投資するにあたっての分散効果とは?
資産運用の世界で「分散投資」という言葉をよく聞くと思います。
どんな投資指南書にも登場します。
投資の初心者からプロまでが口を揃えて「分散が大事」と言うのはなぜでしょうか。ただ株を複数に分ければ安心なのでしょうか。それとも、それには見えない力学が働いているのでしょうか。
実は、分散投資とは「リスクを制御するための数学的な戦略」であり、「うまく使えば魔法の盾」にもなりますが、「やりすぎると刃がボケてしまう剣」にもなります。
分散効果の基本構造
投資における分散とは、一つの資産にお金を集中させるのではなく、複数の異なる資産に投資することを意味します。なぜそんなことをするかというと、値動きがバラバラな資産に分けて投資することで、全体としてのブレ(リスク)を抑えることができるからです。
たとえば、リンゴだけを仕入れている八百屋が、ある年にリンゴの不作に当たれば一巻の終わりです。ですが、リンゴ・バナナ・パイナップルを仕入れていれば、リンゴが不作でも他の果物でカバーできます。これが分散のイメージです。
さらに投資の世界では、資産価格の「共動性(相関係数)」が重要になります。異なる資産が、どれくらい似たような動きをするのかを数値化したもので、-1から+1の範囲で表されます。
相関係数 | 説明 |
---|---|
+1.0 | 完全に同じ動きをする(リスク軽減効果なし) |
0.0 | 全く関連のない動き(分散効果あり) |
-1.0 | 逆の動きをする(最強の分散効果) |
たとえば、株式と債券の間には長期的に見て負の相関があることが知られており、株価が下がるときに債券が上がる傾向があります。このため、株と債券を組み合わせることで、トータルのブレを抑えることが可能です。
分散がリスクをどう変えるか
ここで少しだけ数式的な話をしましょう。難しい数式ではありません。
複数の資産に投資したときのポートフォリオ全体のリスク(標準偏差)は、各資産のリスクと、それらの相関によって決まります。
要するに、「同じくらいリスクのある資産」でも、動きがバラバラなら全体のリスクは下がるということです。
しかも面白いのは、分散しても期待リターンは変わらないという点です。つまり、同じくらいの儲けを狙いながらも、ブレ(リスク)だけを小さくできるという“うまい話”が、分散投資の核心にあるのです。
以下の表は、単一株への集中投資と、複数株へ分散した場合のリスク比較の一例です。
投資方法 | 年間リスク(標準偏差) |
---|---|
単一銘柄(例:A社) | 約45% |
10銘柄に分散 | 約20% |
30銘柄に分散 | 約15% |
このように、銘柄数を増やすことで、リスクは急激に低下していきます。ただし、ある程度を超えるとリスクの低下は緩やかになります。これを「分散効果の限界」と呼びます。
分散の実例:リーマンショックを乗り越えたポートフォリオ
2008年のリーマンショックのような金融危機の際、世界中の株価は一斉に下落しました。このとき、分散投資をしていても全ての資産が下がったという声が多く聞かれました。しかし、それでも債券や金、現金などに一定割合を振り分けていた人の資産は、下落幅が抑えられていました。
つまり、「全てが下がる局面」でも、下がり幅に違いが出るのが分散の効果です。保険としての役割も大きいのです。
分散は「保険」でもあり「戦略」でもある
「卵は一つのカゴに盛るな」という格言のとおり、分散投資は失敗の確率を下げるための基本的な戦略です。しかしそれは単なる安全策ではなく、同じリターンをより低いリスクで得るための高度な戦術でもあります。
もちろん、分散すれば100%安全というわけではありません。ただ、波に飲まれたときに流されずに済むような“浮き輪”にはなります。
どれくらいの分散をすればいいの?
