毎月分配型の米国ETF|初心者でもわかるメリット・デメリットとおすすめ銘柄

毎月分配型ETF ETF
  1. 毎月分配型米国ETFとは?
    1. 米国ETFの基本概要
    2. 毎月分配型ETFの仕組み
    3. 毎月分配型の需要と人気
  2. 毎月分配型米国ETFのメリットとデメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  3. 利用シーンと適した投資家タイプ
    1. 毎月の収入源を確保したい投資家
    2. 再投資で資産形成を進めたい投資家
    3. 初心者の資産分散手段として
    4. 高配当利回りを追求したい投資家
    5. 積極的な運用よりも安定を求める投資家
  4. 人気のある毎月分配型米国ETFの一覧と特徴
    1. 代表的な銘柄の紹介
    2. 銘柄ごとの配当推移と過去のリターン
  5. 毎月分配型ETFの選び方のポイント
    1. 配当利回りと総資産額の確認
    2. 経費率の確認
    3. 投資対象の内容とセクター
    4. 為替リスクの考慮
  6. 毎月分配型ETFを活用する際の注意点
    1. 1. 分配金が元本を圧迫する可能性
    2. 2. 税制面での負担
    3. 3. 経済変動によるリスク
    4. 4. 流動性リスク
    5. 5. 過去のパフォーマンスに過度に依存しない
  7. 毎月分配型ETFと他の投資商品の比較
    1. 毎月分配型ETF vs. 債券
    2. 毎月分配型ETF vs. 高配当株
    3. 毎月分配型ETF vs. REIT(不動産投資信託)
    4. 毎月分配型ETF vs. 投資信託
  8. 毎月分配型ETFの活用方法と運用戦略
    1. 1. 生活費の補填として活用する
    2. 2. 長期的な資産運用の一環として
    3. 3. 再投資による資産拡大戦略
    4. 4. 市場環境に応じたリバランス戦略
    5. 5. 税制優遇を活用した運用
  9. 毎月分配型ETFの将来展望と注意すべきリスク
    1. 毎月分配型ETFの成長性と今後の展望
    2. 注意すべきリスク
  10. まとめ

毎月分配型米国ETFとは?

米国ETFは、複数の株式や債券、不動産投資信託(REIT)などに分散投資できる商品で、取引所で株式と同じように売買ができる金融商品です。毎月分配型の米国ETFは、その中でも分配金(配当)が月ごとに支払われるタイプのETFで、個人投資家に人気があります。

米国ETFの基本概要

ETF(Exchange Traded Fund)は、個別銘柄の株や債券に投資するのではなく、一つのパッケージで複数の資産に分散投資できる金融商品です。通常、特定の市場指標やテーマ(例えば、S&P 500やナスダック100、高配当株式など)を追従するように設計されています。

また、ETFの多くは「分配金」を支払う仕組みがあり、投資家にとって安定した収益源となる一方で、運用方法によって配当の頻度が異なる点も特徴です。分配金の支払い頻度には、四半期、半年、そして毎月分配などさまざまな形式があり、特に毎月分配型は安定的な収入を求める投資家に好まれます。

毎月分配型ETFの仕組み

毎月分配型ETFは、一般的に債券、REIT(不動産投資信託)、高配当株式などを中心に組み入れ資産とするケースが多いです。これらの資産は比較的安定した配当を生むことが多く、その収益を元に投資家へ毎月分配が行われます。配当の一部には、リスク回避を重視する資産や長期的なリターンが期待できる成長株などが含まれていることが多く、資産の多様性を保つことで分配金の安定性を確保します。

毎月分配型の需要と人気

日本人投資家には毎月分配型が人気で、その背景には定期的な収入を得るニーズが強くあります。例えば、定年退職後の生活資金を安定させたい人や、毎月の収入を補填したい人には、定期的に配当が得られる毎月分配型ETFが適しているでしょう。このタイプのETFは、再投資による資産形成だけでなく、分配金を使って生活費をカバーするような用途にも向いています。

毎月分配型米国ETFのメリットとデメリット

毎月分配型の米国ETFは、特に定期的な収入を重視する投資家にとって多くのメリットがあります。しかし、分配金が毎月支払われる一方で、他の配当頻度のETFに比べていくつかの注意点もあります。

