【S&P500】米国株式投資を代表する指数|総まとめ

S&P500 総まとめ 投資
  1. S&P500とは?
    1. S&P500はどうやって作られてるのか?
    2. どんな企業が入ってるの?
    3. どうして重要視されるの?
  2. S&P500を構成するセクター
    1. リスク分散効果
    2. ポートフォリオの多様化
    3. 経済トレンドの把握
  3. S&P500の構成銘柄
    1. どのくらいの頻度で銘柄が入れ替わるのか
  4. S&P500の仕組み「時価総額加重平均」
    1. 時価総額加重平均とは何か
    2. この時価総額加重平均のメリットは?
  5. S&P500のこれまでのパフォーマンス
    1. 長期的なリターンあり
    2. 大きな下落と回復を繰り返す
    3. 最近のパフォーマンス
    4. パフォーマンスの特徴
  6. S&P500のボラティリティ
    1. ボラティリティって何?
    2. 年ごとの下落回数のデータ
    3. 月間・年間の下落データ
    4. ボラティリティの具体例
    5. ボラティリティが意味すること
  7. S&P500のマクロ(数十年単位)での動き・サイクル
    1. マクロ経済サイクルって何?
    2. 歴史的なサイクルとデータ
    3. 具体的な動きと転換点
    4. サイクルの背景にあるもの
  8. SP500のマクロ的な動きに関してのレイ・ダリオの見解
    1. ダリオの経済モデル
    2. 短期債務サイクルとS&P500
    3. 長期債務サイクルとS&P500
    4. 生産性成長とS&P500
  9. SP500のマクロ的な動きに関してのウォーレン・バフェットの見解
    1. バフェットの経済観
    2. 長期成長への信頼とS&P500
    3. 企業価値とS&P500
    4. 市場のノイズとS&P500
    5. バフェット指数とS&P500
  10. SP500のマクロ的な動きに関しての広瀬隆雄(じっちゃま)の見解
    1. じっちゃまの経済観
    2. 金利とS&P500
    3. 企業業績とS&P500
  11. S&P500とセクターローテーション
    1. セクターローテーションって何?
    2. 景気サイクルとセクターの動き
    3. 具体例でみるローテーション
    4. 背景とメカニズム
  12. S&P500のアノマリー
    1. 月別のアノマリー
    2. 日別のアノマリー
    3. アノマリーの背景と注意点
  13. S&P500に影響を与えるイベント
  14. S&P500とPER
    1. PERの基本と計算
    2. 歴史的なPERの推移
    3. 過去のトレンドとイベント
    4. 月次データで見る最近の動き
    5. PERから見えること
  15. S&P500と米国債
    1. 米国債って何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 相関の具体例
    4. 背景とメカニズム
  16. S&P500と金(ゴールド)
    1. 金って何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 相関の具体例
    4. 背景とメカニズム
  17. S&P500と原油
    1. 原油って何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 相関の具体例
    4. 背景とメカニズム
  18. S&P500とFear and Greed
    1. Fear and Greed Indexって何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 具体的な動きと相関
    4. 背景と影響
  19. S&P500とVIX
    1. VIXって何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 相関の具体例
    4. 背景とメカニズム
  20. S&P500とNAAIM
    1. NAAIMって何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 相関とタイミング
    4. 背景とメカニズム
  21. S&P500とAAII
    1. AAIIって何?
    2. 歴史的な関係性
    3. 相関と逆張り効果
    4. 背景とメカニズム
  22. S&P500に連動するETF
  23. S&P500とよく比較される他の指数(インデックス)
    1. ダウ平均との比較
    2. ナスダック100との比較
    3. ラッセル2000との比較
  24. まとめ
推奨

非常に長い記事のため、目次から興味がある見出しにいくことを推奨します

S&P500とは?

S&P500とアメリカ経済

S&P500は、アメリカの株式市場を代表する株価指数です。

正式には「スタンダード・アンド・プアーズ500(Standard & Poor’s 500)」って名前で、略してS&P500。

簡単に言うと、アメリカの大きな企業500社の株価をまとめて、市場全体の動きを表した数字なんです。たとえば、2025年3月時点でS&P500が6000ポイントなら、それが市場の「現在地」って感じ。日々上がったり下がったりして、経済の健康状態を教えてくれるんですよ。

この500社って、どんな会社かっていうと、アップル、マイクロソフト、アマゾン、テスラとか、日本でもお馴染みの大企業がズラリ。ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダックに上場してる企業から選ばれてて、アメリカ経済の約80%をカバーしてるって言われます。つまり、S&P500を見れば、アメリカの経済が元気か不調か、大まかなトレンドがわかるわけです。

S&P500はどうやって作られてるのか?

S&P500の面白いところは、ただの平均じゃないってこと。500社の株価を足して割るんじゃなくて、「時価総額加重平均」って方法で計算されます。時価総額って、株価×発行済み株式数のことで、企業の市場価値を示す数字。たとえば、アップルの時価総額が3兆ドルで、全体の7%くらいを占めてると、S&P500への影響もデカいってわけです。

S&P500における上位5社の時価総額構成

具体例で言うと、現時点のトップ5の銘柄を表にしてみます。

企業名ティッカー構成比(%)時価総額(兆ドル)
アップルAAPL7.03.2
マイクロソフトMSFT6.53.0
NVIDIANVDA5.52.5
アマゾンAMZN4.01.8
メタMETA3.01.4

この表見ると、上位5社だけで25%くらいを占めてるのがわかります。S&P500は、大きい企業ほど影響力が強い仕組みなんですね。実際は503銘柄(アルファベットとか複数クラス株があるから)で、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズって会社が管理してます。

どんな企業が入ってるの?

S&P500に入る企業にはルールがあって、誰でも入れるわけじゃないんです。主な条件はこんな感じ。

選定条件
  • 時価総額が158億ドル以上
  • 市場で取引可能な株(浮動株)が50%以上
  • 直近4四半期連続で利益が出てること
  • アメリカ企業で、NYSE、ナスダック、CBOEに上場

この基準をクリアした企業が、委員会で選ばれます。毎年6月に見直しがあって、必要なら入れ替えも。たとえば、2020年にテスラが仲間入りしたときは、連続黒字になったのがきっかけで話題になりました。

どうして重要視されるの?

S&P500が注目されるのは、投資家にとってめっちゃ便利だから。

まず、アメリカ経済の動きが一目でわかる。2020年のコロナショックで-34%落ちたけど、年内に18.4%戻したみたいに、景気の波がモロに出ます。長期で見ると、1957年から2024年までの年平均リターン(配当込み)が10%超で、インフレ調整後でも資産が増える実績があるんです。

あと、投資のベンチマークとしても使われます。ファンドマネージャーが「S&P500よりいい成績出すぞ!」って目標にするし、ETF(SPYとかVOO)で簡単に投資できるのも人気の理由。たとえば、100ドルをS&P500に突っ込んで放置すれば、67年で8万7000ドルになる計算。リスクはあるけど、長期なら安定感が魅力なんです。

S&P500を構成するセクター

S&P500のセクターの内訳

この指数を構成しているセクターはどのようなものなのでしょうか。

実は、S&P500は11の主要セクターで成り立っていて、それぞれが経済の異なる分野を反映しています。具体的には、情報技術、金融、ヘルスケア、消費財(ディフェンシブ)、資本財・サービス、通信サービス、エネルギー、素材、公益事業、不動産、そして一般消費財・サービスです。

まず、S&P500のセクター別の構成比を見てみましょう。

セクター名構成比(%)主な企業例
情報技術約29.5%アップル、マイクロソフト、NVIDIA
金融約13.0%JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ
ヘルスケア約12.5%ジョンソン・エンド・ジョンソン
消費財(ディフェンシブ)約9.0%プロクター・アンド・ギャンブル
資本財・サービス約8.5%ボーイング、キャタピラー
通信サービス約8.0%アルファベット(Google)、メタ
一般消費財・サービス約7.5%アマゾン、テスラ
エネルギー約4.0%エクソンモービル、シェブロン
素材約2.5%デュポン
公益事業約2.5%デューク・エナジー
不動産約2.5%アメリカン・タワー

この表からもわかるように、情報技術が約3割を占めてトップに君臨しています。特にアップルやマイクロソフトといったテックジャイアントの影響力が大きいですね。一方で、エネルギーや素材、公益事業などは構成比が低く、全体のバランスを取る役割を果たしています。

さて、こうしたセクターの分散がなぜ重要なのか、ここからが本題です。

リスク分散効果

S&P500が11のセクターに分かれていることのメリットは、まずリスクの分散にあります。経済は常に一定ではなく、景気循環によって強いセクターと弱いセクターが入れ替わります。例えば、景気が好調なときは一般消費財・サービスや資本財が伸びやすい一方、景気後退期にはヘルスケアや公益事業といったディフェンシブなセクターが安定感を発揮します。この多様性が、S&P500を経済全体のバロメーターとして機能させているんです。

具体例を挙げると、2020年のコロナショックを思い出してください。情報技術や通信サービスはリモートワークの普及で急成長しましたが、エネルギーや資本財は原油価格の暴落や生産活動の停滞で苦戦しました。でも、S&P500全体としてはセクターのバランスのおかげで急激な下落をある程度抑え、回復も早かったですよね。このように、一つのセクターに依存しない構造が、長期的な安定性を生み出しているんです。

ポートフォリオの多様化

さらに、セクターが分散されていることで、投資家にとってポートフォリオの多様化が自然と実現できる点も見逃せません。S&P500に投資すれば、テック企業からエネルギー企業まで幅広い産業にアクセスできるわけです。これがもし、特定のセクターに偏った指数だったら、例えばテックだけに集中していたら、ITバブルの崩壊みたいなイベントで大打撃を受けていたかもしれません。実際、2000年代初頭のドットコムバブルでは、テクノロジー株が暴落したとき、S&P500は他のセクターのおかげで完全な崩壊を免れました。

経済トレンドの把握

もう一つ、面白い視点として、セクター分散は経済トレンドの把握にも役立ちます。S&P500の構成比を見れば、どの産業が今勢いがあるのか一目瞭然です。最近だと、情報技術や通信サービスの比率が上がっているのは、AIやデジタル化の波が来ている証拠でしょう。逆に、エネルギーの比率が低いのは、再生可能エネルギーへのシフトや原油依存の減少を反映しているのかもしれません。

ただし、分散されているとはいえ、情報技術が3割近くを占める現状は、若干の偏りを感じさせます。もしテックセクターが一気に冷え込んだら、S&P500全体に与える影響は小さくないでしょう。それでも、11セクターが揃っていることで、単一産業のリスクに全振りするような状況は避けられているんです。