では実際、どのくらいの銘柄に分ければ「十分に分散した」と言えるのでしょうか。
ここで出てくるのが、投資界隈では名の知れた研究者たち、エバンズとアーチャーによる1950年代の古典的な研究です。この研究がなぜ今でも語り継がれているかというと、「何銘柄持てばリスクがどの程度下がるのか」を丁寧に数値化してくれたからです。
投資の世界では、「数字で語れるもの」は強い武器になります。感覚ではなく、根拠を持って行動できるからです。
エバンズとアーチャーの衝撃的な発見
エバンズとアーチャーは、1958年に「分散投資の効果」について、米国株市場のデータを使って詳細に調査しました。彼らがやったのは非常にシンプルで、無作為に選んだ株を組み合わせて、ポートフォリオ全体のリスクがどれくらい変化するのかを見たのです。
調査の結果、たった1つの銘柄に投資した場合、そのリスク(標準偏差)は約49%もあることがわかりました。これはまさに“ジェットコースター級”の値動きです。
しかし、銘柄数を増やしていくと、驚くほど急激にリスクは下がっていきます。
以下はその研究に基づくデータを簡単にまとめたものです。
保有銘柄数 | ポートフォリオのリスク(標準偏差) |
---|---|
1社 | 約49% |
2社 | 約39% |
4社 | 約32% |
8社 | 約26% |
16社 | 約21% |
32社 | 約19% |
ご覧のとおり、最初の数銘柄でリスクが大幅に減少しているのがわかります。つまり、「分散の効果」は銘柄数が少ないうちに最も強く働き、ある程度を超えるとその効果は鈍化していきます。
16〜30銘柄で分散効果は頭打ち
エバンズとアーチャーの研究によれば、おおむね16〜20銘柄あたりでリスク低下の恩恵は一段落します。これ以上銘柄を増やしても、リスクは確かに少しずつ減っていくのですが、そのスピードはかなり緩やかです。
ここで重要なのは、「無限に分散すればいい」というわけではないということです。むしろ、銘柄数が多くなりすぎると、ポートフォリオの管理コストや情報把握の負担が大きくなりすぎる可能性が出てきます。
さらに、広く分散しすぎると、市場平均に近づいていきます。いわば「自分だけの攻め方」を失ってしまうことにもなりかねません。
現代のETFに当てはめて考えると
ではこの“16〜30銘柄で十分”という考え方を、私たちが実際に使っているETFに当てはめてみるとどうでしょうか。
結論から言えば、ほとんどのETFは「分散しすぎ」ているとも言えます。S&P500に連動するETF(たとえばVOOやIVV)なら、その名のとおり500社に分散しています。全世界株ETFのVTになると、およそ9,000社に分散されています。
数字だけ見ると、“やりすぎ”に見えるかもしれませんが、これには大きな理由があります。
ETFは、ひとつひとつの銘柄を自分で調査・売買するわけではありません。あくまで指数に乗っかるだけで分散が完成してしまうというのがETFの最大の魅力なのです。つまり、エバンズとアーチャーの研究は「個別株投資」に強く当てはまり、ETFの場合は、もっと気軽に広く分散が可能になっているのです。
自分にとっての“適度な分散”を考える
では結局、自分がどこまで分散すればいいのか。それは投資スタイルや目的によって変わってきます。
- 少数精鋭で成長企業に絞って集中したい人は10社前後
- 株式だけでリスクを抑えたいなら20〜30社
- 債券やREITも含めた全体の分散ならETFを使って自動的に何百社
このように考えると、エバンズとアーチャーの研究は、分散の「量」ではなく「効率」を問う研究だったとも言えます。
分散は「安心」のラインを決めること
初心者にありがちなのは、「とにかく数が多ければ安心」と思い込んでしまうことです。しかし大切なのは、「自分にとっての安心ライン」をどこに設定するかです。
分散のしすぎは、管理が複雑になるだけでなく、自分の投資の意図がぼやけるリスクもあります。いくらリスクを抑えても、成長を目指す気持ちが薄れてしまっては、投資の面白さも半減してしまいます。
だからこそ、エバンズとアーチャーのような古典的な研究は、今でも示唆に富んでいるのです。
逆に分散するとどれくらいのリターンの低減があるの?
ここまでで分散投資がいかにリスクを抑えるかについては十分に理解できたと思います。
ただ、少し気になりませんか?