メリット

  • 毎月の安定収入源
    毎月分配型ETFの最大の魅力は、毎月安定した収入を得られる点です。毎月のキャッシュフローを得ることで、資金の流動性を高めたり、生活費やその他の出費に充てたりできるため、特に引退後や副収入を必要とする人にとって有効な投資手段となります。再投資を行わず、配当金を生活費や旅行費用に使うなど、自由に活用できるのも魅力です。
  • 再投資による複利効果を活かせる
    毎月の配当を得られることで、再投資を通じた複利効果も期待できます。再投資を行えば、次回の配当は投資元本が増加した状態で支払われるため、徐々に配当金も増えることが期待できます。特に資産形成期においては、この再投資効果が資産の加速度的な成長に寄与します。
  • 資産の流動性を確保しやすい
    株式市場で売買されているため、必要に応じて簡単に現金化が可能です。これは個別株や他の投資信託とは異なり、流動性が確保されている点がETFの利点です。また、米国市場は取引量が多く、流動性が高いことから、毎月分配型ETFも一般的に売買がしやすく、急な資金需要にも柔軟に対応できます。

デメリット

  • 配当金の再投資にかかるコスト
    配当金の再投資を行う場合、手数料がかかることがあります。ETFの分配金は現金で支払われるため、再投資のたびに売買手数料が発生する可能性があり、長期的にはパフォーマンスに影響を与えることも。こうした手数料は頻繁な取引を行うほど蓄積され、コストとして負担になります。
  • 配当利回りとリスクの関係性
    毎月分配型ETFは一般的に高い配当利回りを誇りますが、その分リスクも存在します。特に、安定した収益源となり得る反面、配当の原資である債券やREITの価格が下落することがあり、資産価値自体が減少する可能性もあります。リスクとリターンのバランスを考慮し、無理のない配当利回りの範囲で運用を検討することが重要です。
  • 為替リスクの影響
    米国ETFはドル建てで取引されるため、日本円で資産価値を考えると為替リスクが影響します。例えば、円高が進行すると、配当金や元本が減少したように感じられることがあります。特に分配金が毎月支払われるため、その都度為替レートが異なる影響を受けるため、思ったような利益が得られない場合もあります。

利用シーンと適した投資家タイプ

毎月分配型米国ETFは、その安定したキャッシュフローから、さまざまな投資家のニーズに応えられる柔軟な投資手段です。ここでは、毎月分配型ETFが特に適している利用シーンや投資家タイプを紹介します。

毎月の収入源を確保したい投資家

毎月分配型ETFは、定期的な収入を必要とする投資家にとって最適です。特に、年金やその他の収入だけでは生活費を賄うのが難しい場合、追加の収入源として役立ちます。退職後の収入補填、または住宅ローンや学費など、定期的な出費がある場合には、毎月分配が受け取れることでキャッシュフローを安定させやすくなります。

再投資で資産形成を進めたい投資家

資産形成期にある若い投資家にとって、毎月分配型ETFは再投資のメリットを活かしやすい商品です。配当金を毎月受け取り、それを再投資することで、元本が増え、複利効果を得られるため、長期的に資産が加速度的に成長します。再投資は収入が増えるわけではないため、時間がある程度必要ですが、若い世代が将来に向けて資産形成をするには非常に有効です。

初心者の資産分散手段として

ETFはもともと分散投資ができる商品ですが、毎月分配型ETFも同様に複数の資産に投資が行われているため、リスク分散効果が得られます。株式、債券、不動産など、異なる種類の資産で構成されることが多く、たとえば不動産市場が悪化しても株式の好調により損失を抑えられる可能性もあります。初めて投資を行う人にとっても、リスクを抑えながら安定的な収益を得る手段として適しています。

高配当利回りを追求したい投資家

毎月分配型米国ETFの中には、比較的高配当のものも多く存在します。リタイア後の収入源確保や、保有資産を定期的にキャッシュに変えていく戦略を採る投資家にとっては、高配当を受け取りながら少しずつ資産を現金化していく運用方法も考えられます。ただし、高配当商品にはリスクも伴うため、利回りとリスクのバランスをしっかり確認した上で選択することが重要です。

積極的な運用よりも安定を求める投資家

毎月分配型ETFは一般的に安定した配当を目的に運用されることが多いため、大きなリターンを追求するよりも安定性を求める投資家にも適しています。例えば、価格変動リスクが少ない債券型やリート型などのETFは、急な価格下落リスクを抑えつつ配当を得ることが可能です。リスクを抑えた投資を希望する投資家にとって、資産保全の役割を果たしながら安定した収入源となるでしょう。