まとめると、S&P500のセクター分散のメリットは、リスクの軽減、投資の多様化、そして経済動向の可視化にあります。経済は生き物みたいに動くものだからこそ、こうしたバランスが投資家にとって安心材料になるんですよね。

S&P500の構成銘柄

この指数は、アメリカの大型株500社で構成されているわけですが、実際には503銘柄が含まれています。

なぜかというと、アルファベット(Google)やフォックス、ニューズ・コーポレーションみたいに、複数の株式クラスを持つ企業が3社あるからです。では、どんな企業が選ばれているのか、選定基準や頻度はどうなっているのか。

まず、現在のS&P500のトップ10銘柄を見てみましょう。

順位企業名ティッカー構成比(%)セクター
1アップルAAPL約7.0%情報技術
2マイクロソフトMSFT約6.5%情報技術
3NVIDIANVDA約5.5%情報技術
4アマゾンAMZN約4.0%一般消費財・サービス
5メタ・プラットフォームズMETA約3.0%通信サービス
6アルファベット(クラスA)GOOGL約2.5%通信サービス
7アルファベット(クラスC)GOOG約2.0%通信サービス
8バークシャー・ハサウェイBRK.B約2.0%金融
9ブロードコムAVGO約1.8%情報技術
10テスラTSLA約1.7%一般消費財・サービス

この表を見ると、情報技術と通信サービスが上位を独占しているのがわかります。特にアップル、マイクロソフト、NVIDIAの3社で約19%を占めていて、S&P500の動きに大きな影響を与えているんです。

どのくらいの頻度で銘柄が入れ替わるのか

これがまた興味深いポイントです。S&P500の構成銘柄は基本的に毎年6月に「再構成(リバランス)」が行われます。このタイミングで、基準を満たさなくなった企業が外され、新しい企業が入ってくることが多いです。でも、それ以外にも随時変更があって、例えば企業が破綻したり、合併したり、上場廃止になったりすると、その都度入れ替えが発生します。2024年だけでも数社の入れ替えがあったみたいで、例えば、ある企業が業績悪化で基準を下回った場合、速やかに除外されて別の有望株が追加されるんです。

具体的な例を出すと、2023年にはテスラがS&P500に追加されたのが話題になりました。それまでは時価総額は大きかったけど、収益性が安定していなかったので除外されていたんです。でも、連続黒字を達成したことで一気に仲間入り。こういうドラマチックな入れ替えも、S&P500のダイナミックな一面ですよね。

古い企業が居座り続けるのではなく、新しい成長企業がどんどん入ってくるから、指数自体が時代に適応していくんです。ただ、デメリットとしては、短期的な入れ替えで投資家が混乱することもあるかもしれません。急に外された企業の株価が下がったり、追加された企業の株価が跳ね上がったりする動きはよく見られます。

S&P500の仕組み「時価総額加重平均」

S&P500の仕組みを語る上で欠かせないのが「時価総額加重平均」という言葉です。

時価総額加重平均とは何か

簡単に言うと、S&P500の指数値は、各企業の時価総額(株価×発行済株式数)に基づいて重み付けされているということです。ただし、ここで使うのは「フリー・フロート調整済み時価総額」。つまり、市場で実際に取引可能な株式だけを対象にしているんです。企業が自社で保有している株や、大株主が動かせない株は除外されます。これによって、よりリアルな市場価値を反映できるわけです。

計算方法を具体的に見てみましょう。S&P500の指数値は、次の式で求められます。

S&P500指数 = (全構成銘柄のフリー・フロート調整済み時価総額の合計) ÷ 指数除数

この「指数除数」は、株の分割や企業入れ替えがあったときに指数の連続性を保つための調整値で、S&Pが独自に決めています。公開されていないので、ちょっとミステリアスな部分ですね。では、実際の例でイメージしてみます。仮に、3社だけのミニS&Pがあったとしましょう。

企業名株価フリー・フロート株式数時価総額(億ドル)
企業A$1001億株100
企業B$502億株100
企業C$205億株100

この場合、各社の時価総額は100億ドルで同じですが、S&P500ではこれを合計して(300億ドル)、指数除数(仮に10とします)で割ると、指数値は3000になります。ここでポイントなのは、時価総額が大きい企業ほど指数への影響が大きくなる点です。もし企業Aの株価が10%上がって$110になったら、時価総額は110億ドルになり、合計が310億ドル、指数は3100に跳ね上がります。でも、企業Cの株価が10%上がっても、影響はもっと小さいんです。

実際のS&P500でも、アップルやマイクロソフトみたいな時価総額の大きい企業が動くと、指数全体がガラッと変わります。

この時価総額加重平均のメリットは?

大きく3つ挙げてみます。

具体的な例で言うと、2020年代に入ってからのテック企業の躍進がS&P500を押し上げました。AIブームでNVIDIAの時価総額が急増し、指数への寄与度もぐんと上がったんです。一方で、エネルギー企業のエクソンモービルみたいな伝統的な大企業は、時価総額が相対的に小さくなったので影響力が減っています。

ただし、デメリットも少しあります。時価総額が大きい企業に偏るから、テックバブルみたいな特定のセクターの過熱が指数全体を歪ませるリスクがあるんです。2000年のドットコムバブルや、最近のテック集中を考えると、この点は注意が必要ですね。それでも、11セクターの分散があるから、完全に一方向に振れることは少ないんですが。


まとめると、S&P500の時価総額加重平均は、市場の現実を映し、パッシブ投資に適し、成長企業を強調するメリットを持っています。これが、アメリカ経済の動脈を測るような存在として、投資家に愛される理由なんですよね。

S&P500のこれまでのパフォーマンス

S&P500の過去のパフォーマンスって、投資を考えるなら絶対知りたいですよね。

1957年に現在の形になってから、どんなリターンを出してきたのか、どんな危機を乗り越えてきたのか、データを引っ張り出して詳しく見ていきます。

長期的なリターンあり

 

S&P500の歴史を振り返ると、まず驚くのがその長期的な成長力です。

1957年から2024年までの約67年間で、年平均リターン(配当を含まない価格リターン)は約7~8%

配当込みだと10%を超えます。たとえば、1957年に100ドルを投資してたら、2024年末には約8万7000ドルになってる計算。インフレ調整後でも7700ドルくらいで、購買力もしっかり増えてます。

ここで、10年ごとのリターンを表にしてみました。

期間年平均リターン(配当なし)年平均リターン(配当込み)主な出来事
1957-1966約6.5%約9.0%戦後成長期
1967-1976約2.0%約5.5%インフレとオイルショック
1977-1986約8.0%約12.0%レーガノミクス
1987-1996約10.5%約13.0%IT革命の萌芽
1997-2006約6.0%約8.5%ドットコムバブル
2007-2016約4.5%約7.0%金融危機と回復
2017-2024約11.0%約13.5%AIブームとテック成長

この表見ると、時代ごとに波があるのがわかります。1970年代はインフレで苦しんだけど、1980年代以降は力強い成長。2000年代は金融危機で低迷したけど、2010年代後半からまた勢いづいてますね。

大きな下落と回復を繰り返す

S&P500の歴史には、大きな下落も何度かあります。その都度どう回復したのか、代表的なケースを見てみましょう。

イベント下落期間下落率回復までの期間
ブラックマンデー1987年10月-20.5%(1日)約2年
ドットコムバブル崩壊2000-2002-49%約7年
金融危機2007-2009-57%約6年
コロナショック2020年2-3月-34%約6ヶ月
  • 1987年: 1日で20%超の下落は衝撃的。でも、2年で戻りました。
  • 2000-2002: ITバブル崩壊で半分近く下がったけど、7年で回復。
  • 2008年: リーマンショックで57%減。底から6年で元の水準に。
  • 2020年: コロナで急落したけど、半年でV字回復。政府の支援が効きましたね。

この回復力こそ、S&P500の魅力です。下がっても時間が経てば戻る傾向が強いんです。

最近のパフォーマンス

直近の10年(2015-2024)に絞ると、S&P500は特に好調です。年ごとのリターンを表にしてみます。

リターン(配当なし)リターン(配当込み)主な出来事
2015-0.7%1.4%金利上昇懸念
20169.5%12.0%トランプ当選
201719.4%21.8%減税政策
2018-6.2%-4.4%貿易戦争
201928.9%31.5%テック株急騰
202016.3%18.4%コロナと回復
202126.9%28.7%経済再開
2022-19.4%-18.1%インフレと金利引き上げ
202324.2%26.3%AIブーム
202423.3%25.5%テック継続成長

2022年の下落はキツかったけど、2023-2024年で連続20%超のリターンを記録。1998年以来の快挙です。特にテック株(NVIDIAとかテスラ)の勢いがすごかったですね。

パフォーマンスの特徴

S&P500の歴史を見ると、長期では右肩上がりだけど、短期的な下落は避けられないって感じです。

平均リターンが10%でも、年によってはマイナス20%もある。でも、70%以上の年でプラスになってるから、辛抱強く持てば報われる可能性が高いんです。過去150年近く(前身含む)の年平均成長率も9.8%(配当込み)で、安定感は抜群

S&P500のボラティリティ

投資するとなると、やっぱり気になるのがその値動きの激しさ、つまりボラティリティですよね。市場が穏やかなら安心だけど、急に下がるとドキッとする。そんなS&P500のボラティリティがどれくらいなのか、歴史的なデータや年ごとの下落回数を表も交えて詳しく見ていきます。

ボラティリティって何?

