この記事の3ポイント要約
- 過去のリターン実績ではイーサリアムがビットコインを圧倒する場面が多いが、下落幅も大きい
- ビットコインは発行上限が2,100万枚と決まっており、インフレ耐性に優れたデジタル・ゴールド。イーサリアムはスマートコントラクト機能を備え、NFTやDeFiなどの実需が価格を下支え
- 20年以上の長期投資を前提にするならば、両方を保有することでリスクを分散しつつ高いリターンが狙える
BTCとETH、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
- 【直近1年の平均リターンベースでは】BTCのほうがリターンが大きい
- 【直近5年の平均リターンベースでは】ETHのほうがリターンが大きい
- 【直近10年の平均リターンベースでは】ETHのほうがリターンが大きい
結論から言うと、過去の実績ではイーサリアムの上昇率がビットコインを上回る傾向にあります。ただ、値動きの安定感はビットコインに軍配が上がります。今回は、過去の平均リターンをもとに、100万円を投資して20年間運用した場合のシミュレーションを期間別に算出しました。
パターン1:直近1年の平均リターンを適用した場合

| 運用年数 | ビットコイン(年利145%) | イーサリアム(年利90%) |
| 0 | 1,000,000 | 1,000,000 |
| 5 | 92,541,000 | 24,761,000 |
| 10 | 8,563,890,000 | 613,107,000 |
| 15 | 792,509,000,000 | 15,181,100,000 |
| 20 | 73,339,000,000,000 | 375,901,000,000 |
パターン2:直近5年の平均リターンを適用した場合

| 運用年数 | ビットコイン(年利60%) | イーサリアム(年利85%) |
| 0 | 1,000,000 | 1,000,000 |
| 5 | 10,486,000 | 21,304,000 |
| 10 | 109,951,000 | 453,865,000 |
| 15 | 1,152,922,000 | 9,664,152,000 |
| 20 | 12,089,258,000 | 205,884,000,000 |
パターン3:直近10年の平均リターンを適用した場合

| 運用年数 | ビットコイン(年利95%) | イーサリアム(年利150%) |
| 0 | 1,000,000 | 1,000,000 |
| 5 | 27,513,000 | 97,656,000 |
| 10 | 756,964,000 | 9,536,743,000 |
| 15 | 20,826,000,000 | 931,323,000,000 |
| 20 | 572,995,000,000 | 90,949,470,000,000 |
BTCとETHの特徴
ビットコインは「デジタル・ゴールド」としての価値保存手段を目指しているのに対し、イーサリアムは「ワールド・コンピュータ」として、様々なアプリケーションを動かすためのプラットフォームを目指しています。
| 比較項目 | ビットコイン(BTC) | イーサリアム(ETH) |
| 誕生年 | 2009 | 2015 |
| 主な役割 | 価値の保存・決済(金のような資産) | プラットフォーム・スマートコントラクト |
| 発行上限 | 21,000,000 | なし(供給量調整の仕組みあり) |
| コンセンサスアルゴリズム | Proof of Work (PoW) | Proof of Stake (PoS) |
| 平均承認時間 | 10分 | 12秒 |
| 開発言語 | C++ | Solidity |
| 主要なエコシステム | 決済、Layer2(Lightning Network) | DeFi、NFT、DAO、dApps |
| 市場シェア | 1位(ドミナンスが高い) | 2位(アルトコインの筆頭) |
BTCとETHの騰落率比較
過去10年間の騰落率を見ると、仮想通貨市場がどれだけ激しい値動きをしてきたかがよくわかります。特にイーサリアムは、2017年や2021年の強気相場で驚異的な上昇を見せました。一方で、下落局面ではビットコインよりも大きく下がる傾向があります。

| 年 | ビットコイン(%) | イーサリアム(%) |
| 2014 | -58 | 0 |
| 2015 | 35 | 0 |
| 2016 | 125 | 750 |
| 2017 | 1,318 | 9,156 |
| 2018 | -73 | -82 |
| 2019 | 94 | -2 |
| 2020 | 305 | 464 |
| 2021 | 60 | 399 |
| 2022 | -64 | -67 |
| 2023 | 155 | 91 |
ある一定期間の間に「何パーセント上昇または下落したか」を示す割合で、投資対象のパフォーマンスやリスク判断をするために使用されます。
BTCとETHに投資した場合の成長率シミュレーション比較
ここでは、ビットコインの期待収益率を年15%、イーサリアムを年20%と仮定し、保守的な数値で50年間のシミュレーションを行いました。また、リスクを分散するために「両方に50%ずつ投資」した混合パターンの推移も算出しています。

