インデックス投資はつまらないからこそ最強である

インデックス投資はつまらない? ETF

インデックス投資の「つまらなさ」とその強さ

投資にはさまざまなスタイルがありますが、その中でも「インデックス投資」は、特に「つまらない」と感じられるものかもしれません。株式市場のニュースに一喜一憂したり、短期的な株価の上下に注目して取引を繰り返すアクティブ投資とは異なり、インデックス投資は淡々と長期的なリターンを狙うため、「動きが少ない」「退屈」といった印象を与えがちです。

しかし、その「つまらなさ」こそが、実は投資家にとって最大の強みです。市場の波に翻弄されず、長期的な成長に焦点を当てることで、安定した資産形成が可能になるのです。

インデックス投資とは?なぜつまらないのか?

インデックス投資は良くも悪くも動きが小さい

インデックス投資の基本

インデックス投資は、特定の株価指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)に投資する手法です。例えば、アメリカを代表する株価指数である「S&P500」は、米国株式市場における500社の大型企業を対象としています。この指数に連動する投資信託やETFを購入することで、投資家はこの500社全体に広く分散投資を行うことができます。

この投資手法は、「市場全体の平均に乗る」というシンプルなコンセプトに基づいており、複雑な個別企業の分析や、売買のタイミングを狙う必要がありません。これにより、投資家は大きな労力を費やさずに、長期的な資産形成が可能になります。

つまらない理由

では、なぜ多くの人がインデックス投資を「つまらない」と感じるのでしょうか?

それは、アクティブな取引が少ないためです。個別株投資では、毎日株価の動きに注目し、ニュースやイベントに合わせて売買を繰り返すことで、投資の「スリル」を味わうことができます。自分の選んだ株が急騰したり、短期的に大きな利益を得る瞬間は、投資家にとって大きな満足感をもたらします。

一方、インデックス投資は長期的な成長に焦点を当てており、短期的な値動きにはほとんど関心を持ちません。市場全体が成長すれば、それに連動して資産が増えるという極めてシンプルなモデルであるため、日々の変化が少なく、劇的な成果を期待する人にとっては退屈に感じられるのです。

プロの投資家でも勝てない市場:インデックスの優位性

アクティブ運用 VS インデックス=市場

アクティブ運用が市場に勝てない理由

アクティブ運用(個別株やセクターに焦点を当てて取引を行う投資)は、プロのファンドマネージャーによっても行われますが、驚くべきことに、多くのプロが市場平均(インデックス)に勝てないというデータが多数存在します。特にS&P500に代表されるような主要な株価指数に対して、アクティブ運用ファンドのパフォーマンスは長期的に劣ることが多いのです。

これは一体なぜでしょうか?

アクティブ運用ファンドは、特定の企業やセクターを選び、それらが市場平均よりも高いリターンを出すことを狙います。しかし、市場全体のパフォーマンスは様々な要素によって左右され、特定の企業やセクターが常に市場平均を上回るのは非常に難しいのです。さらに、アクティブ運用には高い取引コストや管理費用が発生するため、インデックスに勝つためのハードルがさらに高くなります。

データに裏付けられたインデックスの強さ

データを見ても、S&P500を上回るアクティブ運用ファンドはごく一部に限られています。たとえば、2020年にバンガードが発表した調査によれば、15年以上の期間で市場平均を上回るアクティブファンドは全体のわずか15%に過ぎません。残りの85%は、市場平均にすら届かないリターンを出しているのです。

15年間の米国 S&P500をアンダーパフォーマンスしたファンドの割合
15年間の米国 S&P500をアンダーパフォーマンスしたファンドの割合

このように、長期的に見ると市場全体に連動するインデックス投資の方が、手数料も低く、より安定したリターンを得やすいことが証明されています。

S&P500の強さ

S&P500指数は、特に優れたインデックスの一つとして知られています。アメリカ経済を代表する500社に投資することで、企業一社の業績に依存せず、米国経済全体の成長に賭けることができるためです。また、過去数十年にわたるデータからも、S&P500の平均リターンは年率7%〜10%と、安定して高い水準を維持しています。

さらに、S&P500に含まれる企業は世界的なリーディングカンパニーばかりであり、テクノロジー、金融、医療、消費財など、様々な業界に分散されているため、リスクも比較的抑えられます。このような分散投資が、S&P500の強みの一つとなっているのです。

なぜインデックス投資は最強なのか?