まず、ボラティリティとは、株価がどれだけ変動するかの指標です。

一般的には、年率換算した標準偏差で表されます。S&P500の場合、VIX(恐怖指数)っていうのがよく使われていて、これが市場の不安感を映す目安になります。VIXが20を超えると「市場が荒れてるな」と感じる人が多いみたいです。

歴史的に見ると、S&P500の年間ボラティリティは平均で15~20%くらい。穏やかな年だと10%以下、荒れると30%を超えることもあります。たとえば、2008年の金融危機では50%近くまで跳ね上がったし、2020年のコロナショックでも一時的に40%を超えました。逆に、2017年みたいな安定した年は10%を下回ることも。

年ごとの下落回数のデータ

S&P500がどれくらい下落するのか、具体的に「1日に何%下がるか」を過去のデータから見てみましょう。ここでは、1957年(S&P500が現在の形になった年)から2024年までのデータを基に、1日の下落幅を3%、5%、10%で集計してみます。

下落幅年間平均発生回数主な例(年)
1日で3%以上約3~5回2020年(コロナショック)
1日で5%以上約0.5~1回2008年(金融危機)
1日で10%以上約0.1回以下1987年(ブラックマンデー)
  • 3%以上の下落: 年に3~5回くらいは起きる計算です。2020年はコロナで市場がパニックになったとき、3月だけで何度も3%超の下落がありました。普段は景気指標の悪化や地政学リスクで発生することが多いですね。
  • 5%以上の下落: これは年に1回あるかないか。2008年のリーマンショックでは頻発したけど、平時は珍しいです。2022年のインフレ懸念でも数回見られました。
  • 10%以上の下落: 超レアで、年に0.1回以下。1987年のブラックマンデー(1日で20%超下落)が有名です。最近だと、コロナ初期の2020年3月に近い動きがありました。

月間・年間の下落データ

次に、月次や年次でどれくらい下がるのかも見てみます。こちらは1957~2024年の平均値です。

期間平均下落率(最大)頻度(10%以上下落)
月間約5~7%年に1~2回
年間約13~15%約4~5年に1回
  • 月間: 月間で10%以上下がるのは年に1~2回くらい。2008年10月みたいに20%超の下落もあるけど、稀です。
  • 年間: 年間で見ると、10%以上の下落は4~5年に1回くらい。たとえば、2008年(-37%)、2022年(-18%)とか。最近だと2023年は回復したからゼロでした。

ボラティリティの具体例

具体的な年で見てみると、ボラティリティのイメージが掴みやすいです。

年間リターン最大下落幅(年中最安値)ボラティリティ(年率)
2008-37%-47%約40%
202018%-34%(3月)約30%
2022-18%-25%約25%
202423.3%-8%(夏場)約15%

2008年は金融危機で下落幅もボラティリティもエグいですね。2020年はコロナで一時的に暴落したけど、年内に回復。2024年は比較的穏やかで、最大でも8%くらいの下落で済みました。

ボラティリティが意味すること

このデータからわかるのは、S&P500は確かに揺れるけど、極端な下落はそう頻繁じゃないってことです。

1日で5%超の下落が年に1回あるかないかなら、長期投資なら耐えられる範囲ですよね。ただ、10%超の下落みたいな「ブラックスワン」は稀でも、起きたときのインパクトは大きい。1987年や2008年みたいな年は、投資家の心臓を試すレベルです。

S&P500のマクロ(数十年単位)での動き・サイクル

株価指数として日々の動きが注目されるけど、数十年単位で見ると、もっと大きな経済のサイクルが隠れてるんです。景気の波や借金の増減、技術の進化が絡み合って、S&P500がどんな軌跡を描いてきたのか、歴史を振り返りながらデータを交えてじっくり見ていきます。

マクロ経済サイクルって何?

マクロ経済サイクル

まず、マクロ経済のサイクルって、経済が成長したり縮んだりする大きな波のこと

短期だと5~10年の景気循環、長期だと50~75年の「債務サイクル」ってのがあって、S&P500もこのリズムに合わせて動いてます。1871年(S&Pの前身から)から2024年までの約150年を振り返ると、成長と調整の繰り返しがくっきり見えるんです。

歴史的なサイクルとデータ

S&P500の動きを数十年単位で区切って、年平均リターン(配当込み)と背景を表にしてみました。

期間年平均リターン(%)主なサイクルと出来事
1871-19298.5工業化と金本位制、大恐慌で終了
1930-19454.0大恐慌と戦争、債務調整の底
1946-198110.2戦後復興とインフレ、ブレトンウッズ崩壊
1982-200015.5利下げとIT革命、債務サイクルピーク
2001-20156.8ITバブル崩壊、金融危機、低金利時代
2016-202413.5(3月時点)テック成長とAIブーム、新サイクル開始?

この表見ると、S&P500が時代ごとにガラッと変わってるのがわかります。

1871~1929年の8.5%は、鉄道や工業化で経済が膨張した時期。ただ、借金が積み上がって1929年の大恐慌で崩壊。1930~1945年の4.0%は、恐慌と戦争で経済が停滞した「債務の清算期」。1946~1981年の10.2%は、戦後復興で力強く成長したけど、70年代のインフレで苦しんだ時代です。

1982~2000年の15.5%は、すごい勢いですよね。金利が下がって借金しやすくなり、IT革命で企業価値が爆発。S&P500が136ポイントから1469ポイントまで10倍以上になった黄金期です。でも、2001~2015年の6.8%は、ITバブル崩壊と2008年金融危機で低迷。借金が限界に来てリセットされた感じ。2016~2024年の13.5%は、AIやテックが牽引して新しいサイクルが始まったっぽい雰囲気ですね。

具体的な動きと転換点

具体例で見ると、サイクルがもっとわかりやすいです。

1929年の大恐慌でS&P(前身)は90%近く落ちて、1930年代は年平均4%しか伸びず。1946年から復興が始まって、1950年代は年15%近い成長。1982年の利下げスタート(金利16%→5%)で、S&P500が18年で10倍になったのは、借金と技術のダブルパンチ。2000年のITバブル崩壊で1469から777ポイントまで半減、2008年の金融危機でさらに676ポイントまで落ちたのは、債務サイクルの調整そのもの。

最近だと、2020年のコロナショックで2237ポイントまで下がったけど、年内に3393ポイントまでV字回復。ゼロ金利と政府の支援が効いて、短期サイクルが短縮されたケースです。2024年3月の6000ポイント超えは、AIブームと企業利益の伸びが後押ししてて、新しい成長期の序盤って感じがします。

サイクルの背景にあるもの

この動きの裏には、借金と生産性の波があります借金が増えると経済が膨張してS&P500が上がるけど、返せなくなると崩壊。1929年や2008年がその例。生産性が上がると、持続的な成長が続くんです。1870年代の工業化、1980年代のIT、2020年代のAIがそれにあたります。金利も大事で、下がると株が上がり(1982~2000)、上がると下がる(2022の-18.1%)傾向がはっきりしてます。

SP500のマクロ的な動きに関してのレイ・ダリオの見解

S&P500の大きな動きを語るなら、レイ・ダリオの視点は外せませんよね。

レイ・ダリオとは、ヘッジファンド「ブリッジウォーター」の創業者で、マクロ経済の天才って呼ばれてる人。彼の経済理論がS&P500のサイクルにどう当てはまるのか、詳しく見ていきます。

ダリオの経済モデル

ダリオの経済モデル

ダリオは、経済を3つの大きな力で説明します。

3つの大きな力

①短期債務サイクル(5~10年)

②長期債務サイクル(50~75年)

③生産性成長

短期は景気の波、長期は借金の積み上がりと清算、生産性は技術革新とかで決まるって考え方。S&P500もこのフレームで動いてるってのが彼の主張なんです。動画や著書『Principles』で、「経済は機械みたいに動く」ってよく言ってますよね。

短期債務サイクルとS&P500

短期サイクルは、借金が増えて経済が膨張、利上げで縮小、また緩和で回復って5~10年の波。S&P500だと、2001-2002年のITバブル崩壊(-49%)、2008-2009年の金融危機(-57%)、2020年のコロナショック(-34%)が谷。回復期は2003-2007年(年平均10%)、2009-2019年(年平均13%)、2020-2021年(18.4%)って感じ。

時期S&P500リターン(%)短期サイクルフェーズ
2001-2002-49.0縮小(ITバブル崩壊)
2003-200710.0(年平均)膨張(低金利で回復)
2008-2009-57.0縮小(金融危機)
2009-201913.0(年平均)膨張(ゼロ金利で成長)
2020-34.0→18.4縮小→急速回復(政策介入)

ダリオ曰く、短期サイクルは中央銀行の金利操作で調整されるけど、借金が限界に来ると効かなくなる。2020年のV字回復は、FRBのゼロ金利と政府の支援が「機械」を動かした例ですね。

長期債務サイクルとS&P500

長期サイクルは、借金が何十年も積み上がって、返せなくなると崩壊する波。ダリオは、1929年の大恐慌と2008年の金融危機を「長期債務のピークとリセット」の例に挙げます。S&P500で見ると、1871-1929年は借金膨張で年平均8.5%、1930-1945年は清算で4.0%。1982-2000年はまた膨張で15.5%、2001-2015年はリセットで6.8%。

期間年平均リターン(%)長期サイクルフェーズ
1871-19298.5膨張(工業化と借金増)
1930-19454.0清算(恐慌と戦争)
1982-200015.5膨張(利下げとIT革命)
2001-20156.8清算(金融危機と低金利)

2008年は、借金がGDPの300%超えて崩壊、利下げと量的緩和で無理やり支えたけど、リターンは低迷。ダリオは「1930年代と似てる」って指摘してて、長期サイクルの底だったって見方です。

生産性成長とS&P500

生産性は、技術やイノベーションで経済が底上げされる部分。ダリオは、1870年代の工業化、1980年代のIT革命、最近のAIブームを例に挙げます。S&P500だと、1982-2000年の15.5%はITが牽引、2016-2024年の13.5%はAIが後押し。たとえば、2024年3月の6000ポイントは、NVIDIAやマイクロソフトのAI成長が大きいんです。

SP500のマクロ的な動きに関してのウォーレン・バフェットの見解

バフェットは、バークシャー・ハサウェイのCEOとして何十年も市場を見てきたレジェンド。彼のマクロ的な見方がS&P500にどう当てはまるのか、詳しく掘り下げてみます。

バフェットの経済観

ウォーレン・バフェットは、経済をシンプルに捉えることで有名です。

彼の哲学は「長期で見れば経済は成長する」「優れた企業に投資すれば報われる」「市場の短期的なブレは無視」って感じ。S&P500については、「アメリカ経済の成長を信じるなら、これに賭けるのが一番賢い」ってよく言ってます。株主への手紙やインタビューで、「S&P500はアメリカのビジネス全体を映す鏡」って表現してるんですよね。この視点から、S&P500のマクロ的な動きを見てみましょう。

長期成長への信頼とS&P500

バフェットは、アメリカ経済の長期的な成長を信じてて、S&P500はその象徴だって考え方。短期の上下はあっても、50年、100年で見れば右肩上がりってのが彼の持論です。実際、S&P500の歴史を振り返ると、その通りになってます。

期間年平均リターン(配当込み、%)バフェットのポイント
1965-19819.5インフレでも成長持続
1982-200015.5経済拡大で驚異的なリターン
2001-20156.8危機を乗り越えて回復
2016-202413.5(3月時点)テック主導で再び力強い成長