リスクが小さくなるということは、それと引き換えに「得られるリターン」も下がるんじゃないかと。
実はその直感、案外正しいのです。
分散には“良いことづくし”のイメージがありますが、現実には「攻め」の力を削ぐ側面もあります。つまり、守りを固めすぎたがゆえに、チャンスを取り逃す可能性があるのです。ここでは、その「リターンの低減効果」について、データを交えて具体的に見ていきましょう。
「平均点」は取れるけど「ホームラン」は出にくい
分散投資は、いわば“クラス全員の平均点”を目指すようなものです。優等生もいれば、赤点ギリギリの子もいて、全体としてはほどよい平均点に落ち着きます。
これはつまり、「成績トップの生徒だけに期待する」という集中型とは異なり、良いものも悪いものもひっくるめて持つということです。
これを株式投資に当てはめると、次のような違いが見えてきます。
投資スタイル | 得られるリターンの幅 |
---|---|
集中投資(数銘柄) | 高いリターンも狙えるが、大損の可能性も高い |
分散投資(多数銘柄) | リスクは抑えられるが、大きなリターンは出にくい |
たとえば、ある年に10社に分散していた場合、そのうちの1社が株価5倍になったとしても、全体に占める割合が小さければ、ポートフォリオ全体のインパクトは限定的です。
一方、その株だけに集中していた場合、その恩恵はダイレクトにリターンへ反映されます。
実例:S&P500 vs 個別株
ここで具体例を挙げましょう。
S&P500は、言わずと知れた米国の代表的な株価指数です。分散の王道とされ、誰もが「これを買っておけば安心」と語ります。
しかしその内訳を見ると、実は面白い事実が浮かび上がってきます。
S&P500に組み込まれている企業の中でも、リターンに大きく貢献しているのはごく一部の企業だけです。近年でいえばApple、Microsoft、NVIDIAなどがその筆頭です。
企業名 | 2023年の株価上昇率 | S&P500への寄与度 |
---|---|---|
NVIDIA | +239% | 非常に大きい |
Apple | +48% | 大きい |
Alphabet | +58% | 中程度 |
このように、500社中たった数社が全体のリターンを牽引しているわけです。
つまり、S&P500を通じて分散投資をしていた場合、これら急成長企業にほんの少ししか投資していないことになります。そのため、個別でNVIDIAに集中投資していた投資家と比べると、得られるリターンは大きく見劣りします。
なぜ分散するとリターンが減るのか?
分散の本質は「リスクを相殺すること」にあります。
相殺というのは裏を返せば「いい銘柄の足を悪い銘柄が引っ張る」ということでもあります。
たとえば、10社に投資していたとして、そのうち1社が+100%、他の9社が±0%だったとしましょう。
この場合、全体のリターンは+10%にしかなりません。100%の成長が、分散によって“希釈”されてしまったのです。
また、分散することで平均的な市場の動きに追随する形になるため、市場全体が停滞している時期には成長性も抑えられがちです。攻めるための武器をあえて封じている状態に近いとも言えます。
投資信託・ETFにおけるリターンの“ぼやけ”
特にETFやインデックスファンドのような商品では、「市場全体に賭ける」性質が強くなります。そのため、リターンは市場平均に収束します。
このことを表す象徴的な言葉が「ミドルリターンの罠」です。
これは、大きく儲けることもないが、大損することもないという状態で、「満足感が薄くなる」ことを指します。
もちろん、着実に資産を増やすうえでは決して悪くないのですが、人によっては“もう少し攻めたかったな”という感情が残る場合もあります。
分散とリターンのトレードオフはどう考えるべきか
では、分散でリターンが減ることをどう受け止めればいいのでしょうか。
これは完全に「性格」と「目的」の問題になります。
- とにかく資産を守りながら、長期でじっくり増やしたい人 → 分散重視
- チャンスが来たときに一気に資産を増やしたい人 → 集中の要素も入れる
また、全てを分散に任せるのではなく、一部を集中投資で構成する“ハイブリッド型”のポートフォリオを組むという考え方もあります。
たとえば…
投資割合 | 内容 |
---|---|
80% | 全世界株ETF(VTなど) |
20% | 成長株(NVIDIAやTSMCなど) |
このようにすれば、守りを固めつつも、攻める余地をしっかり残すことができます。
分散でリターンが落ちるのは「仕方がないこと」
ここまで見てきたように、分散はあくまで「リスク低減のための技術」であって、「リターン最大化のための技術」ではありません。
その代わりに得られるのは、精神的な安定感と、破綻のリスクを限りなく小さくする安心感です。
これは投資を続けていく上で、実はかなり大きなメリットです。
短期的な勝ち負けではなく、長期で安定的に資産を築く。そのための犠牲が、「一撃の爆益」を捨てることだと考えると、納得もしやすいかもしれません。
大きくリターンを得たいなら1つのカゴにもったほうがいいよね
「卵は一つのカゴに盛るな」。投資の世界では定番の教訓ですが、あえてこれに逆らう道を選ぶ人もいます。
むしろ、「カゴ一つ」にすべてを賭けるからこそ、大きなリターンを得られることもあるのです。
成功者たちはなぜ“1点集中”を選んだのか?