人気のある毎月分配型米国ETFの一覧と特徴

毎月分配型米国ETFには、さまざまな種類があり、目的やリスクに応じた選択肢が豊富です。

代表的な銘柄の紹介

  • iShares Preferred and Income Securities ETF (PFF)
    PFFは、米国の優先株やインカム証券に投資するETFで、安定した毎月の分配金を目指しています。優先株は株式の一種でありながら、債券に近い安定性を持つため、毎月の分配が比較的安定しているのが特徴です。リスクを抑えつつ配当収入を得たい投資家に向いており、配当利回りも高めです。
  • Invesco KBW High Dividend Yield Financial ETF (KBWD)
    KBWDは、米国の金融セクターに属する高配当銘柄に分散投資するETFです。特に銀行や保険会社、不動産金融会社など、比較的安定した配当収益を提供する企業を中心に構成されています。金融セクターは景気の影響を受けやすい一方で、利回りが高い傾向にあるため、高収益を求める投資家に適した商品です。
  • Global X SuperDividend US ETF (DIV)
    DIVは、配当利回りの高い米国企業に広く投資するETFで、主に高配当株を中心に構成されています。リスクは高いものの、毎月の分配金の額が比較的安定していることから、収入を重視する投資家に適しています。また、DIVは異なるセクターにも分散投資しているため、特定の業界に偏りすぎない分散効果が期待できます。
  • Global X NASDAQ 100 Covered Call ETF (QYLD)
    QYLDは、NASDAQ 100指数に連動するETFで、カバードコール戦略を採用しています。カバードコール戦略とは、保有する資産に対してオプションを売ることでプレミアム収入を得る手法であり、これによって安定した毎月の分配金を確保しています。配当利回りが非常に高いことが特徴で、リスクを取りながら高収益を目指す投資家に人気です。

銘柄ごとの配当推移と過去のリターン

  • PFFの配当推移とリターン
    PFFは米国優先株が多く含まれているため、株価の変動が少なく安定性が高いですが、その分リターンも控えめです。配当利回りは4~5%と高めで、配当額も比較的安定しており、保有期間中の分配金収益を確保したい投資家に適しています。
  • KBWDの配当推移とリターン
    KBWDは高配当の金融セクターETFのため、配当利回りが6~8%と非常に高い一方で、金融市場の影響を受けやすく、経済の変動によってリスクも伴います。株価が景気に左右されやすいものの、好調な時期にはリターンが期待できるETFです。
  • DIVの配当推移とリターン
    DIVは、多様な業種の高配当株に投資しているため、安定した分配金を提供しつつリスクを抑えています。利回りは5~7%で、毎月安定した配当が期待できるため、リスクを抑えながらも安定収益を求める投資家に好まれます。
  • QYLDの配当推移とリターン
    QYLDは特に高配当で知られ、利回りが10%を超えることもあります。株価の上昇はあまり見込めませんが、オプションプレミアムによる収益を目的とするため、分配金は高額です。リスクを取ってでも毎月の収入を重視したい投資家に向いています。

毎月分配型ETFの選び方のポイント

毎月分配型ETFを選ぶ際には、収益性やリスク、投資目的などをしっかり考慮する必要があります。ここでは、初心者でもわかりやすく理解できるよう、選定にあたっての重要なポイントを解説します。

配当利回りと総資産額の確認

  • 配当利回り
    配当利回りは分配型ETFを選ぶ際の重要な指標です。しかし、利回りが高いほど魅力的に見える一方で、高利回りにはリスクが伴う可能性があります。特に、配当利回りが極端に高いETFは、基盤となる資産がリスクの高いものや、配当を無理に支出している場合もあるため注意が必要です。利回りだけでなく、分配の安定性や資産内容も確認するようにしましょう。
  • 総資産額(AUM: Assets Under Management)
    総資産額は、そのETFがどの程度の規模で運用されているかを示す指標で、流動性の高さに関わります。総資産額が大きいETFは投資家からの信頼が厚く、流動性も高い傾向があります。一般的には、総資産額が少ないETFは分配の安定性が欠けるリスクがあるため、なるべく安定した運用が期待できる大規模なETFを選ぶと良いでしょう。