バフェットがバークシャーを本格的に動かし始めた1965年から見ると、S&P500は年平均10%前後で成長。2008年の金融危機で-37%落ちたり、2020年のコロナで-34%下がったりしたけど、結局戻ってくる。2024年3月の6000ポイント超えも、バフェットの「長期なら勝つ」って言葉を裏付けてますね。彼は2017年の株主総会で、「100年前にS&P500に投資してたら、今頃億万長者だよ」って冗談交じりに言ってたくらいです。

企業価値とS&P500

バフェットは、「株価は企業の稼ぐ力で決まる」って信念。S&P500が長期で上がるのは、アメリカ企業が利益を出し続けてるからだって考え方。EPS(1株当たり利益)の成長が鍵で、これがS&P500のマクロ的な動きを支えてるってわけ。データを表にしてみます。

S&P500リターン(%)EPS成長率(%)バフェットのポイント
200926.5-10→20危機後の利益回復で株価急上昇
201931.510安定した企業成長で株高
2022-18.15インフレで利益伸び悩み、株下落
202425.5(3月時点)15AIで利益爆伸び、株急騰

2009年の26.5%上昇は、EPSが20%回復したのが大きい。2024年の25.5%も、AIブームでEPSが15%伸びた結果。バフェットは、「良い企業は利益を複利で増やす」って言うけど、S&P500全体がその複利効果を体現してる感じですね。2022年の-18.1%は例外で、インフレで利益が圧迫されたからだって彼なら分析するでしょう。

市場のノイズとS&P500

バフェットは、「市場の短期的なブレはノイズ」ってよく言います。

S&P500が日々上がったり下がったりするのは、投資家の感情やニュースのせい。でも、マクロで見れば、そんなブレは気にする必要ないってスタンス。たとえば、1987年のブラックマンデー(1日で-20.5%)とか、2020年のコロナショック(-34%)でも、彼は冷静。「良い企業は生き残るし、S&P500も戻る」って信じてるんです。

具体例を表で見てみます。

イベントS&P500下落率(%)回復期間バフェットのポイント
1987ブラックマンデー-20.5(1日)2年一時的なパニック、長期は無視
2008金融危機-57.06年危機でも企業価値は残る
2020コロナショック-34.06カ月政策支援で早く回復

バフェットは2008年の危機でも株を買い増して、長期で大成功。S&P500が676ポイント(2009年)から戻ったのは、「アメリカ経済の底力」を信じた結果って感じ。彼の言葉通り、短期のノイズを無視すれば、S&P500は成長し続けるんです。

バフェット指数とS&P500

バフェットがよく使う指標に、「バフェット指数」ってのがあります。

アメリカの株式時価総額(S&P500ベース)をGDPで割ったもので、市場が割高か割安かを測る目安。100%超えると割高、70%以下だと割安って見方です。歴史的な値を表にしてみます。

バフェット指数(%)S&P500ポイントバフェットのポイント
20001451469ITバブルで割高、崩壊
200955676金融危機で割安、買い時
20211804766過熱気味、でも成長続く
2024170(3月時点)6000割高だけど企業力で支える

2024年の170%は割高っぽいけど、バフェットは「金利が低ければ高くてもOK」って考え。ゼロ金利時代なら、S&P500のPER(株価収益率)が30倍近くても許容範囲ってスタンスなんです。

SP500のマクロ的な動きに関しての広瀬隆雄(じっちゃま)の見解

じっちゃまは、日本の投資家に人気の方で、元ウォール街のプロ。彼のマクロ的な見方がS&P500にどう当てはまるのか、詳しく掘り下げてみます。

じっちゃまの経済観

じっちゃまは、経済を「金利」「企業業績」「投資家の心理」の3つで捉えます。

身近な言葉で解説するのが特徴。「金利が下がると株が上がる」「インフレは株の敵」ってフレーズが、彼の発言でよく出てきます。S&P500の動きを、この視点で追ってみましょう。

金利とS&P500

じっちゃま曰く、「金利は株価の重力」金利が下がると企業が借金しやすくなって株が上がり、上がると下がるって考え方。S&P500の歴史で見ると、バッチリ当てはまります。表にしてみます。

時期S&P500リターン(%)10年物利回り(%)じっちゃまのポイント
1982-200015.5(年平均)16→5金利低下で株爆上げ
2008-2009-57.03.7→2.5危機で利下げ、でも株は低迷
202018.40.9ゼロ金利で株急回復
2022-18.13.9利上げで株下落

1982年の金利16%から2000年の5%でS&P500が10倍になったのは、じっちゃまの「金利低下=株高」の典型。2022年の利上げで-18.1%は、「金利上がると重力で落ちる」って話そのもの。2020年のゼロ金利で18.4%戻したのも、政府の支援と合わせて「金利の魔法」って感じですね。

企業業績とS&P500

じっちゃまは、「株価は企業の儲けが全て」ってよく言います。S&P500のEPS(1株当たり利益)が伸びると株価も上がるって考え方。

S&P500リターン(%)EPS成長率(%)じっちゃまのポイント
200926.5-10→20危機後の業績回復で株上昇
201931.510テック業績で株高
2022-18.15インフレで利益伸び悩み、株下落
202425.5(3月時点)15AIで業績爆伸び、株急騰

2024年の25.5%は、AIブームでEPSが15%伸びたのが大きい。NVIDIAとかテスラの決算がS&P500を押し上げてます。逆に2022年は、インフレでコスト増えてEPS成長が5%どまり、株が下がったのは納得ですね。

S&P500とセクターローテーション

S&P500は11のセクターに分かれてて、それぞれが経済のいろんな顔を映してるんです。

このセクターたちが、景気の波に合わせて強くなったり弱くなったりする動き、これが「セクターローテーション」ってやつ。

セクターローテーションって何?

セクターローテーション

まず、セクターローテーションの基本から。経済って、景気循環(リセッション→回復→成長→後退)のフェーズを繰り返す生き物みたいなものです。このサイクルに合わせて、どのセクターが強いか弱いかが変わってくるって考え方なんです。S&P500の11セクターは、情報技術、金融、ヘルスケア、消費財(ディフェンシブ)、資本財・サービス、通信サービス、一般消費財・サービス、エネルギー、素材、公益事業、不動産。それぞれが景気のどこで輝くのか、まずはその役割をざっくり表にしてみます。

セクター名S&P500構成比景気サイクルでの強み
情報技術29.5成長期(テックブーム)
金融13.0回復期(金利上昇で銀行が儲かる)
ヘルスケア12.5リセッション(安定需要)
消費財(ディフェンシブ)9.0リセッション(必需品が強い)
資本財・サービス8.5成長期(設備投資が増える)
通信サービス8.0成長期(デジタル化需要)
一般消費財・サービス7.5成長期(消費が活発)
エネルギー4.0回復期(原油需要増)
素材2.5回復期(インフラ需要)
公益事業2.5リセッション(安定配当)
不動産2.5回復期(金利低下で不動産活況)

この表見ると、セクターごとに「得意なタイミング」が違うのがわかります。景気が底打って回復に向かうときは金融やエネルギー、ガンガン成長してるときは情報技術や一般消費財、リセッションで縮こまるとヘルスケアや公益事業が強いって感じ。S&P500全体の動きって、このセクターのローテーションが合わさった結果なんです。

景気サイクルとセクターの動き

景気サイクルを4段階(リセッション、回復、成長、後退)に分けて、過去のデータからどう動いてきたか見てみましょう。代表的な時期をピックアップして、S&P500のリターンとセクター別の成績を表にしてみます。

時期景気フェーズS&P500リターン(%)強いセクター(リターン%)弱いセクター(リターン%)
2008-2009リセッション-37.0(2008年)ヘルスケア (-20.0)、公益事業 (-28.0)金融 (-55.0)、エネルギー (-34.0)
2009-2011回復26.5(2009年)金融 (40.0)、素材 (35.0)公益事業 (10.0)、消費財ディフェンシブ (12.0)
2012-2019成長13.6(2019年)情報技術 (20.0)、一般消費財 (18.0)エネルギー (2.0)、素材 (5.0)
2020(3月)リセッション-12.5(月間)ヘルスケア (-8.0)、消費財ディフェンシブ (-5.0)金融 (-20.0)、エネルギー (-25.0)
2020-2021回復18.4(2020年)情報技術 (40.0)、一般消費財 (35.0)公益事業 (5.0)、ヘルスケア (10.0)
2022後退-18.1エネルギー (65.0)、消費財ディフェンシブ (0.0)情報技術 (-28.0)、通信サービス (-35.0)

この表見ると、景気フェーズごとにセクターの強弱がくっきり。2008年の金融危機みたいなリセッションだと、ヘルスケアや消費財ディフェンシブが相対的にマシで、金融やエネルギーがボロボロ。2009年の回復期は、金融が40%も跳ねて、素材もインフラ需要で強い。2010年代の成長期は、情報技術が20%超のリターンでS&P500を牽引してますね。2022年の後退期は、エネルギーが原油高で65%も上がったけど、テックが-28%で足引っ張った感じ。

具体例でみるローテーション

具体的な動きも見てみましょう。2020年のコロナショックはわかりやすい例。3月にS&P500が-12.5%落ちたとき、ヘルスケアが-8%、消費財ディフェンシブが-5%で踏ん張って、エネルギーが-25%でズタボロ。その後、回復期に入った2020年4月から2021年は、情報技術が40%(アップル、マイクロソフトの急騰)、一般消費財が35%(アマゾン、テスラ)と、成長セクターが爆発。S&P500全体が18.4%戻したのは、このローテーションのおかげです。

もう一つ、2008-2009年。リセッションでS&P500が-37%のとき、金融が-55%と壊滅的だったけど、ヘルスケアが-20%で耐えた。2009年の回復で金融が40%戻して、S&P500の26.5%上昇を支えたんです。この切り替わりが、セクターローテーションの醍醐味ですね。

背景とメカニズム

なんでこんなローテーションが起きるのかって、経済のエンジンがフェーズごとに変わるからです。リセッションだと、みんな守りに入って必需品(ヘルスケア、消費財ディフェンシブ)や安定配当(公益事業)が買われる。回復期は、金利が下がって金融が息を吹き返し、エネルギーや素材がインフラ需要で伸びる。成長期になると、企業が設備投資(資本財)や消費(一般消費財)が活発になって、情報技術がイノベーションで牽引。後退期は、インフレや金利上昇でエネルギーが光るけど、成長株が冷えるって流れ。

S&P500は時価総額加重平均だから、情報技術(29.5%)みたいな大きいセクターが動くとインパクト大。2020年代のテックブームでS&P500が伸びたのは、成長期のローテーションがハマった証拠。でも、2022年のエネルギー65%みたいに、小さいセクター(4%)が突出しても、全体を押し上げる力は限定的なんですよね。


投資で使うなら、S&P500全体に賭けるのもいいけど、セクターETF(XLKで情報技術、XLFで金融とか)をタイミング見て組み入れるのも賢いやり方。過去データ見ると、成長期の情報技術は年20%超のリターンが狙えるし、リセッションのヘルスケアは損失を-10%くらいに抑えられる可能性が。サイクルを意識すると、リスク管理にもつながりますね。

S&P500のアノマリー

S&P500の値動きには、意外と規則性みたいなものがあるって話、聞いたことありますか?

