Fear & Greed Indexとは?市場の感情を読み解く7つの指標

心理

CNNの「Fear & Greed Index」は、投資家の恐怖(Fear)と貪欲さ(Greed)を数値化したユニークな指標です。市場の過熱感や冷え込みを把握するのに役立ち、投資判断の参考になります。この記事では、構成要素である7つの指標(Market Momentum、Stock Price Strength、Stock Price Breadth、Put and Call Options、Market Volatility、Safe Haven Demand、Junk Bond Demand)を詳細に解説します。それぞれの見方や解釈、数値の基準を学び、市場心理を読み解くスキルを身につけましょう。

Fear & Greed Indexとは?

Fear & Greed Indexは、投資家の心理状態を0~100のスコアで表すツールです。0に近いほど「極端な恐怖」、50が「中立」、100に近いほど「極端な貪欲」を示します。この指数は、7つの指標を組み合わせることで、市場全体のムードを数値化。投資家が過剰に楽観的か悲観的かを把握するのに役立ちます。
各指標は異なる視点から市場を分析し、総合スコアに反映されます。以下で、7つの指標を1つずつ詳しく見ていきましょう。

指標1:Market Momentum(市場モメンタム)

概要

Market Momentumは、市場全体の勢いを測定します。具体的には、S&P 500指数の現在値が過去125日間の移動平均と比べてどれだけ乖離しているかを示します。勢いが強いか弱いかを把握する指標です。

計算方法

S&P 500の終値が125日移動平均を上回ると「Greed」、下回ると「Fear」と判断されます。乖離の大きさがスコアに影響します。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Greed): 市場が上昇トレンドにあり、勢いが強い。投資家が積極的に買いを進めている状態。
  • 数値が低い場合(Fear): 市場が下降トレンドに転じ、勢いが弱まっている。売りが優勢な可能性。 例えば、2020年3月のコロナショックでは勢いが急落し、Fear寄りに。

基準値

過去2年間のデータで正規化され、極端な乖離(±10%以上など)が「極端なGreed/Fear」とされます。

投資への活用

勢いが強すぎる(極端なGreed)場合は過熱感に注意し、逆に急落(極端なFear)時は買い場と捉えるのも一手です。

指標2:Stock Price Strength(株価の強さ)

概要

Stock Price Strengthは、株価が52週高値に近い銘柄と52週安値に近い銘柄の数を比較します。市場全体の強さを示す指標です。

計算方法

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の銘柄のうち、52週高値を更新する銘柄数と安値を更新する銘柄数をカウント。比率が高いほど「Greed」に。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Greed): 高値更新銘柄が多く、市場が力強い。
  • 数値が低い場合(Fear): 安値更新銘柄が増え、弱気ムードが広がっている。 2021年のテック株ブームでは、この指標がGreed寄りに。

基準値

高値更新銘柄が安値更新銘柄を大幅に上回ると「極端なGreed」、逆なら「極端なFear」。

投資への活用

高値更新銘柄が多い時期はトレンドに乗る戦略、安値更新が増える局面は慎重に。

指標3:Stock Price Breadth(株価の幅)

概要

Stock Price Breadthは、市場の「幅」を測定します。上昇銘柄数と下降銘柄数の比率を基に、市場全体の参加度を評価します。

計算方法

NYSEの「上昇銘柄数」を「下降銘柄数」で割った比率を使用。比率が高いほど「Greed」に。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Greed): 多くの銘柄が上昇し、市場全体が活況。
  • 数値が低い場合(Fear): 下降銘柄が優勢で、市場の広がりが乏しい。

基準値

比率が2:1以上で「Greed」、1:2以下で「Fear」が目安。

投資への活用

幅広い銘柄が上がる局面は強気相場のサイン、逆に狭まるとトレンド転換の可能性。

指標4:Put and Call Options(プットとコールオプション)

概要

Put and Call Optionsは、オプション市場の動向を反映します。プット(売り)とコール(買い)の取引量比率から、投資家のリスク選好度を測定。

計算方法

プットオプションの取引量をコールオプションで割った比率。プットが多いと「Fear」、コールが多いと「Greed」。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Fear): プットの需要が高く、投資家が下落に備えている。
  • 数値が低い場合(Greed): コールが優勢で、上昇期待が強い。

基準値

過去1年の平均から乖離が大きい場合、「極端なFear/Greed」に。

投資への活用

プット/コール比率が極端に高い時は底値のサイン、逆に低い時は天井の可能性。

指標5:Market Volatility(市場ボラティリティ)

概要

Market Volatilityは、市場の変動性を測定します。VIX(恐怖指数)を用いて、投資家の不安度を反映。

計算方法

VIXの現在値と50日移動平均を比較。高ければ「Fear」、低ければ「Greed」。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Fear): 変動が激しく、投資家がリスクを避ける傾向。
  • 数値が低い場合(Greed): 市場が安定し、楽観ムード。

基準値

VIXが30以上で「極端なFear」、15以下で「Greed」。

投資への活用

VIX急上昇時はバーゲンハントのチャンス、低すぎる時は過信に注意。

指標6:Safe Haven Demand(安全資産需要)

概要

Safe Haven Demandは、安全資産(国債)とリスク資産(株式)の需要バランスを示します。

計算方法

米国10年国債とS&P 500のリターン差を測定。国債が優勢なら「Fear」、株式なら「Greed」。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Fear): 国債への逃避が進み、リスク回避ムード。
  • 数値が低い場合(Greed): 株式が選好され、楽観的。

基準値

過去20日間の平均との比較で乖離が大きい場合に極端と判断。

投資への活用

安全資産需要が高まる局面は様子見、低い時はリスクオン戦略を。

指標7:Junk Bond Demand(ジャンク債需要)

概要

Junk Bond Demandは、低格付け債(ジャンク債)と高格付け債の需要差を測定。リスク選好度を反映します。

計算方法

ジャンク債と投資適格債のスプレッド(利回り差)を比較。スプレッドが狭いと「Greed」、広いと「Fear」。

見方と解釈

  • 数値が高い場合(Greed): ジャンク債が買われ、リスクを取る姿勢が強い。
  • 数値が低い場合(Fear): スプレッドが拡大し、安全志向に。

基準値

スプレッドが過去平均より大幅に狭い/広い場合に極端とされる。

投資への活用

スプレッド縮小時はリスク資産に注目、拡大時は守りを固める。

各指標の見方と解釈のポイント

7つの指標を総合的に見ることで、市場心理の全体像が浮かび上がります。

  • Market Volatilityが高いのにSafe Haven Demandが低い: 一時的なパニック売りで、底値の可能性。
  • Stock Price Breadthが狭く、Market Momentumが強い: 一部の大型株だけが牽引し、持続性に疑問。 スコア全体が50近辺なら様子見、極端(0や100に近い)なら行動のタイミングです。

Fear & Greed Indexを投資にどう活かすか

Fear & Greed Indexは「逆張り」のヒントを与えてくれます。過去の例では、2008年金融危機(極端なFear)で底値を拾った投資家が大きなリターンを得ました。一方、2021年のGreedピークでは利確が賢明でした。
具体策として:

  • 極端なFear(0~20): 割安株を仕込む。
  • 極端なGreed(80~100): 利益確定を検討。 日々のチェックでトレンドを掴み、感情に流されない判断を。

まとめ

Fear & Greed Indexの7指標を理解すれば、市場の「感情」を数値で捉えられます。Market Momentumで勢いを、Stock Price Breadthで広がりを、Market Volatilityで不安をチェック。まずは毎日スコアを確認し、投資に活かす習慣をつけてみましょう。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。