この記事のポイント
米国株取引において、見るべき指標は多くなく、5つで十分
①米国10年債券利回り、②S&P500指数、③恐怖指数(VIX)、④fear and greed、⑤ドル円(USD/JPY)の5つを見れば、米国市場の外観を掴むことが可能
はじめに
個別株投資とインデックス投資においてみるべき指標はやや異なりますが、本記事では共通してみたほうがいい指標を取り扱います。
本題からはそれますが、基本的にはインデックス投資を推奨します。個別株投資は資金に余裕ができた人がその余剰資金でやるくらいがちょうどいいと思っています。いわゆるなコアサテライト戦略での運用です。
ちなみに、個別株投資で重要視すべきは、相場・金利・決算の3つ。複雑なテクニカル分析とかそういうものではなく、今どこの相場にいて、金利はどうなっているか。そのうえで、企業の業績がどうかをみるべきです。3つといっても難易度は高いため、インデックス投資をおすすめしたいです。
米国株投資においてみるべき指標
- 米国10年債券利回り
- S&P500指数
- 恐怖指数(VIX)
- fear and greed
- ドル円(USD/JPY)
これくらいで十分だと思います。他にも指標をあげようと思えば、10個も20個も出てきてしまいますが、そんなに多くの指標を一般投資家が追い続けるのは現実的ではないし、あまり意味があるものにはならないと思います。
市場の動向をざっくりと掴むには、上記で十分です。インデックス投資においては気にせず淡々とつみたてておけばいいので、指標すら見なくてもいいくらいなのですが、見ることによってつまらない積立投資が多少楽しく感じられるようになります。
米国10年債券利回り
米国10年債券利回りは、米国財務省が発行する10年満期の国債の利回りのこと。
債券の利回りは、投資家が債券を購入することで得られる1年間あたりの利息の割合を百分率で表したものです。債券の利回りは、債券の価格と逆の関係にあります。つまり、債券価格が上昇すると利回りは低下し、債券価格が下落すると利回りは上昇します。
米国10年債券利回りは、世界経済の景気や金利動向を反映する指標として広く利用されています。一般的に、利回りが高ければ景気回復期待が高く、低ければ景気後退懸念があると解釈されます。
意識しておくべきことは、債券の利回りが高くなると、株価は下がる傾向にあるということです。理由は、債券の方が魅力的な投資先となり、投資家の資金が株から債券へシフトするからです。
S&P500指数
S&P500指数は、米国株式市場の代表的な500銘柄の時価総額を基に算出された株価指数です。
S&P500指数は、米国の主要な証券取引所であるニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場している、時価総額の大きい企業500社の株式で構成されています。これらの企業は、米国経済の様々な業種を代表しており、米国の株式市場全体の動きを反映する指標となっています。
米国株式取引をしている人で見ない人はいない指標です。
恐怖指数(VIX)
正式名称をVIX指数(Volatility Index)といい、シカゴ・オプション取引所が算出・公表している、S&P500先物のオプション取引に基づいたボラティリティ(変動率)を数値化した指数です。
VIX指数は、投資家が市場の先行きについてどれくらいの不確実性を感じているかを示す指標として、一般的に「恐怖指数」と呼ばれています。
VIX指数は、S&P500先物のオプション取引価格に基づいて算出されます。オプション取引とは、将来一定の価格で権利確定日に株式を売買できるコールオプション、または売却できるプットオプションという権利を売買する取引です。
VIX指数は、これらのオプション取引価格から、市場が今後30日間どのような変動を予想しているかを算出します。VIX指数が高いほど、市場の変動に対する不安が大きく、VIX指数が低いほど、市場の変動に対する不安が小さいことを意味します。
VIX指数の目安と活用の仕方
- 10~20:比較的安定した状態で、株式取引を気にせずしていい
- 20~30:警戒が必要な状態で、下落リスクがあるため株式取引は慎重に
- 30以上:非常に不安定な状態で、基本的に株式取引をしないほうがいい
参考までに過去の20以上となった出来事です。
- 20以上:米中貿易摩擦など
- 30以上:ロシアによるウクライナ侵攻など
- 40以上:ギリシャ国債デフォルト危機など
fear and greed
Fear and Greed Index(恐怖と貪欲指数)は、米国の投資調査会社CNNMoneyが算出・公表している、米国株式市場の投資家心理を数値化した指数です。
指数は0から100までの範囲で表され、
- 0: 恐怖が極度に高まっている状態
- 100: 貪欲が極度に高まっている状態
と解釈されます。
Fear and Greed Indexは、以下の7つの指標に基づいて算出されます。
- 株価の勢い: 株価の短期的な上昇・下落率
- 株価の強さ: 52週高値対52週安値の比率
- 株価幅: 銘柄全体の値上がり率の平均
- プット・コールオプション比率: プットオプションの取引量対コールオプションの取引量の比率
- 市場のボラティリティ: VIX指数
- 安全資産の需要: 米国債10年金利
- ジャンク債券の利回り: ジャンク債券の利回り
これらの指標を独自に調整することで、投資家心理を数値化しています。
Fear and Greed Indexは、投資判断の参考指標として利用することができます。
- Fear and Greed Indexが低いときは、市場心理が恐怖に支配されており、株価が下落する可能性があります。このような状況では、バーゲンセールを狙って積極的に投資を行うことができます。
- Fear and Greed Indexが高いときは、市場心理が貪欲に支配されており、株価がピークアウトする可能性があります。このような状況では、利益確定売りを行うことを検討する必要があります。
過去のデータによると、
- Fear and Greed Indexが20以下だった期間は、その後の株価が上昇する確率が約70%だったと言われています。
- Fear and Greed Indexが80以上だった期間は、その後の株価が下落する確率が約70%だったと言われています。
ドル円(USD/JPY)
ドル円は、1米ドルあたりの日本円の為替レートです。
円安の場合の投資戦略
- 米国株の買い増し: 円安が今後も続く可能性が高いと判断した場合は、米国株を積極的に買い増す戦略が考えられます。
- 高配当株への投資: 円安の恩恵を受けやすい高配当株への投資も有効です。
円高の場合の投資戦略
- 米国株の利食い: 円高が今後も続く可能性が高いと判断した場合は、米国株を売却して利益確定する戦略が考えられます。
- 米国株の長期保有: 短期的な為替変動に左右されず、米国株の長期的な成長に期待する場合は、長期保有を続ける戦略も有効です。
まとめ
米国株投資においてみるべき指標はそれほど多くなく、紹介した5つの指標くらいで十分米国市場の状況を把握することが可能です。各指標をつかって、投資をしてみてください。
資産運用に興味がある恐竜。いろんな国や商品に投資。投資歴はまあまあ長め。基軸はインデックス投資での運用。短期売買はあまりせず、長期目線での投資をコツコツと。