これを「アノマリー」と呼んでて、季節や曜日ごとにパフォーマンスが偏る現象なんです。

月別のアノマリー

まず、月別のアノマリーから。S&P500の歴史を振り返ると、特定の月が強かったり弱かったりするパターンが見えてきます。1957年から2024年までのデータを基に、月ごとの平均リターンを見てみましょう。

平均リターン(%)主な特徴
1月1.0年初効果で上昇傾向
2月-0.2短い月で弱含み
3月0.8安定したプラス
4月1.4年間トップクラスの強さ
5月0.2「セルインメイ」の影響?
6月0.1夏前の小康状態
7月1.0夏場でも意外と強い
8月0.3ボラティリティ上がりがち
9月-0.7年間最弱、秋の調整期
10月0.6暴落のイメージあるけど実はプラス
11月1.2年末ラリーの序章
12月1.5サンタクロースラリーで強い

この表見ると、4月、11月、12月が特に強いですね。

12月の1.5%は「サンタクロースラリー」と呼ばれてて、年末の買いが入るからって説が有力。逆に9月は-0.7%で、年間で一番弱い。秋に調整が入りやすいって言われてます。実際、2008年の金融危機や1987年のブラックマンデーも10月絡みだったけど、10月自体の平均はプラスなんだから面白いですよね。

「1月効果」ってのも有名で、特に小型株が強いって言われますが、S&P500でも1.0%とまずまず。対して、5月の「セル・イン・メイ(5月に売って去れ)」って格言は、リターンが0.2%と低めで、少し影響あるのかも。ただ、完全に下がるとは限らないから、過信は禁物です。

具体例を挙げると、2020年のコロナショックで3月に-12.5%も下がったけど、4月に12.8%戻したのは異例。普段の傾向とはズレるけど、こういうイレギュラーもアノマリーを補完する形で頭に入れておくと良さそうです。

日別のアノマリー

次に、日別のアノマリー。曜日ごとの値動きにもクセがあるんです。同じく1957年~2024年のデータを基に、曜日ごとの平均リターンを表にしてみました。

曜日平均リターン(%)主な特徴
月曜日-0.1週末の悪いニュースで弱含み
火曜日0.05ほぼニュートラル
水曜日0.15週半ばで安定
木曜日0.1少しプラス
金曜日0.2週末前の買いが入りやすい

月曜日が-0.1%で弱いのは、「週末に悪いニュースが出ると月曜に売られる」ってパターン。たとえば、2022年のウクライナ危機絡みのニュースで月曜に下がったケースとか、よくありますね。逆に金曜日は0.2%とプラスで、週末を前にポジション調整で買いが入る傾向があるみたいです。

もうちょっと細かく見ると、月の初めと終わりにもアノマリーが。月の最初の取引日は平均0.3%プラスで、資金流入が多いからって説が。逆に月の最終日は0.1%マイナス気味で、利益確定売りが出やすいんでしょうね。たとえば、2023年10月31日は月末売りで-0.5%くらい下がったけど、11月1日に0.7%戻したなんて動きもありました。

アノマリーの背景と注意点

これらのアノマリー、なんで起きるのかって考えると、投資家の心理や季節的な資金フローが関係してそうです。年末の12月や11月が強いのは、ボーナスや税金対策の買いが入るから。9月が弱いのは、夏休み明けのポートフォリオ見直しとか、決算期の調整とか言われてます。

ただ、アノマリーはあくまで「傾向」で、毎年必ずそうなるわけじゃないんです。2008年の9月はリーマンショックで-9%も落ちたけど、2019年の9月は1.9%プラスだったり。コロナみたいな大イベントが来ると、アノマリーなんて吹っ飛ぶこともあります。だから、これを参考にしつつ、他の指標やニュースも見ながら判断するのが賢いですね。

S&P500に影響を与えるイベント

S&P500って、ただの数字の羅列じゃなくて、いろんな経済イベントに反応して動く生き物みたいなものですよね。

株価指数だから、企業の業績はもちろん、マクロ経済や政策、地政学的な動きまで、いろんな要因が絡んできます。

まず、S&P500に影響を与える代表的なイベントを一覧にしてみました。

イベント名発表頻度主な特徴と影響
雇用統計(NFP)毎月第1金曜日雇用者数や失業率が経済の健康状態を示す。予想外だと大きく動く。
FOMC(連邦公開市場委員会)年8回金利政策が決まる。利上げは下落、利下げは上昇の傾向。
GDP成長率四半期ごと経済成長のペースを示す。予想以下だと失望売りが出やすい。
CPI(消費者物価指数)毎月インフレ率の指標。高いと利上げ懸念で下落、低いと安心感。
企業決算四半期ごと大型株の決算ミスは指数全体に波及。テック企業が特に影響大。
地政学的イベント不定期戦争や貿易摩擦でリスクオフ。急落もあり得る。

雇用統計(NFP)

雇用統計は、アメリカ労働省が毎月発表するデータで、非農業部門雇用者数(NFP)や失業率、平均時給なんかが含まれます。S&P500にとって超重要で、経済の勢いを見るバロメーターなんです。たとえば、2022年8月の雇用統計で雇用者数が予想を大幅に上回ったとき、S&P500は「経済強いじゃん!」って感じで1.5%近く跳ねました。逆に、2020年4月のコロナ禍で雇用が2200万人減ったときは、市場がパニックになって急落。予想とのズレが大きいほど、インパクトもデカいですね。

FOMC

FOMCは、アメリカの中央銀行(FRB)が金利や金融政策を決める会議。年に8回あって、市場は声明文やパウエル議長の会見に一喜一憂します。金利が上がると企業負担が増えて株価は下がりやすいし、利下げなら資金が市場に流れ込んで上昇ってパターン。2022年の利上げ局面では、FOMC後にS&P500が2~3%動くこともザラでした。2023年末に利下げ示唆が出たときは、逆に急騰して記録更新したくらいです。

GDP成長率

GDPは経済全体の成長率を示す指標で、四半期ごとに発表されます。S&P500はこれで企業の稼ぐ力を間接的に測るわけです。たとえば、2021年第2四半期にGDPが6.7%成長したときは、コロナからの回復期待でS&P500がグンと伸びました。でも、2022年第1四半期にマイナス成長が確認されると、景気後退懸念で一時5%近く下落。市場のムードに直結するんです。

CPI

CPIは物価上昇率を見る指標で、インフレのトレンドをチェックします。インフレが高すぎるとFRBが利上げしてくるんじゃないかって警戒感が広がり、S&P500は下がりがち。2022年6月にCPIが9.1%まで跳ね上がったときは、利上げ加速の恐怖で指数が4%超下落しました。逆に、2023年後半にインフレが落ち着いてくると、軟着陸期待で上昇基調に。インフレと株価の綱引きが面白いところです。

企業決算

S&P500の構成銘柄、特にアップル、マイクロソフト、NVIDIAみたいな大型株の決算は、指数全体を動かします。時価総額加重平均だから、上位10社で3割以上を占めるこの指数は、テック企業の影響がデカいんです。2024年第3四半期にNVIDIAが予想を上回る決算を出したときは、AIブームもあってS&P500が2%近く上がりました。でも、2022年にメタが大コケしたときは、1日で指数が1%超下がったことも。決算シーズンは波乱の連続ですね。

地政学的イベント

不定期だけど、地政学的な動きも見逃せません。たとえば、2022年のロシア・ウクライナ戦争勃発時、S&P500はリスクオフで一時10%近く下落。貿易戦争やテロ事件も市場を揺らします。逆に、緊張が緩和すると買い戻しが入って急回復することもあるんです。


これらのイベントは、S&P500の値動きに直接関わってくるから、投資家はカレンダーをチェックして備えるのが賢いやり方。雇用統計やFOMCは特に注目度が高いし、予想外の結果だとボラティリティが跳ね上がります。

S&P500とPER

S&P500のPER(株価収益率)って、投資家がどれくらい企業の利益に対してプレミアムを払ってるかを示す指標ですよね。

株価を1株当たり利益(EPS)で割ったもので、高いほど割高、低いほど割安って見方が一般的です。

PERの基本と計算

まず、PERの計算をおさらい。S&P500のPERは、指数の現在値(株価の合計)を構成企業の過去12カ月の利益(EPSの合計)で割って出します。たとえば、2025年3月時点でS&P500が6000ポイント、EPS合計が200ドルなら、PERは30倍(6000÷200)。市場が1ドルの利益に30ドル払ってるってことですね。この数字がどう推移してきたのか、歴史を追ってみます。

歴史的なPERの推移

過去数十年分のデータを表にまとめてみました。年ごとの平均PERと、その背景にある主な出来事も一緒に。

平均PER主な出来事
196017.8戦後成長期、安定した経済
197017.0インフレとオイルショック
198718.5ブラックマンデー直前、バブル気味
200028.0ドットコムバブルピーク
200970.9金融危機でEPSが急減、異常値
201018.0金融危機後の回復期
202035.0コロナショック後の急回復と低金利
202220.0インフレと利上げで低下
202429.2AIブームとテック株急騰(3月時点)

歴史的に見ると、S&P500のPERの長期平均は15~20倍くらい。だけど、経済環境や市場のムードで大きくブレるんです。

過去のトレンドとイベント

1960~70年代は、経済が安定してたけどインフレで少し圧迫されて、PERは17倍前後で落ち着いてました。1987年のブラックマンデー前は、バブルっぽくなって18.5倍まで上昇。でも、2000年のドットコムバブルは異常で、PERが28倍まで跳ね上がって、その後の崩壊で急落。2009年は金融危機で企業利益がほぼゼロに近づいたせいで、PERが70倍超えと異常値に。これは計算上の歪みですね。

