この記事のポイント
SCHDとSPYD、どちらがリターンが大きいか(過去実績をもとにシミュレート)
SCHDのほうがリターンが大きい
シミュレーション結果を以下の表にまとめました。リターンは年率換算で計算し、配当再投資を考慮しています。
期間 | SCHD(万円) | SPYD(万円) |
---|---|---|
1年(2024) | 118.5 | 112.3 |
3年(2022-24) | 135.2 | 128.7 |
5年(2020-24) | 182.4 | 165.8 |
10年(2015-24) | 298.7 | 245.1 |
15年(2010-24) | 512.6 | – |
20年(2005-24) | 892.4 | – |
SCHDは5年以上の長期でSPYDを上回る傾向があります。特に10年では、SCHDのトータルリターンが約12%に対し、SPYDは約9%と差が顕著。これはSCHDの増配力と安定した企業選定が寄与しています。一方、SPYDは短期的な高配当が魅力ですが、景気敏感セクターの比率が高く、ボラティリティが大きい点が影響しています。短期では市場環境により結果が変動しますが、長期投資ではSCHDが優勢です。
SCHDとSPYDの特徴
SCHDは安定性と増配実績を重視し、SPYDは高い配当利回りを追求。以下に特徴を比較した表を用意しました。
項目 | SCHD | SPYD |
---|---|---|
ベンチマーク | ダウ・ジョーンズ米国配当100指数 | S&P 500高配当指数 |
銘柄数 | 約100銘柄 | 約80銘柄 |
経費率 | 0.06% | 0.07% |
配当利回り(2024) | 約3.6% | 約4.1% |
増配率(5年平均) | 約11.4% | 約3-5%(変動大) |
運用開始 | 2011年10月 | 2015年10月 |
投資方針 | 10年以上連続増配の安定企業に投資。キャピタルゲインと配当のバランス重視 | 高配当銘柄に均等投資。インカムゲイン重視 |
リスク | 比較的低リスク。ヘルスケア・金融中心で安定性高い | 高リスク。金融・不動産中心で景気変動の影響を受けやすい |
SCHDは、10年以上連続増配の企業を選定し、財務健全性や成長性を重視。そのため、長期的な資産成長と安定した配当が期待できます。一方、SPYDはS&P 500から配当利回り上位80銘柄を選ぶ均等加重方式を採用。高配当を狙えますが、景気敏感セクターが多く、2020年のコロナショックのような下落局面では大きく影響を受けます。
SCHDとSPYDのパフォーマンス比較(株価推移・成長率)
以下の表は2015年から2024年までの年次データを基に、株価の年間騰落率(配当再投資を含むトータルリターン)をまとめました。
年 | SCHD 騰落率(%) | SPYD 騰落率(%) |
---|---|---|
2015 | 2.1 | -1.5(設定後) |
2016 | 16.4 | 20.3 |
2017 | 20.8 | 11.7 |
2018 | -5.6 | -5.9 |
2019 | 27.3 | 23.0 |
2020 | 13.5 | -1.2 |
2021 | 29.9 | 25.1 |
2022 | -3.2 | -6.8 |
2023 | 4.6 | 0.9 |
2024 | 18.5 | 12.3 |
SCHDは安定した成長を見せ、特に2020年のコロナショック時もプラスリターンを維持。一方、SPYDは高配当銘柄の特性上、下落局面で大きく影響を受けます。10年間の平均年率リターンはSCHDが約12%、SPYDが約9%。SCHDは市場環境に左右されにくい一方、SPYDは景気回復期に高いリターンを出す傾向があります。
SCHDとSPYDのセクター構成比較
SCHDとSPYDのセクター比率を以下の表にまとめました(2024年12月時点)。
セクター | SCHD(%) | SPYD(%) |
---|---|---|
金融 | 18.5 | 21.9 |
ヘルスケア | 15.8 | 8.2 |
情報技術 | 16.2 | 5.4 |
一般消費財 | 14.7 | 12.8 |
生活必需品 | 12.3 | 9.6 |
公共事業 | 5.1 | 15.9 |
不動産 | 2.4 | 14.4 |
エネルギー | 8.9 | 10.3 |
その他 | 6.1 | 2.5 |
SCHDはヘルスケアや情報技術の比率が高く、安定性と成長性を両立。SPYDは金融・公共事業・不動産の比率が高く、景気敏感セクターへの依存度が高いです。この違いは、SPYDが金利上昇や景気変動に影響を受けやすい理由です。SCHDは分散性が高く、市場の下落局面でも相対的に安定しています。
SCHDとSPYDの構成銘柄比較
SCHDとSPYDの構成銘柄は、投資哲学の違いを反映しています。SCHDは連続増配企業、SPYDは高配当企業を重視。以下に上位10銘柄を例示します。
SCHD 上位銘柄 | SPYD 上位銘柄 |
---|---|
テキサス・インスツルメンツ | ファイザー |
ホーム・デポ | ベライゾン |
ブラックロック | モルガン・スタンレー |
ペプシコ | シティグループ |