| 経過年数 | BTC単体(100万) | ETH単体(100万) | 折半保有(各50万) |
| 0 | 1,000,000 | 1,000,000 | 1,000,000 |
| 5 | 2,011,000 | 2,488,000 | 2,250,000 |
| 10 | 4,046,000 | 6,192,000 | 5,119,000 |
| 15 | 8,137,000 | 15,407,000 | 11,772,000 |
| 20 | 16,367,000 | 38,338,000 | 27,352,000 |
| 25 | 32,919,000 | 95,396,000 | 64,158,000 |
| 30 | 66,212,000 | 237,376,000 | 151,794,000 |
| 35 | 133,176,000 | 590,668,000 | 361,922,000 |
| 40 | 267,864,000 | 1,469,772,000 | 868,818,000 |
| 45 | 538,769,000 | 3,657,262,000 | 2,098,016,000 |
| 50 | 1,083,657,000 | 9,100,438,000 | 5,092,048,000 |
BTCとETH、どっちがおすすめ?
資産を守りつつ着実に増やしたいならビットコイン、高いリスクを取ってでも爆発的な利益を狙いたいならイーサリアムが向いています。しかし、「両方持つ」のが最も賢明な判断です。ビットコインの安定性と、イーサリアムの成長性を組み合わせることで、ポートフォリオのバランスが劇的に向上します。
| 評価項目 | ビットコイン(BTC) | イーサリアム(ETH) | 選び方の基準 |
| 資産の安全性 | 高い | 中程度 | 守りを固めるならBTC |
| 期待リターン | 中程度 | 高い | 攻めたいならETH |
| 市場の流動性 | 非常に高い | 高い | どちらも即時換金が可能 |
| 将来の拡張性 | 限定的 | 非常に高い | Web3の成長に期待するならETH |
| 機関投資家の流入 | 非常に多い | 増加中 | 信頼性を重視するならBTC |
FAQ(よくある質問)
- Qビットコインとイーサリアム、どちらを多めに持つべきですか?
- A
基本はビットコインをコアにするのが王道です。ポートフォリオの6割から7割をビットコイン、残りをイーサリアムにするのが、過去のデータ上、最もリスクとリターンのバランスが安定しやすいとされています。
- Qイーサリアムの「ガス代(手数料)」が高いのは欠点ではないですか?
- A
短期的にはユーザーにとって負担ですが、投資家目線では「それだけ需要がある」という証明です。また、手数料の一部がバーン(消却)される仕組みにより、需要が増えるほどETHの供給量が減り、価格が上がりやすくなるメリットがあります。
- Qレイヤー2(L2)の台頭はイーサリアムの価格にどう影響しますか?
- A
L2はイーサリアムの処理を補完する技術です。L2が普及すれば、イーサリアム本体(L1)の利用料は下がりますが、エコシステム全体の利用者数は爆発的に増えます。結果として、決済資産としてのETHの価値は高まる可能性が高いです。
- Qビットコインにスマートコントラクトが実装されたらETHは不要ですか?
- A
最近ではビットコイン上でもNFTやDeFiのような動きが出ていますが、設計思想が異なります。ビットコインは「安全性」を最優先するため、複雑な処理には不向きです。柔軟にアプリを動かすイーサリアムの優位性は揺るぎません。
- Q暴落時に買い増すならどちらが良いでしょうか?
- A
過去の経験則では、暴落時により耐性があるのはビットコインです。イーサリアムは下落幅が大きい分、反発時の上昇も強力です。精神的な安定を求めるならビットコイン、リバウンド狙いならイーサリアムという使い分けが有効です。
まとめ
ビットコインは確固たる地位を築いたデジタル資産であり、イーサリアムは次世代のインターネットインフラとしての可能性を秘めています。シミュレーションで見た通り、長期的な視点を持てば、どちらも大きなリターンを生む可能性を秘めています。一時の価格変動に一喜一憂せず、まずは少額からポートフォリオに組み込んで、時間を味方につける投資を始めてみてください。

投資歴は数十年。数々の市場の暴落と回復の経験から、インデックス投資を中心にしつつ、道楽で個別株への投資をするコアサテライト戦略で運用するのが基本スタイル。焦らずにのんびりゆったり資産形成中。