2010年代は、リーマン後の回復と低金利でPERが15~20倍で安定。2020年はコロナで一時下がったEPSが急回復したのと、ゼロ金利政策で株価が上がって35倍まで急上昇。2022年はインフレと利上げでEPSが伸び悩み、PERが20倍まで下がりました。そして2024年、AIブームでテック株が牽引してまた29倍超え。3月時点で29.2倍ってのは、ちょっと割高感があるかもですね。

月次データで見る最近の動き

直近5年の月次データも見てみましょう。

年月PER主な背景
2020/325.0コロナショック後の底値
2021/1228.5経済再開とテック株高
2022/619.5インフレピークと利上げ加速
2023/1224.0インフレ落ち着き、軟着陸期待
2024/929.2AIブーム継続、テック株過熱

2020年3月の25倍から、2021年末に28.5倍まで上がって、2022年6月に19.5倍まで下がった流れがはっきりしてます。2023年後半から2024年にかけては、インフレが収まってAI関連企業の利益が急増したことで、PERがまた上昇トレンドに。テック株の影響が大きいですね。

PERから見えること

PERが高いときは、市場が将来の成長に楽観的ってことが多いです。2000年や2020年みたいに。でも、高すぎるとバブル崩壊のリスクも。逆に低いときは、経済が弱ってるか、株価が過小評価されてる可能性が。現在の29倍ってのは、歴史平均より高めだけど、1990年代後半のITバブルほどじゃない。AIやテックへの期待がどこまで続くか次第ですね。

S&P500と米国債

S&P500と米国債の関係って、投資の世界でよく話題になりますよね。

株と債券って一見別物だけど、実は経済の大きな流れの中で密接に絡み合ってるんです。

米国債って何?

まず、米国債の基本から。米国債はアメリカ政府が発行する債券で、安全資産の代表格です。特に10年物国債の利回りが注目されがちで、これが上がると「金利上昇」、下がると「金利低下」って言われます。S&P500との関係を考えると、この利回りの動きが株価にどう響くかがポイント。一般的には、利回りと株価は逆相関って言われることが多いんです。

歴史的な関係性

過去のデータで、S&P500と10年物米国債利回りの動きを比較してみましょう。1980年から2024年までの主要なポイントを表にまとめてみました。

米国10年債利回り
米国10年債利回り
S&P500リターン(%)10年物利回り(%)状況
19875.28.4利回り高止まり、ブラックマンデー
2000-9.16.0ドットコムバブル崩壊
2008-37.03.7金融危機、利回り急落
202018.40.9コロナショックでゼロ金利
2022-18.13.9利上げ加速で株価下落
202425.5(配当込み)3.5(3月時点)安定成長と利回り落ち着き

この表見ると、利回りが急に上がるとS&P500が下がる傾向が目立ちます。2022年なんて、FRBがインフレ対策でガンガン利上げして、10年物利回りが3.9%まで跳ね上がったとき、S&P500が18.1%も下落。一方で、2020年のコロナショックで利回りが0.9%まで下がったときは、株価が18.4%プラスで急回復してます。

相関の具体例

もっと詳しく見ると、S&P500と10年物利回りの相関係数は時期によってブレます。1980~2024年の全体だと約-0.4くらいで、弱い逆相関。具体的には、利回りが1%上がると、S&P500が5~10%下がるケースが多いんです。たとえば、2018年の利上げ局面で利回りが3.2%まで上がったとき、S&P500が年末に6.2%マイナスになったのは記憶に新しいですよね。

逆に、利回りが下がると株価が上がるパターンも。2008年の金融危機で利回りが3.7%まで落ちた後、2009年にS&P500が26.5%戻したのは、資金が安全資産から株に流れたから。2020年のゼロ金利も同じで、低利回りが株高を後押ししました。

背景とメカニズム

なんでこんな関係になるのかって、経済のロジックが絡んでます。利回りが上がると、企業が借金するコストが上がって利益が圧迫されるし、投資家が債券に資金を移すから株が売られやすいんです。2022年の利上げでテック株がガツンと下がったのは、まさにこの影響。逆に利回りが下がると、株の配当利回りが魅力的に見えて買いが入る。2020年のコロナ対策でFRBが利下げしたとき、S&P500が急騰したのはその典型です。

ただ、逆相関が崩れるときもあります。1990年代後半のITバブル期とか、利回りが6%あってもS&P500がバンバン上がってた。成長期待が金利のマイナスを上回ったからですね。最近の2024年も、利回りが3.5%で安定してる中、AIブームでS&P500が25.5%プラスって、ちょっと特殊なケースかも。

S&P500と金(ゴールド)

S&P500と金って、投資の2大スターみたいな存在ですよね。

株は成長を追い、金は安全資産ってイメージだけど、この2つがどう絡んでるのか、気になるところです。

金って何?

金は、インフレや危機のヘッジとして知られる資産で、価格は1トロイオンス(約31.1g)単位でドル建てされます。S&P500がリスク資産なら、金はリスクオフの代表。経済が不安定だと金が買われ、安定すると売られるってのが基本的な動きです。さて、この2つの関係はどうなってるのか、見ていきましょう。

歴史的な関係性

過去のデータで、S&P500と金の価格の動きを比較してみます。1971年(金本位制終了後)から2024年までの主要ポイントを表にまとめました。

 
S&P500リターン(%)金価格($/オンス)状況
198032.5612インフレピークで金高騰
2000-9.1279ドットコムバブル崩壊、金は低迷
2008-37.0872金融危機で金上昇
202018.41895コロナで金急騰、株も回復
2022-18.11804利上げで金横ばい、株下落
202425.5(配当込み)2400(3月時点)地政学リスクで金堅調、株も好調

この表見ると、S&P500が下がるときに金が上がる傾向がちらほら。2008年の金融危機でS&P500が37%落ちたとき、金は872ドルまで上昇。2020年のコロナショックでも、金が1895ドルまで跳ねて、S&P500の下落をカバーする動きがありました。逆に、1980年みたいに株が32.5%上がっても、金がインフレで612ドルまで上がったケースは、ちょっと特殊ですね。

相関の具体例

データで見ると、S&P500と金の相関係数は1971~2024年で約-0.2と、弱い逆相関。危機のときは逆相関が強まるけど、普段はそこまで連動しないんです。たとえば、2011年の欧州債務危機で金が1900ドル近くまで上がったとき、S&P500が5.4%下がって、逆相関がバッチリ出ました。一方、2023年のAIブームでS&P500が24.2%上がったとき、金も1800ドル前後で安定してて、あんまり動かなかった。

金の価格が急騰すると、S&P500がその後下がるケースも。2020年8月に金が2075ドルのピークつけた後、S&P500が一時調整したのは、市場がリスクオフに傾いたサインだったのかも。ただ、2024年3月の2400ドルでもS&P500が好調ってのは、地政学リスク(ウクライナとか中東)とテック成長が共存してるからですね。

背景とメカニズム

なんでこんな関係になるのかって、金が「安全資産」だからです。S&P500が下がるとき、投資家が株を売って金に逃げる。2008年のリーマンショックで金が上がったのは、まさにその動き。逆に、経済が安定して株が上がると、金の魅力が薄れて売られがち。1980年代のインフレ期は例外で、金利が上がってもインフレヘッジで金が買われたんです。

ただ、最近はちょっと複雑。2020年みたいに、金も株も上がる「リスクオン+安全資産買い」が起きたりする。ゼロ金利で現金の価値が下がったから、金が注目されたって背景もあります。2024年の2400ドルも、インフレ落ち着いてるのに地政学リスクで買われてる感じですね。

S&P500と原油

S&P500と原油の関係って、エネルギーと経済のつながりを考えると面白そうですよね。

原油って何?

原油は、ガソリンやプラスチックの原料になるエネルギー資源で、価格はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)基準で1バレル単位でドル建てされます。S&P500にはエネルギーセクター(エクソンとか)が4%くらい入ってるから、原油価格が直接響くし、経済全体にも波及します。その関係をデータで見ていきましょう。

歴史的な関係性

過去のデータで、S&P500とWTI原油価格の動きを比較してみます。1980年から2024年までのポイントを表にまとめました。

 

この表見ると、原油価格とS&P500の関係は一筋縄じゃいかない感じ。2008年は原油が99ドルから44ドルに落ちて、S&P500も37%下落。2022年も原油が100ドル超えた後、株が18.1%下がってます。逆に2020年は原油がマイナス20ドルまで落ちたけど、S&P500は18.4%プラスで回復。状況次第で動きがバラバラですね。

相関の具体例

データで見ると、S&P500と原油の相関係数は1980~2024年で約0.3と、弱い正相関。原油が上がるとエネルギー企業の株価が上がってS&P500を押し上げるけど、経済全体のコスト増で下がる場合もあるんです。たとえば、2014年のシェール革命で原油が53ドルまで下がったとき、S&P500は13.7%プラス。エネルギー安が企業利益を支えた形。一方、2022年の原油100ドルはインフレ懸念で株を圧迫しました。

原油が急騰すると、S&P500が短期で2~5%下がるケースが多いです。2008年7月の147ドルピーク後、S&P500が10%落ちたのはその例。逆に原油が下がると株が上がる傾向も。2020年4月のマイナス価格から37ドルに戻った後、S&P500が急回復したのは、エネルギーコスト低下がプラスに働いたからですね。

背景とメカニズム

原油とS&P500の関係は、2つの力で動いてます。一つはエネルギーセクターへの直接影響。原油が上がるとエクソンとかシェブロンが儲かって、S&P500にプラス。でも、原油高がインフレやコスト増につながると、消費や企業利益が圧迫されてマイナス。2022年のウクライナ危機で原油が100ドル超えたとき、エネルギー株は上がったけど、全体はインフレ懸念で下がりました。

もう一つはマクロ経済の連動。景気がいいと原油需要が増えて価格が上がり、S&P500も上がる。1980年の32.5%プラスと原油37ドルは、そのパターン。ただ、2020年のマイナス原油みたいに、供給過剰や需要崩壊だと逆になるんです。

S&P500とFear and Greed

S&P500の動きって、投資家の感情にめっちゃ左右されますよね。

その投資家感情を数値化したのが「Fear and Greed Index(恐怖と欲望指数)」で、CNNが毎日更新してる指標です。

Fear and Greed Indexって何?

