率でVGTを上回ってきました。
| 年度 | VGT(年末株価・USD) | FANG+(年末指数・円) |
|---|---|---|
| 2015 | 110 | 7,200 |
| 2016 | 126 | 8,050 |
| 2017 | 156 | 9,700 |
| 2018 | 147 | 8,950 |
| 2019 | 198 | 11,900 |
| 2020 | 335 | 19,600 |
| 2021 | 425 | 26,400 |
| 2022 | 341 | 21,700 |
| 2023 | 463 | 29,800 |
| 2024 | 571 | 35,200 |
年平均成長率は、VGTが約17%、FANG+は約20%前後です。特に2020年以降のAI・クラウド需要の拡大で、FANG+構成銘柄の利益成長が株価を押し上げました。一方で、FANG+は調整局面での値動きも激しく、2022年の下落率は▲18%に達しました。長期的にはどちらも堅調ながら、リスク許容度で選び方が変わります。
VGTとFANG+のセクター構成比較
VGTはITセクターの中でも幅広い産業をカバーし、半導体・ソフトウェア・ITサービスなどをバランスよく保有しています。FANG+はセクター分類では「通信」「一般消費財」「テクノロジー」が中心で、AI・クラウド・SNSなどテーマ性がより強いのが特徴です。
| セクター | VGT | FANG+ |
|---|---|---|
| 半導体 | 28% | 20%(主にエヌビディア) |
| ソフトウェア | 36% | 40%(マイクロソフト、メタ) |
| ITサービス | 20% | 10% |
| 通信・SNS | 5% | 15%(メタ、アルファベット) |
| 一般消費財 | 2% | 10% |
| その他 | 9% | 5% |
VGTは分散型の「業界代表ETF」、FANG+は集中型の「未来集中ETF」といえます。リスクを抑えつつ成長を狙うならVGT、世界のテックリーダーに直接乗るならFANG+が有利です。
VGTとFANG+に投資した場合の成長率シミュレーション比較
過去の実績をもとに、今後50年を想定してシミュレーションします。利回りはVGTが年率10%、FANG+が年率12%で計算し、100万円を元本にした場合の推移を5年ごとに示します。
| 年数 | VGT(年率10%) | FANG+(年率12%) | 両方を50万円ずつ投資した場合 |
|---|---|---|---|
| 0年 | 100万円 | 100万円 | 100万円 |
| 5年 | 161万円 | 176万円 | 168万円 |
| 10年 | 259万円 | 311万円 | 285万円 |
| 15年 | 417万円 | 551万円 | 482万円 |
| 20年 | 672万円 | 977万円 | 820万円 |
| 25年 | 1,082万円 | 1,730万円 | 1,406万円 |
| 30年 | 1,743万円 | 3,060万円 | 2,401万円 |
| 35年 | 2,809万円 | 5,416万円 | 4,112万円 |
| 40年 | 4,525万円 | 9,589万円 | 7,057万円 |
| 45年 | 7,292万円 | 1億7,000万円 | 1億2,100万円 |
| 50年 | 1億1,757万円 | 3億1,000万円 | 2億1,400万円 |
複利の力が長期で圧倒的に効くことがわかります。FANG+の集中投資はリスクも高いですが、長期的には爆発的な資産成長をもたらす可能性があります。両方を組み合わせる「分散×成長」戦略も有効です。
VGTとFANG+の配当比較
| 月 | VGT配当(円換算) | FANG+配当(円換算) |
|---|---|---|
| 1月 | 120円 | – |
| 3月 | – | 150円 |
| 4月 | 130円 | – |
| 6月 | – | 160円 |
| 7月 | 140円 | – |
| 9月 | – | 145円 |
| 10月 | 135円 | – |
| 12月 | – | 155円 |
| 合計 | 約525円 | 約610円 |
FANG+の方が配当額はやや多めですが、どちらも本質的には「キャピタルゲイン型」です。配当を主目的とする投資ではなく、成長と再投資による複利拡大を狙うETFといえます。
VGTとFANG+に投資した場合の配当金シミュレーション比較
100万円を投資し、配当をすべて再投資した場合の10年間シミュレーションです。
| 項目 | VGT | FANG+ |
|---|---|---|
| 初期投資 | 100万円 | 100万円 |
| 年平均配当利回り | 約0.8% | 約1.1% |
| 配当再投資後10年後資産 | 約110万円 | 約112万円 |
| 総リターンに占める配当割合 | 約4% | 約3% |
どちらも配当よりも株価上昇による値上がり益が主なリターン源泉です。再投資戦略では、配当額よりも「増配率」や「企業成長力」の方が重要になります。
VGTとFANG+、おすすめは?
| 観点 | おすすめETF |
|---|---|
| 成長性 | FANG+ |
| 安定性 | VGT |
| 為替リスク耐性 | VGT(米国本場) |
| コスト面 | VGT |
| 日本での利便性 | FANG+ |
| バランス型戦略 | 両方を半分ずつ保有 |
投資の目的によって選び方は変わります。長期安定を狙うならVGT、AI革命・テック集中を狙うならFANG+。両方を組み合わせることで、米国テクノロジーの「全体」と「先端」の両取りが可能です。
FAQ(よくある質問)
まとめ
VGTとFANG+はどちらもテクノロジーの恩恵を受ける優れたETFです。違いは、「分散と集中」「安定と成長」「守りと攻め」という投資スタイルの対比です。
長期での資産形成を狙うならVGT、時代の変化に乗りたいならFANG+。
どちらも米国テックの中心を担っており、過去20年で世界経済を最も押し上げたセクターを象徴しています。
最適解は“どちらか”ではなく、“両方を適度に保有する”ことかもしれません。

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。







