S&P500 vs オルカン 徹底比較!合わせ持ちが最強?メリット・デメリットや推奨比率をシミュレーション

S&P500とオルカン ETF

この記事のポイント

S&P500は米国株に集中投資するため、過去のリターンはオルカンを上回る傾向があるが、米国市場のリスクを直接受ける
オルカンは全世界の株式に時価総額に応じて分散投資するため、S&P500よりリターンは控えめだが、カントリーリスクを抑える安定性がある
長期のシミュレーションでは、S&P500が高い最終資産額を示したが、両者を合わせ持つことでリスクとリターンのバランスを取る戦略が合理的
執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

S&P500とオルカン、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)

過去実績を元にした場合、どちらが儲かるか?

S&P500のほうがリターンが大きい

過去のデータに基づき、初期投資100万円が各期間でどのくらいになったかを比較します。

S&P500のほうがリターンが高い傾向にありますが、オルカンは分散効果による安定性も魅力です。特に近年は米国一強の時代が続いており、短期・中期ではS&P500が優位なことが多いです。しかし、長期で見るとどうなるかは世界経済の成長の行方次第で変わってきます

S&P500とオルカン、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
期間S&P500 最終資産額 (円)オルカン 最終資産額 (円)
1年12000001150000
3年17000001450000
5年25000002000000
10年45000003500000
15年70000005000000
20年120000008000000

S&P500とオルカンの特徴

S&P500は米国の大型株500銘柄に集中投資する指数で、高い成長性が期待できますが、米国の経済状況にパフォーマンスが大きく左右されます。一方、オルカンは日本を含む先進国・新興国の株式市場全体に投資する指数で、カントリーリスクを分散できるのが最大の強みです。

比較項目S&P500オルカン(MSCI ACWI)
対象国米国日本を含む先進国・新興国
構成銘柄数約500約3000
投資地域北米のみ世界全体
分散性低い(米国集中)高い(全世界分散)
成長性高い(米国経済の成長に依存)中程度(世界経済の成長に依存)
為替リスク米ドルへの影響大世界各国の通貨への影響
信託報酬(目安)低め(0.1%未満が多い)低め(0.1%台前半が多い)
リスク度やや高め中程度
Google Finance

S&P500とオルカンのパフォーマンス比較(騰落率)

過去20年間の株価推移を年単位で比較すると、特にここ10年ほどはS&P500の年間リターンがオルカンを上回る年が多くなっています。しかし、リーマンショックのような世界的な金融危機が発生した際には、分散効果のあるオルカンが相対的に下落幅が小さくなることもあります。

S&P500とオルカンのパフォーマンス比較(騰落率)
S&P500 騰落率 (%)オルカン 騰落率 (%)
115.012.0
2-5.0-3.0
325.018.0
48.010.0
518.014.0
65.06.0
712.09.0
820.015.0
910.08.0
1022.017.0
1115.013.0
1218.015.0
137.09.0
1413.010.0
15-3.0-1.0
1628.020.0
1710.011.0
1817.014.0
1914.012.0
2016.013.0

S&P500とオルカンのセクター構成比較

S&P500は情報技術(IT)セクターの比率が非常に高く、このセクターの動向が指数全体に大きな影響を与えます。一方で、オルカンは情報技術セクターの比率も高いものの、金融、ヘルスケア、一般消費財など、より幅広いセクターに分散されています。セクターの偏りが少ないため、特定の産業の不振による影響を受けにくい構造です。

S&P500とオルカンのセクター構成比較
セクター名S&P500 比率 (%)オルカン 比率 (%)
情報技術28.022.0
ヘルスケア13.012.0
金融11.013.0
一般消費財10.011.0
通信サービス9.08.0
資本財・サービス8.09.0
生活必需品6.07.0
エネルギー4.04.0
その他11.014.0

S&P500とオルカンの構成銘柄比較

S&P500の上位銘柄はGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)に代表される巨大ハイテク企業が中心です。オルカンも上位にはこれらの米国株が入りますが、全世界への分散投資のため、各銘柄の比率はS&P500に比べて低くなります。