まず、この指数の基本から。

Fear and Greed Indexは、市場のセンチメントを0~100で表してて、

  • 0が「極端な恐怖」
  • 100が「極端な欲望」

7つの指標(市場の勢い、株価の強さ、オプション取引量とか)を使って計算されてます。たとえば、VIX(ボラティリティ指数)が高いと恐怖、株価が急上昇してると欲望って感じで反映されるんです。

S&P500との関係を考えると、投資家の感情が株価を動かすドライバーになることが多いですよね。恐怖が高まると売りが増えて下がるし、欲望が強まると買いが殺到して上がる。

歴史的な関係性

過去のデータから、S&P500とFear and Greed Indexの動きを比較してみます。2011年(指数の開始年)から2024年までの主要なポイントを表にまとめました。

年月S&P500リターン(%)Fear and Greed値状況
2011/8-5.412欧州債務危機で恐怖ピーク
2012/92.590QE3で欲望モード
2020/3-12.52コロナショックで極端な恐怖
2021/124.475経済再開で欲望高まる
2022/6-8.418インフレと利上げで恐怖
2024/33.280AIブームで欲望再燃(3月時点)

この表見ると、Fear and Greedが低いときはS&P500が下がる傾向、逆に高いときは上がってるパターンが目立ちます。2020年3月のコロナショックで指数が2まで落ちたときは、S&P500が12.5%も下落。逆に2021年末の75って高値のときは、4.4%プラスで欲望が市場を押し上げてました。

具体的な動きと相関

もうちょっと細かく見ると、Fear and Greedが極端な値(20以下や80以上)になったとき、S&P500の動きが顕著なんです。極端な恐怖(20以下)だと、次の1カ月の平均リターンが-2.5%くらい。一方、極端な欲望(80以上)だと、次の1カ月で2.8%プラスってデータがあります。たとえば、2022年6月に18まで下がった後、7月は9.1%戻したけど、その前の下落がキツかったから、やっぱり恐怖が底打ちのサインになることも。

相関性を数値で見ると、2011~2024年の日次データでS&P500とFear and Greedの相関係数は約0.6。完全に一致はしないけど、正の相関があって、欲望が高まると株価も上がりやすいって感じです。ただ、短期的なズレもあるから、たとえば2020年3月の恐怖ピーク後にすぐV字回復したみたいに、感情が先行することもあります。

背景と影響

なんでこんな関係になるのかって考えると、投資家の心理が市場を動かすからですよね。恐怖が広がると、みんな一斉に売りに走ってS&P500が下がる。2020年のコロナ初期みたいに、不確実性がMAXだとパニック売りが出ます。逆に、欲望が高まると、FOMO(取り残される恐怖)で買いが加速。2023~2024年のAIブームでテック株が跳ねたのも、欲望が後押しした結果です。

ただ、Fear and Greedがいつも完璧な予測ツールかって言うと、そうでもないんです。2022年の利上げ局面みたいに、恐怖が長引いても株価がジワジワ下がるケースもある。感情だけじゃなく、金利やマクロ経済も絡んでくるから、単独で見るより他の指標と組み合わせるのが賢い使い方ですね。

S&P500とVIX

VIXは「恐怖指数」とも呼ばれてて、市場の不安感を表すバロメーターです。

VIXって何?

まず、VIXの基本から。VIXは、S&P500のオプション価格から計算される指数で、次の30日間の予想ボラティリティを示します。値が高いほど市場が不安定、低いほど安定ってわけ。たとえば、VIXが20なら穏やか、30超えると警戒、50超えるとパニックって目安です。S&P500との関係は、基本的に「逆相関」がキーワードになります。

歴史的な関係性

過去のデータで、S&P500とVIXの動きを比較してみましょう。1990年(VIX開始年)から2024年までの主要なポイントを表にしてみました。

年月S&P500リターン(%)VIX値状況
1987/10-20.5(1日)ブラックマンデー(VIX前)
2008/10-16.989.5金融危機でVIXピーク
2020/3-12.582.7コロナショックで急上昇
2021/124.417.2穏やかな年末ラリー
2022/6-8.431.8インフレと利上げで不安高まる
2024/33.213.5安定した市場(3月時点)

この表見ると、S&P500が大きく下がるとき、VIXが跳ね上がるのが一目瞭然。2008年の金融危機でVIXが89.5まで行ったときは、S&P500が1カ月で16.9%も下落。2020年のコロナショックも同じで、VIXが82.7に達したとき、S&P500は12.5%落ちました。逆に、2024年3月みたいにVIXが13.5と低いときは、S&P500が3.2%プラスで安定してるんです。

相関の具体例

もっと細かく見ると、S&P500とVIXの逆相関はデータでもバッチリ裏付けられてます。1990~2024年の日次データで、相関係数は約-0.8。ほぼ80%の確率で、S&P500が上がるとVIXが下がり、下がるとVIXが上がるって感じ。具体例だと、2020年3月23日にS&P500が底打ったとき、VIXは61.6まで下がって、そこからS&P500が急回復。逆に2022年6月の下落局面でVIXが31.8まで上がったときは、市場がビビってるのがモロわかりでした。

VIXの動きを予測に使うこともできます。VIXが30超えると、1カ月のS&P500平均リターンが-1.5%くらい。一方、VIXが15以下だと、平均1.2%プラスって傾向。たとえば、2023年11月にVIXが12.5まで下がった後、12月にS&P500が4.5%上がったのは、まさにこのパターンですね。

背景とメカニズム

なんでこんな逆相関になるのかって、VIXが投資家の「恐怖」を映してるからです。S&P500が下がると、オプションでヘッジする動きが増えて、VIXが上がる。2008年のリーマンショックや2020年のコロナみたいに、不確実性がMAXになると、みんな一斉に売りまくってVIXが急騰。一方、市場が落ち着くと、オプション需要が減ってVIXが下がるんです。

ただ、例外もあります。たとえば、2017年みたいな超安定相場だと、S&P500がジワジワ上がってもVIXが9台まで下がって、そのまま低空飛行。逆相関が崩れるってより、動き自体が小さくなるケースですね。あと、VIXが急騰してもすぐ下がることもあって、2020年3月の82.7から4月には40台まで落ちたみたいに、短期的なスパイクは注意が必要です。

S&P500とNAAIM

NAAIMって聞き慣れない人もいるかもしれないけど、アクティブ運用してるプロの動きを映す鏡みたいな存在です。

NAAIMって何?

まず、NAAIMの基本から。全米アクティブ投資マネージャー協会(National Association of Active Investment Managers)は、アクティブ運用をする投資顧問やファンドマネージャーの集まりで、1989年に設立されました。彼らが注目されるのは、「NAAIM Exposure Index」っていう指標。この指数は、NAAIMのメンバーがどれくらい米国株(特にS&P500)に資金を突っ込んでるかを毎週調査して、0%(全く投資してない)から200%(レバレッジかけてフル投資)で表してるんです。つまり、プロの「リスクオン」「リスクオフ」の気持ちがモロに出るわけ。

S&P500との関係を考えると、この指数が投資家のポジション取りを映してるから、市場のムードやトレンドとリンクしてるんじゃないかって期待が持てますよね。じゃあ、実際どうなのか、データで見てみましょう。

歴史的な関係性

NAAIM Exposure Indexのデータは2006年から公開されてるので、そこから2024年までの動きをS&P500と比べてみます。主要なポイントを表にまとめてみました。

年月S&P500リターン(%)NAAIM Exposure(%)状況
2008/10-16.920金融危機で超慎重
2011/8-5.435欧州債務危機でリスクオフ
2020/3-12.510コロナショックでほぼゼロ投資
2021/124.495経済再開で強気モード
2022/6-8.440インフレと利上げで中途半端
2024/33.285AIブームでそこそこ強気(3月時点)

この表見ると、S&P500が大きく下がるとき、NAAIMのエクスポージャーがガクッと下がる傾向がはっきりします。2008年の金融危機で20%まで落ちたときは、プロが「もうダメだ」って感じで株から手を引いてたし、2020年のコロナショックで10%なんて、ほぼ全員逃げ出したレベル。一方で、2021年末の95%みたいに、市場が盛り上がってるときはガッツリ投資してるんです。

相関とタイミング

データをもっと掘ると、S&P500とNAAIM Exposure Indexの相関係数は2006~2024年で約0.5くらい。正の相関があって、S&P500が上がるとエクスポージャーも増える傾向。ただ、面白いのはタイミングのズレ。NAAIMの値って、市場のピークや底を少し遅れて追いかけることが多いんです。たとえば、2020年3月のS&P500底値(約2237ポイント)のとき、エクスポージャーは10%で最低だったけど、その後4月にS&P500が12.8%戻したタイミングで40%くらいに回復。プロが「底打ったかな」って気づくのが遅れるパターンですね。

逆に、2022年6月の-8.4%下落のとき、エクスポージャーが40%って中途半端な数字だったのは、利上げの影響を見極めきれずウロウロしてた証拠。NAAIMが100%超える(レバレッジかけて強気)ときは、S&P500がその後1カ月で平均2.5%上がるってデータもあるけど、逆に20%以下だと-3%くらい下がる傾向も。市場の転換点を予兆するサインとして使えそうです。

背景とメカニズム

なんでこんな関係になるのかって、NAAIMのメンバーはアクティブ運用してるプロだから、市場のリスクとリターンを常に調整してるんです。S&P500が下がると、リスク管理でポジション減らして、上がると「チャンス!」って感じで増やす。2020年のコロナみたいな危機だと、みんな一斉に逃げてエクスポージャーが激減。逆に、2024年のAIブームで85%ってのは、テック株の勢いに乗ってる姿勢が透けて見えますね。

ただ、NAAIMのデータって「結果論」的な面もあるんです。毎週水曜に前の2週間の平均を取るから、リアルタイムの動きじゃなくて、少し遅れた反応。たとえば、2022年のインフレ懸念がピークだったとき、S&P500が先に下がってからエクスポージャーが減った感じ。だから、予測ツールとして使うなら、他の指標(VIXとか)とセットで見た方が良さそうです。

S&P500とAAII

AAIIって何?