経費率の確認

経費率はETFの運用にかかる費用を示し、保有中に毎年発生するコストです。経費率が高いと、分配金やリターンが目減りするため、低経費率のETFを選ぶことが望ましいです。ただし、経費率が高いETFには、特定の投資戦略(例えば、カバードコールなど)を利用して高収益を狙うものもあり、投資内容と経費率のバランスを見極めることが重要です。

投資対象の内容とセクター

毎月分配型ETFは、株式、債券、REIT、カバードコール戦略など、さまざまな資産クラスを対象にしています。以下のように、投資対象によってリスクやリターンの特徴が異なりますので、自分のリスク許容度や収益期待に合ったものを選びましょう。

  • 債券・リート型
    債券やREITは安定性が高く、分配も安定している傾向がありますが、株式よりもリターンが低めです。リスクを抑えたい方や、安定した収益を求める方に向いています。
  • 株式型・高配当株型
    株式や高配当株を中心に構成されるETFは、価格変動リスクがあるものの、リターンが期待できることが多いです。景気に左右されやすいため、投資環境に応じたリスク管理が必要です。
  • カバードコール戦略型
    カバードコールを用いたETF(例:QYLD)は、オプションを売ることで安定した収益を得ることが可能です。株価の上昇が期待しにくいものの、分配金が非常に高い傾向にあるため、高い分配金を求める投資家に向いています。

為替リスクの考慮

米国ETFはドル建てで取引されるため、為替リスクが存在します。円安の場合はリターンが増加する可能性がある一方、円高に進むと収益が減少します。為替リスクを抑えるため、為替ヘッジ付きのETFも選択肢に入れても良いでしょう。短期的な円高・円安の変動を予想することは難しいため、長期投資を前提とした上で為替リスクも許容する姿勢が重要です。

毎月分配型ETFを活用する際の注意点

毎月分配型米国ETFには多くのメリットがありますが、安定した収入を得られる反面、投資リスクや運用における注意点も存在します。ここでは、毎月分配型ETFを購入する際に気をつけるべきポイントを解説します。

1. 分配金が元本を圧迫する可能性

毎月分配型ETFの一部は、安定した分配金を提供するために元本(投資元本の一部)を取り崩して支払っているケースもあります。この場合、分配金は一時的に増えるものの、元本が減少するため、長期的には資産が目減りしてしまう可能性があるのです。元本取り崩しによる分配が行われているETFかどうかは、投資信託やETFの運用レポートなどで確認ができるため、購入前にしっかりチェックするようにしましょう。

2. 税制面での負担

米国ETFの分配金には、一般的に米国源泉徴収税が課されます。日本国内の課税とは別に源泉徴収されるため、分配金の一部が税金として差し引かれることになります。また、確定申告を行う際には「外国税額控除」の手続きを行うことで税負担を軽減することができますが、申告手続きが複雑になる点には注意が必要です。

3. 経済変動によるリスク

毎月分配型ETFのパフォーマンスは、経済環境や市場動向に影響されやすい傾向があります。特に、高配当株やREITを含むETFは、景気の変動や金利の影響を強く受けるため、相場が悪化した場合に分配金が減少するリスクも存在します。リスク管理の一環として、長期的に保有しても安定した分配が得られるETFを選ぶようにすることが大切です。

4. 流動性リスク

毎月分配型ETFの中には、流動性が低く、取引量が少ないものも存在します。流動性が低い場合、売買が成立しにくく、取引の際に価格が大きく変動するリスクがあるため、流動性が十分なETFを選ぶことが重要です。特に、総資産額が小規模なETFは注意が必要です。

5. 過去のパフォーマンスに過度に依存しない

過去の分配金実績や価格推移が良好なETFであっても、将来も同じパフォーマンスが続くとは限りません。特に高配当を提供しているETFは、景気や政策の変動によって急激にパフォーマンスが悪化する可能性もあります。過去の実績は参考程度にとどめ、長期的な視点での投資を心がけるようにしましょう。