ロッキード・マーティン | ウェルズ・ファーゴ |
シスコ・システムズ | ブリストル・マイヤーズ |
ブロードコム | ゴールドマン・サックス |
アムジェン | バンク・オブ・アメリカ |
コカ・コーラ | フィリップ・モリス |
シェブロン | AT&T |
SCHDはテクノロジーや生活必需品の安定企業が多く、増配実績を重視。SPYDは金融や通信など高配当だが景気敏感な銘柄が多いです。SCHDの銘柄は長期的な成長力、SPYDは即時性の高い配当が特徴です。
SCHDとSPYDに投資した場合の成長率シミュレーション比較
長期投資の観点を考慮し、SCHDとSPYDに100万円を投資した場合(配当再投資)、および両方に50万円ずつ投資した場合の50年シミュレーションを以下に示します。年率リターンはSCHD12%、SPYD9%、両方混合10.5%と仮定(為替150円)。
年数 | SCHD(万円) | SPYD(万円) | 混合(万円) |
---|---|---|---|
5年 | 182.4 | 165.8 | 173.8 |
10年 | 298.7 | 245.1 | 271.2 |
15年 | 512.6 | 362.7 | 434.2 |
20年 | 892.4 | 536.9 | 682.1 |
25年 | 1552.7 | 794.2 | 1072.3 |
30年 | 2701.6 | 1175.4 | 1684.7 |
35年 | 4700.5 | 1739.6 | 2647.8 |
40年 | 8176.3 | 2574.3 | 4160.9 |
45年 | 14227.8 | 3809.5 | 6538.2 |
50年 | 24759.1 | 5637.8 | 10273.1 |
SCHDは複利効果で長期的に圧倒的な成長を見せます。SPYDは高配当だが成長率が低く、差が拡大。混合投資はリスク分散とリターンのバランスが取れます。長期投資家にはSCHD、インカム重視ならSPYD、バランス重視なら混合が適しています。
SCHDとSPYDの配当比較
配当タイミングと金額は投資家にとって重要です。SCHDとSPYDはともに年4回配当(3月・6月・9月・12月)。2024年の直近配当(1株当たり、1ドル=150円)を以下にまとめました。
月 | SCHD 配当(円) | SPYD 配当(円) |
---|---|---|
3月 | 104.25 | 106.65 |
6月 | 105.45 | 103.95 |
9月 | 106.20 | 105.30 |
12月 | 107.10 | 104.85 |
年間 | 423.00 | 420.75 |
SCHDの年間配当利回りは約3.6%(1株約80ドル)、SPYDは約4.1%(1株約44ドル)。SPYDの方が配当利回りは高いですが、SCHDは増配率が高く、長期で配当額が成長する可能性があります。
SCHDとSPYDに投資した場合の配当金シミュレーション比較
配当収入の長期シミュレーション(100万円投資、配当再投資なし、1ドル=150円)を行います。SCHDは3.6%利回り・11%増配率、SPYDは4.1%利回り・5%増配率を仮定。
年数 | SCHD 配当(円) | SPYD 配当(円) |
---|---|---|
1年 | 36,000 | 41,000 |
5年 | 55,600 | 52,200 |
10年 | 95,200 | 68,100 |
15年 | 163,000 | 88,900 |
20年 | 279,100 | 116,100 |
SPYDは初期の配当額が高いですが、SCHDは増配率の高さから10年以降で逆転。長期投資ではSCHDが配当収入でも優位になります。
SCHDとSPYD、おすすめは?
投資家の目的に応じてSCHDとSPYDのどちらが適しているか、5つの観点から比較します。
観点 | SCHD | SPYD |
---|---|---|
長期成長 | 増配実績と安定企業への投資で長期リターンが高い。10年リターン約12% | 高配当だが成長率は低め。10年リターン約9% |
配当利回り | 3.6%で安定。増配率11%で長期的に配当成長 | 4.1%で高配当だが増配率低く、減配リスクあり |
リスク | ヘルスケア・情報技術中心で安定性高。コロナショックでもプラスリターン | 金融・不動産中心で景気敏感。2020年下落大 |
分散性 | 約100銘柄でセクター分散良好 | 80銘柄で均等配分だが、景気敏感セクターに偏り |
投資スタイル | 長期投資家向け。キャピタルゲインと配当のバランス重視 | インカムゲイン重視の短期投資家向け |
FAQ(よくある質問)
まとめ
SCHDとSPYDは高配当ETFとして魅力的ですが、投資哲学やリスクが異なります。SCHDは連続増配企業への投資で安定性と長期成長を両立し、10年以上の投資で優れたリターンを実現。SPYDは高配当を追求するが、景気敏感セクターが多く、短期的な変動リスクが高いです。投資家の目標やリスク許容度に応じて選択が重要。長期投資ならSCHD、インカム重視ならSPYD、バランスを求めるなら両者の混合が有効です。

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。