まず、AAIIの基本から。アメリカ個人投資家協会(American Association of Individual Investors)は、1980年代から活動してる非営利団体で、個人投資家の教育やリサーチをサポートしてます。一番有名なのが「AAII Sentiment Survey」。毎週、会員に「今後6カ月の市場をどう思う?」って聞いて、強気(Bullish)、弱気(Bearish)、中立(Neutral)の割合を発表してるんです。このデータ、個人の「気分」がS&P500にどう響くかを探る手がかりになります。

歴史的な関係性

AAIIのセンチメント調査は1987年から始まったので、そこから2024年までの動きをS&P500と比べてみます。代表的なポイントを表にしてみました。

年月S&P500リターン(%)AAII強気割合(%)AAII弱気割合(%)状況
1987/10-20.5(1日)2550ブラックマンデーで弱気爆発
2009/311.71970金融危機底値で超弱気
2020/3-12.52255コロナショックで弱気急増
2021/124.44825経済再開で強気モード
2022/108.02060利上げ底値で弱気ピーク
2024/33.24522AIブームで強気(3月時点)

この表見ると、S&P500が急落するとき、AAIIの弱気割合が跳ね上がるのがわかります。2009年3月の金融危機底で弱気が70%なんて、みんな「もう終わりだ」って感じだったけど、そこが底で11.7%戻した。一方で、2021年末の48%強気は、市場が盛り上がってた時期とバッチリ合ってますね。

相関と逆張り効果

データで見ると、S&P500とAAII強気割合の相関係数は1987~2024年で約0.4くらい。正の相関があって、S&P500が上がると強気も増える傾向。ただ、面白いのは「逆張り効果」。強気割合が極端に高い(50%超)や低い(20%以下)とき、市場が逆に動くことが多いんです。たとえば、2009年3月の19%強気は底値サインで、その後S&P500が急上昇。逆に、2000年3月のITバブルピークで強気75%だったときは、その後-9.1%の下落が待ってました。

具体例だと、2022年10月の弱気60%はS&P500の底値(約3570ポイント)で、そこから8%戻したのは典型的。AAIIが極端に偏ると、市場が「もうそろそろ反転かな」って動き出すパターンが目立ちます。強気50%超で次の1カ月が-1.8%、弱気60%超で2.5%プラスってデータもあるんです。

背景とメカニズム

なんでこんな関係になるのかって、個人投資家の心理が市場の「過熱」や「冷え込み」を映してるから。S&P500が上がると、ニュースで「株最高!」って煽られて、個人が強気になる。2021年の経済再開で強気48%になったのは、まさにその流れ。逆に、下がると「やばい!」って弱気が増えて、2020年3月の55%弱気はパニックの表れですね。

この逆張り効果は、個人が「遅れて乗る」傾向があるから。プロが先に動いて市場が底打った後、個人が「安全そう」って感じて強気になる。だから、AAIIが極端だと、逆にトレンドが終わるサインになることが多いんです。2024年3月の45%強気は、まだ過熱じゃないけど、50%超えたら警戒って感じかも。

S&P500に連動するETF

アメリカの大型株500社をまとめたこの指数に連動するETF(上場投資信託)は、投資家にとって手軽に市場全体にアクセスできるツールとして大人気です。でも、S&P500に連動するETFって実は結構種類があって、それぞれ特徴が違うんです。

まず、S&P500に連動するETFの代表格から見ていきましょう。これらは市場でよく取引されているメジャーなものです。以下に、主なETFを一覧表にまとめました。

ETF名ティッカー運用会社経費率(%)特徴
SPDR S&P 500 ETF TrustSPYステート・ストリート0.0945世界初のETFで流動性が抜群。機関投資家やトレーダーに人気。
Vanguard S&P 500 ETFVOOバンガード0.03超低コストで長期投資家向け。配当再投資もスムーズ。
iShares Core S&P 500 ETFIVVブラックロック0.03低コストでVOOと双璧。個人投資家に広く支持されている。
SPDR Portfolio S&P 500 ETFSPLGステート・ストリート0.02SPYの廉価版で経費率が最安クラス。コスト重視派におすすめ。
Invesco S&P 500 Equal Weight ETFRSPインベスコ0.20時価総額加重じゃなく均等加重。中小型株の影響が強い。

これが基本の5つ。どれもS&P500をベースにしてるけど、運用会社やコスト、ちょっとした仕組みの違いがあるんです。たとえば、SPYは1993年に誕生したETFの元祖で、1日の取引量が億単位になることもあって、流動性はピカイチ。デイトレーダーや大口投資家がポジションを動かすのに向いてます。ただ、経費率が0.0945%と少し高めなのがネック。一方で、VOOやIVVは経費率が0.03%と激安だから、毎年のコストを抑えたい長期投資家にはぴったりです。

次に、レバレッジ型や逆連動型のETFも見てみましょう。

これらはちょっと特殊で、リスクも高いけど使い方次第で面白い選択肢になります。

ETF名ティッカー運用会社経費率(%)特徴
ProShares Ultra S&P 500SSOプロシェアーズ0.90S&P500の2倍の値動きを目指す。短期トレード向けでリスク高め。
Direxion Daily S&P 500 Bull 3XSPXLディレクション0.99S&P500の3倍の値動き。ハイリスク・ハイリターンで上級者向け。
ProShares Short S&P 500SHプロシェアーズ0.89S&P500の逆方向に動く。市場下落時のヘッジに使える。
Direxion Daily S&P 500 Bear 3XSPXSディレクション0.99S&P500の3倍逆連動。急落狙いの投機的な使い方がメイン。

レバレッジ型(SSOやSPXL)は、S&P500の値動きを2倍や3倍に増幅するタイプ。たとえば、S&P500が1%上がればSPXLは3%上がる計算です。でも、下がるときも3倍下がるから、短期間のトレード以外ではリスクが大きすぎるかも。逆にSHやSPXSは市場が下がるときに利益が出る設計。2020年のコロナショックみたいな急落時に、SHが20%以上上がった例もあるんです。ただ、経費率が0.9%前後と高く、長く持つとコストが響きます。

ほかにも、ちょっとニッチなS&P500連動ETFがあります。たとえば、セクター別やテーマに特化したもの。

ETF名ティッカー運用会社経費率(%)特徴
Invesco S&P 500 Low Volatility ETFSPLVインベスコ0.25S&P500の中でも低ボラティリティ銘柄に絞る。安定志向派向け。
Invesco S&P 500 High Dividend Low Volatility ETFSPHDインベスコ0.30高配当かつ低ボラティリティ銘柄を厳選。インカム重視。
iShares S&P 500 Growth ETFIVWブラックロック0.18S&P500の成長株にフォーカス。テック株の比率が高い。
iShares S&P 500 Value ETFIVEブラックロック0.18S&P500のバリュー株に特化。割安株狙いの投資家向け。

SPLVやSPHDは、リスクを抑えたい人や配当を重視する人に向けた選択肢。IVWとIVEは、成長株かバリュー株かで投資スタイルを分けたいときに便利です。たとえば、IVWはアップルやマイクロソフトみたいな成長企業が中心で、2020年代のテックブームでしっかり伸びました。一方、IVEは金融やエネルギー系の割安株が多いですね。


特徴をまとめると、SPYは流動性、VOOとIVVは低コスト、レバレッジ型は短期勝負、テーマ型は特定のニーズ対応って感じです。どれを選ぶかは、投資期間やリスク許容度、コスト意識次第。長期ならVOOやSPLGの低コストが光るし、短期でガツンと狙うならSPXLもあり。市場環境や自分の戦略に合わせて選んでみてください。

S&P500とよく比較される他の指数(インデックス)

他のインデックス指数と比べるとどうなのか、気になるところです。S&P500とよく比較される代表的な指数、たとえばダウ平均(ダウ・ジョーンズ工業株30種平均)、ナスダック100、そしてラッセル2000あたりを取り上げて、その違いや特徴をじっくり見ていきます。

ダウ平均との比較

ダウ平均は、30社の大手企業で構成される指数で、歴史も古く知名度も抜群です。ただ、S&P500とは計算方法が違っていて、時価総額じゃなくて株価の平均を取る「株価加重平均」を採用しています。たとえば、株価が高い企業ほど影響が大きくなる仕組みです。

ここで、2025年3月時点での基本情報を表にまとめてみました。

項目S&P500ダウ平均
構成銘柄数503社(実質)30社
計算方法時価総額加重平均株価加重平均
カバー範囲市場の約80%大型株の一部のみ
主な銘柄例アップル、マイクロソフトゴールドマン・サックス、ボーイング
2024年リターン約23.3%約13%

ダウ平均は銘柄数が少ない分、個別企業の動きに左右されやすいです。たとえば、2024年にボーイングが業績不振で株価を下げると、ダウ全体に響いたりします。一方、S&P500は503社(アルファベットなどの複数クラス株を含む)で分散されているから、1社の影響は薄まりやすいんです。この安定感が、S&P500が「市場全体の指標」と呼ばれる理由ですね。

ナスダック100との比較

次に、ナスダック100。こっちはテクノロジー株に特化した指数で、ナスダック市場の上位100社(非金融企業中心)で構成されています。S&P500にもテック企業は多いけど、ナスダック100はもっと尖った存在です。

比較表を見てみましょう。

項目S&P500ナスダック100
構成銘柄数503社100社
計算方法時価総額加重平均時価総額加重平均
セクター偏重情報技術約29.5%テクノロジー約50%
主な銘柄例NVIDIA、アマゾンテスラ、ネットフリックス
2024年リターン約23.3%約30%

ナスダック100は、2024年にAIブームやテック企業の成長で30%近いリターンを叩き出しました。S&P500も悪くないけど、テック集中型のナスダックの方が勢いがあったわけです。ただ、その分リスクも高くて、テックセクターが冷え込むと一気に下落する可能性もあります。S&P500は金融やヘルスケアも含むから、バランスが取れているんですよね。

ラッセル2000との比較

最後に、ラッセル2000。これは小型株2000社で作られる指数で、S&P500の大型株とは対極にあります。中小企業が多いから、景気敏感度が高く、経済が上向くと大きく伸びる傾向があります。

表で違いを整理します。

項目S&P500ラッセル2000
構成銘柄数503社2000社
計算方法時価総額加重平均時価総額加重平均
企業規模大型株小型株
主なセクター多様金融、産業中心
2024年リターン約23.3%約10%

ラッセル2000は2024年のリターンが10%程度と、S&P500に比べて控えめでした。金利上昇局面だと小型株は資金調達が厳しくなるから、大型株優勢の年だったんです。でも、景気回復期にはラッセルがS&P500を上回ることも多いので、タイミング次第ですね。

まとめ

S&P500って、アメリカ経済を映す鏡みたいな存在で、いろんな角度から見るとその魅力や動きがよくわかるんです。過去数十年のデータを見ると、年平均10%超のリターンで長期成長してるけど、危機(2008年-57%、2020年-34%)も乗り越えて回復する力強さが特徴。ボラティリティは年15-20%で、3%下落は年3-5回、10%超は超レア。ダウやナスダックと比べると分散性が高く、ETF(SPY、VOOなど)で簡単に投資できるのも人気の理由となっています。

ぜひ、米国株投資の参考にしてみてください。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。