毎月分配型ETFと他の投資商品の比較

毎月分配型ETFは安定した分配が魅力ですが、他の投資商品と比較してどのようなメリット・デメリットがあるかも理解しておくことが重要です。

毎月分配型ETF vs. 債券

  • 毎月分配型ETFの特徴
    毎月分配型ETFは、さまざまな資産(株式、リート、高配当株など)を対象に運用されており、リターンとリスクのバランスが特徴です。分配利回りが比較的高いため、一定の収入を確保しやすい反面、株式などのリスク資産も含まれている場合が多く、経済の影響を受けやすい側面があります。
  • 債券の特徴
    債券は安定性が高く、元本保証に近い形で運用できる商品が多いため、リスクが低い資産として位置づけられています。定期的な利息収入が得られる点は分配型ETFと似ていますが、利回りは低めで、インフレや金利上昇による価格下落リスクもあります。
  • 比較
    安定を重視する投資家は債券を好む一方、少しリスクをとっても高利回りを狙いたい場合は毎月分配型ETFが適しています。また、毎月分配型ETFは複数の資産に分散投資できるため、リスク分散を求める方にも向いています。

毎月分配型ETF vs. 高配当株

  • 高配当株の特徴
    高配当株は、定期的な配当を期待できる個別銘柄で構成されるため、企業の業績が安定していれば高い分配利回りが得られます。しかし、分配が月ごとではなく、一般的に四半期や半年ごとであるため、毎月のキャッシュフローには向きません。また、株価の変動リスクがあるため、分散効果が少ない点には注意が必要です。
  • 比較
    毎月分配型ETFは複数の高配当株に分散投資しているため、リスクが分散されており、毎月の収入が安定するのがメリットです。個別の高配当株に比べて、銘柄の選定に手間がかからないため、手軽に分散投資を行いたい投資家には毎月分配型ETFが向いています。

毎月分配型ETF vs. REIT(不動産投資信託)

  • REITの特徴
    REITは、不動産投資を通じて賃料や売却益を分配する仕組みで、特にインカムゲインを重視する投資家に人気です。米国REITの一部は毎月分配型もありますが、基本的に四半期ごとに分配されるものが多いです。REITは不動産市場の影響を受けるため、景気が悪化するとリスクが高まります。
  • 比較
    REITは不動産市場に特化している一方、毎月分配型ETFは異なる資産クラスを含むことが多いため、分散効果が得られやすい点が特徴です。また、不動産以外の資産も含む分配型ETFの方が、価格変動リスクが分散される傾向があります。

毎月分配型ETF vs. 投資信託

  • 投資信託の特徴
    投資信託は、プロの運用者によって管理される商品で、幅広い資産に分散投資できるためリスクが分散されやすいのが特徴です。毎月分配型の投資信託もありますが、信託報酬(経費率)が高くなることが多いです。また、ETFと違って、取引は市場の取引時間に限定されない点が魅力です。
  • 比較
    ETFは市場でリアルタイムで取引できるため、価格変動に即応できる一方、投資信託は一日一度基準価額が決定されるため、柔軟性には欠ける側面があります。低コストかつ柔軟に運用したい場合はETFが適しており、分配型の投資信託に比べて費用対効果が高い点も魅力です。

毎月分配型ETFの活用方法と運用戦略

毎月分配型ETFを使った投資は、定期的なキャッシュフローを得たい投資家に特に人気の戦略です。以下では、毎月分配型ETFを活用した具体的な運用方法と、それぞれの目的に応じた戦略について解説します。

1. 生活費の補填として活用する

毎月分配型ETFは、投資元本を減らすことなく、安定したキャッシュフローを得る手段として活用できます。リタイア後の生活費や、給与所得以外の追加収入を求める方に適しています。

  • 戦略のポイント
    元本を長期的に保ちつつ、安定的に収入を得るには、配当利回りが高すぎないETFを選ぶのが理想です。利回りが高いETFはリスクが増すため、分配金の安定性と資産保全のバランスが取れたものを選ぶようにしましょう。

2. 長期的な資産運用の一環として

毎月分配型ETFは、株式や債券の一部を組み合わせた分散投資が可能です。長期投資においても、資産全体の一部に分配型ETFを組み入れることで、安定収益を確保しつつ、リスクを分散する効果が期待できます。

  • 戦略のポイント
    毎月分配型ETFを長期保有することで、価格変動の影響を減らし、トータルリターンを安定化させる効果があります。特に分散性が高いETFを選ぶことで、分配金の変動リスクを抑えた運用が可能です。