世界の著名な投資家の中には、「分散は敗者の戦略だ」と語る人もいます。その代表格がウォーレン・バフェットです。
彼はこんなことを言っています。
「リスクは、自分が何をやっているか分からないときに生まれる」
つまり、確信を持っている投資対象があるなら、それに集中するべきだというわけです。実際、バフェット自身もバークシャー・ハサウェイの資産の大部分を、少数の企業に集中的に投資しています。
これは彼だけではありません。
アップルの株価が爆発的に成長した時期、NVIDIAに早期から集中投資していた人たちは、いずれも“カゴ一つ型”の戦略で巨額のリターンを手にしました。
「ホームラン投資」の構造と魅力
集中投資は、リスクも大きいですが、リターンの上限がないという点が最大の魅力です。
たとえば、NVIDIAのように数年間で株価が10倍になったような銘柄に全力投資していた場合、資産は同じスピードで10倍に増えるわけです。
これが分散投資だとどうなるかというと、前章でもお伝えしたように、“大当たり”の影響力が薄まってしまいます。
ここで、仮に10年間で株価が10倍になった企業に、投資家がどれくらいの割合で投資していたかによって、資産の増え方は以下のように変わってきます。
保有比率 | 投資元本100万円が10年後どうなるか |
---|---|
100%(集中) | 約1,000万円 |
20% | 約280万円(他80%は横ばいの場合) |
10% | 約190万円 |
この表からも分かるように、高成長銘柄にどれだけ強く賭けられるかによって、リターンの姿は大きく変わります。
集中投資のメリットとは?
ここで改めて、集中投資の魅力を整理してみましょう。
- 知識や分析が活かせる
業界や個別企業について深く調べた結果、自信のある銘柄に投資するなら、集中型のほうが成果に直結しやすくなります。 - 大きな成功が狙える
分散では起こらないような、2倍・5倍・10倍の世界が現実味を帯びます。 - 資産形成のスピードが圧倒的に早い
投資期間が短くても、大きなジャンプアップが可能になります。
特に、起業家やベンチャーキャピタリストのような人々は、「一点突破型」の投資で資産を築くことが多く、これはある意味で“資産形成の王道”とも言えるのかもしれません。
でもやっぱり、リスクは計り知れない
ここまで集中投資の良い面を見てきましたが、それはあくまで「当たれば」の話です。
現実には、思ったようにいかないケースのほうが多く、特に個人投資家が情報の非対称性の中で優れた企業を見抜くのは簡単ではありません。
たとえば、同じように未来を期待されていた企業でも、次のような結末を迎えることもあります。
企業名 | かつての注目時期 | 現在の株価状況 |
---|---|---|
ルーシッド(EV) | 2021年 | 株価80%以上下落 |
ズーム(コロナ禍) | 2020年 | ピークから半値以下 |
このような“憧れのスター銘柄”が、わずか数年で平凡な存在になるケースは決して珍しくありません。集中投資をしていた人にとっては、資産が半減するどころか、回復不能になるリスクすらあるのです。
「一点集中」に耐えられる精神力が必要
集中投資をするということは、日々の株価変動に右往左往せず、自分の信念を貫ける精神的な強さが求められます。
価格が20%下がっても、「これは一時的な揺れだ」と思えるか。
ニュースでネガティブな情報が流れても、「自分の分析に狂いはない」と信じられるか。
ここが、分散投資とは決定的に違う点です。
分散投資は、自分の判断ミスを薄めてくれますが、集中投資ではすべての決断が結果に直結します。
じゃあ、どっちが正解なのか?
ここまで来て、「結局どっちがいいの?」と思うかもしれません。
でも、実はこの問いに“唯一の正解”はありません。
大切なのは、「どのくらいのリスクなら、夜ぐっすり眠れるか」。
それが人によって異なる以上、最適な投資スタイルも変わって当然です。
リターンを最大化したい気持ちと、資産を守りたい気持ちの間で、バランスを取ること。
それが最終的な戦略になります。
ハイブリッドな考え方こそ現実的
そこで登場するのが、集中と分散の“いいとこ取り”をした戦略です。
リスク許容度や投資経験に応じて、ポートフォリオを段階的に調整することで、無理のない範囲でリターンを高めることが可能になります。
たとえば…
投資戦略タイプ | 構成比例 |
---|---|
初心者向け | 100% 分散型ETF(VTなど) |
中級者向け | 80% ETF+20% 成長株 |
上級者向け | 50% ETF+50% 集中銘柄 |
このように、自分にとってちょうど良い“配合”を探ることが、もっとも安定的かつ効率的な投資に近づく方法といえます。
FAQ
- Q分散投資とは何ですか?