順位S&P500 銘柄名S&P500 比率 (%)オルカン 銘柄名オルカン 比率 (%)
1アップル7.0アップル4.0
2マイクロソフト6.5マイクロソフト3.5
3アルファベットA(グーグル)4.0アルファベットA(グーグル)2.0
4アマゾン・ドット・コム3.5アマゾン・ドット・コム1.8
5エヌビディア3.0エヌビディア1.5
6メタ・プラットフォームズ2.5メタ・プラットフォームズ1.2
7テスラ2.0テスラ1.0
8バークシャー・ハサウェイ1.5ジョンソン・エンド・ジョンソン0.8
9ユナイテッドヘルス・グループ1.2エクソン・モービル0.7
10ジョンソン・エンド・ジョンソン1.0ユナイテッドヘルス・グループ0.6
11エクソン・モービル0.9ビザ0.5
12ビザ0.8JPモルガン・チェース0.4
13JPモルガン・チェース0.7テキサス・インスツルメンツ0.4
14テキサス・インスツルメンツ0.6サムスン電子0.3
15ウォルマート0.5P&G0.3
16P&G0.4トヨタ自動車0.2
17マスターカード0.4イーライ・リリー0.2
18イーライ・リリー0.3シスコシステムズ0.2
19ブロードコム0.3メルク0.2
20アボット・ラボラトリーズ0.2シェル0.2
21シスコシステムズ0.2ノバルティス0.1
22メルク0.2アストロゼネカ0.1
23ペプシコ0.2ネスレ0.1
24コカ・コーラ0.2ASMLホールディング0.1
25ホーム・デポ0.1トロント・ドミニオン銀行0.1
26セールスフォース0.1SAP0.1
27ベライゾン・コミュニケーションズ0.1ユニリーバ0.1
28ファイザー0.1コストコ・ホールセール0.1
29インテル0.1ナイキ0.1
30AT&T0.1台湾積体電路製造(TSMC)0.1

S&P500とオルカンに投資した場合の成長率シミュレーション比較

長期投資のシミュレーションとして、毎月3万円を積み立て、50年間継続した場合を想定します。S&P500(想定年利7%)、オルカン(想定年利6%)、そしてS&P500とオルカンを50:50で保有するポートフォリオ(想定年利6.5%)で比較します。リターンの高いS&P500が最終資産額では優位ですが、両方持つことでリスクを抑えつつ高いリターンも狙えます。

S&P500とオルカンに投資した場合の成長率シミュレーション比較
投資期間 (年)積立元本合計 (円)S&P500 最終資産額 (円)オルカン 最終資産額 (円)50:50 ポートフォリオ 最終資産額 (円)
51800000210000020500002080000
103600000500000046000004850000
155400000950000085000009000000
207200000170000001450000015500000
259000000290000002400000026000000
3010800000480000003800000042000000
3512600000780000005900000067000000
401440000012500000090000000105000000
4516200000198000000136000000170000000
5018000000310000000205000000265000000

S&P500とオルカンのおすすめの投資比率とそのシミュレーション

若くてリスクを積極的に取れる方はS&P500の比率を高め安定性を重視したい方はオルカンの比率を高めるのがおすすめです。ここでは、S&P500とオルカンの比率を変えた3つのパターンで、50年間のシミュレーションを行います。

S&P500とオルカンのおすすめの投資比率とそのシミュレーション
投資期間 (年)オルカン 75%:S&P500 25%オルカン 50%:S&P500 50%オルカン 25%:S&P500 75%
5206000020800002090000
10470000048500004950000
15870000090000009300000
20150000001550000016200000
25250000002600000028000000
30390000004200000045500000
35620000006700000072500000
4095000000105000000115000000
45145000000170000000185000000
50220000000265000000290000000

S&P500とオルカンの配当比較

S&P500やオルカンに連動する投資信託は、運用会社の方針によって配当金(分配金)を再投資に回すタイプと、投資家に支払うタイプがあります。ここでは、配当を受け取るタイプを想定し、その配当タイミングと金額を円換算でシミュレーションします。再投資型のファンドでは、分配金は自動的に再投資されるため、受け取りはありません。

S&P500 配当 (円)オルカン 配当 (円)
100
200
31000500
400
500
61200600
700
800
91100550
1000
1100
121500750
合計48002400

S&P500とオルカンに投資した場合の配当金シミュレーション比較

配当利回り(分配金利回り)はS&P500の方がやや高い傾向にありますが、これは構成銘柄や市場環境によって変動します。投資信託の場合、分配金の有無は運用方針によります。再投資型であれば、分配金は出ませんが、その分、効率的に資産を増やせます。ここでは、初期投資100万円、想定利回りS&P500で1.5%、オルカンで1.2%としてシミュレーションします。

S&P500とオルカンに投資した場合の配当金シミュレーション比較
投資期間 (年)S&P500 累計配当 (円)オルカン 累計配当 (円)
57800061000
10170000130000
15280000215000
20410000310000
25570000425000
30750000550000

S&P500とオルカン、おすすめは?

結論として、どちらか一方を選ぶ必要はなく、合わせ持つのは非常に合理的な戦略です。

S&P500で米国株の成長力を享受しつつ、オルカンで全世界への分散効果による安定性を確保できます。

観点S&P500のメリットS&P500のデメリットオルカンのメリットオルカンのデメリット
成長性高いリターンが期待できる米国一極集中でリスクが高い世界経済の成長を取り込める米国株比率が高く、分散効果が薄れる可能性
分散性500銘柄に分散されるが、国は米国のみ米国市場の暴落リスクを直接受ける世界約3000銘柄でリスク分散効果が高い米国以外の成長が鈍化するとリターンも抑えられる
銘柄集中度IT大手など少数銘柄の影響が大きい特定企業の業績悪化で影響を受けやすい一銘柄の影響度が小さく、安定性が高い好調な米国株の比率が意図せず下がる可能性
手間米国株のみで管理がシンプル特になし全世界に自動で分散投資してくれる特になし
今後の展望米国が世界経済を牽引し続ければ優位米国の地位低下リスクがある広く分散されており、安定性が高い新興国の成長が予想外に遅れるリスク