3. 再投資による資産拡大戦略

毎月分配型ETFから得られる分配金を再投資することで、複利効果を活用して資産を増やすことができます。分配金を受け取るだけでなく、その分配金を新たな投資資金として使うことで、長期的な資産成長が期待できます。

  • 戦略のポイント
    分配金を同じETFや他の高利回り商品に再投資する方法があります。分配金をそのまま再投資することで、配当を活用しながら資産を増やせるため、より効率的に運用を行えます。

4. 市場環境に応じたリバランス戦略

毎月分配型ETFを活用する際、景気の動向や金利の変化によって運用戦略を見直すことも重要です。景気が悪化した場合や利回りが低下した場合、分配型ETFを一部売却して他の資産に移すリバランスを検討するのも有効です。

  • 戦略のポイント
    金利が上昇する局面では債券型ETFの利回りが上昇しやすいため、景気に応じてETFの構成を見直し、安定性とリターンのバランスを図ることが重要です。定期的にポートフォリオを確認し、リバランスを行うことで、リスクを抑えつつ安定した収益を得られるようにしましょう。

5. 税制優遇を活用した運用

分配金に対する税制面の影響も、毎月分配型ETFを運用する上で重要な要素です。特に、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの非課税制度を利用することで、税金を節約しながら資産を増やすことができます。

  • 戦略のポイント
    NISAやiDeCoを利用することで、分配金に対する税負担を軽減することができ、手元に残るリターンが増加します。日本国内の税制に合わせて制度を活用し、長期的な資産形成に結びつけましょう。

毎月分配型ETFの将来展望と注意すべきリスク

毎月分配型ETFは、定期的なキャッシュフローを得られる点で人気が高まっていますが、今後も安定して収益を上げるためには、将来の市場動向や潜在的なリスクに注意が必要です。

毎月分配型ETFの成長性と今後の展望

  • 高利回りの需要拡大
    低金利環境が続く中、高利回りを求める投資家にとって、毎月分配型ETFは引き続き人気の投資商品となっています。特に、老後の生活費の補填やインカムゲインを重視する投資家層には今後も需要が拡大することが予測されます。
  • ESG(環境・社会・ガバナンス)型の分配型ETFの登場
    最近の投資トレンドの一つであるESG投資に対応した分配型ETFの登場も期待されています。これにより、毎月分配型ETFのラインアップが多様化し、幅広い投資ニーズに応えられるようになる可能性があります。
  • 分配型ETFの経費率低下と多様化
    ETF業界全体で経費率が低下している流れもあり、毎月分配型ETFもより低コストで利用しやすい商品が登場すると予想されています。これにより、投資家にとっての負担が減り、長期的なリターン向上につながると考えられます。

注意すべきリスク

  • 景気変動による影響
    毎月分配型ETFは、その構成資産に応じて景気の影響を受けやすい特徴があります。特に株式や高配当株を含むETFは、景気が悪化した際に分配金が減少するリスクが高まります。市場環境の変動や金利の動向を注視し、分散投資やリバランスを行うことでリスクを抑える対策が求められます。
  • 金利上昇リスク
    米国などで金利が上昇すると、債券やREITの価格が下落しやすくなるため、これらを含む毎月分配型ETFも価格下落や分配金の減少リスクに直面します。特に、低金利環境に適応した商品が多いため、今後の金利動向に伴う価格変動リスクについては注意が必要です。
  • 税制の変化
    分配金には米国の源泉徴収税がかかりますが、税制改正により税率や控除が変更されるリスクもあります。また、日本国内の税制が変わった場合、外国税額控除やNISA・iDeCoなどの非課税制度の適用範囲も影響を受ける可能性があるため、定期的に最新の税制を確認することが重要です。
  • インフレによる購買力の低下
    分配型ETFはインカムゲインを提供しますが、インフレが進行すると分配金の実質的な価値が低下する恐れがあります。分配金が増えても、物価が上昇していると購買力が低下し、投資家が期待する収益に届かない可能性もあります。

まとめ

毎月分配型のETFは近年非常に人気が高くなってきている投資対象です。活用の仕方によっては、生活を豊かにしたり、資産を大きく増やすことに繋がるでしょう。ただし、毎月分配金を出る分のリスクもあるため、その点を考慮した投資を慎重に行っていくことをおすすめします。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。いろんな国や商品に投資。投資歴はまあまあ長め。基軸はインデックス投資での運用。短期売買はあまりせず、長期目線での投資をコツコツと。