- A
分散投資は、資産を複数の銘柄や資産クラス(株、債券、不動産など)に分けて投資する手法。リスクを減らすのが目的で、1つの投資が失敗しても全体への影響を抑えられる。例:1社が倒産しても、他の銘柄がカバー。エバンズとアーチャーの研究では、10~20銘柄で十分な分散効果が得られるとされる。安定志向の投資家におすすめ!
- Q分散投資の注意点は?
- A
過度な分散はリターンを薄める。銘柄数が多すぎると管理が複雑になり、コストも増える。逆に少なすぎるとリスクが高まる。市場全体のリスク(システマティックリスク)は避けられないので、資産クラスのバランスも重要。自分のリスク許容度や投資目標に合わせて、10~20銘柄程度を目安に調整しよう。
- Q分散投資は王道ですか?
- A
はい、王道!リスク管理の基本で、長期投資家に広く推奨される。市場の変動や個別銘柄の失敗から資産を守る。バフェットも「無知へのヘッジ」と認めるほど。ただし、短期で高リターンを狙う投機家には物足りないかも。安定と成長のバランスを求めるなら、分散投資は鉄板の戦略だ。
- Q分散投資の逆は何ですか?
- A
分散投資の逆は集中投資。1~数銘柄に資金を集中させる手法で、高リターンを狙えるがリスクも高い。例:テスラ株だけに全額投資。成功すれば大儲けだが、失敗すると大損。分散が「安全運転」なら、集中投資は「F1レース」。自信と知識がある投資家向けだ。
- Qエッグの法則とは?
- A
エッグの法則は「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言を指す。1つの投資に全資産を集中させると、失敗時に全損するリスクがある。分散投資でリスクを分散し、資産を守るのが基本。エバンズとアーチャーの研究も、10~20銘柄でリスクが大きく減ると示している。
- Q「卵は一つのカゴに盛るな」とはどういう意味ですか?
- A
投資で全資産を1つの銘柄や資産クラスに集中させず、複数に分けるべきという格言。1社が倒産や暴落しても、他の資産でカバーできる。分散投資の基本理念で、リスク管理に必須。例:株だけでなく債券や不動産も持つことで、資産の安定性を高める。
- Qポートフォリオと分散投資の違いは何ですか?
- A
ポートフォリオは、投資家が保有する資産全体(株、債券など)の組み合わせ。分散投資は、そのポートフォリオを複数の資産や銘柄に分けてリスクを減らす戦略。ポートフォリオは「カゴ」、分散投資は「カゴの中身をバラバラにする方法」。両者は密接に関連し、安定運用を目指す。
- Q積立NISAは分散投資できますか?
- A
はい、できる!積立NISAは、投資信託やETFを通じて分散投資が可能。例:全世界株式やS&P500連動のファンドを選べば、数百~数千銘柄に自動分散。非課税メリットもあり、長期の資産形成に最適。自分のリスク許容度に合ったファンドを選んで分散を強化しよう。
- Q株を分散させるデメリットは?
- A
分散しすぎるとリターンが平均化され、ホームラン級の利益が得にくい。管理の手間や取引コストも増える。例:50銘柄持つと監視が大変。エバンズとアーチャーの研究では、20銘柄以上で追加のリスク低減効果は小さい。バランスが大事で、過度な分散は避けよう。
まとめ
「大きなリターンを得たいなら集中投資」と聞くと、つい心が躍るかもしれません。ですが、それには大きな覚悟と、冷静な判断が求められます。
分散は確かに地味ですが、確実に前へ進む力を持っています。集中は派手ですが、間違えば奈落に落ちる可能性もあります。
それぞれの特性を理解したうえで、自分にとって一番納得できるスタイルを選ぶ。
それこそが、長く投資を楽しむための最良の方法なのかもしれません。

資産運用に興味がある恐竜。様々な国や商品に投資。投資歴は長い。基軸はインデックス投資での運用。短期売買の頻度は少なく、長期目線での投資をコツコツと実施。