長期的リターンの優位性

インデックス投資が長期的に最も有利な投資方法である理由は、そのリターンの安定性と複利の力にあります。複利は、「利益に対してさらに利益が積み重なる」という投資の基本的な概念であり、長期的な投資では極めて大きな効果を発揮します。毎年少しずつの利益でも、それが長い年月をかけて雪だるま式に増加し、最終的には大きな資産に成長します。

手数料の低さ

インデックス投資がアクティブ運用ファンドに比べて優れているもう一つの大きな理由は、その手数料の低さです。アクティブ運用ファンドは、ファンドマネージャーが頻繁に取引を行うため、手数料が高くなる傾向があります。対して、インデックスファンドやETFは、市場全体に連動するシンプルな戦略を取っているため、管理コストが非常に低く抑えられています。これにより、投資家は余分なコストを支払うことなく、より多くの利益を手にすることができます。

インデックスの「つまらなさ」は「安心感」

インデックス投資の「つまらなさ」とは、実際には「安心感」と表現することができるかもしれません。インデックス投資家は、市場全体に広く分散されているため、個別株のような極端なリスクを取ることがありません。長期的に見れば、市場全体が成長すれば、投資家の資産も着実に増えていきます。

個別株 vs. インデックス投資:成功確率の比較

個別株投資 VS インデックス投資

個別株投資の魅力とリスク

個別株投資は、自分で企業を選び、その成長性に賭けるというアクティブな要素があるため、多くの投資家にとって魅力的です。ニュースや市場の動向に敏感に反応し、うまくタイミングを合わせて取引すれば、短期間で大きなリターンを得ることも可能です。この「一攫千金」を狙うスリルこそ、個別株投資の最大の魅力といえるでしょう。

しかし、個別株投資には大きなリスクも伴います。一つの企業に多額の投資を集中させるため、その企業が予想外の出来事で株価を大きく下げると、投資資産全体に大きなダメージを受ける可能性があります。たとえば、2020年のコロナショック時、あるいは特定のセクターが一時的に大打撃を受けた時、多くの投資家が短期間で大きな損失を被りました。

インデックス投資の成功確率

これに対し、インデックス投資は市場全体に広く分散するため、個別の企業リスクが非常に小さくなります。例えば、S&P500指数は500の異なる企業に分散されているため、たとえ一社が経営不振に陥ったとしても、全体に大きな影響は出にくいのです。

また、インデックス投資は、長期的な視点に立つことでその真価を発揮します。過去のデータを見ても、S&P500のような市場全体に連動するインデックスファンドは、20年、30年といった長期のスパンで見ると、ほぼ確実にプラスのリターンを生み出しています。短期的には市場全体が下落することもありますが、長期的には経済全体の成長に支えられて着実に資産を増やすことができます。

実際に、S&P500指数の過去のリターンを見ると、1926年から2023年までの約100年間で、年平均7%〜10%のリターンを達成しており、これが複利の力を活かすことで、長期的な資産形成に寄与しています。

インデックス投資をもっと楽しむ方法

インデックス投資はつまらないが楽しめる

インデックス投資は確かに「つまらない」と感じられるかもしれませんが、それでも楽しむ方法はあります。

長期目標を設定する

インデックス投資の成功は時間をかけてゆっくりと資産を増やすことにあります。そこで、10年後や20年後の資産形成の目標を設定し、その達成に向けて進むプロセスを楽しむことができます。目標達成までの道のりを「ゲーム」として捉えることで、投資のモチベーションを維持できます。

定期的に進捗を確認する

毎月、または毎年、自分のポートフォリオがどのように成長しているかを確認することで、小さな成功を感じることができます。特に、積立投資を行っている場合、時間の経過とともに増えていく資産を見ることは、大きな達成感を生むでしょう。

投資シミュレーターで資産成長を可視化

オンラインで利用できる投資シミュレーターを使って、将来の資産増加をシミュレートしてみるのも一つの楽しみ方です。例えば、年利7%で運用し続けた場合、10年後にはどのくらいの資産が形成されているかを計算し、それをモチベーションにすることができます。

投資知識を深める

インデックス投資自体はシンプルですが、関連する経済の動向や投資理論を学び、深い知識を持つことで、投資そのものを楽しむことができます。例えば、バブルの歴史や経済成長に関する本を読んだり、ETFの進化に関するドキュメンタリーを見ることで、投資の背景にある世界を知る楽しみを得られるでしょう。

まとめ

つまらないは安心感があるということ

インデックス投資は、確かに短期的なドラマチックなリターンを期待するものではありません。そのため、他の投資スタイルに比べて「つまらない」と感じられるかもしれません。しかし、そのつまらなさの裏側には、リスクを抑え、長期的に安定したリターンを得るための最も堅実な戦略が隠されています。

特にS&P500のような指数に連動するインデックス投資は、過去の歴史が証明する通り、長期的には市場全体の成長に乗ることで、個別株のようなリスクを避けながら着実に資産を増やす方法です。「つまらない」ことが、実は「安心感」であり、最終的には投資家にとって最も賢明な選択となるのです。

結論として、インデックス投資は「最強」の投資方法です。それは、劇的な成果を期待せず、淡々と長期的な視点で資産を増やす戦略が、最終的には大きな成功をもたらすからです。

執筆者:ぽこ

資産運用に興味がある恐竜。いろんな国や商品に投資。投資歴はまあまあ長め。基軸はインデックス投資での運用。短期売買はあまりせず、長期目線での投資をコツコツと。