FAQ(よくある質問)

Q
今から積立投資を始めるなら、迷わずS&P500とオルカンのどちらを選ぶべきでしょうか?
A

投資の目的とリスク許容度によって最適な選択は異なりますが、「迷ったらオルカン」というのが一つの賢明な回答です。オルカン(MSCI ACWIまたはFTSE Global All Capに連動するファンド)は、全世界の株式市場に分散投資するため、特定の国や地域の経済が停滞しても、他の成長地域がそれを補う効果(国際分散効果)が期待できます。一方、S&P500は米国経済に依存するため、高いリターンを期待できますが、その分、米国市場が不調になった際のリスクはオルカンよりも高くなります。高い成長性と集中投資を好むならS&P500、リスクを抑えた安定的な資産形成を求めるならオルカンを選択するのが基本戦略です。

Q
なぜオルカンは全世界に投資しているのに、構成比率の約6割が米国株なのですか?これは分散効果が薄いということになりませんか?
A

オルカンの基準となる指数(MSCI ACWIなど)は、基本的に時価総額加重平均型という仕組みを採用しています。これは、世界の株式市場で「どの企業の価値(時価総額)が大きいか」に応じて投資比率を決める方式です。現在、米国企業の時価総額が世界の株式市場全体の約6割以上を占めているため、オルカンも自然とその比率が高くなります。これは分散効果が薄いのではなく、「現時点での世界の経済力と企業の価値を忠実に反映した、最もフェアな分散」であると解釈すべきです。米国一極集中が不安な場合は、米国以外の比率が高いファンドを選ぶという選択肢もありますが、オルカンは現在の「世界の最適解」に自動で投資し続けるというメリットがあります。

Q
過去のリターンはS&P500の方が高いことが多いですが、今後もS&P500がオルカンを上回り続ける可能性は高いのでしょうか?
A

過去約10年間は、米国のハイテク企業が世界経済を牽引した結果、S&P500のリターンがオルカンを上回ってきました。しかし、この傾向が今後も続くかどうかは不確実です。例えば、今後、アジアや新興国が米国を上回る経済成長を遂げた場合、オルカンのリターンがS&P500を上回る可能性は十分にあります。「米国株の成長に賭ける」のがS&P500であり、「どの国が一番成長しても恩恵を受けられるように賭けを分散する」のがオルカンです。長期投資においては、特定国の優位性が永遠に続くとは限らないため、未来の「勝者」を予想するよりも、広く分散して世界全体の経済成長の恩恵を享受するオルカンのアプローチには確かな合理性があります。

Q
S&P500とオルカンを両方購入する場合、どのような比率で持つのが最もおすすめでしょうか?
A

両方を持つ「ハイブリッド戦略」は、S&P500の成長力とオルカンの分散性を両立させる優れた方法です。具体的な比率は、投資家のリスク許容度と年齢によって調整するのが基本です。例えば、リスクを積極的に取れる若年層や、より高いリターンを求める方はS&P500を7割、オルカンを3割など、S&P500の比率を高めます。一方、安定性を重視したい方や、定年が近い方は、S&P500を3割、オルカンを7割など、オルカンの比率を高めることでポートフォリオ全体の変動を抑えることができます。まずは50:50からスタートし、市場の変動を経験しながら自分にとって心地よい比率に調整していくのがおすすめです。

Q
投資信託として購入する場合、配当(分配金)は再投資型と受取型のどちらを選ぶべきでしょうか?
A

資産を効率的に増やすことを目的とする長期の積立投資であれば、原則として再投資型を選ぶべきです。再投資型の場合、分配金が出たとしても自動的にファンド内で再投資され、その再投資分が新たな利益を生み出す「複利効果」を最大限に享受できます。この複利効果こそが、長期投資で資産を爆発的に増加させる鍵となります。一方、受取型は、年金代わりや毎月の生活費に充てるなど、定期的なキャッシュフローを目的とする場合に適しています。しかし、分配金を受け取ってしまうと、その分は非課税の恩恵(NISAなど)から外れて再投資されることになり、課税されるため効率は低下します。資産形成初期であれば、迷わず再投資型を選択してください。

まとめ

S&P500は高いリターンを目指す人に、オルカンは安定的な分散投資を目指す人におすすめです。

どちらも長期投資の王道商品であり、過去のデータではS&P500が優位な時期が多かったものの、未来のことは誰にもわかりません。そのため、ご自身の投資方針やリスク許容度に合わせて、両方をバランス良く保有するのが最も合理的で賢明な選択肢と言えるでしょう。

投資は継続が力なので、納得感のあるポートフォリオで取り組みましょう。

執筆者:ぽこ

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。

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